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2学期

86◆梓視点

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借り物競争で、俺は手に入れた紙に書かれていた物を手に入れるためにそれがある場所を探していた。

紙には『黒い髪のカツラ』と書かれていた。

「黒い髪のカツラの人いませんか!?黒い髪のカツラ貸してください!」

ピンポイントで黒い髪を指定しているから、茶髪のカツラや金髪のカツラではダメなんだ。

黒い髪のカツラをプリーズ!!

すると、ニコニコしたお爺ちゃんが話しかけてきた。

「黒い髪のカツラじゃね?ええよええよ、ワシの相棒を連れて行きんしゃい」

「見ず知らずのお爺ちゃん!ありがとうございます!ちゃんとすぐに返しますからね!」

お爺ちゃんは、ふさふさの自分の髪の毛を掴むとスポンッ!と取り外した。

そして、俺にそのカツラを手渡してくれた。

………ほのかに、暖かいカツラだった。

俺はカツラを握りしめて、ゴールを目指して走り出す。

お爺ちゃんのおかげで、俺はなんとか2位でゴールすることができたんだ!

ちなみに、1位の人は紙に『脱ぎたてパンツ』って書いていて……友達に一肌脱いでもらったようだ。(物理)


その後、ちゃんとお爺ちゃんにカツラは返したよ!



猫耳争奪戦で、初音先生を含む教師10人が猫耳をつけて所定の位置についた。

俺は自分のチームで、その猫耳に狙いを定める。

初音先生……心は乙女だから内心猫耳喜んでそうだなぁ。

心なしか、ちょっと嬉しそうな表情をしている。

スタートの合図が鳴り響き、各チームの生徒達が猫耳を求めて走り出す。

「いやぁ~ん♡アタシが欲しいの~?♡」

「初音先生、欲しいのは猫耳です」

俺は初音先生の猫耳を奪うために、手を伸ばすけれど意外と初音先生は回避能力が高いようだ。

初音先生、動きが素早いな!?

「うふふ♡竜城君のエッチ!」

「エッチなことは一つもないですよ!」

「わかっているわ。冗談よ!」

余裕そうに笑っている初音先生の隙をついて………そりゃ!!

「ああっ!?」

「よっしゃーっ!!」

初音先生、油断は大敵なんだぜ?

俺は見事に初音先生から猫耳を奪い、次の猫耳を奪いに他の教師に飛びかかった。


最終的に、俺のいるチームが多く猫耳を手に入れていたから勝利を掴んだ。


「竜城君、アタシのことも奪っていいのよ?」

「教師と生徒の禁断の愛は遠慮します」

「んもう!意地悪なんだから!」

初音先生は、身体をくねらせながら怪しく微笑んでいた。
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