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間章(1)
茶会の席で
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「それで、あの子はもう出発したの?」
王妃の私室にて。
瀟洒なテーブル越しに向き合った第一王子アレクスに対し、王妃は気安い調子で尋ねた。
「はい。シド様を追いかけていた騎士たちに一度合流するように言い含めて、早々に。途中までは、魔導士ロイド殿が同行を申し出てくれました。文字通り、飛んで出ていきましたよ。ロイド殿にもルーク・シルヴァ殿にももう少し王宮に留まっていただきたかったのですが、ご本人たちの都合もありますし、仕方ないですね」
「魔族の侵攻を警戒している、流しの魔導士、ね……。魔力の高さゆえに人より敏感なのは間違いないでしょうけれど。若くしてそこに気付いているとは、ただ者ではないのね」
「話してみた感じ、実際何か得体の知れない方でしたね。近隣諸国の事情にも通じていますし、頻発する魔族の変異に関しても広範囲で観察をしているようでした。『ルーナ』の兄君であるルーク・シルヴァ殿ともども、一体何者なのか」
「『ルーナ』……」
王妃はその名を口にすると、目を伏せる。
すぐに、気を取り直したように顔をあげた。
「それにしても、渡りに船ということかしら。相変わらず、助けてくれる者には事欠かないわね」
軽い口調で言って、明るい笑い声をたてた。
アレクスは少し困ったように眉を寄せて言いにくそうに言う。
「なんでしょうかね、クライスのあの雰囲気。周りが思わず構いたくなる特性といいますか……」
「はっきり言っていいのよ。甘ったれで、喜怒哀楽も好き嫌いもあって、隙だらけ。子どもっぽいのよ。見ていると不安な気持ちになるの。決して高潔で思慮深いとも言えないし」
矢継ぎ早に並べ立てるのを、困ったような顔のままで聞いていたアレクスは、お茶のカップに手を伸ばし、唇を寄せて一口飲んでから言った。
「いかにルミナス様に似ておられても、別人というところですかね」
「あら」
王妃は目をしばたいてから、扇を広げて口元を覆った。
「そういう点も含めて、ルミナスによく似ているわ。まるで本人かと思うくらい。特にあの、甘ったれなところね」
「ルミナス様にも、そんなところが……?」
「そんなところが、どころじゃないわよ。だいたいすべてああだったわよ。あの人に関しては、死んだから良いところしか伝わっていないの。今でも生きていたら、私毎日小言を言っていたかもしれないわ。その挙句、一緒にお茶を飲んで笑い転げていたでしょうね。お互いの子どもの話なんかをして」
微妙な表現に、アレクスが真意を伺うように目を向ける。
心得ていたように、王妃は小さく頷いた。
「ルミナスがもし無事に帰ってきていても、私たちは結婚していなかったわよ。だってあの時のルミナスには他に好きな人がいたし……。それにね、ルミナスが男だったなんて、どこにも明確な記録はないでしょ? 性別不詳、年齢不詳、それが勇者ルミナス。帰ってきたら、偽装の婚約を破棄してお互い好きな相手と結婚する。これは私たちが友人としてひそかに取り決めていたことだったの。死によって曖昧になってしまったけれど」
アレクスは、何か言おうとするかのように口を開いたが、結局何も言わずに顔を逸らした。
窓からは、傾きかけた太陽の光。
部屋の中の調度品すべてがオレンジの色味を帯びて、夕暮れの気配を伝えていた。
「ルミナスは剣だけは強かった。体格の不利があっても、どんな巨大な魔獣にも一歩も譲らない気迫があったわ。それだけはクライス、あの子にはなんとしてでも体得してもらわねば。ここは『聖剣の勇者の国』もしものときには、立ち上がる者が不可欠なんですもの」
「もしもの時ですか。その時また、聖剣は彼を選ぶのでしょうか」
「それはわからないわ。でも、可能性は高い。今はずいぶん平和に生きているけれど……。おそらく、あの子の持って生まれたものは、今後あの子を恐ろしく痛めつけるかもしれない。最後には、無残な死を迎えたルミナスのようにはなって欲しくはないけれど──」
やがて、彼の話を離れて、互いの近況報告になった。
流れで、アレクスが溜息交じりに母を責めた。
「ところで、あの催眠の香。ルミナス様が眠れないときによく使ってらっしゃったというので、クライスに使ったのですが。完全に効き過ぎていました。私が良からぬ薬を盛ったような感じになってしまいまして。本人にはたいしたものではないと伝えましたが……母上?」
王妃は再びぱらりと扇を開いて口元を隠し、くつくつと小鳥の鳴き声のように笑った。
「それは悪いことをしたわね。ルミナスは、毒やステータス異常の攻撃に耐性をつけるために、身の安全が確保できているときは色々試していたものだから。クライスも少し、どうかしら、と」
「冗談では済まされませんよ。和解にはこぎつけていましたが、クライスにとって私はあの時点では完全に信頼できる相手ではなかったはずです。対応次第ではどんなことになっていたことか。母上を信じた私が抜けていました。人間用に改良された市販品で、不眠患者に処方されるものだし習慣性もないから問題ないなどと」
「アレクス。その辺は私は嘘は言ってないわよ。ただ、クライスの耐性が著しく低かったのは私も予想外で。ある程度強くなった状態のルミナスしか、知らなかったんですもの。ただ、もし今後魔族との戦いがあるのならば、クライスにも色々な耐性をつけてもらわなければ」
「だまし討ちのようなことだけはやめましょう。今でも後味が悪いです」
最終的に自分が手を下したことで、かなり引け目に感じているアレクス。難しい顔をしたまま腕を組むと、溜息をついた。
王妃は言い訳がましく言った。
「失敗のない人間なんか、いないわよ?」
「薬を盛った側の私が言って良いことではないです。もう母上は余計なことはおっしゃらないでください」
アレクスは顔を逸らして言ったものの、女官が灯りを用意しているのを見て、茶会の終わりを悟る。
退室の旨を口にしてから立ち上がり、思い出したように付け加える。
「ルミナス様が本来、母上と結婚するおつもりがなかった、というのは初耳です。それで、ルミナス様のかつての想い人殿は、どなただったんです。今もまだ、存命でいらっしゃるのですか」
王妃の私室にて。
瀟洒なテーブル越しに向き合った第一王子アレクスに対し、王妃は気安い調子で尋ねた。
「はい。シド様を追いかけていた騎士たちに一度合流するように言い含めて、早々に。途中までは、魔導士ロイド殿が同行を申し出てくれました。文字通り、飛んで出ていきましたよ。ロイド殿にもルーク・シルヴァ殿にももう少し王宮に留まっていただきたかったのですが、ご本人たちの都合もありますし、仕方ないですね」
「魔族の侵攻を警戒している、流しの魔導士、ね……。魔力の高さゆえに人より敏感なのは間違いないでしょうけれど。若くしてそこに気付いているとは、ただ者ではないのね」
「話してみた感じ、実際何か得体の知れない方でしたね。近隣諸国の事情にも通じていますし、頻発する魔族の変異に関しても広範囲で観察をしているようでした。『ルーナ』の兄君であるルーク・シルヴァ殿ともども、一体何者なのか」
「『ルーナ』……」
王妃はその名を口にすると、目を伏せる。
すぐに、気を取り直したように顔をあげた。
「それにしても、渡りに船ということかしら。相変わらず、助けてくれる者には事欠かないわね」
軽い口調で言って、明るい笑い声をたてた。
アレクスは少し困ったように眉を寄せて言いにくそうに言う。
「なんでしょうかね、クライスのあの雰囲気。周りが思わず構いたくなる特性といいますか……」
「はっきり言っていいのよ。甘ったれで、喜怒哀楽も好き嫌いもあって、隙だらけ。子どもっぽいのよ。見ていると不安な気持ちになるの。決して高潔で思慮深いとも言えないし」
矢継ぎ早に並べ立てるのを、困ったような顔のままで聞いていたアレクスは、お茶のカップに手を伸ばし、唇を寄せて一口飲んでから言った。
「いかにルミナス様に似ておられても、別人というところですかね」
「あら」
王妃は目をしばたいてから、扇を広げて口元を覆った。
「そういう点も含めて、ルミナスによく似ているわ。まるで本人かと思うくらい。特にあの、甘ったれなところね」
「ルミナス様にも、そんなところが……?」
「そんなところが、どころじゃないわよ。だいたいすべてああだったわよ。あの人に関しては、死んだから良いところしか伝わっていないの。今でも生きていたら、私毎日小言を言っていたかもしれないわ。その挙句、一緒にお茶を飲んで笑い転げていたでしょうね。お互いの子どもの話なんかをして」
微妙な表現に、アレクスが真意を伺うように目を向ける。
心得ていたように、王妃は小さく頷いた。
「ルミナスがもし無事に帰ってきていても、私たちは結婚していなかったわよ。だってあの時のルミナスには他に好きな人がいたし……。それにね、ルミナスが男だったなんて、どこにも明確な記録はないでしょ? 性別不詳、年齢不詳、それが勇者ルミナス。帰ってきたら、偽装の婚約を破棄してお互い好きな相手と結婚する。これは私たちが友人としてひそかに取り決めていたことだったの。死によって曖昧になってしまったけれど」
アレクスは、何か言おうとするかのように口を開いたが、結局何も言わずに顔を逸らした。
窓からは、傾きかけた太陽の光。
部屋の中の調度品すべてがオレンジの色味を帯びて、夕暮れの気配を伝えていた。
「ルミナスは剣だけは強かった。体格の不利があっても、どんな巨大な魔獣にも一歩も譲らない気迫があったわ。それだけはクライス、あの子にはなんとしてでも体得してもらわねば。ここは『聖剣の勇者の国』もしものときには、立ち上がる者が不可欠なんですもの」
「もしもの時ですか。その時また、聖剣は彼を選ぶのでしょうか」
「それはわからないわ。でも、可能性は高い。今はずいぶん平和に生きているけれど……。おそらく、あの子の持って生まれたものは、今後あの子を恐ろしく痛めつけるかもしれない。最後には、無残な死を迎えたルミナスのようにはなって欲しくはないけれど──」
やがて、彼の話を離れて、互いの近況報告になった。
流れで、アレクスが溜息交じりに母を責めた。
「ところで、あの催眠の香。ルミナス様が眠れないときによく使ってらっしゃったというので、クライスに使ったのですが。完全に効き過ぎていました。私が良からぬ薬を盛ったような感じになってしまいまして。本人にはたいしたものではないと伝えましたが……母上?」
王妃は再びぱらりと扇を開いて口元を隠し、くつくつと小鳥の鳴き声のように笑った。
「それは悪いことをしたわね。ルミナスは、毒やステータス異常の攻撃に耐性をつけるために、身の安全が確保できているときは色々試していたものだから。クライスも少し、どうかしら、と」
「冗談では済まされませんよ。和解にはこぎつけていましたが、クライスにとって私はあの時点では完全に信頼できる相手ではなかったはずです。対応次第ではどんなことになっていたことか。母上を信じた私が抜けていました。人間用に改良された市販品で、不眠患者に処方されるものだし習慣性もないから問題ないなどと」
「アレクス。その辺は私は嘘は言ってないわよ。ただ、クライスの耐性が著しく低かったのは私も予想外で。ある程度強くなった状態のルミナスしか、知らなかったんですもの。ただ、もし今後魔族との戦いがあるのならば、クライスにも色々な耐性をつけてもらわなければ」
「だまし討ちのようなことだけはやめましょう。今でも後味が悪いです」
最終的に自分が手を下したことで、かなり引け目に感じているアレクス。難しい顔をしたまま腕を組むと、溜息をついた。
王妃は言い訳がましく言った。
「失敗のない人間なんか、いないわよ?」
「薬を盛った側の私が言って良いことではないです。もう母上は余計なことはおっしゃらないでください」
アレクスは顔を逸らして言ったものの、女官が灯りを用意しているのを見て、茶会の終わりを悟る。
退室の旨を口にしてから立ち上がり、思い出したように付け加える。
「ルミナス様が本来、母上と結婚するおつもりがなかった、というのは初耳です。それで、ルミナス様のかつての想い人殿は、どなただったんです。今もまだ、存命でいらっしゃるのですか」
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