63 / 137
超絶マッハでヤバい状況です
超絶マッハでヤバい状況です24
しおりを挟む
「どういうことでしょう、我円」
満月の色をした髪を撫でつけ、彼は気高く唇を持ち上げた。
「可愛がっているとお聞きしましたよ? 新入りの宮内瑞希を」
シエラのホストも反応する。
類沢は目を瞑った。
わかってはいた。
いつかはこうなることを。
まさか、それで瑞希が攫われるなんて予想は及ばなかったが。
篠田が足音を鳴らしながら近づいて来る。
ポンと肩に手を置いた。
「お前のせいじゃない、雅」
「篠田……」
「だが、責任はお前にかかる」
そのとおりだ。
「追うよ」
「あのマイクにはGPSを仕込んであるからな。シエラに戻れば場所を特定出来る」
心強いチーフだ。
「オレらも探させてください」
千夏達が進み出る。
「紫苑の運転テクは凄いよー?」
雛谷がニィッと笑う。
「やれやれやれ。伴、車を出して来なさい」
「了解致しました、父さん」
「人前ですよ?」
「はい、我円様」
この場にいる全員が協力すると示してくる。
「爺さん、バイクまだここにあったっけ?」
「無論じゃ。空牙のものは手入れをしとったからの」
些かひるむ。
なぜ、ここまで……
「類沢、指令を」
篠田が軽く小突く。
―今は主導権は譲ったしな―
類沢は顔が緩むのを留めた。
やはり、二回目の拾い主がずっとマシだ。
時計を見ると、時刻は朝四時。
だが、誰一人として眠気など見せなかった。
類沢は全員を見渡しながら声を張り上げる。
「常時篠田が誘拐犯の位置をメールで知らせる。開店時間までに瑞希を取り戻すよ。客を待たすな、いいな!」
口々に賛同の叫びが上がる。
篠田と目配せし、類沢の車で急いでシエラに向かった。
その現場を、影で見ていた青年がいる。
虚ろな目で。
「……雅さん」
彼は闇に紛れて消えた。
満月の色をした髪を撫でつけ、彼は気高く唇を持ち上げた。
「可愛がっているとお聞きしましたよ? 新入りの宮内瑞希を」
シエラのホストも反応する。
類沢は目を瞑った。
わかってはいた。
いつかはこうなることを。
まさか、それで瑞希が攫われるなんて予想は及ばなかったが。
篠田が足音を鳴らしながら近づいて来る。
ポンと肩に手を置いた。
「お前のせいじゃない、雅」
「篠田……」
「だが、責任はお前にかかる」
そのとおりだ。
「追うよ」
「あのマイクにはGPSを仕込んであるからな。シエラに戻れば場所を特定出来る」
心強いチーフだ。
「オレらも探させてください」
千夏達が進み出る。
「紫苑の運転テクは凄いよー?」
雛谷がニィッと笑う。
「やれやれやれ。伴、車を出して来なさい」
「了解致しました、父さん」
「人前ですよ?」
「はい、我円様」
この場にいる全員が協力すると示してくる。
「爺さん、バイクまだここにあったっけ?」
「無論じゃ。空牙のものは手入れをしとったからの」
些かひるむ。
なぜ、ここまで……
「類沢、指令を」
篠田が軽く小突く。
―今は主導権は譲ったしな―
類沢は顔が緩むのを留めた。
やはり、二回目の拾い主がずっとマシだ。
時計を見ると、時刻は朝四時。
だが、誰一人として眠気など見せなかった。
類沢は全員を見渡しながら声を張り上げる。
「常時篠田が誘拐犯の位置をメールで知らせる。開店時間までに瑞希を取り戻すよ。客を待たすな、いいな!」
口々に賛同の叫びが上がる。
篠田と目配せし、類沢の車で急いでシエラに向かった。
その現場を、影で見ていた青年がいる。
虚ろな目で。
「……雅さん」
彼は闇に紛れて消えた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
学園の天使は今日も嘘を吐く
まっちゃ
BL
「僕って何で生きてるんだろ、、、?」
家族に幼い頃からずっと暴言を言われ続け自己肯定感が低くなってしまい、生きる希望も持たなくなってしまった水無瀬瑠依(みなせるい)。高校生になり、全寮制の学園に入ると生徒会の会計になったが家族に暴言を言われたのがトラウマになっており素の自分を出すのが怖くなってしまい、嘘を吐くようになる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿です。文がおかしいところが多々あると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる