95 / 122
第十章 食事は大切に
男子会するよー!
しおりを挟む
「クロノスがうざい」「兄さんうざい」
面と向かってドがつくほどストレートに言われたクロノスは、颯爽と寝台に突っ伏し、今日という日を終わりにしようと思った。
しかし、まがりなりにも男子会の最中である。酒で潰れたわけでもないのに、飲み食いしながら寝るのはさすがに行儀が悪すぎると思い直した。
椅子の背に背中を押しつけつつ、足を組み換え、小卓上のグラスを手にする。
「そういうの、本人の目の前で言わないように」
「見えないところで言われたいと?」
「言わないのがベスト。はい、復唱してみて、魔王。弟。『人に向かって、うざいなんて、もう言いません』」
目の冴える美貌に黒縁眼鏡をひっかけたルーク・シルヴァは、微笑を浮かべつつピックでピクルスを刺して口に放り込んでいた。特に復唱する気配はない。
(知ってた。その辺妙に冷たいんだよな、魔王)
本人は冷たくしているつもりはないだろう。興味がないことには、実にはっきりした態度なだけだ。
「パンを一枚食べたんだ。食べたんだぞ。これ以上何を食べろと……」
イカロスはイカロスで、椅子の上で膝を抱えて、何やら意味を成さない主張をしている。
「薄いやつな。あんなの空気と同じだろ。食べたうちに入らない」
「は~~~~? パンは空気じゃないだろ。兄さんは頭おかしいのかな」
「うるさい」
却下の言を「黙らせろ」と受け取ったらしいルーク・シルヴァが、イカロスの口の中にチーズの塊を放り込む。流れのまま顎と頭に手を置いて抑え込んだ。吐き出させない為の対策のようだが、咀嚼もままならないだろう。悪くすれば喉を詰まらせる。
(雑過ぎるだろ)
喉元まで出かかったが、結局言わなかった。口出しすればまた言われるに決まっている。実に爽やかに「お前、うざいな」と。たとえイカロスを助ける為でも、感謝もされずに面倒くさがられる光景が今から見える。
なんだお前ら。不用意に心に傷を負わせるのはやめてくれ。
爽やかに言ったからって、許されるわけじゃない。
手回しの良いアンジェラが、足りない椅子と、食事を広げる為の簡易テーブルまで手配していたので、特に何か用意することはなかった。そのまま、部屋で男子会と相成ったのである。正直、アンジェラがついてきてくれて助かった。
本人は、「私はいいですよー。せっかくなので一人で美味しいもの食べてきます」と言って外へと出かけている。明らかに「混ざりたくないのでー」と顔にはっきりと書いてあった。確かに、こんな仕事かプライベートかよくわからない飲み会など遠慮したいところだろう。
一方で、部屋まで食事を運んできた宿の娘は、名残惜しそうになかなか部屋を出て行かなかった。お帰り頂いたが。
そうして、食べ始め、飲み続け、それなりに会話の努力はしている。
(会話が難し過ぎるんだけどね。かたや前世の記憶持ち二人、かたや不老長寿でどっちとも殺し合ったことがある魔王。思い出話は回避だ……。思い出しついでに殺しておく? なんてなりかねない)
強すぎる魔力が転生時に記憶を引き継ぐ条件だと言っていた以上、ここで人間側二人とも死んでも生まれ変わるだけかもしれないが。
意識というのは、どこからくるものなのか。
記憶が途絶えず人格が保たれる転生者は、生まれ落ちた時点で「赤ちゃんらしい赤ちゃん」ではない。もちろん、眠りが多く必要だし、話そうにも声帯の発育を待つ必要がある。視界も最初は滅茶苦茶だったので、記憶を記憶と認識できるまではそれなりに時間がかかった。
そういった心の動きがすでに両親に対する裏切りであるとともに、「本来の肉体の持ち主を追い出したのでは」という罪悪感めいたものに直結する。
無駄に死んで転生を繰り返しても、若い身体を手に入れる自分はともかく周りにはいいことが一つもない。だとすれば、不用意に転生するべきではない。命は大事に。
「この旅の目的はなんだ」
耳に届いた声に、クロノスは顔を上げた。
なんとかチーズを噛んで飲み込んだらしいイカロスが、涙目でルーク・シルヴァを見る。涙が出るほどつらかったのか。確かに、食べ辛かっただろう。
「目下、人型の魔族を追いかけてきたわけだが。相手もすぐには行動を起こさないだろうし、こちらも備えられることは備えておいた方がいいだろうな」
ごく自然な仕草で置いていたグラスを掴んで唇を湿らせてから、ルーク・シルヴァが実に友好的に見える穏やかな表情で答えた。
「何に備えると?」
クロノスも口を挟む。待ち構えていたように視線を流された。
「お前の記憶とか魔力。たぶん、結構歪んでいる。自分では気づいていないだろうが」
「俺? そういえば前にもそんなこと言っていたよな。何かに妨害されているって」
確かに、突き詰めて考えなければいけないと思っているのに、その件に関しては、ふっと集中力が途切れるのだ。気付くと別のことを考えている。
考えるのをやめたことすら意識の外に行ってしまって、数日経ってから違和感とともに思い出すこともあるくらいだ。
「さぼり癖かと思ってた。今生では『働いたら負け』って感覚があるし、修行はこれ以上しても魔族との戦いはもうないと思っていたし……」
「考えないように、仕向けられているんじゃないかと思う」
ルーク・シルヴァは別段おかしなことを言っている素振りはない。
困惑しているのはクロノスだ。
(確かに前世ほど働き者じゃないけど……なんらかの呪い? マジで? その呪いがとけるとオレはどうなるの? またルミナスに命捧げるような激情家になるの? やばいでしょ)
ステファノとは少し違ういまの性格、嫌いではないのだが。
「もしそれが本当なら、オレは『封印』されていることになるよな。封印がなければもっと強いと? レティと戦うことになったら、今のままじゃだめだから、封印を解く、のか?」
言いながら、レモン味のクリームで煮込んだ鶏肉をフォークに刺して、イカロスの口に突っ込んだ。
「酸っぱい!!」
「食え。アンジェラが、お前が口にできるもの選んだんだろ? 食えるんだよな?」
イカロスは、渋々と咀嚼する。恨みがましい視線が横顔に注がれるのを感じつつ、クロノスは完全無視を決め込んだ。
「そもそも、その封印は誰が」
「そのへん、俺も人間の魔法には詳しくない。詳しい人間を尋ねるつもりだ。何らかの答えは得られるだろう」
「そういうものか」
何か変だと指摘はできても、魔王でさえ封印は解けないという。
ならば大人しく道先案内は任せるか、と決め込んで、グラスの葡萄酒を飲み干す。
それから、イカロスの口に放り込めそうなものが卓に残っているか視線でさらった。
スペルト小麦と香草のパスタ、野菜とチキンのパイ包み、木イチゴのトルテ……。
「甘いのいっとく?」
小さく切り分けられた木イチゴのトルテを一かけら摘まみ上げ、イカロスの口元に運ぶ。
「甘いけど酸っぱい」
「そうだな。お前酸っぱいの好きなの?」
「どうでもいいだろ」
面倒くさそうに言い返しながら、イカロスは手を伸ばしてそれを受け取った。クロノスの目の前で、さくっと一口齧る
(どうでもいいよ)
今までずっとそう思ってきた。だから何も知らない。
ルーク・シルヴァとはそれなりに会話がもつが、イカロスとはどうにもうまくいかないし、ディートリヒなる人物と話そうにも身構えてしまうだけだ。
他人でしかない兄弟。
「イカロスは、何度か転生しているんだよな。何を考えて生きてきたんだ? 誰かを探している? それがクライスだったのか?」
ふと、それまで胸につっかえてなかなか言えなかった問いが、するっと出てきてしまった。
出てしまったものは仕方ない。
サクサクとトルテを噛んで飲み下していたイカロスは、まったく嬉しくもなさそうに赤い目を渋く細めて、答えた。
「話すのか、それ。今? 聞く気あるってことでいいの? 兄さん」
面と向かってドがつくほどストレートに言われたクロノスは、颯爽と寝台に突っ伏し、今日という日を終わりにしようと思った。
しかし、まがりなりにも男子会の最中である。酒で潰れたわけでもないのに、飲み食いしながら寝るのはさすがに行儀が悪すぎると思い直した。
椅子の背に背中を押しつけつつ、足を組み換え、小卓上のグラスを手にする。
「そういうの、本人の目の前で言わないように」
「見えないところで言われたいと?」
「言わないのがベスト。はい、復唱してみて、魔王。弟。『人に向かって、うざいなんて、もう言いません』」
目の冴える美貌に黒縁眼鏡をひっかけたルーク・シルヴァは、微笑を浮かべつつピックでピクルスを刺して口に放り込んでいた。特に復唱する気配はない。
(知ってた。その辺妙に冷たいんだよな、魔王)
本人は冷たくしているつもりはないだろう。興味がないことには、実にはっきりした態度なだけだ。
「パンを一枚食べたんだ。食べたんだぞ。これ以上何を食べろと……」
イカロスはイカロスで、椅子の上で膝を抱えて、何やら意味を成さない主張をしている。
「薄いやつな。あんなの空気と同じだろ。食べたうちに入らない」
「は~~~~? パンは空気じゃないだろ。兄さんは頭おかしいのかな」
「うるさい」
却下の言を「黙らせろ」と受け取ったらしいルーク・シルヴァが、イカロスの口の中にチーズの塊を放り込む。流れのまま顎と頭に手を置いて抑え込んだ。吐き出させない為の対策のようだが、咀嚼もままならないだろう。悪くすれば喉を詰まらせる。
(雑過ぎるだろ)
喉元まで出かかったが、結局言わなかった。口出しすればまた言われるに決まっている。実に爽やかに「お前、うざいな」と。たとえイカロスを助ける為でも、感謝もされずに面倒くさがられる光景が今から見える。
なんだお前ら。不用意に心に傷を負わせるのはやめてくれ。
爽やかに言ったからって、許されるわけじゃない。
手回しの良いアンジェラが、足りない椅子と、食事を広げる為の簡易テーブルまで手配していたので、特に何か用意することはなかった。そのまま、部屋で男子会と相成ったのである。正直、アンジェラがついてきてくれて助かった。
本人は、「私はいいですよー。せっかくなので一人で美味しいもの食べてきます」と言って外へと出かけている。明らかに「混ざりたくないのでー」と顔にはっきりと書いてあった。確かに、こんな仕事かプライベートかよくわからない飲み会など遠慮したいところだろう。
一方で、部屋まで食事を運んできた宿の娘は、名残惜しそうになかなか部屋を出て行かなかった。お帰り頂いたが。
そうして、食べ始め、飲み続け、それなりに会話の努力はしている。
(会話が難し過ぎるんだけどね。かたや前世の記憶持ち二人、かたや不老長寿でどっちとも殺し合ったことがある魔王。思い出話は回避だ……。思い出しついでに殺しておく? なんてなりかねない)
強すぎる魔力が転生時に記憶を引き継ぐ条件だと言っていた以上、ここで人間側二人とも死んでも生まれ変わるだけかもしれないが。
意識というのは、どこからくるものなのか。
記憶が途絶えず人格が保たれる転生者は、生まれ落ちた時点で「赤ちゃんらしい赤ちゃん」ではない。もちろん、眠りが多く必要だし、話そうにも声帯の発育を待つ必要がある。視界も最初は滅茶苦茶だったので、記憶を記憶と認識できるまではそれなりに時間がかかった。
そういった心の動きがすでに両親に対する裏切りであるとともに、「本来の肉体の持ち主を追い出したのでは」という罪悪感めいたものに直結する。
無駄に死んで転生を繰り返しても、若い身体を手に入れる自分はともかく周りにはいいことが一つもない。だとすれば、不用意に転生するべきではない。命は大事に。
「この旅の目的はなんだ」
耳に届いた声に、クロノスは顔を上げた。
なんとかチーズを噛んで飲み込んだらしいイカロスが、涙目でルーク・シルヴァを見る。涙が出るほどつらかったのか。確かに、食べ辛かっただろう。
「目下、人型の魔族を追いかけてきたわけだが。相手もすぐには行動を起こさないだろうし、こちらも備えられることは備えておいた方がいいだろうな」
ごく自然な仕草で置いていたグラスを掴んで唇を湿らせてから、ルーク・シルヴァが実に友好的に見える穏やかな表情で答えた。
「何に備えると?」
クロノスも口を挟む。待ち構えていたように視線を流された。
「お前の記憶とか魔力。たぶん、結構歪んでいる。自分では気づいていないだろうが」
「俺? そういえば前にもそんなこと言っていたよな。何かに妨害されているって」
確かに、突き詰めて考えなければいけないと思っているのに、その件に関しては、ふっと集中力が途切れるのだ。気付くと別のことを考えている。
考えるのをやめたことすら意識の外に行ってしまって、数日経ってから違和感とともに思い出すこともあるくらいだ。
「さぼり癖かと思ってた。今生では『働いたら負け』って感覚があるし、修行はこれ以上しても魔族との戦いはもうないと思っていたし……」
「考えないように、仕向けられているんじゃないかと思う」
ルーク・シルヴァは別段おかしなことを言っている素振りはない。
困惑しているのはクロノスだ。
(確かに前世ほど働き者じゃないけど……なんらかの呪い? マジで? その呪いがとけるとオレはどうなるの? またルミナスに命捧げるような激情家になるの? やばいでしょ)
ステファノとは少し違ういまの性格、嫌いではないのだが。
「もしそれが本当なら、オレは『封印』されていることになるよな。封印がなければもっと強いと? レティと戦うことになったら、今のままじゃだめだから、封印を解く、のか?」
言いながら、レモン味のクリームで煮込んだ鶏肉をフォークに刺して、イカロスの口に突っ込んだ。
「酸っぱい!!」
「食え。アンジェラが、お前が口にできるもの選んだんだろ? 食えるんだよな?」
イカロスは、渋々と咀嚼する。恨みがましい視線が横顔に注がれるのを感じつつ、クロノスは完全無視を決め込んだ。
「そもそも、その封印は誰が」
「そのへん、俺も人間の魔法には詳しくない。詳しい人間を尋ねるつもりだ。何らかの答えは得られるだろう」
「そういうものか」
何か変だと指摘はできても、魔王でさえ封印は解けないという。
ならば大人しく道先案内は任せるか、と決め込んで、グラスの葡萄酒を飲み干す。
それから、イカロスの口に放り込めそうなものが卓に残っているか視線でさらった。
スペルト小麦と香草のパスタ、野菜とチキンのパイ包み、木イチゴのトルテ……。
「甘いのいっとく?」
小さく切り分けられた木イチゴのトルテを一かけら摘まみ上げ、イカロスの口元に運ぶ。
「甘いけど酸っぱい」
「そうだな。お前酸っぱいの好きなの?」
「どうでもいいだろ」
面倒くさそうに言い返しながら、イカロスは手を伸ばしてそれを受け取った。クロノスの目の前で、さくっと一口齧る
(どうでもいいよ)
今までずっとそう思ってきた。だから何も知らない。
ルーク・シルヴァとはそれなりに会話がもつが、イカロスとはどうにもうまくいかないし、ディートリヒなる人物と話そうにも身構えてしまうだけだ。
他人でしかない兄弟。
「イカロスは、何度か転生しているんだよな。何を考えて生きてきたんだ? 誰かを探している? それがクライスだったのか?」
ふと、それまで胸につっかえてなかなか言えなかった問いが、するっと出てきてしまった。
出てしまったものは仕方ない。
サクサクとトルテを噛んで飲み下していたイカロスは、まったく嬉しくもなさそうに赤い目を渋く細めて、答えた。
「話すのか、それ。今? 聞く気あるってことでいいの? 兄さん」
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
だって私、悪役令嬢なんですもの(笑)
みなせ
ファンタジー
転生先は、ゲーム由来の異世界。
ヒロインの意地悪な姉役だったわ。
でも、私、お約束のチートを手に入れましたの。
ヒロインの邪魔をせず、
とっとと舞台から退場……の筈だったのに……
なかなか家から離れられないし、
せっかくのチートを使いたいのに、
使う暇も無い。
これどうしたらいいのかしら?
とある元令嬢の選択
こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
推しと行く魔法士学園入学旅行~日本で手に入れた辞典は、異世界の最強アイテムでした~
ことのはおり
ファンタジー
渡会 霧(わたらい きり)。36歳。オタク。親ガチャハズレの悲惨な生い立ち。
幸薄き彼女が手にした、一冊の辞典。
それは異世界への、特別招待状。
それは推しと一緒にいられる、ミラクルな魔法アイテム。
それは世界を救済する力を秘めた、最強の武器。
本棚を抜けた先は、物語の中の世界――そこからすべてが、始まる。
追放神官とケモミミ探偵
心絵マシテ
ファンタジー
辺境の教会に住む神官、ディズは生まれながらにして、聖女に匹敵するほどの浄化の力を宿していた。
世俗との関わりを絶たれた神官は、ひょんなことから悪魔憑きと呼ばれるケモ耳少女と生活を共にすることとなる。
出会ってから数年……。
ケモ耳の少女、キィーナは探偵になりたいとディズに心の内を明かす。
ディスのまた、かつて自身も憧れた探偵という彼女の夢を応援してあげたいと決心する。
愛する家族のために神官として奔走するディズ。
ときに穢れの浄化。ときには結界の修復。癒しの力により人々を救うこともある。
前途多難な依頼ばかり舞い込んでくるも、その度にディズとキィーナの『推理』が窮地を救う。
様々な人々との出会いと別れ、目の前にある運命という壁を乗り越えてキィーナは少しずつ成長してゆく。
その最中、辺境神官にも新たな転機が訪れるのだが――――
それは二人にとって最大の試練だった。
むせ返るような悪臭と、忍びよる異形の陰……。
刻一刻と迫り来るタイムリミットに、必死に打開策を導き出そうとする神官。
「この子は、私が守るんだ!」
運命すら変える。
それは推理がもたらす恩恵。過去を解き明かして、未来を構築してゆく。
神官と探偵による奇跡の回答。
いくたの混迷、数々の問題を解決し悠々自適なスローライフを目指すディズと名探偵として活躍したいと願うキィーナ。
お互いの願いを叶える為に、二人は手を取り合いながら決意する。
世界に一縷の光を灯そうと――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる