どこまでも玩具

片桐瑠衣

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現れた白衣

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 プツ。
 プツ。
 冷気が胸元に入り込んでくる。
 まだ夏の暑さが残っているはずなのに、背筋がスーッと冷たくなる。
「頼む……マジでやめろ」
 最後の一つを手に掛けたまま類沢が止まる。
 そして、凍った目で見下ろす。
「言葉遣い、違うよ」
 彼の冷たい手がお腹を触れる。
 それだけで変な声が出そうになる。
「……あぅ……ッッ……謝るから止めて下さ……」
「そうだね。ご主人様、ご奉仕するのでお許し下さい、とか言えば許してあげるよ」
 カアッと熱くなる。
 そんなん言ったところで、好き勝手にされるだけだろ。
「あと三秒以内に答えなかったら……」
 言葉を切って意味ありげにウィンクをする。
「三……」
 うそだろ。
 嘘だろ。
「二…」
 はえーよ。
 こんな、選択ってあるか?
「一、零。そう……瑞希は痛いのが好きなんだね」
「え?」
「どの道もう決まってるけど」
 何が?
 何がだよ。
 訳も分からず全身が強張る。
 こんな状況で想像しうるのは一つだけだ。知識も無いが、危険だってことだけはわかる。
 わかったところでどうしょうもないが。
 ピチャ。
「んん――!!」
 指を噛んで悲鳴を堪える。
 それを見て、楽しげに突起への愛撫を続ける類沢。
 その舌先が触れる度に体が仰け反る。
 しかも下半身が疼いてくる始末だ。
 涙ぐむ俺に何を察したのか、類沢は脚の間に入れた彼の膝で強くそこを踏みつける。
「ああッッ……やめ……」
 自分でも認めたくなかった体の反応を、一番悟られたくない奴に知られた。
「……勃つんだ」
 さらにこの侮辱。
「じゃあ、これ脱ごうか」
 カチリ。
 ベルトが外され、ズボンが下ろされる。
 その間も指で乳首を弄ぶものだから、全く抵抗出来なかった。
「滲みすぎじゃない?」
 グチャグチャ音を立てて下着越しにそれを扱く。
「がっ……あぁああッッ」
 ランダムに動く指に遊ばれる。
「や、ぁく……」
 久しく無かった快感に脳が飛びつく。
 バチバチと目の前が眩んで、呆気なく果ててしまった。
「うわ……早いね、瑞希」
 呼ぶな。
 その口で呼ぶな。
 類沢は髪をかきあげ、白衣を脱いだ。
 現れた無駄のない肉体に息を呑む。
(コイツ……保険医の前何してやがったんだ)
「じゃあ、腰上げて」
 ハァハァ。
 乱れた息が整わない。
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