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晒された命
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しおりを挟む真実は時として残酷。
遠くで声がする。
類沢先生?
サイレンも聞こえる。
体が揺れている。
目は開いたり、閉じたり。
感覚が鈍く、世界が遠い。
俺は、今、生きてるのかな。
そう疑問になるほど曖昧な生の中、思い出すのは今朝からのこと。
先生、そばにいますよね。
俺は貴方に色々告白しなければならないことがあるんです。
もし良かったら……聞いてくれませんか。
意識は簡単に闇に落ちてゆく。
こないだ見たロープはそこにない。
もがきながら落ちるのも、無抵抗に落ちるのも、そう変わらないかもしれないな。
だから、何故か笑えてきた。
西雅樹。
きっと驚いただろうな。
でも、誓ったんだ。
あんたに類沢先生は殺させないって。
それを破ったあんたが悪い。
あんたが悪いんだ。
家に帰ったら、塀にもたれる人物を見つけた。
近寄る前に、相手が気づく。
片手を上げて笑う。
「朝帰りか、宮内?」
「……西」
なんの用だ。
裁判の催促か。
だが、俺も会いたかったのは事実。
確認したいことがある。
「上がったら?」
「どうも」
玄関が閉まる。
その音が心臓を揺らした。
ああ、そうか。
今日かもしれない。
決断の日。
リビングに案内し、テーブル越しに座る。
雅樹の私服は初めて見た。
蒼いジャンパーに、黒いキャップ。
デニムのパンツ。
イメージ通りといえばそれまで。
ただ、なんで上着を脱がないんだろう。
そこだけが違和感だった。
「なんで家知ってたの?」
「仁野有紗って子に聞いた」
有紗……
俺は拳を握った。
なにが嬉しくてあいつにバラされなきゃならないんだ。
本当にいつも余計なことをしてくれる。
まあ、いい。
冬休み明けまでは会わないし。
文句も言えない。
言う気もない。
「彼女?」
「……嫌な冗談」
「ははっ。かわいそ」
「で、何の用?」
飲み物も出さない。
友達でもない。
「あー……いきなり話す話でもないからよ。まず、裁判に出てくれるか教えてくれないか」
「え?」
それが前置き?
本題じゃないのか。
頭が痛い。
机にもたれ、ニヤリと笑う雅樹。
「理由も教えて欲しい」
「出ない」
雅樹が無表情になる。
まるで今すぐ殺してやろうというよな、鋭い目になった。
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