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1学期

38◆杏視点

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アイツらにみつかったことには気付いていた。

困ったことに竜城君達を巻き込んでしまう………それは、目をつけられてしまったから避けられないね。

まぁ、せっかくだから利用してやろう。

アイツらをうまく利用して、刃向かう奴は骨までしゃぶれ。

さぁ、俺のために俺の手のひらで踊り狂え。



「竜城君、なんか……変な人達が後をつけてきてるね」

「え?」

俺の言葉に皆で後ろを降り向けば、ぞろぞろとガラの悪い男達が俺達をつけていた。

「うわっ!?皆、逃げるぞ!!」

4人で一斉に走り出した俺達を、ガラの悪い男達は追いかける。

うまく他の3人を誘導して、行き止まりに俺達は追い詰められた。

「アハハ☆逃げても無駄だよ~♪」

ガラの悪い男が、愉快そうに笑っている。

もう勝ったつもりだなんて、ちょっと会わない内にナメられたものだね。

「こうなったら、竜城君は俺が絶対に守るからね!」

俺がアイツらを倒したら、竜城君の好感度アップは間違いないよね!

心の中でほくそ笑んでいると、竜城君はニコリと笑った。

「俺だって戦うに決まってんだろ?楽しい思い出を潰されてたまるかよ!」

「僕も竜城君に同意します。敵には相応の報いを受けてもらいましょう」

「もしかして僕も戦う流れ?まぁ、後で僕に萌えをたっぷり提供してくれるなら、頑張ってもいいよ♪」

なんて誤算だ!

竜城君を守って好感度アップのはずが、まさかの竜城君も戦う気になってしまった!

しかも、環も殺る気だ!

天波は……どさくさに紛れて、なんか要求している。

………知ってたけど、君って神経図太いね?

仕方ない。

一緒に敵を倒すのも、充分好感度は上がるよね!

ということで。

「皆で、このピンチを乗り切ろう!」



俺に刃向かう愚か者達。

さぁ、俺のために贄になれ。
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