どこまでも玩具

片桐瑠衣

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晴らされた執念

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 おれは信じられない気持ちで車から出て来た人物を見下ろした。
 カーテンを開く。
 窓には鍵がかかっていた。
 開かない。
 あぁ。
 嘘だろ。
 みぃずき。
 おれは叫びたい衝動を堪える。
 金原もいる。
 信じられない。
 よく、ここがわかったものだ。
 助けて。
 そう叫びたい。
 でも、まだ父が家の中にいる。
 一階に気配を感じる。
 ガサガサとビニールの音がする。
 何を買ってきたのか。
 おれのものじゃありませんように。
 今だけは、上がって来るな。
 すぐに、門の方で騒ぎが聞こえた。
 目をやり、また驚かされる。
 母さん。
 母さんがいる。
 髪型が変わっているが、確かに母さんだ。
 なんで。
 みぃずき達が呼んだのか。
 さらに謎なのがもう一人だ。
「類沢センセ……?」
 なぜ、彼が。
 まさか、協力に?
 まさか。
 おれは、センセを殺しかけたのに。
 あの時も守られたのに。
 なんで居るんだ。
 父の声がする。
 チャンスだ。
 父が外に出た。
 母さんと話している。
 今しかない。
 部屋の扉に走る。
 鍵付きには見えない。
 流石に拘束していれば大丈夫だと思ったのだろう。
 おれは甘く考えてしまった。
 何の警戒もなく、ドアノブを握った。

 バチッ。

 次の瞬間、世界が暗転した。
 おれは薄れる意識にしがみついた。
 あ、の、野郎。
 ドアノブに電気を流していやがる。
 ありえない。
 ありえない父親だ。
 わかっていたこと。
 油断した自分に怒りを覚える。
 あぁ、指一本動かない。
 どうするかな。
 ドアに頭をつけて、倒れている。
 心臓がバクバクしている。
 微量だったのだろう。
 気絶を免れたことだけが幸いだ。
「アカ!」
「どこにいる!」
 涙が出そうだ。
 ここだよ。
 ここにいる。
 唇さえも動かない。
 足音は確かにこの階にやってきた。
「金原はそっち見てくれ!」
「ああ!」
 ドタバタと。
 おれを探している。
 でも、そっちじゃないんだ。
 この部屋だ。
 気をつけて。
 電流が外にも流れていないとは限らない。
「み……ず」
 唇が震えてしまう。
 早く、解けろ。
「いた?」
「いや…」
「隣を!」
 ガチャガチャッ。
 来た。
 目だけでドアを見上げる。
「あッッぐ」
 悲鳴が聞こえた。
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