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2◆ルーゼン視点

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私はランスに、まずは少年用の服を着せた。

白いワンピースみたいな服を着ていたランスだが、野良魔王のその白いワンピースは一種の産着のようなものらしい。

なので、このワンピースは大切に保管することにしよう。

「ランス、ご飯食べようか」

「うん」

私に抱きついて離れないランスを可愛いと思いつつ、料理長に子供向けの料理を作ってもらった。

ランスの見た目が少年だから、子供向けがいいかなとなんとなく思ったんだ。

ちなみに、見た目年齢は十代前半といったところだな。

野良魔王は見た目が年齢で変化しないらしいから、何年生きてもランスは少年の姿のままということになる。

一応、ランスにどのぐらい生きているかを聞いたら、最近生まれたぐらいしかわかっていなかった。



私とランスは一緒に入浴をすることにしたが、ランスが私の身体をみて怖がらないかちょっと不安だ。

何故なら、私は最近大怪我を負ったから………。

その大怪我は、もう包帯は取れたけど傷痕が残り、未だに怪我の後遺症が私にはある。

私の背中の剣で斬られた傷痕。

それは、幼い弟を守るために負った怪我。

弟を守ったことを後悔した日はない。

私が守らなかったら、弟は間違いなく死んでいただろうから………。

私ですら、しばらく生死をさ迷う大怪我だったんだ。 

幼い弟を守ることができて、私は良かったと思っている。



ただ……弟の目の前で斬られ、血を流し、倒れた私を弟がどう思っているのかはわからない。

まだ幼い子供にとって、それはトラウマになってもおかしくないショッキングな光景だったことだろう。

弟は元気だとお父様の手紙には書かれていたけど、心配だな………。

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