44 / 137
超絶マッハでヤバい状況です
超絶マッハでヤバい状況です05
しおりを挟む
コンコン。
ノックで目覚める。
しまった。
寝てたのか俺。
腕時計を確認する。
「二十三時!?」
「そうだよ、眠り姫」
ドアが開いて類沢が入ってくる。
「あっ、俺、え? ね、寝て。うわぁあああ」
「焦んなくていいから。というか……」
ベッドから落ちそうになる。
ガンガンする頭を押さえて類沢を見ると、優しい笑みを浮かべていた。
「寝顔見たかったな」
「えっ、あ、ありがとうございます!」
何言ってんだ俺。
「あはははっ。あー、瑞希といると癒されるなぁ」
眼の下に、黒い隈。
「類沢さん……何か、あったんですか」
「静かに」
口元に指を当てる。
俺は黙って類沢の後ろの扉を見つめた。
「閉店間際に厄介な客が来てね。今、チーフが対応している」
「篠田チーフが? どんな客なんですか」
「最悪な客」
それが全てだ。
そう言うように、類沢は口をつぐんだ。
だから、これ以上は聞けなかった。
十分程だろうか。
扉にもたれる類沢と無言で過ごした後に、ノックがした。
「開けるぞ」
篠田チーフだ。
いつも乱れ一つないスーツが、くたびれている。
溜め息をして、額を拭う。
「お前がいなくて良かったよ」
「どこのホスト?」
「ホストじゃあない。最近歌舞伎町の土地を買いあさっている企業家だ。ま、この街に来る輩だからな。裏で結構色々やってる面倒な奴だ。鬱陶しいな」
「僕がいなくて良かったって?」
「あぁ、ヘルプの一夜だったか。酒の注ぎ方に因縁つけられてな……あいつスーツは一つしか無かったと思うんだが。お前がいたら」
「殴って来る」
「待てまて」
篠田が類沢の肩を掴む。
一夜……
俺は胸騒ぎがした。
大丈夫だろうか。
客に酒をかけられるなんて。
なんて。
なんて、奴だ。
拳を握る。
「瑞希もだ。落ち着け」
「え?」
読まれてたのか。
息を吐く。
「瑞希は掃除行ってこい。一夜もまだいるはずだ」
「……はい」
二人の横を過ぎる。
「体調管理はしっかりな」
篠田が言った。
ザッザッ。
ブラシの音がする。
トイレに入ると、三嗣が床を削る勢いでブラシをかけていた。
口を開く前に、個室から一夜が現れる。
スーツが濡れて、黒くなっている。
「い……」
「瑞希! 良かった、復活したか」
ノックで目覚める。
しまった。
寝てたのか俺。
腕時計を確認する。
「二十三時!?」
「そうだよ、眠り姫」
ドアが開いて類沢が入ってくる。
「あっ、俺、え? ね、寝て。うわぁあああ」
「焦んなくていいから。というか……」
ベッドから落ちそうになる。
ガンガンする頭を押さえて類沢を見ると、優しい笑みを浮かべていた。
「寝顔見たかったな」
「えっ、あ、ありがとうございます!」
何言ってんだ俺。
「あはははっ。あー、瑞希といると癒されるなぁ」
眼の下に、黒い隈。
「類沢さん……何か、あったんですか」
「静かに」
口元に指を当てる。
俺は黙って類沢の後ろの扉を見つめた。
「閉店間際に厄介な客が来てね。今、チーフが対応している」
「篠田チーフが? どんな客なんですか」
「最悪な客」
それが全てだ。
そう言うように、類沢は口をつぐんだ。
だから、これ以上は聞けなかった。
十分程だろうか。
扉にもたれる類沢と無言で過ごした後に、ノックがした。
「開けるぞ」
篠田チーフだ。
いつも乱れ一つないスーツが、くたびれている。
溜め息をして、額を拭う。
「お前がいなくて良かったよ」
「どこのホスト?」
「ホストじゃあない。最近歌舞伎町の土地を買いあさっている企業家だ。ま、この街に来る輩だからな。裏で結構色々やってる面倒な奴だ。鬱陶しいな」
「僕がいなくて良かったって?」
「あぁ、ヘルプの一夜だったか。酒の注ぎ方に因縁つけられてな……あいつスーツは一つしか無かったと思うんだが。お前がいたら」
「殴って来る」
「待てまて」
篠田が類沢の肩を掴む。
一夜……
俺は胸騒ぎがした。
大丈夫だろうか。
客に酒をかけられるなんて。
なんて。
なんて、奴だ。
拳を握る。
「瑞希もだ。落ち着け」
「え?」
読まれてたのか。
息を吐く。
「瑞希は掃除行ってこい。一夜もまだいるはずだ」
「……はい」
二人の横を過ぎる。
「体調管理はしっかりな」
篠田が言った。
ザッザッ。
ブラシの音がする。
トイレに入ると、三嗣が床を削る勢いでブラシをかけていた。
口を開く前に、個室から一夜が現れる。
スーツが濡れて、黒くなっている。
「い……」
「瑞希! 良かった、復活したか」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説


お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる