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任された事件
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目を開けると、荒野に立っていた。
制服を着ている。
地平線に、山々が並んで周りには何もない。
頭が痛い。
いつ、寝たっけ。
夢だと気づいて記憶を辿る。
そのうち、夢の中で考える行為がバカバカしくなった。
―瑞希ちゃん―
河南ちゃん?
俺は空を見上げた。
しかし、予想外にも背中をポンと叩かれた。
「こっちだよ、瑞希ちゃん」
ニコッと笑って河南はスカートの裾を持ち、会釈をする。
この制服。
見たことがある。
「また……大変そうな顔」
スッと額に細い手を添えられた。
頭痛が消える。
無意識にその手を握った。
少しびっくりした顔をする。
「河南ちゃん……いや、河南。教えて欲しいんだ」
はっきり自分の声が聞こえる。
こんな経験は珍しい。
現実みたいだ。
河南は風に流される髪を押さえながら頷いた。
「俺は、類沢先生について行っていいのかな……」
なんてこと訊いてるんだ。
これまでのいきさつを知らない河南に。
夢の中の河南に。
だが、俺は真剣だった。
河南も笑わない。
真剣に受け止めてくれた。
「ねぇ……瑞希ちゃん」
握られた手をじっと見つめる。
それからキュッと握り返して来た。
心臓が脈打つ。
「それを決める時が来てるよ」
起こした身に鈍痛が走る。
あぁ、そうだ。
あのまま寝たんだ。
俺はリビングに横たわっていた。
座ったまま眠って、倒れたのか。
まだ暗い。
時計は五時を指していた。
随分早く目が覚めたものだ。
類沢の部屋から物音はしない。
経験から知ったのだが、類沢はほとんど寝息を立てない。
いびきは勿論のこと、無音で眠るものだから、始めのうちは不気味だった。
しかし、今は存在を感じる。
類沢は、そこに、いる。
寝てるのか起きてるのかは知らない。
俺は河南の言葉を思い返した。
―決める時が来てるよ―
どういうことだ。
頭を抱える。
これから、まだ何か起きるのか。
俺は頭を冷やすためにも、家に帰った。
荷物をそっと持って。
家に着く。
電気を点けて、自分の部屋に上がりベッドに倒れ込んだ。
全身が大喜びして、筋肉は役目を放棄する。
疲れた。
泣き疲れたし。
色々疲れた。
目を瞑る。
何も考えずに、あと二時間だけ寝てみよう。
何かが変わるかも。
制服を着ている。
地平線に、山々が並んで周りには何もない。
頭が痛い。
いつ、寝たっけ。
夢だと気づいて記憶を辿る。
そのうち、夢の中で考える行為がバカバカしくなった。
―瑞希ちゃん―
河南ちゃん?
俺は空を見上げた。
しかし、予想外にも背中をポンと叩かれた。
「こっちだよ、瑞希ちゃん」
ニコッと笑って河南はスカートの裾を持ち、会釈をする。
この制服。
見たことがある。
「また……大変そうな顔」
スッと額に細い手を添えられた。
頭痛が消える。
無意識にその手を握った。
少しびっくりした顔をする。
「河南ちゃん……いや、河南。教えて欲しいんだ」
はっきり自分の声が聞こえる。
こんな経験は珍しい。
現実みたいだ。
河南は風に流される髪を押さえながら頷いた。
「俺は、類沢先生について行っていいのかな……」
なんてこと訊いてるんだ。
これまでのいきさつを知らない河南に。
夢の中の河南に。
だが、俺は真剣だった。
河南も笑わない。
真剣に受け止めてくれた。
「ねぇ……瑞希ちゃん」
握られた手をじっと見つめる。
それからキュッと握り返して来た。
心臓が脈打つ。
「それを決める時が来てるよ」
起こした身に鈍痛が走る。
あぁ、そうだ。
あのまま寝たんだ。
俺はリビングに横たわっていた。
座ったまま眠って、倒れたのか。
まだ暗い。
時計は五時を指していた。
随分早く目が覚めたものだ。
類沢の部屋から物音はしない。
経験から知ったのだが、類沢はほとんど寝息を立てない。
いびきは勿論のこと、無音で眠るものだから、始めのうちは不気味だった。
しかし、今は存在を感じる。
類沢は、そこに、いる。
寝てるのか起きてるのかは知らない。
俺は河南の言葉を思い返した。
―決める時が来てるよ―
どういうことだ。
頭を抱える。
これから、まだ何か起きるのか。
俺は頭を冷やすためにも、家に帰った。
荷物をそっと持って。
家に着く。
電気を点けて、自分の部屋に上がりベッドに倒れ込んだ。
全身が大喜びして、筋肉は役目を放棄する。
疲れた。
泣き疲れたし。
色々疲れた。
目を瞑る。
何も考えずに、あと二時間だけ寝てみよう。
何かが変わるかも。
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