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7話 アンリーナの真実《新たな夢》
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~ アンリーナ視点 ~
あの事件の後、人の顔を見るのが嫌で、部屋に閉じ籠っていた。
憔悴した私を心配したラインハルトやサフィーナが、精霊の国でゆっくりする事を薦めてくれた。
そこで、国王に手紙を出した。
赤子の時に、検討違いで怒鳴り混んで来たことを水に流す代わりに、静かな場所で一人ゆっくりしたい。人員と場所を提供して欲しいと。
国王から、王族の避暑地の一つを貸し与えてくれると言ってくれたが、何点か条件を出してきた。
①三ヶ月に一度は王城に来て、王妃とお茶会をする事。
②一週間に一度、課題の提出をする事。
③12歳から15歳までの貴族学園に入学する事。
勉学の進み具合で、都度調整するが、王妃教育に滞りがなければ好きにしていいと破格な放置プレイを許された。
五歳児を一人にするのはどうなんだ?と疑問に思うが、当時は深く考えなかった。
メイドや護衛は王様が準備してくれるし、メイドも10時~12時までしか滞在しないようにしてくれた。
食事の準備と掃除洗濯に来るだけ。
日本では考えられないな。
育児放棄?ネグレクト?
まぁ、都合が良いから深く考えない。
ついでに言うと、避暑地は切り立った崖の上にある小さなお城だ。
回りは10メートルの壁に覆われていて、出入口は一つしかない。
冷静に考えると『幽閉』されていた?のかもしれない。
うん、窓に鉄格子があるとか…。
まぁ、まぁ、まぁ。
実際にはそこには居ないから、どうでもいいかな。
1日一回は帰って『住んでいる』と工作しなきゃいけなかったり、課題とか面倒な事はあるが、精霊の国でのんびり今後の事を考える時間を手にいれた。
課題は小学生がやるような簡単な計算や、いろんな国の言葉の読み書き、プルメリア王国の歴史や貴族達の情報を丸暗記。諸外国の歴史など、多様だったが、ラインハルトが分かりやすく教えてくれるので、すごく楽しかった。
精霊の国に来て本当によかった。
まず、ラインハルトと勉強して『世界中を旅してみたい』と思えたこと。
そして、『精霊殺し』の鉱石を特殊加工して『治癒の仮面』を作ることに成功したのだ。
この仮面を着けていれば、徐々に傷が消えていく予定だ!
傷が消えるとわかって、どれだけ嬉しかっただろうか。
ラインハルトやサフィーナの胸で嬉泣きした程だ。
そして、私の中で『王国を捨てて世界中を旅する』目標ができたのだ。
×××
月日は流れ、私は12歳になった。
王都を出て7年。
いろいろあったな~。
勉学やマナー、ダンスは優秀なラインハルト先生に教わっていたので、王妃様に合格をもらえた。教わった先生をフレデリックに紹介して欲しいと言われた程だ。
絶対教えないけどね!
あと、10歳の時冒険者登録をした。まだ初心者のFランクだが、これから頑張って上げていく予定だ。
あっ、そうそう。
10歳になる頃には、顔の傷が無くなったのよね!
これ本当に嬉しかった!
冒険者『アスカ』の時は仮面を外して、侯爵令嬢『アンリーナ』の時は仮面をするようにしている。
王国を捨てるんだから、素顔は晒さないに限る。
あと、ラインハルトの協力のもと『精霊女王の御使い』をしています。
地方の教会で子供達が居るときを見計らい、突然白いローブを着た『金髪』の女性が空中に登場する。(髪はカツラです)
背中には眩しい光を携えて。(光ってるのはラインハルトです)
「心清らかな者に、精霊女王からの贈り物を授けよう。このお守りに1日一回精霊女王に感謝の祈りを捧げなさい。あなたの祈りが届けば、魔の者を遠ざけるだろう」
再度眩い光が辺りを包むと、女が浮かんでいた場所に、お守りがギッシリ入った宝箱が置いてあった。
あとは、お守りをどうするかは、その土地の人に任せることにした。
信じる信じないはその人次第。
12歳になる頃には、地方教会はほぼ回った。あとは王都の教会のみだった。
一部で「精霊女王の御使いは、精霊姫が変装して布教活動しているのではないか」と噂されていた。
なので、サフィーナに協力してもらい、貴族が集まるミサ(私も参加している時)に『精霊女王の御使い』として登場してもらった。
うん、あの時は貴族達の反応がすごかったよ。
一斉に私を見て『精霊姫の変装では無い。本物だ!』って御使いに頭を下げていたよ。
一部で
『精霊姫って結局なんなの?』
『王国に居るだけで聖域を維持してるって言われてるけど、それって何もしないで贅沢してるってことでしょ?』
『居るだけで良いなら、王妃じゃなくて教会で幽閉しておけばいいのに』
『精霊姫』に対する評価は、少しずつ下がっていった。
『精霊女王の御使い』が人々にお守りを配り回っているのに、『精霊姫』は何もしないで贅沢三昧している。
『精霊姫』は本当にエルメリーズ侯爵家の長女なのか?
誰もが疑問に思うようになっていた。
その噂を巧み操作し『精霊姫アンリーナ』を断罪する事を、虎視眈々と目論むローズ。
もちろん知ってますけどね!
それを逆手に自由を手に入れたいのは私よ。
バカなローズ。
あの事件の後、人の顔を見るのが嫌で、部屋に閉じ籠っていた。
憔悴した私を心配したラインハルトやサフィーナが、精霊の国でゆっくりする事を薦めてくれた。
そこで、国王に手紙を出した。
赤子の時に、検討違いで怒鳴り混んで来たことを水に流す代わりに、静かな場所で一人ゆっくりしたい。人員と場所を提供して欲しいと。
国王から、王族の避暑地の一つを貸し与えてくれると言ってくれたが、何点か条件を出してきた。
①三ヶ月に一度は王城に来て、王妃とお茶会をする事。
②一週間に一度、課題の提出をする事。
③12歳から15歳までの貴族学園に入学する事。
勉学の進み具合で、都度調整するが、王妃教育に滞りがなければ好きにしていいと破格な放置プレイを許された。
五歳児を一人にするのはどうなんだ?と疑問に思うが、当時は深く考えなかった。
メイドや護衛は王様が準備してくれるし、メイドも10時~12時までしか滞在しないようにしてくれた。
食事の準備と掃除洗濯に来るだけ。
日本では考えられないな。
育児放棄?ネグレクト?
まぁ、都合が良いから深く考えない。
ついでに言うと、避暑地は切り立った崖の上にある小さなお城だ。
回りは10メートルの壁に覆われていて、出入口は一つしかない。
冷静に考えると『幽閉』されていた?のかもしれない。
うん、窓に鉄格子があるとか…。
まぁ、まぁ、まぁ。
実際にはそこには居ないから、どうでもいいかな。
1日一回は帰って『住んでいる』と工作しなきゃいけなかったり、課題とか面倒な事はあるが、精霊の国でのんびり今後の事を考える時間を手にいれた。
課題は小学生がやるような簡単な計算や、いろんな国の言葉の読み書き、プルメリア王国の歴史や貴族達の情報を丸暗記。諸外国の歴史など、多様だったが、ラインハルトが分かりやすく教えてくれるので、すごく楽しかった。
精霊の国に来て本当によかった。
まず、ラインハルトと勉強して『世界中を旅してみたい』と思えたこと。
そして、『精霊殺し』の鉱石を特殊加工して『治癒の仮面』を作ることに成功したのだ。
この仮面を着けていれば、徐々に傷が消えていく予定だ!
傷が消えるとわかって、どれだけ嬉しかっただろうか。
ラインハルトやサフィーナの胸で嬉泣きした程だ。
そして、私の中で『王国を捨てて世界中を旅する』目標ができたのだ。
×××
月日は流れ、私は12歳になった。
王都を出て7年。
いろいろあったな~。
勉学やマナー、ダンスは優秀なラインハルト先生に教わっていたので、王妃様に合格をもらえた。教わった先生をフレデリックに紹介して欲しいと言われた程だ。
絶対教えないけどね!
あと、10歳の時冒険者登録をした。まだ初心者のFランクだが、これから頑張って上げていく予定だ。
あっ、そうそう。
10歳になる頃には、顔の傷が無くなったのよね!
これ本当に嬉しかった!
冒険者『アスカ』の時は仮面を外して、侯爵令嬢『アンリーナ』の時は仮面をするようにしている。
王国を捨てるんだから、素顔は晒さないに限る。
あと、ラインハルトの協力のもと『精霊女王の御使い』をしています。
地方の教会で子供達が居るときを見計らい、突然白いローブを着た『金髪』の女性が空中に登場する。(髪はカツラです)
背中には眩しい光を携えて。(光ってるのはラインハルトです)
「心清らかな者に、精霊女王からの贈り物を授けよう。このお守りに1日一回精霊女王に感謝の祈りを捧げなさい。あなたの祈りが届けば、魔の者を遠ざけるだろう」
再度眩い光が辺りを包むと、女が浮かんでいた場所に、お守りがギッシリ入った宝箱が置いてあった。
あとは、お守りをどうするかは、その土地の人に任せることにした。
信じる信じないはその人次第。
12歳になる頃には、地方教会はほぼ回った。あとは王都の教会のみだった。
一部で「精霊女王の御使いは、精霊姫が変装して布教活動しているのではないか」と噂されていた。
なので、サフィーナに協力してもらい、貴族が集まるミサ(私も参加している時)に『精霊女王の御使い』として登場してもらった。
うん、あの時は貴族達の反応がすごかったよ。
一斉に私を見て『精霊姫の変装では無い。本物だ!』って御使いに頭を下げていたよ。
一部で
『精霊姫って結局なんなの?』
『王国に居るだけで聖域を維持してるって言われてるけど、それって何もしないで贅沢してるってことでしょ?』
『居るだけで良いなら、王妃じゃなくて教会で幽閉しておけばいいのに』
『精霊姫』に対する評価は、少しずつ下がっていった。
『精霊女王の御使い』が人々にお守りを配り回っているのに、『精霊姫』は何もしないで贅沢三昧している。
『精霊姫』は本当にエルメリーズ侯爵家の長女なのか?
誰もが疑問に思うようになっていた。
その噂を巧み操作し『精霊姫アンリーナ』を断罪する事を、虎視眈々と目論むローズ。
もちろん知ってますけどね!
それを逆手に自由を手に入れたいのは私よ。
バカなローズ。
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