兄が好き過ぎて愛を叫ぶケダモノ

ミクリ21

文字の大きさ
上 下
8 / 20

8◆奏視点

しおりを挟む
最近は物騒な事件がニュースを騒がせている。

僕達が住むこの辺りに、変質者が数多く目撃されているんだ。

何名かは捕まったらしいけど、まだまだ変質者の注意喚起は収まりそうにない。

どうやら、変質者組織なるものができているとかってニュースで言っていた。

「最近物騒だね」

「大丈夫!兄ちゃんのことは俺が守るから!」

「時雨……命大事にだからね?変質者と戦おうとかしないでね?僕は時雨が危険な目にあうの嫌だからね」

「兄ちゃん!愛してる!!」

瞳をキラキラさせている時雨が、僕は本当に心配なんだ。

………変質者と間違われて連れていかれないか、本当に心配なんだよ!

そして変質者相手に、時雨が真正面から挑まないか本当に本当に心配だ!!

………まぁ問題の変質者が現れたら、時雨の手を繋いで全力ダッシュで時雨を守るつもりだよ。



どうやら、さっきの会話はフラグになってしまったようだ。

「はあはあ……おじさんのお尻みたくないかい?……はあはあ………」

目の前に、はあはあ言っている変態が現れた!

変質者にいろんな種類はあっても、総じて言えることがある。

それは……変態ということだ!!

胸やら股間やら尻やら、みせよう触らせよう匂いを嗅がせようといった変態な男女多数の変質者による被害が相次いでいる。

この変質者は尻をみせようタイプの男変質者のようだね。

時雨が毛虫をみるような軽蔑の眼差しで、変質者に吐き捨てた。

「汚い尻を兄ちゃんにみせようなんて、圧倒的ギルティ!その辺の虫にでもみせて勝手に一人で悶えてればいいよ。兄ちゃんが穢れるからあっちいけ。シッシッシッ!」

ノンブレスで言った時雨……息づきしなくて大丈夫なのかな?

手をシッシッて、まるで犬猫を追い払うかのような感じで、心底毛嫌いしてるって声音で変質者に言っていた。

ちなみに、時雨は犬も猫も大好きだから犬猫にシッシッてしたことはないよ。

……って、呑気に時雨を観察している場合じゃなかった!!

僕は時雨の手を急いで握った。

「時雨!逃げるよ!」

「兄ちゃん!コイツは兄ちゃんに汚い尻をみせようとする大罪人だ!兄ちゃんに尻をみせていいのは俺だけだ!そして兄ちゃんの尻をみていいのは俺だけだ!!」

「時雨!?変態勝負しなくていいから!!」

「はあはあ……逃がさないよ……はあはあ……」

変質者はニタァって笑って、ズボンのファスナーを下ろし始める。

僕は時雨を無理矢理引っ張り、必死でダッシュした!

そして変質者は追いかけてきた!

ちなみに変質者の社会の窓は全開だ!

「お巡りさーん!助けてー!変質者だーーー!!」



数分後。

僕は必死に叫び、時雨を連れて逃げた結果。

パトロール中だった警察が駆けつけてくれて、変質者はドナドナされていった。

な…なんとか助かった………。

僕は胸を撫で下ろし、時雨をみつめる。

「俺を必死に守る兄ちゃんの姿に、胸がキュンキュンしたよ♡でも、俺が兄ちゃんを守りたかった」

「ふふ、僕はお兄ちゃんなんだよ?僕にもたまには、可愛い時雨を守らせてよ」

「兄ちゃん………♡」

うっとりする時雨と、その後安全に帰宅できたよ。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

悩める文官のひとりごと

きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。 そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。 エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。 ムーンライト様にも掲載しております。 

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年 Special thanks illustration by meadow(@into_ml79) ※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。 「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」 魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。 俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/11……完結 2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位 2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位 2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位 2023/09/21……連載開始

騎士団で一目惚れをした話

菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公 憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

撮り残した幸せ

海棠 楓
BL
その男は、ただ恋がしたかった。生涯最後の恋を。 求められることも欲されることもなくなってしまったアラフィフが、最後の恋だと意気込んでマッチングアプリで出会ったのは、二回り以上年下の青年だった。 歳を重ねてしまった故に素直になれない、臆病になってしまう複雑な心情を抱えながらも、二人はある共通の趣味を通じて当初の目的とは異なる関係を築いていく。

処理中です...