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1学期

53◆祭視点

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私は学園で理事長をしている伊月 祭。

実は竜城 梓君に親衛隊ができて、公式の親衛隊になるための申し込み書が私の下に来ている。

彼等は今非公式の状態で、竜城君ともまだ会話したことがないらしい。

ということで………。



「親衛隊を許可してくれるかな?」

「説明省きましたね………」

ニッコリ笑う私の目の前には、竜城君が向かい側のソファーに座っている。

私はお茶菓子に用意したマカロンを食べながら、親衛隊というものの説明をした。

親衛隊を作るだけでは、非公式になる。

公式にするには、理事長の私に申し込み書を出すことと、親衛隊が崇拝している相手の許可がいる。

省いているつもりはないが、単にマカロンが美味しくて夢中になってしまうんだ。

美味しいものは正義というだろう?

「親衛隊ですか。俺みたいな平凡相手に、物好きですね」

「竜城君、彼等は外見ではなく中身を崇拝しているんだよ。外見は今は置いておこうね。マカロン美味しいよ?ほら、あーん♪」

「むぐっ!」

無理矢理になってしまったかもしれないが、マカロンを竜城君の口に突っ込む。

紅茶によく合う甘さだろう?

モグモグとマカロンを食べて飲み込むと、竜城君はもう一つマカロンを手にした。

「許可いいですよ。このマカロン、紅茶によく合いますね」

「そうだろうそうだろう!もっと食べるといいよ!」

本来の親衛隊の話は早々に終わらせ、マカロンと紅茶に二人して舌鼓を打った。



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