君と最期まで...

野村純太郎

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年上の同期

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「僕は君と最期まで一緒にいたい。介護が必要になる時が来るかもしれない。僕の事がわからなくなる時が来るかもしれない。それでも君の事が好きだから、僕の人生は全てあなたに捧げたい。最期にいい人生だったと思って欲しい。娘や孫もいるから、すみちゃんがどう思うかはわからないけど僕はすみちゃんの人生最期に見る顔になりたい」

僕は誓う。
我が人生を彼女に捧げることを...


ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
ーー



「今日からお世話になります!野崎です!」

僕は野崎健。
28歳で彼女もいない、インドアで多趣味な男だ。

「「「よろしくお願いします~」」」

僕は前の職場に嫌気がさし、GRP株式会社のデイサービスに転職したのだ。

「今日は初日ですので、まずはメンバー(利用者)とのコミュニケーションメインでやってもらって、それから~...」

初日らしく、今後の流れについて説明された。
今回少し特殊なデイサービスになるので、介護士経験10年の僕だがわからないことだらけだ。

「とりあえず朝の会が始まるまではメンバーさん達とお話していてくださいね」

「わかりました!」

そう指示されたので僕は話しやすそうな人を見つけるべく辺りを見渡した。
そして目に入った話しやすそうな男性メンバーに声を掛ける。

「おはようございます。初めまして野崎です~」

「お、おはよう~!初めてなんだね、よろしくね~」

気の良さそうなおじさまと話し終え、次の方、そして次の方と順番に声をかけていく。
経験が活きていると感じた。

そうこうしている内に、朝の会が始まった。

「はい、おはようございます~」

「「「おはようございます」」」

「今日は新しい職員さんが来ています~それでは野崎君、自己紹介をお願いします~」

「はい!ええ~今日からこちらでお世話になります野崎健です!よろしくお願いします!」

そう自己紹介しながらホワイトボードに名前を書く。

「では皆さん、早速ですが野崎君への質問のある方いましたらどんどん聞いちゃってくださいね~」

急な質問コーナー開設に内心少し面倒に思ったが最初が肝心。
ここは質問にはオープンに答えることにした。

「じゃあ、私から質問!」

職員の田畑さんだ。

「体重は何キロですか!?」

予想外の質問に一瞬ドキッとしたが、躊躇せずに答えた。

「129.5kgです!」

一瞬にして場を沸せてしまった。
そう、私はデブなのだ。

そして質問コーナーも終わり、仕事の時間はあっという間に過ぎていく。

「今日一日お疲れさまでした。このパソコンで一日の振り返りを記入してください」

「わかりました」

そういい指示通りにパソコンの共有ファイルを開く。

「ん?中条すみ?自分以外に新人がいたのか...?」

気にはなったが、まずは仕事の振り返りだ。

「.....と。終わった~疲れたな...」

入力を終えたので上司を呼びに行く。
そして記入した振り返りを見ながら一日の感想を話す。
その時、ふと気になったので聞いてみることにした。

「中条すみさんって方もいらっしゃるんですか?」

「ええ、2週間くらい前に入社した女性ですよ。体調不良で1週間お休みしています」

「そうなんですね~ありがとうございます」

内心「入社してすぐ1週間休んだってことはこのまま辞めるっぽいな~」と、思ってしまった。
しかし次の日・・・

「おはようございます~中条です~」

あ、来た。

「あ、おはようございます、野崎です!」

これが僕とすみの出会いだ。
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