40 / 137
超絶マッハでヤバい状況です
超絶マッハでヤバい状況です01
しおりを挟む
「おかえりなさい、雛谷さん」
「ただいまぁ」
明け方、店に戻った雛谷が笑う。
待っていたのはキャッスルのトップ二人。
如月紫苑と紫野恵介。
ムラサキコンビと呼ばれる、安定したトップだ。
しかしタイプは正反対で、そこが客を捕らえて離さない。
「またイい人でも見つけたのか?」
店が始まった時からの付き合いである紫苑は、硬派で強面の男。
短髪で、金色のピアスが片耳に光る。
背は百九十近い。
がっしりした体にスーツが良く似合い、酒も底を知らない。
一度彼を見た客は絶えず彼に貢ぎ続ける。
下のホストに客の数は負けることもあるが、稼ぎは絶対に譲らない。
一人からの金額が桁違いなのだ。
歳は雛谷と同じ。
若くして店を開くことを相談したとき、真っ先に支援したのは紫苑だった。
恩義も感じている雛谷は、友人という以上に彼を応援していた。
店に来る度、頂点にある写真を見るだけで安心するのだ。
「大変だね。雛谷さんに目を付けられるなんて、もう逃げられないな」
細身で、まだ二十歳の恵介は入ったばかりだ。
たった二年で紫苑の後ろに辿り着いた。
客は広く浅く。
髪型やスーツも日替わりで、いつも印象を変える。
後輩ホストに慕われ、気軽く彼らを世話したりもする。
そんな恵介を紫苑は余り良く見てはいない。
だが、この対立関係が丁度良い雰囲気だと思う雛谷は楽しみながら放棄している。
「どこの奴だ」
「んー? 紫苑は嫌がるかな」
「……シエラか」
「あたり」
恵介の目が輝く。
「シエラって類沢雅の店だよね? うわー、気になるなあ」
「紫野。まだ諦めてないのか」
紫苑が睨みつける。
「まぁね。一度フられたくらいじゃ負けないよ。やっと地位も上がってきたんだし」
どこ吹く風という様子に、雛谷も呆れる。
「恵介は類沢さんに勝ちたいんだっけ?」
「そうだよ。雛谷さんは知ってるんだろ? シエラに入れればこんな店未練ないし」
まずいな。
雛谷は紫苑の握り締められた拳を見て眉をしかめた。
いや、面白いか?
パンパンと手を叩く。
「はいはい。もうじき順位が更新されるよ。スカウトはそこからだからね。安心して稼いじゃって、お二人さん?」
「わかってる」
「当たり前」
三人は揃って店を出ると、月末には必ず行くバーに向かい歩き始めた。
「ただいまぁ」
明け方、店に戻った雛谷が笑う。
待っていたのはキャッスルのトップ二人。
如月紫苑と紫野恵介。
ムラサキコンビと呼ばれる、安定したトップだ。
しかしタイプは正反対で、そこが客を捕らえて離さない。
「またイい人でも見つけたのか?」
店が始まった時からの付き合いである紫苑は、硬派で強面の男。
短髪で、金色のピアスが片耳に光る。
背は百九十近い。
がっしりした体にスーツが良く似合い、酒も底を知らない。
一度彼を見た客は絶えず彼に貢ぎ続ける。
下のホストに客の数は負けることもあるが、稼ぎは絶対に譲らない。
一人からの金額が桁違いなのだ。
歳は雛谷と同じ。
若くして店を開くことを相談したとき、真っ先に支援したのは紫苑だった。
恩義も感じている雛谷は、友人という以上に彼を応援していた。
店に来る度、頂点にある写真を見るだけで安心するのだ。
「大変だね。雛谷さんに目を付けられるなんて、もう逃げられないな」
細身で、まだ二十歳の恵介は入ったばかりだ。
たった二年で紫苑の後ろに辿り着いた。
客は広く浅く。
髪型やスーツも日替わりで、いつも印象を変える。
後輩ホストに慕われ、気軽く彼らを世話したりもする。
そんな恵介を紫苑は余り良く見てはいない。
だが、この対立関係が丁度良い雰囲気だと思う雛谷は楽しみながら放棄している。
「どこの奴だ」
「んー? 紫苑は嫌がるかな」
「……シエラか」
「あたり」
恵介の目が輝く。
「シエラって類沢雅の店だよね? うわー、気になるなあ」
「紫野。まだ諦めてないのか」
紫苑が睨みつける。
「まぁね。一度フられたくらいじゃ負けないよ。やっと地位も上がってきたんだし」
どこ吹く風という様子に、雛谷も呆れる。
「恵介は類沢さんに勝ちたいんだっけ?」
「そうだよ。雛谷さんは知ってるんだろ? シエラに入れればこんな店未練ないし」
まずいな。
雛谷は紫苑の握り締められた拳を見て眉をしかめた。
いや、面白いか?
パンパンと手を叩く。
「はいはい。もうじき順位が更新されるよ。スカウトはそこからだからね。安心して稼いじゃって、お二人さん?」
「わかってる」
「当たり前」
三人は揃って店を出ると、月末には必ず行くバーに向かい歩き始めた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説


王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
学園の天使は今日も嘘を吐く
まっちゃ
BL
「僕って何で生きてるんだろ、、、?」
家族に幼い頃からずっと暴言を言われ続け自己肯定感が低くなってしまい、生きる希望も持たなくなってしまった水無瀬瑠依(みなせるい)。高校生になり、全寮制の学園に入ると生徒会の会計になったが家族に暴言を言われたのがトラウマになっており素の自分を出すのが怖くなってしまい、嘘を吐くようになる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿です。文がおかしいところが多々あると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです。

組長と俺の話
性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話
え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある?
( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい
1日1話かけたらいいな〜(他人事)
面白かったら、是非コメントをお願いします!

王道にはしたくないので
八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉
幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。
これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる