55 / 104
第四章
定まらぬ未来の話
しおりを挟む
「ステファンさんの目的は貴族院だったみたいですが、閣下の思惑は少し違うようです。現在の方針について、お話し合いはされていますか?」
料理が進んで終盤、デザートを食べているときにジュディはようやく聞きたかった話題を切り出した。
濃厚なチョコレートケーキに、熱いミルクティー。猫舌なのでお茶はそれとなく避けていたところ、ステファンに「ああ、先生猫ちゃんだった」と見透かしたように笑われてしまう。「アイスティーが流行ればいいのよ」と意趣返しにもならない返しをすると、ステファンは男性的なきっぱりとした眉と透き通るような水色の瞳を和ませ、口元に優しげな微笑を浮かべた。
「大人の俺にはその子ども舌はちょっとよくわからないですね。我慢して飲んでいるうちに飲めるようになるものですよ」
優雅な仕草でカップを持ち上げて、ためらうこともなく熱いお茶に口をつける。ジュディは素直に感心して称賛の気持ちを込めて言った。
「まさに大人の男ですね」
ごふ、と嫌な音を立ててステファンがむせる。咳き込みながら横を向いたときには、目にうっすらと涙が滲んでいた。見るからに苦しそうだった。
「飲んでいるときに話しかけてごめんなさい。変なところに入りました?」
「思いっきり。なにか俺に恨みでもあるんですか、一度の食事で何回俺を咳き込ませて呼吸を止めるんだこんなの先生じゃなきゃ許してないなって、思いました」
すらりと早口に答えたときには、すでに呼吸も整え涙も指で拭い去った後だった。
そこで改めて、ジュディは「議席の件ですが」と話を戻す。ステファンは「聞いています」と落ち着き払った態度で頷いた。
「俺の出自からすれば、貴族院の方が可能性は高いと考えていました。ですが、現実的にはかなり時間がかかります。そこで、下院の議席を押さえることも当初から視野に入っていました。つまり、どちらの線も考えていて、実現の糸口が見えたところから攻略していこう、と。ですので、オールド・フォートの件に関しては方針の転換とも考えていません」
ガウェインはステファンに対し、その件に関しては正確に話しているようだ。ジュディはさらに踏み込んで、尋ねる。
「閣下はいずれ下院の方が今よりもさらに優勢になるだろうとお考えのようでした。より深く政策に関わるのであれば、下院にいた方が後々のためになるとステファンさん自身もお考えですか」
「そうですね。現在の貴族院は世襲制の貴族のみで構成されていて、いささか硬直化している。その点、建前とはいえ選挙を前提としている下院の方が、ひとの動きがあり民意が反映されやすい。この先選挙法を改正してより広く選挙権が行き渡れば、今よりも多様かつ優秀な人材が下院に集まるでしょう。貴族院は、これを押さえることができません」
淀みなく未来絵図を語る態度は堂々としたもので、故郷に帰れば彼は由緒正しき王族筋の青年なのだ、と深く納得させられる。連合国として頭を押さえられていなければ、王となる生き方もあったのかもしれない。
ジュディは、その風格に気圧されぬように居住まいを正し、なおも質問をした。
「貴族院より下院の方が優秀な人材が集まるのでは、貴族院を存続させる意味が問われるのでは? たとえば、無闇に叙爵《じょしゃく》をせずとも優秀な方に一代貴族として爵位を与え、貴族院に登用してひとの流れを作ったりはしないのでしょうか」
ジュディをまっすぐに見ていたステファンは、言い終えるのを待ち「それは現実的ではありませんね」とあっさりと切り捨てた。
「まず、当の世襲貴族議員たちが猛反対します。現状優秀な人間がいないから、一代貴族を連れてくるとはすなわち『お前らは無能だ』と世に知らしめるに等しい。さらに言えば、この国の貴族は、貴族である以上貴族らしい振る舞いが求められます。つまり、相応の財力を必要とするんです。ところが貴族院というのは無報酬が原則、他に収入のあてがなければなりません。優秀な庶民を発掘したところで、ただちに貴族院に登用すれば、本人の負担も計り知れないということです。議員活動の傍ら、破産するかも」
「では、現実的には下院議員の身分を確保した方が良いと……」
「その通りです。資金は必要ですが、時間もかかりません。特に、俺の目的は現在下院で議題に上っているバードランドの自治法案を通すことです。おそらく下院で通しても、貴族院で却下される。だけど、そこは貴族院議員の閣下に頑張ってもらうとして、俺は下院で根回しに動きます」
故郷の名を出されたことで、ジュディは顔を引き締める。軽口でも冗談でもなく、これはステファンにとって本気の話だ。ジュディは、覚悟を決めて尋ねた。
「バードランドの自治法案が通らなければ……」
ステファンはすっと瞑目をした。
目を見開いたときには、そこに強い光を宿していた。
「独立を求める国内の動きを抑えられなくなるかもしれません。連合国とバードランドの戦争になります。そのとき、宰相であると同時に陸軍長官であるジュール侯爵は、真っ先に陣頭に立つことになる。俺は国に帰り、バードランドの人間として生きて死ぬ。最悪のその事態を回避するために、現在の俺と閣下は手を結んでいます。この手を離さぬまま、どこまで行けるかはわかりません」
いまは手を取り合う二人が、状況が変われば戦場において雌雄を決する。
(「高い社会的地位は、義務を伴う」は、戦争においても当然発揮される……)
貴族の家系を遡れば、行き着くのはかつての騎士階級だ。戦場での武勲が叙爵に結びつき、いまの身分制度の基盤となっている。それは連綿と貴族の精神性として当たり前に受け継がれていて、ひとたび国が戦禍にのまれたときは率先して軍務に就き、命の限り戦うのが役目なのだ。
その未来において、二人は己の背負うものゆえに殺し合うことを避けられない。
「話してくださって、ありがとうございます。お二人の目的が、少しだけ見えてきました。私もそこに寄り添うことができれば」
精一杯の気持ちを告げようとしたジュディに対し、ステファンは相好を崩した。多くの女性の目を惹きつけてやまないであろう魅力的な笑顔で、明るい笑い声を響かせる。
「先生の役目は、まずフィリップス殿下の野望を根絶することです。王権を打倒すれば世情が不安定になり、国が荒れます。内戦のような状態も想定される。それを一時の犠牲、必要な痛みと見過ごすことはできません。痛みを強いられるのは弱き者だ。大義のために死ねと、王たる者が言うことは許されない」
賛成しか思い浮かばない話の運びに、ジュディはまさにその通りですね、と頷いて同意を示した。
料理が進んで終盤、デザートを食べているときにジュディはようやく聞きたかった話題を切り出した。
濃厚なチョコレートケーキに、熱いミルクティー。猫舌なのでお茶はそれとなく避けていたところ、ステファンに「ああ、先生猫ちゃんだった」と見透かしたように笑われてしまう。「アイスティーが流行ればいいのよ」と意趣返しにもならない返しをすると、ステファンは男性的なきっぱりとした眉と透き通るような水色の瞳を和ませ、口元に優しげな微笑を浮かべた。
「大人の俺にはその子ども舌はちょっとよくわからないですね。我慢して飲んでいるうちに飲めるようになるものですよ」
優雅な仕草でカップを持ち上げて、ためらうこともなく熱いお茶に口をつける。ジュディは素直に感心して称賛の気持ちを込めて言った。
「まさに大人の男ですね」
ごふ、と嫌な音を立ててステファンがむせる。咳き込みながら横を向いたときには、目にうっすらと涙が滲んでいた。見るからに苦しそうだった。
「飲んでいるときに話しかけてごめんなさい。変なところに入りました?」
「思いっきり。なにか俺に恨みでもあるんですか、一度の食事で何回俺を咳き込ませて呼吸を止めるんだこんなの先生じゃなきゃ許してないなって、思いました」
すらりと早口に答えたときには、すでに呼吸も整え涙も指で拭い去った後だった。
そこで改めて、ジュディは「議席の件ですが」と話を戻す。ステファンは「聞いています」と落ち着き払った態度で頷いた。
「俺の出自からすれば、貴族院の方が可能性は高いと考えていました。ですが、現実的にはかなり時間がかかります。そこで、下院の議席を押さえることも当初から視野に入っていました。つまり、どちらの線も考えていて、実現の糸口が見えたところから攻略していこう、と。ですので、オールド・フォートの件に関しては方針の転換とも考えていません」
ガウェインはステファンに対し、その件に関しては正確に話しているようだ。ジュディはさらに踏み込んで、尋ねる。
「閣下はいずれ下院の方が今よりもさらに優勢になるだろうとお考えのようでした。より深く政策に関わるのであれば、下院にいた方が後々のためになるとステファンさん自身もお考えですか」
「そうですね。現在の貴族院は世襲制の貴族のみで構成されていて、いささか硬直化している。その点、建前とはいえ選挙を前提としている下院の方が、ひとの動きがあり民意が反映されやすい。この先選挙法を改正してより広く選挙権が行き渡れば、今よりも多様かつ優秀な人材が下院に集まるでしょう。貴族院は、これを押さえることができません」
淀みなく未来絵図を語る態度は堂々としたもので、故郷に帰れば彼は由緒正しき王族筋の青年なのだ、と深く納得させられる。連合国として頭を押さえられていなければ、王となる生き方もあったのかもしれない。
ジュディは、その風格に気圧されぬように居住まいを正し、なおも質問をした。
「貴族院より下院の方が優秀な人材が集まるのでは、貴族院を存続させる意味が問われるのでは? たとえば、無闇に叙爵《じょしゃく》をせずとも優秀な方に一代貴族として爵位を与え、貴族院に登用してひとの流れを作ったりはしないのでしょうか」
ジュディをまっすぐに見ていたステファンは、言い終えるのを待ち「それは現実的ではありませんね」とあっさりと切り捨てた。
「まず、当の世襲貴族議員たちが猛反対します。現状優秀な人間がいないから、一代貴族を連れてくるとはすなわち『お前らは無能だ』と世に知らしめるに等しい。さらに言えば、この国の貴族は、貴族である以上貴族らしい振る舞いが求められます。つまり、相応の財力を必要とするんです。ところが貴族院というのは無報酬が原則、他に収入のあてがなければなりません。優秀な庶民を発掘したところで、ただちに貴族院に登用すれば、本人の負担も計り知れないということです。議員活動の傍ら、破産するかも」
「では、現実的には下院議員の身分を確保した方が良いと……」
「その通りです。資金は必要ですが、時間もかかりません。特に、俺の目的は現在下院で議題に上っているバードランドの自治法案を通すことです。おそらく下院で通しても、貴族院で却下される。だけど、そこは貴族院議員の閣下に頑張ってもらうとして、俺は下院で根回しに動きます」
故郷の名を出されたことで、ジュディは顔を引き締める。軽口でも冗談でもなく、これはステファンにとって本気の話だ。ジュディは、覚悟を決めて尋ねた。
「バードランドの自治法案が通らなければ……」
ステファンはすっと瞑目をした。
目を見開いたときには、そこに強い光を宿していた。
「独立を求める国内の動きを抑えられなくなるかもしれません。連合国とバードランドの戦争になります。そのとき、宰相であると同時に陸軍長官であるジュール侯爵は、真っ先に陣頭に立つことになる。俺は国に帰り、バードランドの人間として生きて死ぬ。最悪のその事態を回避するために、現在の俺と閣下は手を結んでいます。この手を離さぬまま、どこまで行けるかはわかりません」
いまは手を取り合う二人が、状況が変われば戦場において雌雄を決する。
(「高い社会的地位は、義務を伴う」は、戦争においても当然発揮される……)
貴族の家系を遡れば、行き着くのはかつての騎士階級だ。戦場での武勲が叙爵に結びつき、いまの身分制度の基盤となっている。それは連綿と貴族の精神性として当たり前に受け継がれていて、ひとたび国が戦禍にのまれたときは率先して軍務に就き、命の限り戦うのが役目なのだ。
その未来において、二人は己の背負うものゆえに殺し合うことを避けられない。
「話してくださって、ありがとうございます。お二人の目的が、少しだけ見えてきました。私もそこに寄り添うことができれば」
精一杯の気持ちを告げようとしたジュディに対し、ステファンは相好を崩した。多くの女性の目を惹きつけてやまないであろう魅力的な笑顔で、明るい笑い声を響かせる。
「先生の役目は、まずフィリップス殿下の野望を根絶することです。王権を打倒すれば世情が不安定になり、国が荒れます。内戦のような状態も想定される。それを一時の犠牲、必要な痛みと見過ごすことはできません。痛みを強いられるのは弱き者だ。大義のために死ねと、王たる者が言うことは許されない」
賛成しか思い浮かばない話の運びに、ジュディはまさにその通りですね、と頷いて同意を示した。
1
お気に入りに追加
419
あなたにおすすめの小説

アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
【電子書籍発売に伴い作品引き上げ】私が妻でなくてもいいのでは?
キムラましゅろう
恋愛
夫には妻が二人いると言われている。
戸籍上の妻と仕事上の妻。
私は彼の姓を名乗り共に暮らす戸籍上の妻だけど、夫の側には常に仕事上の妻と呼ばれる女性副官がいた。
見合い結婚の私とは違い、副官である彼女は付き合いも長く多忙な夫と多くの時間を共有している。その胸に特別な恋情を抱いて。
一方私は新婚であるにも関わらず多忙な夫を支えながら節々で感じる女性副官のマウントと戦っていた。
だけどある時ふと思ってしまったのだ。
妻と揶揄される有能な女性が側にいるのなら、私が妻でなくてもいいのではないかと。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
誤字脱字が罠のように点在します(断言)が、決して嫌がらせではございません(泣)
モヤモヤ案件ものですが、作者は元サヤ(大きな概念で)ハピエン作家です。
アンチ元サヤの方はそっ閉じをオススメいたします。
あとは自己責任でどうぞ♡
小説家になろうさんにも時差投稿します。

【完結】毒妹に婚約者を奪われ、廃嫡された私を拾ったのは隣国の王子でした
チンアナゴ🐬
恋愛
「もう、疲れた…」
シャーロットは自分の部屋でそう呟いた。
これは、妹に婚約者を奪われ、家族に捨てられたシャーロットが幸せになるまでのお話。
腹黒宰相との白い結婚
黎
恋愛
大嫌いな腹黒宰相ロイドと結婚する羽目になったランメリアは、条件をつきつけた――これは白い結婚であること。代わりに側妻を娶るも愛人を作るも好きにすればいい。そう決めたはずだったのだが、なぜか、周囲が全力で溝を埋めてくる。

当て馬令嬢と当て馬騎士の恋
鳥花風星
恋愛
令嬢エレノアは幼馴染のアンドレを好きだったが、アンドレにはアリスという思い人がいた。アンドレはアリスを安心させるため、エレノアに面と向かって「妹としか思っていない。君も俺を兄のようにしか思っていないだろう?」と口にする。
自分はアンドレとアリスの当て馬でしかないと思ったエレノアは、ヤケになって仮面をつけて参加する夜会に来ていた。そこでエレノアは強引な男性に連れ去らわれそうになったが、黒髪の仮面の男性に助けられて……。
当て馬令嬢と当て馬騎士は、当て馬同士恋心を抱く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる