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第四章
定まらぬ未来の話
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「ステファンさんの目的は貴族院だったみたいですが、閣下の思惑は少し違うようです。現在の方針について、お話し合いはされていますか?」
料理が進んで終盤、デザートを食べているときにジュディはようやく聞きたかった話題を切り出した。
濃厚なチョコレートケーキに、熱いミルクティー。猫舌なのでお茶はそれとなく避けていたところ、ステファンに「ああ、先生猫ちゃんだった」と見透かしたように笑われてしまう。「アイスティーが流行ればいいのよ」と意趣返しにもならない返しをすると、ステファンは男性的なきっぱりとした眉と透き通るような水色の瞳を和ませ、口元に優しげな微笑を浮かべた。
「大人の俺にはその子ども舌はちょっとよくわからないですね。我慢して飲んでいるうちに飲めるようになるものですよ」
優雅な仕草でカップを持ち上げて、ためらうこともなく熱いお茶に口をつける。ジュディは素直に感心して称賛の気持ちを込めて言った。
「まさに大人の男ですね」
ごふ、と嫌な音を立ててステファンがむせる。咳き込みながら横を向いたときには、目にうっすらと涙が滲んでいた。見るからに苦しそうだった。
「飲んでいるときに話しかけてごめんなさい。変なところに入りました?」
「思いっきり。なにか俺に恨みでもあるんですか、一度の食事で何回俺を咳き込ませて呼吸を止めるんだこんなの先生じゃなきゃ許してないなって、思いました」
すらりと早口に答えたときには、すでに呼吸も整え涙も指で拭い去った後だった。
そこで改めて、ジュディは「議席の件ですが」と話を戻す。ステファンは「聞いています」と落ち着き払った態度で頷いた。
「俺の出自からすれば、貴族院の方が可能性は高いと考えていました。ですが、現実的にはかなり時間がかかります。そこで、下院の議席を押さえることも当初から視野に入っていました。つまり、どちらの線も考えていて、実現の糸口が見えたところから攻略していこう、と。ですので、オールド・フォートの件に関しては方針の転換とも考えていません」
ガウェインはステファンに対し、その件に関しては正確に話しているようだ。ジュディはさらに踏み込んで、尋ねる。
「閣下はいずれ下院の方が今よりもさらに優勢になるだろうとお考えのようでした。より深く政策に関わるのであれば、下院にいた方が後々のためになるとステファンさん自身もお考えですか」
「そうですね。現在の貴族院は世襲制の貴族のみで構成されていて、いささか硬直化している。その点、建前とはいえ選挙を前提としている下院の方が、ひとの動きがあり民意が反映されやすい。この先選挙法を改正してより広く選挙権が行き渡れば、今よりも多様かつ優秀な人材が下院に集まるでしょう。貴族院は、これを押さえることができません」
淀みなく未来絵図を語る態度は堂々としたもので、故郷に帰れば彼は由緒正しき王族筋の青年なのだ、と深く納得させられる。連合国として頭を押さえられていなければ、王となる生き方もあったのかもしれない。
ジュディは、その風格に気圧されぬように居住まいを正し、なおも質問をした。
「貴族院より下院の方が優秀な人材が集まるのでは、貴族院を存続させる意味が問われるのでは? たとえば、無闇に叙爵《じょしゃく》をせずとも優秀な方に一代貴族として爵位を与え、貴族院に登用してひとの流れを作ったりはしないのでしょうか」
ジュディをまっすぐに見ていたステファンは、言い終えるのを待ち「それは現実的ではありませんね」とあっさりと切り捨てた。
「まず、当の世襲貴族議員たちが猛反対します。現状優秀な人間がいないから、一代貴族を連れてくるとはすなわち『お前らは無能だ』と世に知らしめるに等しい。さらに言えば、この国の貴族は、貴族である以上貴族らしい振る舞いが求められます。つまり、相応の財力を必要とするんです。ところが貴族院というのは無報酬が原則、他に収入のあてがなければなりません。優秀な庶民を発掘したところで、ただちに貴族院に登用すれば、本人の負担も計り知れないということです。議員活動の傍ら、破産するかも」
「では、現実的には下院議員の身分を確保した方が良いと……」
「その通りです。資金は必要ですが、時間もかかりません。特に、俺の目的は現在下院で議題に上っているバードランドの自治法案を通すことです。おそらく下院で通しても、貴族院で却下される。だけど、そこは貴族院議員の閣下に頑張ってもらうとして、俺は下院で根回しに動きます」
故郷の名を出されたことで、ジュディは顔を引き締める。軽口でも冗談でもなく、これはステファンにとって本気の話だ。ジュディは、覚悟を決めて尋ねた。
「バードランドの自治法案が通らなければ……」
ステファンはすっと瞑目をした。
目を見開いたときには、そこに強い光を宿していた。
「独立を求める国内の動きを抑えられなくなるかもしれません。連合国とバードランドの戦争になります。そのとき、宰相であると同時に陸軍長官であるジュール侯爵は、真っ先に陣頭に立つことになる。俺は国に帰り、バードランドの人間として生きて死ぬ。最悪のその事態を回避するために、現在の俺と閣下は手を結んでいます。この手を離さぬまま、どこまで行けるかはわかりません」
いまは手を取り合う二人が、状況が変われば戦場において雌雄を決する。
(「高い社会的地位は、義務を伴う」は、戦争においても当然発揮される……)
貴族の家系を遡れば、行き着くのはかつての騎士階級だ。戦場での武勲が叙爵に結びつき、いまの身分制度の基盤となっている。それは連綿と貴族の精神性として当たり前に受け継がれていて、ひとたび国が戦禍にのまれたときは率先して軍務に就き、命の限り戦うのが役目なのだ。
その未来において、二人は己の背負うものゆえに殺し合うことを避けられない。
「話してくださって、ありがとうございます。お二人の目的が、少しだけ見えてきました。私もそこに寄り添うことができれば」
精一杯の気持ちを告げようとしたジュディに対し、ステファンは相好を崩した。多くの女性の目を惹きつけてやまないであろう魅力的な笑顔で、明るい笑い声を響かせる。
「先生の役目は、まずフィリップス殿下の野望を根絶することです。王権を打倒すれば世情が不安定になり、国が荒れます。内戦のような状態も想定される。それを一時の犠牲、必要な痛みと見過ごすことはできません。痛みを強いられるのは弱き者だ。大義のために死ねと、王たる者が言うことは許されない」
賛成しか思い浮かばない話の運びに、ジュディはまさにその通りですね、と頷いて同意を示した。
料理が進んで終盤、デザートを食べているときにジュディはようやく聞きたかった話題を切り出した。
濃厚なチョコレートケーキに、熱いミルクティー。猫舌なのでお茶はそれとなく避けていたところ、ステファンに「ああ、先生猫ちゃんだった」と見透かしたように笑われてしまう。「アイスティーが流行ればいいのよ」と意趣返しにもならない返しをすると、ステファンは男性的なきっぱりとした眉と透き通るような水色の瞳を和ませ、口元に優しげな微笑を浮かべた。
「大人の俺にはその子ども舌はちょっとよくわからないですね。我慢して飲んでいるうちに飲めるようになるものですよ」
優雅な仕草でカップを持ち上げて、ためらうこともなく熱いお茶に口をつける。ジュディは素直に感心して称賛の気持ちを込めて言った。
「まさに大人の男ですね」
ごふ、と嫌な音を立ててステファンがむせる。咳き込みながら横を向いたときには、目にうっすらと涙が滲んでいた。見るからに苦しそうだった。
「飲んでいるときに話しかけてごめんなさい。変なところに入りました?」
「思いっきり。なにか俺に恨みでもあるんですか、一度の食事で何回俺を咳き込ませて呼吸を止めるんだこんなの先生じゃなきゃ許してないなって、思いました」
すらりと早口に答えたときには、すでに呼吸も整え涙も指で拭い去った後だった。
そこで改めて、ジュディは「議席の件ですが」と話を戻す。ステファンは「聞いています」と落ち着き払った態度で頷いた。
「俺の出自からすれば、貴族院の方が可能性は高いと考えていました。ですが、現実的にはかなり時間がかかります。そこで、下院の議席を押さえることも当初から視野に入っていました。つまり、どちらの線も考えていて、実現の糸口が見えたところから攻略していこう、と。ですので、オールド・フォートの件に関しては方針の転換とも考えていません」
ガウェインはステファンに対し、その件に関しては正確に話しているようだ。ジュディはさらに踏み込んで、尋ねる。
「閣下はいずれ下院の方が今よりもさらに優勢になるだろうとお考えのようでした。より深く政策に関わるのであれば、下院にいた方が後々のためになるとステファンさん自身もお考えですか」
「そうですね。現在の貴族院は世襲制の貴族のみで構成されていて、いささか硬直化している。その点、建前とはいえ選挙を前提としている下院の方が、ひとの動きがあり民意が反映されやすい。この先選挙法を改正してより広く選挙権が行き渡れば、今よりも多様かつ優秀な人材が下院に集まるでしょう。貴族院は、これを押さえることができません」
淀みなく未来絵図を語る態度は堂々としたもので、故郷に帰れば彼は由緒正しき王族筋の青年なのだ、と深く納得させられる。連合国として頭を押さえられていなければ、王となる生き方もあったのかもしれない。
ジュディは、その風格に気圧されぬように居住まいを正し、なおも質問をした。
「貴族院より下院の方が優秀な人材が集まるのでは、貴族院を存続させる意味が問われるのでは? たとえば、無闇に叙爵《じょしゃく》をせずとも優秀な方に一代貴族として爵位を与え、貴族院に登用してひとの流れを作ったりはしないのでしょうか」
ジュディをまっすぐに見ていたステファンは、言い終えるのを待ち「それは現実的ではありませんね」とあっさりと切り捨てた。
「まず、当の世襲貴族議員たちが猛反対します。現状優秀な人間がいないから、一代貴族を連れてくるとはすなわち『お前らは無能だ』と世に知らしめるに等しい。さらに言えば、この国の貴族は、貴族である以上貴族らしい振る舞いが求められます。つまり、相応の財力を必要とするんです。ところが貴族院というのは無報酬が原則、他に収入のあてがなければなりません。優秀な庶民を発掘したところで、ただちに貴族院に登用すれば、本人の負担も計り知れないということです。議員活動の傍ら、破産するかも」
「では、現実的には下院議員の身分を確保した方が良いと……」
「その通りです。資金は必要ですが、時間もかかりません。特に、俺の目的は現在下院で議題に上っているバードランドの自治法案を通すことです。おそらく下院で通しても、貴族院で却下される。だけど、そこは貴族院議員の閣下に頑張ってもらうとして、俺は下院で根回しに動きます」
故郷の名を出されたことで、ジュディは顔を引き締める。軽口でも冗談でもなく、これはステファンにとって本気の話だ。ジュディは、覚悟を決めて尋ねた。
「バードランドの自治法案が通らなければ……」
ステファンはすっと瞑目をした。
目を見開いたときには、そこに強い光を宿していた。
「独立を求める国内の動きを抑えられなくなるかもしれません。連合国とバードランドの戦争になります。そのとき、宰相であると同時に陸軍長官であるジュール侯爵は、真っ先に陣頭に立つことになる。俺は国に帰り、バードランドの人間として生きて死ぬ。最悪のその事態を回避するために、現在の俺と閣下は手を結んでいます。この手を離さぬまま、どこまで行けるかはわかりません」
いまは手を取り合う二人が、状況が変われば戦場において雌雄を決する。
(「高い社会的地位は、義務を伴う」は、戦争においても当然発揮される……)
貴族の家系を遡れば、行き着くのはかつての騎士階級だ。戦場での武勲が叙爵に結びつき、いまの身分制度の基盤となっている。それは連綿と貴族の精神性として当たり前に受け継がれていて、ひとたび国が戦禍にのまれたときは率先して軍務に就き、命の限り戦うのが役目なのだ。
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