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第二章
探り探られ
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「さて。その服装、閣下も潜入がてら何かお仕事なさっていたのでは? いつまでもここでサボっているわけにはいきません。早く行きましょう!」
と言って「はい」との同意を取り付けて小走りに戻ろうとしたところで、背後のガウェインから袖を掴まれた。
「え?」
きょとんとしてジュディが振り返ると、ガウェイン自身、自分の挙動に驚いたようで、ぱっと手を離す。
それから、早口で言った。
「あなたは、そのまま戻らない方が良いです。さきほど、公爵さまにずいぶんと目新しいご提案をなさったと聞きました。しかし、新しい飲み物をゲストの皆さんに受け入れて頂くためには、率先して美味しそうに飲むひとが必要です」
「それは公爵さまが」
言いかけて、ジュディは口をつぐむ。
(公爵さまというのは本来、黒を白だと言い張れば白にしてしまえるほどの権力をお持ちで、熱いお茶も冷めたお茶も「お茶はお茶だ」と言ってしまえば皆さん逆らえないとしても、納得できるかは別問題だわ。この場は凌《しの》げても……)
ジュディの躊躇いを見越していたかのように、ガウェインはたたみかけてきた。
「その役目、ジュディが適任かと。若く美しく流行にも敏感そうな女性がこれこそまさに最先端だと言えば、年配のご婦人方も一顧《いっこ》だにしないわけにはいかなくなる」
若く美しいと言われて、ジュディはハッと息を呑んだ。そういう人物を知っている。いま、目の前にいる。
「それなら宰相閣下こそ適任ではないですか? 『これが出世の秘訣、実は以前から愛飲していた』と皆様の前でぽろりをすれば、男性陣が放っておかないと思います!!」
ここぞとばかりにお互い胸に秘めていた讃辞を送りあったところで、ターゲット層がきれいに分かれたことに二人同時に気づいた。
時間に猶予はなく、これ以上言い合っている暇はない。
ガウェインは「わかった。俺は男性の攻略に務める。君には女性を任せた」と英断を告げて、足早に歩きながらジュディに視線を向けて言った。
「必要になるかもしれないと思って、君のために作らせたドレスをいくつか運んでおきました。いつもの落ち着いたドレスとは雰囲気が違うものですが、似合うと思います。ちょうどこういった席向けの、華やかな色を選びました」
四の五の言っている場合ではないと、ジュディは「わかりました。それで」とすみやかに返答をした。
* * *
「という経緯があって、宰相閣下にご用意して頂いたドレスを着て参りました。言い出した宰相閣下もあそこで、アイスティーを普及させるべく出世の秘訣を皆さんに漏らしているんだと思います」
あんなにひとを集められるなんて、さすがですね、とジュディは笑顔のままガウェインの立ち回りを見つめていた。
爽やかで隙のない笑みを浮かべたガウェインは、紳士たちに向かって一言、二言短めに何か言う。辺りがどっと沸き立つ中、ガウェインは悠々とお茶のカップに口をつけ、やわらかい表情で話し始めた。
遠い目をして見るとはなしに見ていたステファンは、吐息とともに呟く。
「男性の攻略得意ですからね、宰相閣下は。良い役割分担だと思います。あなたを他の男に近づけるくらいなら自分が、といったところでしょう。そのまま食われてしまえ、お前が」
「食べられ? 閣下がですか?」
「独り言です。こういうときは聞かなかったふりをするものですよ、先生。わかりました、あの場は閣下に任せて我々も各自やるべき仕事を。ああ、でも待ってください。その髪は少し直しましょう」
言うなり、ステファンはお盆を近場のテーブルに置いた。
バラの茂みに近づいて手を差し入れ、何本か手折るとジュディの元へと戻ってくる。背後に立って、手際よく髪にバラを飾り付けた。
会話の流れで意図は伝わっていたのだろう、抵抗こそなかったが、ジュディはひどく緊張しているようだった。肩から背中にかけて、ずいぶん力が入っているように見える。恐怖心の現れか。
(アリンガム子爵……)
胃の腑が冷えるような不快感を覚えつつ、指先だけは丁寧に花を髪にあしらい、手を離す。
「終わりましたよ。どこからどう見ても、今日のあなたは花の妖精だ」
変な虫が寄ってこないように気をつけてと、いつもなら当たり前に添える言葉を言えずに飲み込む。彼女に虫を近づけさせた自分が、どの面下げてそんなことを言うのだ、という負い目のせいだ。
ジュディは軽く髪に触れると、ステファンを見上げてにこりと笑った。
「器用ですね。なんでもできてしまうみたい。あるときは用心棒、あるときは使用人。その実公爵家の縁続きで、宰相閣下の腹心のあなたは、何者なんでしょう」
前触れなく素性に探りを入れられ、ステファンは警戒心のまま、反射的に笑顔で答える。
「女が男から情報を引き出すには、枕元に侍《はべ》って甘えながら良い気分にさせてからと、古来より決まっているものですよ。試してみます?」
言ってしまってから、馬鹿、と自分を詰《なじ》った。さすがにいまこのタイミングで言う冗談ではない。しかし、ジュディはすでにヒースコートの一件からは立ち直ったのか、傷ついた様子を一切見せずに、余裕すら感じさせる表情で返してきた。
「それはスパイ行為が必要な場合の常套手段ですよね。身内に仕掛けてどうするんです? それとも、閣下に対して裏切りを企《くわだ》てているのは実はあなた自身なのでしょうか。それを隠すために、私と元夫が手を組んでいるのではと讒言《ざんげん》したということですか?」
存外にしたたかで、手抜かりもなく核心をついてくる。青い瞳には、下手な嘘など通じない強さがあった。
(そうだ。先生は、こういう侮れないところがある。まだ下手に手の内を明かすわけにはいかない。たとえ敵ではないにしても)
ステファンは「まさか」とどうとでも取れる軽さで答え、遠くに視線を投げかけた。そして、ジュディに囁きの声で告げた。
「宰相閣下も頑張っていますし、殿下もどこかで働いているはず。まずは乗り切りましょう、このイベントを」
と言って「はい」との同意を取り付けて小走りに戻ろうとしたところで、背後のガウェインから袖を掴まれた。
「え?」
きょとんとしてジュディが振り返ると、ガウェイン自身、自分の挙動に驚いたようで、ぱっと手を離す。
それから、早口で言った。
「あなたは、そのまま戻らない方が良いです。さきほど、公爵さまにずいぶんと目新しいご提案をなさったと聞きました。しかし、新しい飲み物をゲストの皆さんに受け入れて頂くためには、率先して美味しそうに飲むひとが必要です」
「それは公爵さまが」
言いかけて、ジュディは口をつぐむ。
(公爵さまというのは本来、黒を白だと言い張れば白にしてしまえるほどの権力をお持ちで、熱いお茶も冷めたお茶も「お茶はお茶だ」と言ってしまえば皆さん逆らえないとしても、納得できるかは別問題だわ。この場は凌《しの》げても……)
ジュディの躊躇いを見越していたかのように、ガウェインはたたみかけてきた。
「その役目、ジュディが適任かと。若く美しく流行にも敏感そうな女性がこれこそまさに最先端だと言えば、年配のご婦人方も一顧《いっこ》だにしないわけにはいかなくなる」
若く美しいと言われて、ジュディはハッと息を呑んだ。そういう人物を知っている。いま、目の前にいる。
「それなら宰相閣下こそ適任ではないですか? 『これが出世の秘訣、実は以前から愛飲していた』と皆様の前でぽろりをすれば、男性陣が放っておかないと思います!!」
ここぞとばかりにお互い胸に秘めていた讃辞を送りあったところで、ターゲット層がきれいに分かれたことに二人同時に気づいた。
時間に猶予はなく、これ以上言い合っている暇はない。
ガウェインは「わかった。俺は男性の攻略に務める。君には女性を任せた」と英断を告げて、足早に歩きながらジュディに視線を向けて言った。
「必要になるかもしれないと思って、君のために作らせたドレスをいくつか運んでおきました。いつもの落ち着いたドレスとは雰囲気が違うものですが、似合うと思います。ちょうどこういった席向けの、華やかな色を選びました」
四の五の言っている場合ではないと、ジュディは「わかりました。それで」とすみやかに返答をした。
* * *
「という経緯があって、宰相閣下にご用意して頂いたドレスを着て参りました。言い出した宰相閣下もあそこで、アイスティーを普及させるべく出世の秘訣を皆さんに漏らしているんだと思います」
あんなにひとを集められるなんて、さすがですね、とジュディは笑顔のままガウェインの立ち回りを見つめていた。
爽やかで隙のない笑みを浮かべたガウェインは、紳士たちに向かって一言、二言短めに何か言う。辺りがどっと沸き立つ中、ガウェインは悠々とお茶のカップに口をつけ、やわらかい表情で話し始めた。
遠い目をして見るとはなしに見ていたステファンは、吐息とともに呟く。
「男性の攻略得意ですからね、宰相閣下は。良い役割分担だと思います。あなたを他の男に近づけるくらいなら自分が、といったところでしょう。そのまま食われてしまえ、お前が」
「食べられ? 閣下がですか?」
「独り言です。こういうときは聞かなかったふりをするものですよ、先生。わかりました、あの場は閣下に任せて我々も各自やるべき仕事を。ああ、でも待ってください。その髪は少し直しましょう」
言うなり、ステファンはお盆を近場のテーブルに置いた。
バラの茂みに近づいて手を差し入れ、何本か手折るとジュディの元へと戻ってくる。背後に立って、手際よく髪にバラを飾り付けた。
会話の流れで意図は伝わっていたのだろう、抵抗こそなかったが、ジュディはひどく緊張しているようだった。肩から背中にかけて、ずいぶん力が入っているように見える。恐怖心の現れか。
(アリンガム子爵……)
胃の腑が冷えるような不快感を覚えつつ、指先だけは丁寧に花を髪にあしらい、手を離す。
「終わりましたよ。どこからどう見ても、今日のあなたは花の妖精だ」
変な虫が寄ってこないように気をつけてと、いつもなら当たり前に添える言葉を言えずに飲み込む。彼女に虫を近づけさせた自分が、どの面下げてそんなことを言うのだ、という負い目のせいだ。
ジュディは軽く髪に触れると、ステファンを見上げてにこりと笑った。
「器用ですね。なんでもできてしまうみたい。あるときは用心棒、あるときは使用人。その実公爵家の縁続きで、宰相閣下の腹心のあなたは、何者なんでしょう」
前触れなく素性に探りを入れられ、ステファンは警戒心のまま、反射的に笑顔で答える。
「女が男から情報を引き出すには、枕元に侍《はべ》って甘えながら良い気分にさせてからと、古来より決まっているものですよ。試してみます?」
言ってしまってから、馬鹿、と自分を詰《なじ》った。さすがにいまこのタイミングで言う冗談ではない。しかし、ジュディはすでにヒースコートの一件からは立ち直ったのか、傷ついた様子を一切見せずに、余裕すら感じさせる表情で返してきた。
「それはスパイ行為が必要な場合の常套手段ですよね。身内に仕掛けてどうするんです? それとも、閣下に対して裏切りを企《くわだ》てているのは実はあなた自身なのでしょうか。それを隠すために、私と元夫が手を組んでいるのではと讒言《ざんげん》したということですか?」
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(そうだ。先生は、こういう侮れないところがある。まだ下手に手の内を明かすわけにはいかない。たとえ敵ではないにしても)
ステファンは「まさか」とどうとでも取れる軽さで答え、遠くに視線を投げかけた。そして、ジュディに囁きの声で告げた。
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