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第一章
豚の矜持と壊れた時計
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(また聞きそびれてしまったわ)
王宮から帰りの馬車の中で、ジュディは酒精にほてった顔を扇で軽く仰ぎながら、昼食を共にしたガウェインの姿を思い起こしていた。
今日はゆったりとした若草色のフロックコートを身に着けていて、枯れ草色の髪はいつものように肩に流していた。落ち着いていて品があり、話し方もおっとりとして穏やかだが、話す内容には自身の立ち位置をよく理解した誇りが感じられる。
控えめに言って、非常に好感度の高い紳士なのだった。
なぜその彼がいまだ未婚なのか――ではなく、まったく接点のなかったジュディのことを知っていて、王子様の教育係などという仕事を持ちかけてきたのか。
気にならないわけがない。つまり、非常に気になっている。
だが、顔合わせをした前回も初仕事後の今回も、二人とも仕事の話に熱中してしまい、それ以外のことは話題にもならず、確認できていないままだ。いったい、どこで「教師に適任」と見初めたのか。
それは本来、決して些末なことではないはずなのだが、なまじガウェインがジュディのことを知っている節があったので、ジュディとしてはかえって聞きづらかった。
現在のジュディを語る上で絶対についてまわるのが、離婚の件。
事実ではあるが、ジュディから積極的に話したい話題でもない。
(前の夫との間で、それが「白い結婚」だったとは口外しない約束になっているのよね。だけど、宰相閣下が気さくに接してくれているのは、間違いなく私が「取り扱い要注意である未婚の令嬢」ではないとの意識があるからだわ)
部屋に侍従のひとりも配置せずに密に話し込むのも、習慣上日中の飲酒がタブーではないとはいえ、男女二人の会食で、手酌でグラスに注いでくれるというのも。
彼の感覚ではおそらく、その場に給仕がいない以上ホストの自分が接待するのは当然のことなのだろうが、閉ざされた彼の私室でそんなやりとりがあると世の淑女の皆様が聞いたら「とんでもない」とひっくり返るはずだ。
もちろん、批判は「身の程をわきまえぬ図々しい女」であるジュディに向けられる。
はしたない、浅ましい。恥じらいがない。
この先もしガウェインとジュディに噂が立つとすれば、それは「離縁されたばかりの毒婦が、性懲りもなく男漁りをして、清廉な宰相閣下をたぶらかした」となるだろう。
悪意が後押しをすれば「離縁される前から二人には繋がりがあった」と邪推される恐れまである。
そこまでわかっていながら、ジュディがガウェインと二人きりの部屋で会話をするのは、ひとえにあれは完全に一切間違いようもなく「仕事」だからだ。その内容も、王子の動向及び今後に関することであるがゆえ、なるべく他人に聞かせたくないのである。
王子の行状は王宮内ではすでに知られているだろうが、さらに尾ひれのついた状態で貴族たちの間に噂が広がるくらいなら、自分とガウェインの噂がそれを上書きしたって良い、とすら思っていた。
なにしろ、彼は婚約もしていないという。さらに、ジュディは離婚が成立していて自由の身。
互いに、噂になってもさほど打撃もない独身同士なのだ。
(私は生娘とも思われていないわけですし?)
自嘲めいた嫌な笑いをしてしまいそうで、ジュディはぱちん、と扇を畳む。
これまでのところ、ガウェインから女性に対する下心めいたものは感じられない。他人がどう考えていようと、恋仲になることはないように思う。
あくまで、仕事繋がりなのだ。
そして、あらかじめ離婚がわかっていたこととはいえ、少なからぬダメージを負ってしまっていたジュディにとって、やりがいのある仕事の存在はありがたい。
それを、簡単に手放す気はなかった。
** *
「次の授業はすでに考えてございます」
二人きりの昼食の席でジュディがそう切り出すと、ガウェインは軽く片眉を跳ね上げて「聞きましょう」と言った。
ジュディは、フィリップスと話していたときから強く感じていたことを口にする。
「尊き育ちの殿下が、王侯貴族が備えるべき『徳』を軽視しているのはゆゆしきことです。それでいて、ご自身ではそんなつもりがなく、むしろ『自分は愛と労りに満ちた人格者だ』と思いこんでいる節があります」
「人格者は、部下を挽肉にすると言ったり、女性を豚呼ばわりしません。失礼、いまのは」
「気にしておりません。豚の何がいけませんの?」
申し訳無さそうな顔をしたガウェインをフォローするつもりで、豚の肩を持ってしまった。違う、言いたいことはそうじゃない。
ジュディは咳払いをして、話を続けた。
「たしかに言っていることには、正しい部分もあるんです。ですがそれは、壊れた時計が一日に二度は正しい時間を示す程度の正しさです。私達は、壊れた時計を王に戴くわけには参りません」
豪快な不敬発言をしてしまったが、ガウェインは微笑を浮かべて小さく頷いた。
「まぐれあたりで百に一つ良い政策を打ち出し、もしやまともなのかと、見放しきれない君主というのはいつの時代もいます。ですが、民にとっては有害です」
爽やかに毒。この苛烈さが、若く優秀な宰相閣下のひととなりなのだろう、とジュディは納得をする。
その意味では、いまはジュディの失言を見逃していても、忘れてくれることはなさそうだ。
(迂闊なことは言えない。気を許しすぎてもいけない。だけど、綺麗事ばかりの上辺だけのやりとりでは、話が前に進まない)
緊張とともに、ジュディは口を開く。
「おそらく殿下には、これまでもずいぶん帝王学なる教育が施されてきたはず。けれどそれは身につかず、体得する前に何者かの導きに簡単に傾倒してしまった。そして、王侯貴族を批判する側に立った。たしかに、現行の政策に不平不満のある者が、政府に物申すのは正しいです。それは、正当なる手続きを踏んだ場合に意味を持つと私は考えています。世襲によって王権を手にしたときに、思うがままに独裁をふるうのはその手続きにあたりません」
「そうですね。殿下はその件に関して、まったく整合性が取れていません。ご自身こそ、生まれもったとされる権力にあぐらをかき、他人に敬意がない。やっていいことと悪いことの区別がついていないのは、自分はそれが許される側だと勘違いしているからです。自分の教師である年上の女性に向かって、豚などと。あっ」
「大丈夫です、閣下。初めて殿下に言われたときはびっくりして、ひどく心抉られもしましたが、ここで笑い話にしすぎたのでもう豚に愛しさすら感じてきました。ぶぅ」
調子に乗って、豚になりかけた。ジュディは、咳払いをした。
「殿下には即位前に、政治参加をして頂くのです。つまりそれが、次回以降の授業です」
ガウェインは思案するように視線を遠くに向け、「それは私も考えなかったわけではないのですが」と呟いた。
「儀礼上の爵位を名乗って頂くか、そのためだけの法案を通して一代貴族として男爵を名乗って頂き、貴族院議員として政治に参加を……。もちろん前例のないことですし、即位前には爵位を返上して頂く必要がありますが」
王子殿下に対して、斬新過ぎる処置である。しかし、ジュディはそれでもまだ足りない、と首を振ってみせた。
「現在、世襲議員で構成される貴族院よりも、選挙で選ばれた庶民で構成される庶民院の方が力関係としては優勢ですね? 私は、殿下に議員として政治に携わっていただくのであれば、庶民院が妥当と存じます」
「在野で選挙資格を得るところからですか」
ええ、とジュディは艶やかに微笑む。
「殿下にはぜひ、ご自身が切望されている通り、庶民として生きて頂くのがよろしいかと思います。陛下はご健在であらせられて、殿下の即位はまだ当分先ですもの。この際、腰を据えて仕事に邁進し、庶民と同じかまどで焼いたパンを食べてみてはいかがかと」
できるかなぁ、とガウェインはのんびりと言ったが、表情らしい表情もなく、思考が実現に向けてめまぐるしく動いているのが見てとれた。ジュディは、力強く後押しをするように告げた。
「もちろん私も、一緒です。何年かかっても、殿下に豚の矜持を見せてみせますわ」
若干、間違えた。
ガウェインはジュディを見つめてくすりと笑い、眼鏡の奥の金色の目を細めた。
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だが、顔合わせをした前回も初仕事後の今回も、二人とも仕事の話に熱中してしまい、それ以外のことは話題にもならず、確認できていないままだ。いったい、どこで「教師に適任」と見初めたのか。
それは本来、決して些末なことではないはずなのだが、なまじガウェインがジュディのことを知っている節があったので、ジュディとしてはかえって聞きづらかった。
現在のジュディを語る上で絶対についてまわるのが、離婚の件。
事実ではあるが、ジュディから積極的に話したい話題でもない。
(前の夫との間で、それが「白い結婚」だったとは口外しない約束になっているのよね。だけど、宰相閣下が気さくに接してくれているのは、間違いなく私が「取り扱い要注意である未婚の令嬢」ではないとの意識があるからだわ)
部屋に侍従のひとりも配置せずに密に話し込むのも、習慣上日中の飲酒がタブーではないとはいえ、男女二人の会食で、手酌でグラスに注いでくれるというのも。
彼の感覚ではおそらく、その場に給仕がいない以上ホストの自分が接待するのは当然のことなのだろうが、閉ざされた彼の私室でそんなやりとりがあると世の淑女の皆様が聞いたら「とんでもない」とひっくり返るはずだ。
もちろん、批判は「身の程をわきまえぬ図々しい女」であるジュディに向けられる。
はしたない、浅ましい。恥じらいがない。
この先もしガウェインとジュディに噂が立つとすれば、それは「離縁されたばかりの毒婦が、性懲りもなく男漁りをして、清廉な宰相閣下をたぶらかした」となるだろう。
悪意が後押しをすれば「離縁される前から二人には繋がりがあった」と邪推される恐れまである。
そこまでわかっていながら、ジュディがガウェインと二人きりの部屋で会話をするのは、ひとえにあれは完全に一切間違いようもなく「仕事」だからだ。その内容も、王子の動向及び今後に関することであるがゆえ、なるべく他人に聞かせたくないのである。
王子の行状は王宮内ではすでに知られているだろうが、さらに尾ひれのついた状態で貴族たちの間に噂が広がるくらいなら、自分とガウェインの噂がそれを上書きしたって良い、とすら思っていた。
なにしろ、彼は婚約もしていないという。さらに、ジュディは離婚が成立していて自由の身。
互いに、噂になってもさほど打撃もない独身同士なのだ。
(私は生娘とも思われていないわけですし?)
自嘲めいた嫌な笑いをしてしまいそうで、ジュディはぱちん、と扇を畳む。
これまでのところ、ガウェインから女性に対する下心めいたものは感じられない。他人がどう考えていようと、恋仲になることはないように思う。
あくまで、仕事繋がりなのだ。
そして、あらかじめ離婚がわかっていたこととはいえ、少なからぬダメージを負ってしまっていたジュディにとって、やりがいのある仕事の存在はありがたい。
それを、簡単に手放す気はなかった。
** *
「次の授業はすでに考えてございます」
二人きりの昼食の席でジュディがそう切り出すと、ガウェインは軽く片眉を跳ね上げて「聞きましょう」と言った。
ジュディは、フィリップスと話していたときから強く感じていたことを口にする。
「尊き育ちの殿下が、王侯貴族が備えるべき『徳』を軽視しているのはゆゆしきことです。それでいて、ご自身ではそんなつもりがなく、むしろ『自分は愛と労りに満ちた人格者だ』と思いこんでいる節があります」
「人格者は、部下を挽肉にすると言ったり、女性を豚呼ばわりしません。失礼、いまのは」
「気にしておりません。豚の何がいけませんの?」
申し訳無さそうな顔をしたガウェインをフォローするつもりで、豚の肩を持ってしまった。違う、言いたいことはそうじゃない。
ジュディは咳払いをして、話を続けた。
「たしかに言っていることには、正しい部分もあるんです。ですがそれは、壊れた時計が一日に二度は正しい時間を示す程度の正しさです。私達は、壊れた時計を王に戴くわけには参りません」
豪快な不敬発言をしてしまったが、ガウェインは微笑を浮かべて小さく頷いた。
「まぐれあたりで百に一つ良い政策を打ち出し、もしやまともなのかと、見放しきれない君主というのはいつの時代もいます。ですが、民にとっては有害です」
爽やかに毒。この苛烈さが、若く優秀な宰相閣下のひととなりなのだろう、とジュディは納得をする。
その意味では、いまはジュディの失言を見逃していても、忘れてくれることはなさそうだ。
(迂闊なことは言えない。気を許しすぎてもいけない。だけど、綺麗事ばかりの上辺だけのやりとりでは、話が前に進まない)
緊張とともに、ジュディは口を開く。
「おそらく殿下には、これまでもずいぶん帝王学なる教育が施されてきたはず。けれどそれは身につかず、体得する前に何者かの導きに簡単に傾倒してしまった。そして、王侯貴族を批判する側に立った。たしかに、現行の政策に不平不満のある者が、政府に物申すのは正しいです。それは、正当なる手続きを踏んだ場合に意味を持つと私は考えています。世襲によって王権を手にしたときに、思うがままに独裁をふるうのはその手続きにあたりません」
「そうですね。殿下はその件に関して、まったく整合性が取れていません。ご自身こそ、生まれもったとされる権力にあぐらをかき、他人に敬意がない。やっていいことと悪いことの区別がついていないのは、自分はそれが許される側だと勘違いしているからです。自分の教師である年上の女性に向かって、豚などと。あっ」
「大丈夫です、閣下。初めて殿下に言われたときはびっくりして、ひどく心抉られもしましたが、ここで笑い話にしすぎたのでもう豚に愛しさすら感じてきました。ぶぅ」
調子に乗って、豚になりかけた。ジュディは、咳払いをした。
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