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1学期

50◆梓視点

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昼休み。

テストが無事に終わって、俺は友達と夏休みの予定とかを話し合っていた。

「皆で旅行とか行かない?」

青山が旅行の提案をして、夏休みは俺と青山と天波と環は旅行が決定した。

ちなみに、沖縄旅行だ。

当然桜崎も誘ったんだけど、断られた。

「すみません。彼女と旅行の約束があるんです」

申し訳なさそうな桜崎。

まぁ、先約があるなら仕方ないよな………。

「そういえば、桜崎の彼女さんってどんな人なんだ?」

ふと気になって聞いてみると、桜崎の瞳がキラキラ輝きはじめた。

そして、興奮したように教えてくれた。

「女子校で王子様をしている、素晴らしい女性です!」

女子校の王子様………。

リアルにいるものなんだな。

「イケメン彼女なの?」

興味なさそうに天波はそう聞いた。

「ロングの赤い髪がとっても綺麗で、黄色の瞳が宝石みたいで、身長の高い歳上美人です」

うっとりした表情の桜崎は、本当に彼女さんのこと好きなんだなぁという感じだった。

そして、桜崎による彼女語りを昼休み中聞くことになった俺達だった。



放課後。

「竜城君、ちょっといいかしら?」

初音先生に呼び止められ、俺はちょっと前のことを思い出した。

初音先生に……グイグイ迫られて、最終的に俺はあの時に逃げたんだ。

「えっと、なんですか?」

「夏休みになったら、アタシとひと夏の思い出作りましょう?うふん(ハート)」

「友達と予定があるので………」

「今からでもアタシは大丈夫よ?」

今は6月。

夏休みは7月。

今からはちょっと早すぎだよね!?

あと、俺は今……ジリジリと壁に追い詰められている。

………もしかしてピンチ!?

ダンッ!

「せ…先生………」

「ルイって呼んで………」

俺は、初音先生に壁ドンをされた。

俺……今回は逃げられないかもしれない………!

ちょっと内心食われると震えていると、天の助けが現れた。

「初音先生、風紀を乱さないでください」

風紀委員長の雨宮さん!

初音先生は舌打ちをして(舌打ち!?)、俺から離れてくれた。

「邪魔されちゃったわぁ」

「教師でも風紀は容赦しませんからね」

「生意気ねぇ」

「生意気で結構」

火花をバチバチと散らせる二人。

とりあえず、助かって良かった~~~!!


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