29 / 45
二十八話 審議会 ピンチ!
しおりを挟む
「なっ……なっ……」
ベクター弁護士は呼吸がうまく出来ないのか、口をパクパク動かしている。
隣に座るエドワードは感情がわからない顔で、私を見ていた。彼の隣に座るイザベラお義母様の方が青ざめている。イモージェンも同じく青ざめ、震えていた。
「それを証明するために、伯爵夫人。こちらの紙に名前を書いて頂けますか?」
そう言って、ソフィアは自身の鞄からインク壺とペン、紙を取り出し、私の前に置いた。
言われた通り、いつものように名前を書いた。
「ベクター弁護士。もしくはバーバリー様でも構いません。適当な紙とインク壺はお持ちですよね?そこに『リリーシア・ローゼンタール』と書いてもらえますか?」
「なっ、何故そんなことをしなければならない!断る!」
ベクター弁護士が叫ぶ。
動揺を隠せないようだ。
ソフィアがバーバリー様を見た。
彼はベクター弁護士より落ち着いていて「わっ、わかりました」と自身の鞄からインク壺とペン、紙を取り出し、私の名前を書いた。緊張しているからか、文字が歪になっている。
「ありがとうございます。では、インクが乾くまで、そちらが提出した『夫人のサイン』の不審点をご説明します。まず、こちらの証拠品をご覧下さい」
ソフィアが親子鑑定をするときに書くと言っていた『同意書』を取り出した。それにも書いた覚えのない私のサインが記載されている。
「これは、親子鑑定をする際に書く『同意書』です。研究所の所長に貸出許可を得ています。また、偽造防止に用いる研究所特製のクリアファイルに入っていますので、私達が証拠品を加工することはできません。ご理解いただけます?」
ソフィアの言葉にエドワードだけが頷いた。
「こちらを見て、不審に思いませんか?書く位置が罫線上から少しズレてますし、なぜか直線的に右下がりになっています。私も実際に試してみましたが、複写紙を挟んで罫線上にサインするのは難しかったです。どんなに位置を合わせても、書いてる途中でズレてしまいました」
「それが何だと言うんだ。片手間でサインしたとか、疲れていてなげやりにサインしたとか、いろいろな事が考えられるじゃないか」
ベクター弁護士が言った。
まだ焦りが見えるが、先程のように怒鳴ってくる様子はない。
「なるほど。では、そちらが提出した証拠品の4つのサインと見比べて見ましょう。宝石店の領収書、請求書、宿泊サイン。どれも同じ大きさ、長さです。これは不自然です」
「そんなことはない。たまたま同じように書いたとも取れる」
ベクター弁護士の調子が戻ってきた。
「そんな当て擦りの理論で証明すると大口を叩いたのか?話にならん」
小バカにするような余裕の表情が癪に障る。
「では、より真相に迫ります。先程お二人に書いてもらったサインを見てください。ちょうど乾いていますね。バーバリー様の書いた方はどうですか?乾いていますか?」
「まったく、それが何だと言うんだ」
「よくご覧下さい。書き始めと書き終わりのインクの濃さが違います。また、文字の最後にインク溜まりが出来るので、そこが濃くなっているのがわかりますか?」
「インクで書いているのだから、書き終わりが薄くなるのは当たり前……っ!」
余裕な顔をしていたベクター弁護士が、突然言葉を詰まらせた。その顔にソフィアがニヤリと笑った。
「提出された三枚のサイン。そして、同意書のサインは全て同じ濃さで書かれています。さらに文字の太さを見て下さい。インクで書いた文字は一様に太いですが、証拠品は不自然に細いです」
「こっ、濃さはインクをたっぷり着けていたから変わらなかったのだろう。文字の細さも器用にペンを浮かせて細く書いたんだ」
「ベクター弁護士。ご自身の発言が矛盾しているとわからないのですか?インクをたっぷりつければ、書き出しの文字はより太くなります。また、浮かせて書いたら太さがバラバラになります。そもそも、空論で反論しないで下さい。弁護士なら証拠で語って下さい」
「くっ!……それはこちらのセリフだ!お前の話はどれも『疑わしい』というだけで、証拠品のサインが複写紙を用いて書かれたとは証明出来ない!空論はお前の方だ!!」
「では、証拠品が複写紙を使用して書かれたと証明致しましょう」
ソフィアはなにも書いていない白い紙を取り出し、適当な場所に罫線を書いた。その上に複写紙を置き、私のサインした跡をなぞった。
紙がズレないように紙を押さえる手に力が入っているのがわかる。
書き終わって、写された紙を皆に見えるように持った。
「ご覧下さい。文字の濃さ、太さが証拠品と同じです」
「それが何だと言うんだ。似てるだけだ!」
「注目していただきたいのは、私が紙をズラさないように指で押さえた跡です」
サインの左が二ヶ所、黒く汚れている。
「証拠品のサインの上の部分を見て下さい。黒い汚れがうっすら付いているのがわかりますか?しかも、4枚すべて、同じような場所に黒い汚れが付いています。こんな偶然はあり得ません。この黒い汚れは、サインを偽造した犯人が複写紙を押さえた時にできたものです」
「言いがかりだ!そんなもの、何の証拠にもならない」
「では、この汚れは何ですか?たまたま付いたなど、陳腐な言い訳はごめん被りますが、説明をお願いします」
「くっ!」
ベクター弁護士の目がキョロキョロと忙しなく動いている。そして、私と目が合うと、一瞬ニヤリと笑った。
「その複写紙を使った可能性は認めよう。だが、伯爵夫人が書いてないとは言えない」
「何を言い出すやら……。複写紙を用い、伯爵夫人のサインを手にいれれば、誰でも偽造サインを作れます。現に私が書いた伯爵夫人のサインも本物と見分けがつかないわ」
「確かにそうだな。だが、伯爵夫人が書いていないとは証明出来ない」
「夫人が複写紙を用いて書く意味がわからないわ!」
珍しくソフィアが声を荒げた。
「浮気する女の心理などわかるわけがない。我々の想像を越えている場合がある。そうだな、もしかしたら不審点を残すために、自分で工作した可能性もないとは言えないだろう」
とんでもない言いがかりだ!
だが、確かにソフィアが今証明したことは、『私のサインが複写紙を用いて書かれた』ということであって、『私が書いてない』とは言えないわ。
「それならば、ローゼンタール伯爵と産まれた赤子の親子鑑定を、再鑑定してください!」
「その必要はない。二人の親子鑑定は正式な書類が出ているんだ。わざわざ再鑑定することはない」
「同意書は偽造された可能性があります!」
「その同意書を伯爵夫人が工作した可能性もある」
「それならば、こちらは伯爵夫人の護衛騎士をし、浮気相手とされたオーウェン氏と伯爵夫人の娘の親子鑑定書を証拠品として提出します!」
ソフィアは勢いよくオーウェンさんとアリアの親子鑑定書を提示した。そこには『親子関係はない』と明記されている。
「伯爵夫人とオーウェン氏は不倫関係にありません。これが証拠です」
「おやおや、これは大変な事実が明らかになりましたな」
ベクター弁護士は嫌みな顔をした。
「浮気相手がもう一人居たんですか。いやいや、これは驚きの展開ですね」
「なんですって!」
あまりの言い草に、ソフィアが立ち上がった。その拍子に紙が一枚、床に落ちる。
これは不味いわ。
相手のペースに乗せられている。
「ごほんっ!」
突然、大きな咳払いの音がし、ソフィアの意識がそちらに向いた。
「これは失敬。朝から喉の調子が悪くてな。邪魔をしてすまない」
リーガル公爵様だ。
ソフィアが椅子に座り直し、息を吐き出した。
「ソフィア……」
「ごめんなさい。少し熱くなってしまったわ。師匠に借りができちゃった。情けない姿を見せてごめんね」
「大丈夫よ」
「だけど、不味いわ……。とんでもない言い掛かりを言ってきてるのに、それを覆す証拠がないわ。どうしたら……」
ソフィアは証拠品を見直し始めた。
私は落ちた紙を拾った。
それは、ソフィアが書いた私のサインが写された紙だった。
「あれ?」
私はその紙を見て、違和感を覚えた。
ベクター弁護士は呼吸がうまく出来ないのか、口をパクパク動かしている。
隣に座るエドワードは感情がわからない顔で、私を見ていた。彼の隣に座るイザベラお義母様の方が青ざめている。イモージェンも同じく青ざめ、震えていた。
「それを証明するために、伯爵夫人。こちらの紙に名前を書いて頂けますか?」
そう言って、ソフィアは自身の鞄からインク壺とペン、紙を取り出し、私の前に置いた。
言われた通り、いつものように名前を書いた。
「ベクター弁護士。もしくはバーバリー様でも構いません。適当な紙とインク壺はお持ちですよね?そこに『リリーシア・ローゼンタール』と書いてもらえますか?」
「なっ、何故そんなことをしなければならない!断る!」
ベクター弁護士が叫ぶ。
動揺を隠せないようだ。
ソフィアがバーバリー様を見た。
彼はベクター弁護士より落ち着いていて「わっ、わかりました」と自身の鞄からインク壺とペン、紙を取り出し、私の名前を書いた。緊張しているからか、文字が歪になっている。
「ありがとうございます。では、インクが乾くまで、そちらが提出した『夫人のサイン』の不審点をご説明します。まず、こちらの証拠品をご覧下さい」
ソフィアが親子鑑定をするときに書くと言っていた『同意書』を取り出した。それにも書いた覚えのない私のサインが記載されている。
「これは、親子鑑定をする際に書く『同意書』です。研究所の所長に貸出許可を得ています。また、偽造防止に用いる研究所特製のクリアファイルに入っていますので、私達が証拠品を加工することはできません。ご理解いただけます?」
ソフィアの言葉にエドワードだけが頷いた。
「こちらを見て、不審に思いませんか?書く位置が罫線上から少しズレてますし、なぜか直線的に右下がりになっています。私も実際に試してみましたが、複写紙を挟んで罫線上にサインするのは難しかったです。どんなに位置を合わせても、書いてる途中でズレてしまいました」
「それが何だと言うんだ。片手間でサインしたとか、疲れていてなげやりにサインしたとか、いろいろな事が考えられるじゃないか」
ベクター弁護士が言った。
まだ焦りが見えるが、先程のように怒鳴ってくる様子はない。
「なるほど。では、そちらが提出した証拠品の4つのサインと見比べて見ましょう。宝石店の領収書、請求書、宿泊サイン。どれも同じ大きさ、長さです。これは不自然です」
「そんなことはない。たまたま同じように書いたとも取れる」
ベクター弁護士の調子が戻ってきた。
「そんな当て擦りの理論で証明すると大口を叩いたのか?話にならん」
小バカにするような余裕の表情が癪に障る。
「では、より真相に迫ります。先程お二人に書いてもらったサインを見てください。ちょうど乾いていますね。バーバリー様の書いた方はどうですか?乾いていますか?」
「まったく、それが何だと言うんだ」
「よくご覧下さい。書き始めと書き終わりのインクの濃さが違います。また、文字の最後にインク溜まりが出来るので、そこが濃くなっているのがわかりますか?」
「インクで書いているのだから、書き終わりが薄くなるのは当たり前……っ!」
余裕な顔をしていたベクター弁護士が、突然言葉を詰まらせた。その顔にソフィアがニヤリと笑った。
「提出された三枚のサイン。そして、同意書のサインは全て同じ濃さで書かれています。さらに文字の太さを見て下さい。インクで書いた文字は一様に太いですが、証拠品は不自然に細いです」
「こっ、濃さはインクをたっぷり着けていたから変わらなかったのだろう。文字の細さも器用にペンを浮かせて細く書いたんだ」
「ベクター弁護士。ご自身の発言が矛盾しているとわからないのですか?インクをたっぷりつければ、書き出しの文字はより太くなります。また、浮かせて書いたら太さがバラバラになります。そもそも、空論で反論しないで下さい。弁護士なら証拠で語って下さい」
「くっ!……それはこちらのセリフだ!お前の話はどれも『疑わしい』というだけで、証拠品のサインが複写紙を用いて書かれたとは証明出来ない!空論はお前の方だ!!」
「では、証拠品が複写紙を使用して書かれたと証明致しましょう」
ソフィアはなにも書いていない白い紙を取り出し、適当な場所に罫線を書いた。その上に複写紙を置き、私のサインした跡をなぞった。
紙がズレないように紙を押さえる手に力が入っているのがわかる。
書き終わって、写された紙を皆に見えるように持った。
「ご覧下さい。文字の濃さ、太さが証拠品と同じです」
「それが何だと言うんだ。似てるだけだ!」
「注目していただきたいのは、私が紙をズラさないように指で押さえた跡です」
サインの左が二ヶ所、黒く汚れている。
「証拠品のサインの上の部分を見て下さい。黒い汚れがうっすら付いているのがわかりますか?しかも、4枚すべて、同じような場所に黒い汚れが付いています。こんな偶然はあり得ません。この黒い汚れは、サインを偽造した犯人が複写紙を押さえた時にできたものです」
「言いがかりだ!そんなもの、何の証拠にもならない」
「では、この汚れは何ですか?たまたま付いたなど、陳腐な言い訳はごめん被りますが、説明をお願いします」
「くっ!」
ベクター弁護士の目がキョロキョロと忙しなく動いている。そして、私と目が合うと、一瞬ニヤリと笑った。
「その複写紙を使った可能性は認めよう。だが、伯爵夫人が書いてないとは言えない」
「何を言い出すやら……。複写紙を用い、伯爵夫人のサインを手にいれれば、誰でも偽造サインを作れます。現に私が書いた伯爵夫人のサインも本物と見分けがつかないわ」
「確かにそうだな。だが、伯爵夫人が書いていないとは証明出来ない」
「夫人が複写紙を用いて書く意味がわからないわ!」
珍しくソフィアが声を荒げた。
「浮気する女の心理などわかるわけがない。我々の想像を越えている場合がある。そうだな、もしかしたら不審点を残すために、自分で工作した可能性もないとは言えないだろう」
とんでもない言いがかりだ!
だが、確かにソフィアが今証明したことは、『私のサインが複写紙を用いて書かれた』ということであって、『私が書いてない』とは言えないわ。
「それならば、ローゼンタール伯爵と産まれた赤子の親子鑑定を、再鑑定してください!」
「その必要はない。二人の親子鑑定は正式な書類が出ているんだ。わざわざ再鑑定することはない」
「同意書は偽造された可能性があります!」
「その同意書を伯爵夫人が工作した可能性もある」
「それならば、こちらは伯爵夫人の護衛騎士をし、浮気相手とされたオーウェン氏と伯爵夫人の娘の親子鑑定書を証拠品として提出します!」
ソフィアは勢いよくオーウェンさんとアリアの親子鑑定書を提示した。そこには『親子関係はない』と明記されている。
「伯爵夫人とオーウェン氏は不倫関係にありません。これが証拠です」
「おやおや、これは大変な事実が明らかになりましたな」
ベクター弁護士は嫌みな顔をした。
「浮気相手がもう一人居たんですか。いやいや、これは驚きの展開ですね」
「なんですって!」
あまりの言い草に、ソフィアが立ち上がった。その拍子に紙が一枚、床に落ちる。
これは不味いわ。
相手のペースに乗せられている。
「ごほんっ!」
突然、大きな咳払いの音がし、ソフィアの意識がそちらに向いた。
「これは失敬。朝から喉の調子が悪くてな。邪魔をしてすまない」
リーガル公爵様だ。
ソフィアが椅子に座り直し、息を吐き出した。
「ソフィア……」
「ごめんなさい。少し熱くなってしまったわ。師匠に借りができちゃった。情けない姿を見せてごめんね」
「大丈夫よ」
「だけど、不味いわ……。とんでもない言い掛かりを言ってきてるのに、それを覆す証拠がないわ。どうしたら……」
ソフィアは証拠品を見直し始めた。
私は落ちた紙を拾った。
それは、ソフィアが書いた私のサインが写された紙だった。
「あれ?」
私はその紙を見て、違和感を覚えた。
3,223
お気に入りに追加
5,518
あなたにおすすめの小説
10年前にわたしを陥れた元家族が、わたしだと気付かずに泣き付いてきました
柚木ゆず
恋愛
今から10年前――わたしが12歳の頃、子爵令嬢のルナだった頃のことです。わたしは双子の姉イヴェットが犯した罪を背負わされ、ルナの名を捨てて隣国にある農園で第二の人生を送ることになりました。
わたしを迎え入れてくれた農園の人達は、優しく温かい人ばかり。わたしは新しい家族や大切な人に囲まれて10年間を楽しく過ごし、現在は副園長として充実した毎日を送っていました。
ですが――。そんなわたしの前に突然、かつて父、母、双子の姉だった人が現れたのです。
「「「お願い致します! どうか、こちらで働かせてください!」」」
元家族たちはわたしに気付いておらず、やけに必死になって『住み込みで働かせて欲しい』と言っています。
貴族だった人達が護衛もつけずに、隣の国でこんなことをしているだなんて。
なにがあったのでしょうか……?
酷い扱いを受けていたと気付いたので黙って家を出たら、家族が大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
――わたしは、家族に尽くすために生まれてきた存在――。
子爵家の次女ベネディクトは幼い頃から家族にそう思い込まされていて、父と母と姉の幸せのために身を削る日々を送っていました。
ですがひょんなことからベネディクトは『思い込まれている』と気付き、こんな場所に居てはいけないとコッソリお屋敷を去りました。
それによって、ベネディクトは幸せな人生を歩み始めることになり――反対に3人は、不幸に満ちた人生を歩み始めることとなるのでした。
お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます
柚木ゆず
恋愛
ヤニックお父様、ジネットお母様。お久しぶりです。
わたしはアヴァザール伯爵家の長女エマとして生まれ、6歳のころ貴方がたによって隣国に捨てられてしまいましたよね?
当時のわたしにとってお二人は大事な家族で、だからとても辛かった。寂しくて悲しくて、捨てられたわたしは絶望のどん底に落ちていました。
でも。
今は、捨てられてよかったと思っています。
だって、その出来事によってわたしは――。大切な人達と出会い、大好きな人と出逢うことができたのですから。
5年ぶりに故郷に戻ったら、かつて私を捨てた元婚約者が助けを求めてきました
柚木ゆず
恋愛
かつての婚約者によって全てを失い、最愛の人に救われてから5年。わたしは今は亡きおばあ様に結婚の報告をするため、久しぶりに故郷に戻りました。
お墓にご挨拶をして、おばあ様との思い出の場所を巡って。懐かしい時間を過ごしていた、そんな時でした。突然わたしの前に大嫌いな元婚約者が現れ、わたしだと気付かずこのようなことを叫んだのでした。
「お願いしますっ、たすけてください!!」
※体調不良の影響でお返事を行えないため、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じさせていただいております。
無実の罪で聖女を追放した、王太子と国民のその後
柚木ゆず
恋愛
※6月30日本編完結いたしました。7月1日より番外編を投稿させていただきます。
聖女の祈りによって1000年以上豊作が続き、豊穣の国と呼ばれているザネラスエアル。そんなザネラスエアルは突如不作に襲われ、王太子グスターヴや国民たちは現聖女ビアンカが祈りを怠けたせいだと憤慨します。
ビアンカは否定したものの訴えが聞き入れられることはなく、聖女の資格剥奪と国外への追放が決定。彼女はまるで見世物のように大勢の前で連行され、国民から沢山の暴言と石をぶつけられながら、隣国に追放されてしまいました。
そうしてその後ザネラスエアルでは新たな聖女が誕生し、グスターヴや国民たちは『これで豊作が戻ってくる!』と喜んでいました。
ですが、これからやって来るのはそういったものではなく――
原因不明の病気で苦しむ婚約者を5年間必死に看病していたら、治った途端に捨てられてしまいました
柚木ゆず
恋愛
7月4日本編完結いたしました。後日、番外編の投稿を行わせていただく予定となっております。
突然、顔中にコブができてしまう――。そんな原因不明の異変に襲われた伯爵令息フロリアンは、婚約者マノンの懸命な治療と献身的な看病によって5年後快復しました。
ですがその直後に彼は侯爵令嬢であるエリア―ヌに気に入られ、あっさりとエリア―ヌと交際をすると決めてしまいます。
エリア―ヌはマノンよりも高い地位を持っていること。
長期間の懸命な看病によってマノンはやつれ、かつての美しさを失っていたこと。今はエリア―ヌの方が遥かに綺麗で、おまけに若いこと。
そんな理由でフロリアンは恩人を裏切り、更にはいくつもの暴言を吐いてマノンのもとを去ってしまったのでした。
そのためマノンは傷つき寝込んでしまい、反対にフロリアンは笑顔溢れる幸せな毎日が始まりました。
ですが――。
やがてそんな二人の日常は、それぞれ一変することとなるのでした――。
わたしを追い出した人達が、今更何の御用ですか?
柚木ゆず
恋愛
ランファーズ子爵令嬢、エミリー。彼女は我が儘な妹マリオンとマリオンを溺愛する両親の理不尽な怒りを買い、お屋敷から追い出されてしまいました。
自分の思い通りになってマリオンは喜び、両親はそんなマリオンを見て嬉しそうにしていましたが――。
マリオン達は、まだ知りません。
それから僅か1か月後に、エミリーの追放を激しく後悔する羽目になることを。お屋敷に戻って来て欲しいと、エミリーに懇願しないといけなくなってしまうことを――。
婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります
柚木ゆず
恋愛
婚約者様へ。
昨夜参加したリーベニア侯爵家主催の夜会で、私に関するとある噂が広まりつつあると知りました。
そちらについて、とても大事なお話がありますので――。これから伺いますね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる