51 / 122
第五章 もつれあう前世の因縁
ほんと、何言ってんの?
しおりを挟む
「フィリス」
白っぽい少年だった。髪も肌も衣服も白で、瞳だけが赤。
少年が口にした、聞き慣れない名前にアゼルとルーク・シルヴァが反応しそびれた中。
クライスの表情が一段暗くなった。
「イカロス様。まだ調査中ですよ、ふらふら近づかないでください。あと僕の名前はクライスですけど」
「僕にはここに何か危険があるようには見えない」
クライスの邪険極まる態度に対し、イカロスは果敢に食い下がった。表情にはまだ余裕がある。
「危険ですってば。僕まだ喧嘩中ですし。ことと次第によっては流血の大惨事ですよ。可及的速やかに離れてください。カインは何してるんだ」
最後の一言は同僚へのぼやきだった。
説明に耳を傾けていたルーク・シルヴァは、遅ればせながら合点がいったようにひとり頷いた。
「もしかして、俺とクライスは喧嘩をしていたのか。何かつっかかってくるなとは思っていたが」
アゼルが明らかに(このひと大丈夫?)という視線を送ったのだが、やさぐれきっていたクライスはといえば「そうだよ!!」と勢いよく食ってかかった。
「そう言われても、俺には喧嘩する理由がないからな」
ルーク・シルヴァの返答は恐ろしく淡白だった。
「なっ……。その綺麗なひととルーク・シルヴァ、距離近いっていうか、くっついていたし、それはもう浮気」
「これと? 俺が?」
これ、呼ばわりされたアゼルに対し、クライスは「あれ、え?」と動揺した声を上げた。
(勘違い? でも、言うべきことは言わないと!)
「昨日……、禁欲生活つらいみたいなこと言っていたから。もしかして他の女のひととって」
言いながら顔を真っ赤にしつつ、声はどんどん小さくなっていく。
姿を見せずに様子を伺っていたロイドは、木の影で崩れ落ちていた。
「ルーク・シルヴァお前何言ってんの。ほんと、何言ってんの……」
どうにかロイドを支えようとしたが間に合わなかったクロノスも、幹に背中と後頭部を押し付けて「えーと」と思わずのように声を出して眼鏡のブリッジを指でおさえていた。
木陰でのやり取りなど知る由もないルーク・シルヴァは、クライスに微笑みかけてのんびりと言った。
「そうだな。お前いまあんまり俺に近づくなよ」
「なんで……!?」
「何もしない自信がない。今日もすごく可愛い」
禁欲生活辛いな、とルーク・シルヴァは悪びれなく付け足した。
クライスは顔から火を噴いて固まった。
アゼルに至っては「こういう空気のときは全滅する。全滅する。間違いなく全滅する。回復係なんだからしっかりしないと」と自分に言い聞かせていた。明らかに現実逃避しきった顔でどこか違うところを見ていた。
やりとりを見守っていたイカロスは、指が白くなるほど拳を強く握りしめつつ、笑顔で「そろそろいいかい?」と言った。
「だめですよ……っ。今は何もかもがだめです! 見てればわかるでしょう!?」
クライスが過剰なまでの拒否を示す。
「わからないから確認している。フィリスはその男のことが好きなの? 付き合ってるの? その上で禁欲を強いているの? まだ何もしてないの? 本当に?」
イカロスが少年らしい瑞々しい声で矢継ぎ早に言った。
* * *
「なんなのあれ。誰? 誰か知らないけどちょっとあいつら滅ぼしてほしい」
しゃみこんだまま呟くロイドに対し、クロノスが「うちの弟ですね」とそっけなく答えた。
「殿下の弟?」
「第三王子のイカロスです。しかしそれより気になるのが『フィリス』ですね。クライスの死んだ姉の名前です。死んだことになっているというか……」
考え深げに腕を組んで呟くクロノスの横顔を見上げて、ロイドも立ち上がった。
「殿下立ち直り早いね。オレもガタガタ言ってる場合じゃなかった」
言いながら、クロノスの組んだ腕にとん、と手で触れた。骨ばって固い感触が手に伝わる。なに? というように見下ろしたクロノスに、ロイドは微笑みかけた。特に深い意味はなかった。
* * *
「答える義務があるとは思えないんですが」
クライスは多少持ち直したらしく、咳払いをしてイカロスに向き直った。
ふっと顎をそらして、高慢さと勝気さをまなざしにのせたイカロスが、強い口調で言った。
「あるよ。あれはどう見ても男だ。男である君とあれがどうしてそんな熱愛もどきの痴話げんかをしているのかわからない。それともあいつは君の身体をもう知っているのか?」
対するクライスの表情はひどく固く、冷たかった。
「そんなこと知りたいの?」
「そんなこと、じゃない。大事なことだ。僕が君に男として生きて欲しいと頼んだ理由はただひとつ。誰にも君の身体を暴かせないためだ。生まれ変わった僕とめぐりあうまでね!」
胸に手を当てて熱弁をふるうイカロスを、クライスはさめきった目で見ていた。
やがて、はーっと大きなため息をもらした。
「いい加減にしなよそのシスコン。殿下の中身がクライスなのはわかったけど。生まれ変わって王子と部下になったからって、お姉ちゃんを好きにできると思わないでくれる。今の僕はフィリスではなく『クライス』だし、殿下とは全然知らない赤の他人同士だ。可愛い弟に言われるのもちょっと嫌なのに、いきなり王子殿下に『お前の身体が云々』言われてもふつうにめちゃくちゃ嫌だよ。そんなんで僕を説得できると本当に思っていたの? 一切合切おかしいよね?」
つい先ほどまでルーク・シルヴァに攻められて息も絶え絶えになっていたクライスとは同一人物と思えぬほどの端正な話しぶりであった。
「やっぱり、死んでいたのは双子の弟の『クライス』で、生き残った姉フィリスがクライスのふりをして生きていたってこと……? 『クライス』が死に際にお願いをして……?」
会話に耳をそばだてていたロイドが呟くも、クロノスは寡黙に口を閉ざしたまま。
鋭い視線をイカロスに向けている。
一方で、アゼルもまたいつでも戦闘に入れるようにと緊張を高めつつあった。
(何か嫌だ)
この真っ白の少年。
存在から、良いものが何も感じられない。
イカロスは、自分を睨みつけているアゼルに目を向けて、愉快そうに笑った。
「久しぶり、アゼル」
名前を呼ばれてアゼルが顔を強張らせたのと同時に、クロノスが木の陰から姿を現した。イカロスはさらに笑みを深めた。
「兄さんというべきか。それとも……ステファノ?」
歯をくいしばって睨みをきかせているアゼルを背にかばうように、クロノスが進み出る。
少年を見極めるように見据えて、かけていた黒縁眼鏡を左手で外した。
「お前は誰だ。イカロスじゃないのか」
「イカロスだよ。ただ僕はね、『死によって記憶が途切れない存在』なんだ。イカロスの前に生きたクライスの記憶はしっかりある。それ以前の記憶もずっと続いているんだ。兄さんとは、そうだね。前前世にまみえている。本当に強い魔導士だった、ステファノ。まさか今回は兄弟として生まれつくなんて考えもしなかったけど」
場違いなまでに、澄んだ明るい笑い声。
どこか空虚で、親しみを感じられない。
「俺の名前を知っているということは、前前世ではそれなりに近くにいたと見て良いのか。あいにく誰だか見当もつかないな。もったいぶらずに名乗って欲しいものだ」
言いながら、クロノスは魔導士ステファノとしての知識をめまぐるしく探り始める。
死によって記憶が途絶えることのない存在。
どこかで聞いたことがある。あまり良い感触ではない。
危険な予感がする。
ルーク・シルヴァは口を挟まずにおとなしく見ていたが、クライスが視線を向けると音も無く歩き出した。身動きをしないままだったクライスの横に並び立つ。
「剣ができるのは知っている。魔法に関しては俺が防ぐ」
特に抑えたわけではないようだが、身体に直接響くような低い声で告げられてクライスは小さく頷いた。
イカロスは一同を見回すと、真っ赤な瞳を輝かせて顔全体に笑みを広げた。
「前前世ではね。僕は勇者ルミナスの運命の相手だった。ステファノのことも、アゼルのこともよく知っているよ。だって命がけで戦ったからね。それでさ、最後の最後に、本当は手に入れるはずだったのに、少しばかり手元が狂って殺しちゃったんだ。あのときは正直絶望したよ。だけど同時に死ねたから、同時に生まれ変わることができた。せっかくすごく近い場所に生まれついたのに、ちょっと弱い個体だったから、成長する前に死んじゃったけど。……ねえ、二人とも、そこの赤毛が誰かはわかっているんだよね? 邪魔しないでくれる? 僕はどうしても欲しいんだよ。ずーっと欲しかったんだ」
クロノスは外した眼鏡をアゼルに手渡した。「下がってていいよ」と囁きかける。
心配そうに見上げたアゼルに、にこりと微笑みかけた。
そのえみを目に焼き付けるように見つめながら、アゼルは独り言のように呟く。
「現状、一番恋敵的な意味で邪魔なのは、ステファノじゃなくてあっちの銀髪だと思うんだけど……」
ルミナスに関わることである以上、ステファノ=クロノスが受けて立つというその心理は痛いほどわかってしまうとはいえ。
「話を聞いていると、イカロスのその『前前世』、その状況に該当しそうな相手は俺は一人しか思い浮かばない」
クロノスの右手に、ちりちりと青い光が迸る。
肯定するように、イカロスは笑って言った。
「多分兄さんの考えで間違いない。あのときルミナスの息の根を止めた相手といえば──。そう、僕の前前世は『魔王』だよ」
白っぽい少年だった。髪も肌も衣服も白で、瞳だけが赤。
少年が口にした、聞き慣れない名前にアゼルとルーク・シルヴァが反応しそびれた中。
クライスの表情が一段暗くなった。
「イカロス様。まだ調査中ですよ、ふらふら近づかないでください。あと僕の名前はクライスですけど」
「僕にはここに何か危険があるようには見えない」
クライスの邪険極まる態度に対し、イカロスは果敢に食い下がった。表情にはまだ余裕がある。
「危険ですってば。僕まだ喧嘩中ですし。ことと次第によっては流血の大惨事ですよ。可及的速やかに離れてください。カインは何してるんだ」
最後の一言は同僚へのぼやきだった。
説明に耳を傾けていたルーク・シルヴァは、遅ればせながら合点がいったようにひとり頷いた。
「もしかして、俺とクライスは喧嘩をしていたのか。何かつっかかってくるなとは思っていたが」
アゼルが明らかに(このひと大丈夫?)という視線を送ったのだが、やさぐれきっていたクライスはといえば「そうだよ!!」と勢いよく食ってかかった。
「そう言われても、俺には喧嘩する理由がないからな」
ルーク・シルヴァの返答は恐ろしく淡白だった。
「なっ……。その綺麗なひととルーク・シルヴァ、距離近いっていうか、くっついていたし、それはもう浮気」
「これと? 俺が?」
これ、呼ばわりされたアゼルに対し、クライスは「あれ、え?」と動揺した声を上げた。
(勘違い? でも、言うべきことは言わないと!)
「昨日……、禁欲生活つらいみたいなこと言っていたから。もしかして他の女のひととって」
言いながら顔を真っ赤にしつつ、声はどんどん小さくなっていく。
姿を見せずに様子を伺っていたロイドは、木の影で崩れ落ちていた。
「ルーク・シルヴァお前何言ってんの。ほんと、何言ってんの……」
どうにかロイドを支えようとしたが間に合わなかったクロノスも、幹に背中と後頭部を押し付けて「えーと」と思わずのように声を出して眼鏡のブリッジを指でおさえていた。
木陰でのやり取りなど知る由もないルーク・シルヴァは、クライスに微笑みかけてのんびりと言った。
「そうだな。お前いまあんまり俺に近づくなよ」
「なんで……!?」
「何もしない自信がない。今日もすごく可愛い」
禁欲生活辛いな、とルーク・シルヴァは悪びれなく付け足した。
クライスは顔から火を噴いて固まった。
アゼルに至っては「こういう空気のときは全滅する。全滅する。間違いなく全滅する。回復係なんだからしっかりしないと」と自分に言い聞かせていた。明らかに現実逃避しきった顔でどこか違うところを見ていた。
やりとりを見守っていたイカロスは、指が白くなるほど拳を強く握りしめつつ、笑顔で「そろそろいいかい?」と言った。
「だめですよ……っ。今は何もかもがだめです! 見てればわかるでしょう!?」
クライスが過剰なまでの拒否を示す。
「わからないから確認している。フィリスはその男のことが好きなの? 付き合ってるの? その上で禁欲を強いているの? まだ何もしてないの? 本当に?」
イカロスが少年らしい瑞々しい声で矢継ぎ早に言った。
* * *
「なんなのあれ。誰? 誰か知らないけどちょっとあいつら滅ぼしてほしい」
しゃみこんだまま呟くロイドに対し、クロノスが「うちの弟ですね」とそっけなく答えた。
「殿下の弟?」
「第三王子のイカロスです。しかしそれより気になるのが『フィリス』ですね。クライスの死んだ姉の名前です。死んだことになっているというか……」
考え深げに腕を組んで呟くクロノスの横顔を見上げて、ロイドも立ち上がった。
「殿下立ち直り早いね。オレもガタガタ言ってる場合じゃなかった」
言いながら、クロノスの組んだ腕にとん、と手で触れた。骨ばって固い感触が手に伝わる。なに? というように見下ろしたクロノスに、ロイドは微笑みかけた。特に深い意味はなかった。
* * *
「答える義務があるとは思えないんですが」
クライスは多少持ち直したらしく、咳払いをしてイカロスに向き直った。
ふっと顎をそらして、高慢さと勝気さをまなざしにのせたイカロスが、強い口調で言った。
「あるよ。あれはどう見ても男だ。男である君とあれがどうしてそんな熱愛もどきの痴話げんかをしているのかわからない。それともあいつは君の身体をもう知っているのか?」
対するクライスの表情はひどく固く、冷たかった。
「そんなこと知りたいの?」
「そんなこと、じゃない。大事なことだ。僕が君に男として生きて欲しいと頼んだ理由はただひとつ。誰にも君の身体を暴かせないためだ。生まれ変わった僕とめぐりあうまでね!」
胸に手を当てて熱弁をふるうイカロスを、クライスはさめきった目で見ていた。
やがて、はーっと大きなため息をもらした。
「いい加減にしなよそのシスコン。殿下の中身がクライスなのはわかったけど。生まれ変わって王子と部下になったからって、お姉ちゃんを好きにできると思わないでくれる。今の僕はフィリスではなく『クライス』だし、殿下とは全然知らない赤の他人同士だ。可愛い弟に言われるのもちょっと嫌なのに、いきなり王子殿下に『お前の身体が云々』言われてもふつうにめちゃくちゃ嫌だよ。そんなんで僕を説得できると本当に思っていたの? 一切合切おかしいよね?」
つい先ほどまでルーク・シルヴァに攻められて息も絶え絶えになっていたクライスとは同一人物と思えぬほどの端正な話しぶりであった。
「やっぱり、死んでいたのは双子の弟の『クライス』で、生き残った姉フィリスがクライスのふりをして生きていたってこと……? 『クライス』が死に際にお願いをして……?」
会話に耳をそばだてていたロイドが呟くも、クロノスは寡黙に口を閉ざしたまま。
鋭い視線をイカロスに向けている。
一方で、アゼルもまたいつでも戦闘に入れるようにと緊張を高めつつあった。
(何か嫌だ)
この真っ白の少年。
存在から、良いものが何も感じられない。
イカロスは、自分を睨みつけているアゼルに目を向けて、愉快そうに笑った。
「久しぶり、アゼル」
名前を呼ばれてアゼルが顔を強張らせたのと同時に、クロノスが木の陰から姿を現した。イカロスはさらに笑みを深めた。
「兄さんというべきか。それとも……ステファノ?」
歯をくいしばって睨みをきかせているアゼルを背にかばうように、クロノスが進み出る。
少年を見極めるように見据えて、かけていた黒縁眼鏡を左手で外した。
「お前は誰だ。イカロスじゃないのか」
「イカロスだよ。ただ僕はね、『死によって記憶が途切れない存在』なんだ。イカロスの前に生きたクライスの記憶はしっかりある。それ以前の記憶もずっと続いているんだ。兄さんとは、そうだね。前前世にまみえている。本当に強い魔導士だった、ステファノ。まさか今回は兄弟として生まれつくなんて考えもしなかったけど」
場違いなまでに、澄んだ明るい笑い声。
どこか空虚で、親しみを感じられない。
「俺の名前を知っているということは、前前世ではそれなりに近くにいたと見て良いのか。あいにく誰だか見当もつかないな。もったいぶらずに名乗って欲しいものだ」
言いながら、クロノスは魔導士ステファノとしての知識をめまぐるしく探り始める。
死によって記憶が途絶えることのない存在。
どこかで聞いたことがある。あまり良い感触ではない。
危険な予感がする。
ルーク・シルヴァは口を挟まずにおとなしく見ていたが、クライスが視線を向けると音も無く歩き出した。身動きをしないままだったクライスの横に並び立つ。
「剣ができるのは知っている。魔法に関しては俺が防ぐ」
特に抑えたわけではないようだが、身体に直接響くような低い声で告げられてクライスは小さく頷いた。
イカロスは一同を見回すと、真っ赤な瞳を輝かせて顔全体に笑みを広げた。
「前前世ではね。僕は勇者ルミナスの運命の相手だった。ステファノのことも、アゼルのこともよく知っているよ。だって命がけで戦ったからね。それでさ、最後の最後に、本当は手に入れるはずだったのに、少しばかり手元が狂って殺しちゃったんだ。あのときは正直絶望したよ。だけど同時に死ねたから、同時に生まれ変わることができた。せっかくすごく近い場所に生まれついたのに、ちょっと弱い個体だったから、成長する前に死んじゃったけど。……ねえ、二人とも、そこの赤毛が誰かはわかっているんだよね? 邪魔しないでくれる? 僕はどうしても欲しいんだよ。ずーっと欲しかったんだ」
クロノスは外した眼鏡をアゼルに手渡した。「下がってていいよ」と囁きかける。
心配そうに見上げたアゼルに、にこりと微笑みかけた。
そのえみを目に焼き付けるように見つめながら、アゼルは独り言のように呟く。
「現状、一番恋敵的な意味で邪魔なのは、ステファノじゃなくてあっちの銀髪だと思うんだけど……」
ルミナスに関わることである以上、ステファノ=クロノスが受けて立つというその心理は痛いほどわかってしまうとはいえ。
「話を聞いていると、イカロスのその『前前世』、その状況に該当しそうな相手は俺は一人しか思い浮かばない」
クロノスの右手に、ちりちりと青い光が迸る。
肯定するように、イカロスは笑って言った。
「多分兄さんの考えで間違いない。あのときルミナスの息の根を止めた相手といえば──。そう、僕の前前世は『魔王』だよ」
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
セリオン共和国再興記 もしくは宇宙刑事が召喚されてしまったので・・・
今卓&
ファンタジー
地球での任務が終わった銀河連合所属の刑事二人は帰途の途中原因不明のワームホールに巻き込まれる、彼が気が付くと可住惑星上に居た。
その頃会議中の皇帝の元へ伯爵から使者が送られる、彼等は捕らえられ教会の地下へと送られた。
皇帝は日課の教会へ向かう途中でタイスと名乗る少女を”宮”へ招待するという、タイスは不安ながらも両親と周囲の反応から招待を断る事はできず”宮”へ向かう事となる。
刑事は離別したパートナーの捜索と惑星の調査の為、巡視艇から下船する事とした、そこで彼は4人の知性体を救出し獣人二人とエルフを連れてエルフの住む土地へ彼等を届ける旅にでる事となる。
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる