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第五章
傷口と積み重ねる時間
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「殿下は王室の存在意義に疑義を呈しているようですが、そもそも殿下ご自身が現在、王室の負うべき義務をまっとうしているとお考えですか?」
パレスより帰還後、慌ただしく日々が過ぎて、久しぶりにジュディは王宮でフィリップスと顔を合わせた。
今日は逃走防止のため、場所はフィリップスの私室近くの廊下。ロングギャラリーの一角で、ゆったりとしたソファや観賞用に飾られた古めかしい甲冑、陶器の壺などが並べられた広い空間である。大きな窓からは、明るい日差しが差し込んでいた。
王宮内でも奥まった特別なエリアであり、通り過ぎる者はほとんどいない。
背の高い観葉植物のそばにはステファンが立っていて、油断なく辺りに目を光らせていた。離れた位置には王子付きの衛兵も控えている。
ソファに身を沈めたフィリップスは、光をまとう輝きの強い美貌に、勝ち気な色を宿した瞳のいつもながらの挑発的な表情で、ジュディを睨みつけた。
「義務と言うが、母上は俺が国政に関与することを好まない。王族は些末なことに己の手を煩わせず、毅然として人々の上にあれば良い、そういう考え方のひとだ。もっとも、俺に関して言えば、東地区から帰ってきたときに『この子は私の産んだ殿下ではありません』と手がつけられないくらいに騒いだくらいだからな。汚辱にまみれた者が王位に手をかけるなど、あさましくおぞましいと、俺を寄せ付けない」
吐き捨てるように告げられた、彼を取り巻く事情。
(取り替えられた子……では、もともとは王妃様が言い出したことだと。すでに物心ついていた殿下は、その日のことをいまも覚えてらっしゃる。王位継承権一位で次期王位がほぼ確定している身ながら、実の母君に「偽物」の烙印を押され、存在を無視された)
フィリップスが王室へ向ける複雑な愛憎の一端を、思い知る。身に降り掛かった苦難の末に、王子であることも息子であることも否定された身の上なのだ。
己を拒絶する王室を憎み、その落ち度を突いていっそ潰してしまおうと破壊衝動に駆られる動機は十二分にある。
到底、見過ごせるものではないが。
「殿下のご事情を教えてくださって、ありがとうございます。王族も貴族も、人の上に立つ者としての資質を当たり前に求められる存在です。およそ『個人的な』感傷は歓迎されません。ですが、私たちは、いかなる生まれであろうとも、相手も自分と変わらぬ人間であることを知っています。殿下の代わりはいないと私は先日申し上げましたが、そもそも代わりのいる人間などいません。ひとりの人間としての殿下のお心に苦しみがあるのなら……、無視して進められる問題ではありません」
傷口があり、絶え間なく血が溢れ出す。流れ落ちて、歩む道を染め上げる。
その痛みは集中力を奪い、前向きな気持ちになろうとするたびに耐え難い苦痛をもたらす。目につく何者かを憎ませ、止め処無い怒りを呼び覚ます。
たとえばそこに、口当たりの良い「正義」はいかにも馴染みやすい。
自分は正義の側だと信じるに足るよすががあれば、怒りは野放図に解き放たれて、対象を破壊し尽くすまで攻撃する。
(母親に否定された子の痛み……。それも、幼い殿下ご自身にはどうにもできなかった誘拐事件の末に)
ことさら表情を変えないようにジュディは気をつけていたが、握りしめた拳は小さく震えていた。フィリップスは、それを見逃さずにちらりと目で確認した。
何気ない様子で、話し始める。
「過ぎた出来事にこだわるべきではないと、頭ではわかっている。だが俺は、不意に自分を取り巻くすべてが許せなくなるんだ。今もな、構築されかけた人間関係など、くだらないと台無しにしてしまいたい自分が胸の中にいる。そう、たとえば……」
「たとえば?」
ジュディは身を乗り出す。
言葉を区切ったフィリップスは、そこで思い切り肩をすくめてみせた。
「手っ取り早く俺を癒やすなら、女を使ってみないか? って先生に言ってみたくなるんだ。ほら、男は枕元で本音も泣き言も機密も吐き出すものだろう?」
はぐっ、とジュディは変な息をもらした。
「それは絶対にいけませんね。いけませんよ、殿下。私はその、そういうのではないですよね」
自分でも、焦ったせいでうまく言えなかった自覚はあった。案の定、すぐに揚げ足をとられる。
「何がどう他の女とは違うって? それはつまり、先生は自分は『特別な女』だって意識があるということか? 体を使って男に取り入る女とは違い、賢く立ち回り、家庭教師として次期王を教え導く存在なのだと」
「それが私の仕事ですから」
「ガウェインとは寝たくせに」
挑発されているとわかっていたが、ここで冷めた態度を取れるほどジュディは練れた大人ではなかった。
「寝てません!!」
ぶはっと誰かが噴き出した。確認しなくてもわかる、ステファンだ。
フィリップスといえば、にやにやとして背もたれに背を預け首を傾げている。
「何をぐずぐずしているんだ、あの男は。お互い独身でなんの障害もなく次の夜会で連れ立って出かけるつもりなら、先に済ませておいても良いだろう。むしろそれくらいしないでどうする」
「殿下が私と閣下の何を心配してくださっているかわかりませんが、ありがとうございます! 閣下とはその、あの、最近特にお目にかかる機会もなく……お忙しいみたいで」
順調ですのでと啖呵を切ろうとしたが、順調要素が何もなくて、段々声が小さくなる。フィリップスは「ガウェイン!!」と叫んで大仰な仕草で頭を抱えた。
ちらっとステファンに目を向けると、抜群の笑みを向けられた。
「キスもまだですよ、その二人。把握してます。もう全然、手も繋いでいません」
再び、フィリップスが「一体どうしてなんだ!!」と叫ぶ。
(そ、それは私が知りたいと言いますか、進まないものは進まないわけでして、だってお会いしていないんですもの……!!)
言いたいことは山程あったが、流されている場合ではないとジュディは瞑目して頭を振る。切り替える。
「王室の重大な役目のひとつとして、他国との外交があります。王自らが出向く、各国のトップと友好的に会談をする。それだけで、驚くほどスムーズに事態が進むこともあると期待されています。これはある外交官の著書に書かれていた『外交官が備えているべき資質』ですが」
強引に話を戻そうとすると、フィリップスが面倒くさそうに肘掛けに肘を置き、ジュディに視線を流してきた。
「俺の傷を癒やす話はどうした」
「傷は、勉強に邁進すると、気が紛れて結構わからなくなるものですよ。私を見てください、離婚を乗り越えています」
「あれは傷か? ……まあ、傷かもな。あれが夫だったというのは、さすがに同情する」
ストレートに言われて、ジュディは微笑みを浮かべた。
そして、ここぞとばかりに勉強に引き戻すべく「外交官に必要な資質は、誠実さと正確さ、平静と忍耐力……」と話し始める。
そのとき、ふっとフィリップスの視線が流れた。ジュディは不思議に思いながら「機嫌の良さと謙虚さと……」と話し続けつつ、フィリップスの顔を見る。にやりと笑い返された。
「少し、時間が取れたので見に来ました。勉強は進んでいますか? 殿下、今日は良い子にしていましたか」
覚えのある声が頭上から降ってきて、ジュディはひっと息を呑んだ。その様子を見てフィリップスが笑い転げる。
「なんの話をしていたんです?」
姿を見せたガウェインに罪のない様子で尋ねられ、ジュディはなんとか取り繕いながら答えた。
「王の勤めを果たすための資質について、話していました」
それは面白そうですね、とガウェインは腹を抱えて笑うフィリップスを少しだけ不思議そうに見ながら言った。それから、「あとで少し話をいいですか?」とさりげない口ぶりでジュディに尋ねてきた。
パレスより帰還後、慌ただしく日々が過ぎて、久しぶりにジュディは王宮でフィリップスと顔を合わせた。
今日は逃走防止のため、場所はフィリップスの私室近くの廊下。ロングギャラリーの一角で、ゆったりとしたソファや観賞用に飾られた古めかしい甲冑、陶器の壺などが並べられた広い空間である。大きな窓からは、明るい日差しが差し込んでいた。
王宮内でも奥まった特別なエリアであり、通り過ぎる者はほとんどいない。
背の高い観葉植物のそばにはステファンが立っていて、油断なく辺りに目を光らせていた。離れた位置には王子付きの衛兵も控えている。
ソファに身を沈めたフィリップスは、光をまとう輝きの強い美貌に、勝ち気な色を宿した瞳のいつもながらの挑発的な表情で、ジュディを睨みつけた。
「義務と言うが、母上は俺が国政に関与することを好まない。王族は些末なことに己の手を煩わせず、毅然として人々の上にあれば良い、そういう考え方のひとだ。もっとも、俺に関して言えば、東地区から帰ってきたときに『この子は私の産んだ殿下ではありません』と手がつけられないくらいに騒いだくらいだからな。汚辱にまみれた者が王位に手をかけるなど、あさましくおぞましいと、俺を寄せ付けない」
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(取り替えられた子……では、もともとは王妃様が言い出したことだと。すでに物心ついていた殿下は、その日のことをいまも覚えてらっしゃる。王位継承権一位で次期王位がほぼ確定している身ながら、実の母君に「偽物」の烙印を押され、存在を無視された)
フィリップスが王室へ向ける複雑な愛憎の一端を、思い知る。身に降り掛かった苦難の末に、王子であることも息子であることも否定された身の上なのだ。
己を拒絶する王室を憎み、その落ち度を突いていっそ潰してしまおうと破壊衝動に駆られる動機は十二分にある。
到底、見過ごせるものではないが。
「殿下のご事情を教えてくださって、ありがとうございます。王族も貴族も、人の上に立つ者としての資質を当たり前に求められる存在です。およそ『個人的な』感傷は歓迎されません。ですが、私たちは、いかなる生まれであろうとも、相手も自分と変わらぬ人間であることを知っています。殿下の代わりはいないと私は先日申し上げましたが、そもそも代わりのいる人間などいません。ひとりの人間としての殿下のお心に苦しみがあるのなら……、無視して進められる問題ではありません」
傷口があり、絶え間なく血が溢れ出す。流れ落ちて、歩む道を染め上げる。
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たとえばそこに、口当たりの良い「正義」はいかにも馴染みやすい。
自分は正義の側だと信じるに足るよすががあれば、怒りは野放図に解き放たれて、対象を破壊し尽くすまで攻撃する。
(母親に否定された子の痛み……。それも、幼い殿下ご自身にはどうにもできなかった誘拐事件の末に)
ことさら表情を変えないようにジュディは気をつけていたが、握りしめた拳は小さく震えていた。フィリップスは、それを見逃さずにちらりと目で確認した。
何気ない様子で、話し始める。
「過ぎた出来事にこだわるべきではないと、頭ではわかっている。だが俺は、不意に自分を取り巻くすべてが許せなくなるんだ。今もな、構築されかけた人間関係など、くだらないと台無しにしてしまいたい自分が胸の中にいる。そう、たとえば……」
「たとえば?」
ジュディは身を乗り出す。
言葉を区切ったフィリップスは、そこで思い切り肩をすくめてみせた。
「手っ取り早く俺を癒やすなら、女を使ってみないか? って先生に言ってみたくなるんだ。ほら、男は枕元で本音も泣き言も機密も吐き出すものだろう?」
はぐっ、とジュディは変な息をもらした。
「それは絶対にいけませんね。いけませんよ、殿下。私はその、そういうのではないですよね」
自分でも、焦ったせいでうまく言えなかった自覚はあった。案の定、すぐに揚げ足をとられる。
「何がどう他の女とは違うって? それはつまり、先生は自分は『特別な女』だって意識があるということか? 体を使って男に取り入る女とは違い、賢く立ち回り、家庭教師として次期王を教え導く存在なのだと」
「それが私の仕事ですから」
「ガウェインとは寝たくせに」
挑発されているとわかっていたが、ここで冷めた態度を取れるほどジュディは練れた大人ではなかった。
「寝てません!!」
ぶはっと誰かが噴き出した。確認しなくてもわかる、ステファンだ。
フィリップスといえば、にやにやとして背もたれに背を預け首を傾げている。
「何をぐずぐずしているんだ、あの男は。お互い独身でなんの障害もなく次の夜会で連れ立って出かけるつもりなら、先に済ませておいても良いだろう。むしろそれくらいしないでどうする」
「殿下が私と閣下の何を心配してくださっているかわかりませんが、ありがとうございます! 閣下とはその、あの、最近特にお目にかかる機会もなく……お忙しいみたいで」
順調ですのでと啖呵を切ろうとしたが、順調要素が何もなくて、段々声が小さくなる。フィリップスは「ガウェイン!!」と叫んで大仰な仕草で頭を抱えた。
ちらっとステファンに目を向けると、抜群の笑みを向けられた。
「キスもまだですよ、その二人。把握してます。もう全然、手も繋いでいません」
再び、フィリップスが「一体どうしてなんだ!!」と叫ぶ。
(そ、それは私が知りたいと言いますか、進まないものは進まないわけでして、だってお会いしていないんですもの……!!)
言いたいことは山程あったが、流されている場合ではないとジュディは瞑目して頭を振る。切り替える。
「王室の重大な役目のひとつとして、他国との外交があります。王自らが出向く、各国のトップと友好的に会談をする。それだけで、驚くほどスムーズに事態が進むこともあると期待されています。これはある外交官の著書に書かれていた『外交官が備えているべき資質』ですが」
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「あれは傷か? ……まあ、傷かもな。あれが夫だったというのは、さすがに同情する」
ストレートに言われて、ジュディは微笑みを浮かべた。
そして、ここぞとばかりに勉強に引き戻すべく「外交官に必要な資質は、誠実さと正確さ、平静と忍耐力……」と話し始める。
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