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第二章
線路は続く
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「金の亡者どもがうつくしき自然を破壊する
汝は金と引き換えに、この水と空、山と大地を奴らに引き渡すのか?
平和を訴え
我が怒りに呼応せよ
ひとが死に絶えた後にもこの地には風が吹く
風の精がうるわしの緑を駆け抜けて踊るか
荒れ果てた瓦礫の間を陰鬱な顔をして通り過ぎるのか
決めるのは汝らである」
目的地である湖水地方まで、王都から高速鉄道で約四時間。
ガウェインの指示に従い、ジュディが発車間際の特別車両に乗り込めば、すでにそこにはフィリップスが待ち構えていた。
貴賓席とはかくやという豪奢な内装で、天井にはシャンデリア、白磁の大壺には大輪の花が飾られ、精緻な織模様の絨毯が敷かれている。とても電車内とは思えない調度品が揃えられた中で、フィリップスはソファに深く座り、窓の向こうを通り過ぎていく景色を見ながら、ふと詩を諳《そら》んじた。
清涼感のある美声が、車輪の奏でる音にも負けずに響き渡る。
フィリップスは、やや離れた位置で、背を伸ばしてソファに座っていたジュディに視線をちらりと流してきて、「知っているか?」と尋ねてきた。
ジュディは口角をあげて「はい」と明瞭な声で返事をした。
「詩人デール・カータレットの檄ですね。鉄道が湖水地方の入り口、アルズウォーターまで延ばされる計画が出た際に、美しい自然を魔の手から守れ、と世間に呼びかけたときのものです」
鉄道がこの国の各地へ、次々と張り巡らされた頃の出来事である。
(その詩をご存知なのは殿下のお勉強の成果として、私に何をふっかけてくるおつもりなのでしょうか)
身構える。
車両には他に、ステファンが控えているのみ。王族が乗車ということもあって、鉄道会社の関係者から出掛けに付き添いの申し出はあったが、ステファンがすげなくすべて「間に合っております」と断り倒していた。
フィリップスは、にやにやとジュディを見つめて言った。
「鉄道というのは便利なものだ。移動時間が、段違いだし、多くのひとを一度に運べる。車両に差をつけて安い切符を設定し、庶民へ売りさばくことができるからな。庶民は都市に仕事があると信じて、故郷を捨てて移動を始める。うるわしの田園風景の中から、汚泥にまみれた都会の薄暗いスラムへと。そこの生活がどれほど悲惨なものかも知らぬまま」
まるで、鉄道の発達によって、多くの庶民が騙されたと言わんばかりである。
ジュディは、ふっと大きく息を吸った。教育係として、どこから何を話し始めるべきかしら? と知識を浚《さら》い、記憶をひっくり返しつつ、口を開く。
「湖水地方へ鉄道が参入するのを憎悪したデール・カータレットですが、その鉄道会社とはべつの会社の鉄道株を保有していたことを指摘され、認めています。本人も著作やインタビューの中で、『鉄道そのものは悪くない』と明言しています。自分が思索にふけるアルズウォーターには来てほしくなかっただけ、と」
鉄道への怒りを叫んだ詩人は、全面的な反対などしておらず、それどころか鉄道の普及に一枚噛んでいたのだ。その事実を思えば、開発と自然破壊の旗印として、かの詩人の名を挙げても説得力に欠ける。ジュディの指摘は、そこをついた形だ。
さらに、先回りをするように毅然として続けた。
「普段の言動から、殿下が王侯貴族を蛇蝎《だかつ》のごとく嫌っているのは存じ上げておりますが、この状態を後押ししたのは、貴族階級よりもむしろブルジョワ階級です。彼らはそれが、個人の幸福のためになると確信して推し進めました」
「何が言いたい?」
剣呑な調子で言い返されたが、黙れと遮られなかったことで、ジュディは勢いづいて言った。
「なぜ庶民が鉄道の切符に手が届くかと言えば、安いからです。なぜ安くなったかといえば、競争の原理が働いているからに他なりません。まず、鉄道の草創期は線路を伸ばせば伸ばすほど、収入になりました。その路線の客を独占できるからです。このとき切符は、高級品でした。しかし、儲けがそこにあるならば、別の会社が参入してくるのが世の常。その競争が電車そのものを発達させ、なおかつ各社は客を引き込むために値下げも敢行しました。これは政府が手を出すまでもなく、起こるべくして起こったことです」
競争の原理至上主義は、伝統的な貴族的な方針とはいささか違っている。
それを良しとしたのは、技術革新のためにしのぎを削る競争を必要とした者たちであり、工業化の促進のために国中の安い労働力を呼び寄せ、集約する必要があった者たちである。
ダメ押しのように、ジュディは言い添えた。
「政府議会において、行き過ぎた競争に対しては貴族院が疑義を呈していたはずです。領民の流出は彼らにとって大きな問題でありますし、社会においてもいずれ淘汰がはじまり、弱い会社は次々に倒れ、急速な衰退が予想されるのは問題だからです。しかし、ブルジョワ階級と結びついている庶民院はこれをはねつけました。以上のことを、殿下においてはよくお考えいただきたく存じます。都市の一部スラム化、庶民の貧困を引き起こしている理由を、貴族階級の横暴に求めることはできません」
珍しくジュディの話に真摯な態度で耳を傾けていたフィリップスは、麗々しい美貌に苦笑いを広げて呟いた。
「本当に、お前のような女をガウェインはどこで見つけてきたんだろうな。ずいぶんと物知りだ。それとも貴族の女というのは、皆そうなのか?」
「それは殿下の方がご存知ではありませんの? 私、こう見えて交際範囲がさほど広くないもので、自分以外の貴族女性に詳しいわけではないんです」
まったく他意なく、ジュデイは思い浮かんだことを素直に口にした。
(世継ぎの王太子殿下ですもの。婚約者候補としてのご令嬢方が、周りにたくさんいらっしゃるでしょう。それこそ、ベッドに送り込まれてくるお嬢さんがいても不思議はないわ)
その辺はどうなっているのかしら? と思いを馳せていたところで、フィリップスが明るい笑い声を弾けさせた。
「『こう見えて』も何も、べつに意外ではない。お前は友達が少なそうだ」
貶める意図を感じたが、ジュディは余裕の笑みを浮かべたまますかさず言い返した。
「私はひとりひとりを大切にしたお付き合いをしますからね。数ではありませんのよ、友というのは」
「なるほど? それはまあ、悪くないな。実に悪くない。信頼できる友がひとりいれば、それだけで人間は生きていけると、俺の友が言っていた」
その、友とは。
(それは殿下が、思想的に慕っている相手のことですか?)
思わず身を乗り出して聞きそうになったが、ステファンによって話を中断させられた。
「道中用に、美味しいものたくさん持ってきたんです。議論に疲れた頃合いかと思いますので、何か少し召し上がっては?」
いりません、とジュディが断ることはできない。自分がお腹を空いていないといっても、ここはフィリップスが優先されるところである。
フィリップスが「そこに並べてくれ」とテーブルを示したことで、この場での話し合いは一時中断となった。
ステファンが手際よく用意してくれた軽食からブランマンジェと白ワインを受け取り、ジュディは改めて今回の指令について質問をした。
「目的地と具体的に何をすべきかについて、まだお伺いしていません」
それに対して、ステファンはこともなげに答えた。
「資金繰りが厳しくなったことで、ご自宅の城でガイドツアーを開催し、観光客に城内を公開する事業に踏み切った公爵閣下のお手伝いです。仕事としては城ガイドに、カフェ・レストラン、そして宿泊のホテル部門。やることがたくさんあるそうですよ」
それを、殿下と私がですか? そう尋ねる以前に、いまのは聞き間違いかとジュディは首を傾げてしまった。
(城の観光地化と言いましたか? その相手は貴族ですか、それとももしかして庶民ですか? 公爵様が?)
予想外の返答に、さらに踏み込んだことをジュディが尋ねようとすると、ステファンは「詳しいことは着いてからにしましょう。話すより見た方が早いです」と愛想よく言った。
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清涼感のある美声が、車輪の奏でる音にも負けずに響き渡る。
フィリップスは、やや離れた位置で、背を伸ばしてソファに座っていたジュディに視線をちらりと流してきて、「知っているか?」と尋ねてきた。
ジュディは口角をあげて「はい」と明瞭な声で返事をした。
「詩人デール・カータレットの檄ですね。鉄道が湖水地方の入り口、アルズウォーターまで延ばされる計画が出た際に、美しい自然を魔の手から守れ、と世間に呼びかけたときのものです」
鉄道がこの国の各地へ、次々と張り巡らされた頃の出来事である。
(その詩をご存知なのは殿下のお勉強の成果として、私に何をふっかけてくるおつもりなのでしょうか)
身構える。
車両には他に、ステファンが控えているのみ。王族が乗車ということもあって、鉄道会社の関係者から出掛けに付き添いの申し出はあったが、ステファンがすげなくすべて「間に合っております」と断り倒していた。
フィリップスは、にやにやとジュディを見つめて言った。
「鉄道というのは便利なものだ。移動時間が、段違いだし、多くのひとを一度に運べる。車両に差をつけて安い切符を設定し、庶民へ売りさばくことができるからな。庶民は都市に仕事があると信じて、故郷を捨てて移動を始める。うるわしの田園風景の中から、汚泥にまみれた都会の薄暗いスラムへと。そこの生活がどれほど悲惨なものかも知らぬまま」
まるで、鉄道の発達によって、多くの庶民が騙されたと言わんばかりである。
ジュディは、ふっと大きく息を吸った。教育係として、どこから何を話し始めるべきかしら? と知識を浚《さら》い、記憶をひっくり返しつつ、口を開く。
「湖水地方へ鉄道が参入するのを憎悪したデール・カータレットですが、その鉄道会社とはべつの会社の鉄道株を保有していたことを指摘され、認めています。本人も著作やインタビューの中で、『鉄道そのものは悪くない』と明言しています。自分が思索にふけるアルズウォーターには来てほしくなかっただけ、と」
鉄道への怒りを叫んだ詩人は、全面的な反対などしておらず、それどころか鉄道の普及に一枚噛んでいたのだ。その事実を思えば、開発と自然破壊の旗印として、かの詩人の名を挙げても説得力に欠ける。ジュディの指摘は、そこをついた形だ。
さらに、先回りをするように毅然として続けた。
「普段の言動から、殿下が王侯貴族を蛇蝎《だかつ》のごとく嫌っているのは存じ上げておりますが、この状態を後押ししたのは、貴族階級よりもむしろブルジョワ階級です。彼らはそれが、個人の幸福のためになると確信して推し進めました」
「何が言いたい?」
剣呑な調子で言い返されたが、黙れと遮られなかったことで、ジュディは勢いづいて言った。
「なぜ庶民が鉄道の切符に手が届くかと言えば、安いからです。なぜ安くなったかといえば、競争の原理が働いているからに他なりません。まず、鉄道の草創期は線路を伸ばせば伸ばすほど、収入になりました。その路線の客を独占できるからです。このとき切符は、高級品でした。しかし、儲けがそこにあるならば、別の会社が参入してくるのが世の常。その競争が電車そのものを発達させ、なおかつ各社は客を引き込むために値下げも敢行しました。これは政府が手を出すまでもなく、起こるべくして起こったことです」
競争の原理至上主義は、伝統的な貴族的な方針とはいささか違っている。
それを良しとしたのは、技術革新のためにしのぎを削る競争を必要とした者たちであり、工業化の促進のために国中の安い労働力を呼び寄せ、集約する必要があった者たちである。
ダメ押しのように、ジュディは言い添えた。
「政府議会において、行き過ぎた競争に対しては貴族院が疑義を呈していたはずです。領民の流出は彼らにとって大きな問題でありますし、社会においてもいずれ淘汰がはじまり、弱い会社は次々に倒れ、急速な衰退が予想されるのは問題だからです。しかし、ブルジョワ階級と結びついている庶民院はこれをはねつけました。以上のことを、殿下においてはよくお考えいただきたく存じます。都市の一部スラム化、庶民の貧困を引き起こしている理由を、貴族階級の横暴に求めることはできません」
珍しくジュディの話に真摯な態度で耳を傾けていたフィリップスは、麗々しい美貌に苦笑いを広げて呟いた。
「本当に、お前のような女をガウェインはどこで見つけてきたんだろうな。ずいぶんと物知りだ。それとも貴族の女というのは、皆そうなのか?」
「それは殿下の方がご存知ではありませんの? 私、こう見えて交際範囲がさほど広くないもので、自分以外の貴族女性に詳しいわけではないんです」
まったく他意なく、ジュデイは思い浮かんだことを素直に口にした。
(世継ぎの王太子殿下ですもの。婚約者候補としてのご令嬢方が、周りにたくさんいらっしゃるでしょう。それこそ、ベッドに送り込まれてくるお嬢さんがいても不思議はないわ)
その辺はどうなっているのかしら? と思いを馳せていたところで、フィリップスが明るい笑い声を弾けさせた。
「『こう見えて』も何も、べつに意外ではない。お前は友達が少なそうだ」
貶める意図を感じたが、ジュディは余裕の笑みを浮かべたまますかさず言い返した。
「私はひとりひとりを大切にしたお付き合いをしますからね。数ではありませんのよ、友というのは」
「なるほど? それはまあ、悪くないな。実に悪くない。信頼できる友がひとりいれば、それだけで人間は生きていけると、俺の友が言っていた」
その、友とは。
(それは殿下が、思想的に慕っている相手のことですか?)
思わず身を乗り出して聞きそうになったが、ステファンによって話を中断させられた。
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いりません、とジュディが断ることはできない。自分がお腹を空いていないといっても、ここはフィリップスが優先されるところである。
フィリップスが「そこに並べてくれ」とテーブルを示したことで、この場での話し合いは一時中断となった。
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「目的地と具体的に何をすべきかについて、まだお伺いしていません」
それに対して、ステファンはこともなげに答えた。
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