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明かされた記憶
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しおりを挟む「何しにきた」
金原が有紗と共に保健室に入る。
その後ろ手で扉を閉める。
バタン。
類沢が目を上げた。
「……何しにきたの?」
低い声が頭を貫く。
金原も怯んで足を止める。
有紗は背中に隠れた。
だが、しっかり姿は知れている。
「ああ、有紗さん。どうでした? 噂は広まりました?」
堂々とよく言う。
白々しささえ感じない。
「広まる訳ないじゃない。お陰で友達減りました!」
「それはそれは」
表情は変わらない。
「……それはそれはって。計算通りとでも言うつもり?」
有紗はロングの髪を苛ただしげに掻き毟る。
ガリガリ。
その音だけが聞こえる。
「金原、出てってくんない」
「いやだね」
チャキ。
「邪魔すんなって言ってるんだけど」
ナイフが朝日を照り返す。
そういえば、瑞希に見せた時は夕日が差してたな。
こうも色が変わるとは。
「はは……それで類沢殺る気? 無理だって。こいつ、手錠されててもオレらなんて相手になんねぇよ」
なんだよソレ。
「瑞希は運動音痴でもなんでもねぇし、オレはバスケでエースだった。それでも力の差は圧倒的だっての」
紅乃木はナイフを構え直し、刃先を類沢に向けた。
その光る先端を見下す瞳。
「さあ? 流石にナイフ相手じゃわからないかもよ」
沈黙。
時計の音が響いている。
「紅乃木君は殺す気みたいだから、先にキミ達の要件を済ませてくれるかな」
紅乃木が目を見開く。
「ふざけんなよ」
「いいから、アカは少し待っててくれって」
ガタン。
思い切り突き飛ばされた金原が壁にぶつかる。
崩れ落ちぬよう、なんとか体制を持ちこたえた。
「なにすんの、アカ」
「むかつくんだよっ」
一際大きな声に全員が身構える。
「なんで余裕ぶってられるんだよ! 類沢にヤられたくせに。どうせ、要件っつっても元カノの我が儘に付き合ってるだけだろ! そんなことの為に来たんだろ。邪魔すんな、瑞希の仇をとりたいのは金原も同じじゃねえのかよっ」
「アカ……」
階上に声が漏れていたかなんて、気にしてる場合じゃない。
類沢の方を向き直る。
「あのさ、仇だ仇だ言い張るけど、実際は過去のトラウマ払拭したいだけなんじゃないの」
カラン。
汗か。
ナイフが滑り落ちた。
類沢の蒼い瞳が見ている。
「違う?」
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