10 / 104
第一章
一貫性なるもの
しおりを挟む
どうあっても簡単には変えられない顔つき、そのひとが身にまとう雰囲気。
たとえばそれは、王侯貴族の場合は「気品」という言葉で表されたりする。
(殿下、全然変装できていないです……!)
王宮を後にし、ガウェインに心当たりとして示された一軒のパブに足を踏み入れてすぐに、ジュディはフィリップスを見つけた。
とにかく、目立つ。
グラス片手に立ったまま機嫌良さそうに誰かに話しかけ、弾けるような笑い声を響かせている、その横顔。
どこかで着替えを済ませたようで、チェックのネルシャツに古ぼけたジャケットを羽織っているが、輝く金髪と人の目を引き付ける美貌が際立っていた。薄暗く紫煙漂う店内でも、そこだけが光を浴びているかのように、空気すら澄んで見える。
美しいのだ。
見る者が見れば、ひとめでわかるだろう。彼は特別な存在なのだ、と。
「どうします?」
こそっと、ジュディに耳打ちをする者がいる。
ジュディと一緒に王子追跡で動いている王宮勤めの青年、ステファン。ガウェインは外せない用事があったために、共に出て来ることができなかったので、その代わりでもある。
ガウェインは、王子の対応をジュディに一任すると明言した。
――王宮から抜け出すこと自体は、今まで何度もしています。説得は聞きませんし、強硬策に出れば、今以上に頑《かたく》なになるでしょう。その点、あなたはまだ殿下にとって「新鮮」な相手です。我々がこれまでしてきたのとは、違う対応を期待しています。もちろん、殿下とあなたが危ない目に合わないように、私の方でもいくつか手を打っておきましょう。
そして、ステファンを紹介されたのだ。
見事な赤毛に透き通る水色の瞳。そのまなざしには華やかな色気が漂い、鼻筋はすうっと通っている。口元には、まるで旧知の相手を前にしたような、気さくな笑みが浮かんでいた。
その唇が開き、やわらかな声で名乗られた。
――ステファン・マッケンシーです。先生のことは、閣下から聞いております。今日はよろしくお願いします。
長身のガウェインと並んでも、さらに上背があった。
さほど鋭くないジュディも、声を耳にしてしまえば、外見のイメージともあいまって、ピンときた。
この方、きっとかなり名うての遊び人だわ、と。
ステファンもまた、王宮外に出る心づもりでいたようで、出会ったその場面ですでに庶民風の服装をしていた。
彼のその話しぶりには、貴族階級とわかる雰囲気がたしかにあるのに、外見的には庶民らしさもしっかり出ている。
それを見て、ジュディは変装の妙に感心してしまった。
(お忍びのなんたるかを、心得ていそうな方。それこそ、悪い遊びをお教えする感覚で、殿下に脱走の手ほどきでもなさったのではと、考えてしまいそうになるわ)
その後、移動のためろくに話す時間も持てぬまま、二人でひとまずパブまで直行した。そこで目の当たりにしたフィリップスの佇まいに、ジュディは考えを改めた。
全然変装できていない。ステファンが指導したのなら、下手過ぎる、と。
ジュディたちは、あまり目立たぬように、パブの内壁沿いに店内を移動し始めた。
そのとき、グラスが床に叩きつけられて割れる音が響いた。
いくつもの視線が向かう先には、フィリップスが立っている。
ざわめきを縫うようにして、フィリップスの明瞭な声があたりを静まり返らせた。
* * *
「やめろ。汚い手で、子どもにさわるな」
グラスを手放したフィリップスが、給仕らしいエプロンをつけた女の子を背にかばうようにして、自分よりも体格のいい男と向き合っていた。
先程までの笑顔は消え失せていて、ひどく鋭い顔つきになっている。
「喧嘩?」
ジュディが小声で呟くと、肩が触れるほどに寄り添ったステファンが、身を屈めて耳元に囁きかけてきた。
「あの男が、少女に手を出そうとしたようです。体に触れようとしたというより、抱きついたように見えました。すぐに、殿下が割って入りました」
ジュディが目を離した一瞬の出来事を、ステファンはよく見ていたらしい。ジュディは頷くにとどめ、余計な軽口を叩くことなくフィリップスの様子を見た。
(身分も立場のある人間として、ご自身を危険にさらすのは手放しで褒められたことではないとしても……。ここで目の前の悪事を見過ごさないと言うのなら、それは弱者救済を掲げ、「正義」であろうとしている殿下の一貫性として、認めるべき部分だわ)
少なくとも彼の理想は、口先だけではないのだと。
「なんだお前、男のくせにずいぶんと綺麗な顔をしてるな。お嬢ちゃんかと思ったじゃねえか。かっこつけたい年頃かもしれねえが、余計なことには首つっこまねえ方がいいぞ。怪我するぜぇ」
野太い胴間声が、恫喝めいた内容をまくしたてる。そして、盛大な笑い声。
間近でその嘲笑を浴びせかけられたフィリップスは、怯えるどころか、瞳に煌めきを浮かべ、それを目にした者の胸に焼き付くほどに鮮やかな笑みを浮かべていた。
「どこに目をつけている。俺のどのへんがお嬢ちゃんだって? カスが」
うっ、とジュディは息を呑んだ。
(一貫性の権化だわ……!)
まさしく彼は、ジュディを豚呼ばわりした、高貴なる正義漢である。あのときとまったく変わらぬ傲岸不遜そのものの態度で、大の男を煽っているのであった。
彼は、たとえそこに聴衆がいようがいまいが、変わらないのではないか。
その意味では、誰かに正義だと認められたくて、そう見えるような振る舞いをしているわけではなく――
ただ己の信じるところのために、正義であろうとしているように、ジュディには見えた。
「先生。ここで止めますか。それとも、殿下が殴られるまで見ておきますか」
横から、ステファンが容赦の無い二択をつきつけてくる。その結論ありきも納得できるほどに、体格的にも場数を踏んでいる経験値的にも若いフィリップスが劣勢に見えた。放っておけば、殴られて大怪我をするかもしれない。
「そうですね――」
即座に、決めかねる。
(殴られるわけにはいかないけど、殿下の覚悟のほどというのも、知っておきたい。絶対に、ここで殴られるわけにはいかないんだけど……!)
止めてしまえば追跡もバレる。このあと誰かと会う予定があったとしても、尻尾を捕まえることができない。
思案しながら、決断を先送りするようにジュディが呟いたとき、鈍い打撃音と悲鳴が店内を突き抜けるように響き渡った。
たとえばそれは、王侯貴族の場合は「気品」という言葉で表されたりする。
(殿下、全然変装できていないです……!)
王宮を後にし、ガウェインに心当たりとして示された一軒のパブに足を踏み入れてすぐに、ジュディはフィリップスを見つけた。
とにかく、目立つ。
グラス片手に立ったまま機嫌良さそうに誰かに話しかけ、弾けるような笑い声を響かせている、その横顔。
どこかで着替えを済ませたようで、チェックのネルシャツに古ぼけたジャケットを羽織っているが、輝く金髪と人の目を引き付ける美貌が際立っていた。薄暗く紫煙漂う店内でも、そこだけが光を浴びているかのように、空気すら澄んで見える。
美しいのだ。
見る者が見れば、ひとめでわかるだろう。彼は特別な存在なのだ、と。
「どうします?」
こそっと、ジュディに耳打ちをする者がいる。
ジュディと一緒に王子追跡で動いている王宮勤めの青年、ステファン。ガウェインは外せない用事があったために、共に出て来ることができなかったので、その代わりでもある。
ガウェインは、王子の対応をジュディに一任すると明言した。
――王宮から抜け出すこと自体は、今まで何度もしています。説得は聞きませんし、強硬策に出れば、今以上に頑《かたく》なになるでしょう。その点、あなたはまだ殿下にとって「新鮮」な相手です。我々がこれまでしてきたのとは、違う対応を期待しています。もちろん、殿下とあなたが危ない目に合わないように、私の方でもいくつか手を打っておきましょう。
そして、ステファンを紹介されたのだ。
見事な赤毛に透き通る水色の瞳。そのまなざしには華やかな色気が漂い、鼻筋はすうっと通っている。口元には、まるで旧知の相手を前にしたような、気さくな笑みが浮かんでいた。
その唇が開き、やわらかな声で名乗られた。
――ステファン・マッケンシーです。先生のことは、閣下から聞いております。今日はよろしくお願いします。
長身のガウェインと並んでも、さらに上背があった。
さほど鋭くないジュディも、声を耳にしてしまえば、外見のイメージともあいまって、ピンときた。
この方、きっとかなり名うての遊び人だわ、と。
ステファンもまた、王宮外に出る心づもりでいたようで、出会ったその場面ですでに庶民風の服装をしていた。
彼のその話しぶりには、貴族階級とわかる雰囲気がたしかにあるのに、外見的には庶民らしさもしっかり出ている。
それを見て、ジュディは変装の妙に感心してしまった。
(お忍びのなんたるかを、心得ていそうな方。それこそ、悪い遊びをお教えする感覚で、殿下に脱走の手ほどきでもなさったのではと、考えてしまいそうになるわ)
その後、移動のためろくに話す時間も持てぬまま、二人でひとまずパブまで直行した。そこで目の当たりにしたフィリップスの佇まいに、ジュディは考えを改めた。
全然変装できていない。ステファンが指導したのなら、下手過ぎる、と。
ジュディたちは、あまり目立たぬように、パブの内壁沿いに店内を移動し始めた。
そのとき、グラスが床に叩きつけられて割れる音が響いた。
いくつもの視線が向かう先には、フィリップスが立っている。
ざわめきを縫うようにして、フィリップスの明瞭な声があたりを静まり返らせた。
* * *
「やめろ。汚い手で、子どもにさわるな」
グラスを手放したフィリップスが、給仕らしいエプロンをつけた女の子を背にかばうようにして、自分よりも体格のいい男と向き合っていた。
先程までの笑顔は消え失せていて、ひどく鋭い顔つきになっている。
「喧嘩?」
ジュディが小声で呟くと、肩が触れるほどに寄り添ったステファンが、身を屈めて耳元に囁きかけてきた。
「あの男が、少女に手を出そうとしたようです。体に触れようとしたというより、抱きついたように見えました。すぐに、殿下が割って入りました」
ジュディが目を離した一瞬の出来事を、ステファンはよく見ていたらしい。ジュディは頷くにとどめ、余計な軽口を叩くことなくフィリップスの様子を見た。
(身分も立場のある人間として、ご自身を危険にさらすのは手放しで褒められたことではないとしても……。ここで目の前の悪事を見過ごさないと言うのなら、それは弱者救済を掲げ、「正義」であろうとしている殿下の一貫性として、認めるべき部分だわ)
少なくとも彼の理想は、口先だけではないのだと。
「なんだお前、男のくせにずいぶんと綺麗な顔をしてるな。お嬢ちゃんかと思ったじゃねえか。かっこつけたい年頃かもしれねえが、余計なことには首つっこまねえ方がいいぞ。怪我するぜぇ」
野太い胴間声が、恫喝めいた内容をまくしたてる。そして、盛大な笑い声。
間近でその嘲笑を浴びせかけられたフィリップスは、怯えるどころか、瞳に煌めきを浮かべ、それを目にした者の胸に焼き付くほどに鮮やかな笑みを浮かべていた。
「どこに目をつけている。俺のどのへんがお嬢ちゃんだって? カスが」
うっ、とジュディは息を呑んだ。
(一貫性の権化だわ……!)
まさしく彼は、ジュディを豚呼ばわりした、高貴なる正義漢である。あのときとまったく変わらぬ傲岸不遜そのものの態度で、大の男を煽っているのであった。
彼は、たとえそこに聴衆がいようがいまいが、変わらないのではないか。
その意味では、誰かに正義だと認められたくて、そう見えるような振る舞いをしているわけではなく――
ただ己の信じるところのために、正義であろうとしているように、ジュディには見えた。
「先生。ここで止めますか。それとも、殿下が殴られるまで見ておきますか」
横から、ステファンが容赦の無い二択をつきつけてくる。その結論ありきも納得できるほどに、体格的にも場数を踏んでいる経験値的にも若いフィリップスが劣勢に見えた。放っておけば、殴られて大怪我をするかもしれない。
「そうですね――」
即座に、決めかねる。
(殴られるわけにはいかないけど、殿下の覚悟のほどというのも、知っておきたい。絶対に、ここで殴られるわけにはいかないんだけど……!)
止めてしまえば追跡もバレる。このあと誰かと会う予定があったとしても、尻尾を捕まえることができない。
思案しながら、決断を先送りするようにジュディが呟いたとき、鈍い打撃音と悲鳴が店内を突き抜けるように響き渡った。
0
お気に入りに追加
420
あなたにおすすめの小説
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結済】結婚式の夜、突然豹変した夫に白い結婚を言い渡されました
鳴宮野々花@軍神騎士団長1月15日発売
恋愛
オールディス侯爵家の娘ティファナは、王太子の婚約者となるべく厳しい教育を耐え抜いてきたが、残念ながら王太子は別の令嬢との婚約が決まってしまった。
その後ティファナは、ヘイワード公爵家のラウルと婚約する。
しかし幼い頃からの顔見知りであるにも関わらず、馬が合わずになかなか親しくなれない二人。いつまでもよそよそしいラウルではあったが、それでもティファナは努力し、どうにかラウルとの距離を縮めていった。
ようやく婚約者らしくなれたと思ったものの、結婚式当日のラウルの様子がおかしい。ティファナに対して突然冷たい態度をとるそっけない彼に疑問を抱きつつも、式は滞りなく終了。しかしその夜、初夜を迎えるはずの寝室で、ラウルはティファナを冷たい目で睨みつけ、こう言った。「この結婚は白い結婚だ。私が君と寝室を共にすることはない。互いの両親が他界するまでの辛抱だと思って、この表面上の結婚生活を乗り切るつもりでいる。時が来れば、離縁しよう」
一体なぜラウルが豹変してしまったのか分からず、悩み続けるティファナ。そんなティファナを心配するそぶりを見せる義妹のサリア。やがてティファナはサリアから衝撃的な事実を知らされることになる──────
※※腹立つ登場人物だらけになっております。溺愛ハッピーエンドを迎えますが、それまでがドロドロ愛憎劇風です。心に優しい物語では決してありませんので、苦手な方はご遠慮ください。
※※不貞行為の描写があります※※
※この作品はカクヨム、小説家になろうにも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
貴方でなくても良いのです。
豆狸
恋愛
彼が初めて淹れてくれたお茶を口に含むと、舌を刺すような刺激がありました。古い茶葉でもお使いになったのでしょうか。青い瞳に私を映すアントニオ様を傷つけないように、このことは秘密にしておきましょう。
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる