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【4】
好奇心は猫をも殺す
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書庫のドアが開く音。
アンティークのコンソールテーブルに古めかしい手記を並べ、そばに寄せた一人がけソファに座って革表紙の日記に目を通していた犬島は、風の動きを感じて顔を上げた。
「おかえりなさい、颯司さん。やっぱり引き止められたみたいですね。食事もお済みですか」
ゴルフ帰り。家について着替えを済ませた猫宮が、微苦笑を浮かべて「ただいま」と答える。
犬島の手元に視線を投げかけながら、軽い口ぶりで答えた。
「茜お嬢さんも来ていて、帰れなかった。榛原さん、俺とお嬢さんの婚約の件まだ諦めてないらしくて。もう、あからさまにお嬢さんゴリ押し。ゴルフの最中もコースに置き去りにされかけた。冬山でスキーだったら遭難して死んでる」
「秋のゴルフ場なので生還できたんですね。おめでとうございます。お嬢さんゴリ押しに関してはまあ、そうなるでしょう。榛原家も由緒正しきあやかしの力を持つ一族。お二人の結婚で家同士のつながりが今より強くなるのは、悲願でしょうから」
淡々と応じて、犬島はソファの背にもたれかかる。足を組んで、手にしていた日記をテーブルに置いた。
猫宮としては、それ以上ゴルフの話題を続けるつもりはなかったか、すぐに話を切り替える。
「調べ物の件、休日まで悪かったな。何か進展は」
「普段は会社があるので、進まなかったですからね。猫宮家の若様に猫化の力があること自体は異常でもなんでもないので、後回しになってしまっていましたが。今日はちょうど良かったです。やはり、一族で最後の猫化が確認された女性、紗和子さんが鍵だと思います。いま、紗和子さんの日記を追っていました。なかなかおもしろいですよ」
「若い頃は猫化できたらしいが、あるときを境にできなくなって、それきりだったらしいというのは聞いたことがある。それを話してくれた祖父も故人で、紗和子さん本人が詳しいことをどこかに書き記していないことには……」
犬島が立ち上がり、猫宮と連れ立って歩き出す。
まるで切り出すタイミングをうかがっていたように、そわそわとした調子で猫宮が尋ねた。
「古河さんは?」
退室がてら、リモコンで書庫の明かりを落とし、犬島はのんびりと答える。
「どうでしょう。引っ越しに時間がかかりそうなので、遅くなるようなら食事は済ませてから帰ると昼過ぎに連絡がありました。もう帰っているんじゃないでしょうかね」
「セキュリティを確認したが、出入りのログは残っていた。直接部屋に帰ったかな。今日のところは俺も猫にならなかったから、べつに用事は無いんだが。休日に上司の顔も見たくないだろうし、休んでいるならそれで」
二人で並んで廊下を進み、分かれ道で犬島は「それじゃ、帰ります」と玄関の方角へと歩き出す。その背を見送ってから、猫宮は反対方向に歩き出した。
ふと、廊下の先にドアが軽く開いたままの部屋があることに気づく。
隙間から、細く光が漏れていた。
出入りのログに、他の家族の帰宅の形跡がなかった以上、いま屋敷の中にいるのは他に古河龍子のみ。
「古河さん?」
ノックをしようにもドアが開いていたので、猫宮はひとまず声をかけながら部屋の中へと足を踏み入れた。
* * *
猫に唆されてしまった。
龍子が三毛猫に連れていかれたのは、前日の朝出会った応接間らしき部屋。
窓際にダイニングテーブルが置かれていて、食事に利用したことから、ここは食堂以外の気分のときに家族で寛ぐ用途の部屋なのかもしれない。
内装は華美ではないが、贅が凝らされている。
大理石のマントルピースに本物の暖炉、その上にはのびのびとした筆致で描かれた風景画。
いくつものテーブルや椅子はすべて由来のありそうなアンティーク調で、壁際には年代物の豪奢なサイドボード。
三毛猫の狙いはまさにそこで、正面まで走り込んでから龍子を振り返って言った。
〈あの戸棚に、私のおもちゃをしまわれてしまったのよ。そのまま忘れてしまったみたいなの、この家の住人ってば、抜けているものだから〉
「おもちゃ?」
にゃあにゃあと説明されて、龍子は思わず聞き返す。
(このお猫さま、おもちゃで遊ぶんですか。この貫禄で)
途端、三毛猫はその心の声が聞こえたとばかりにギロリと龍子を睨みつけた。
〈いくつになっても猫は猫です。遊び心こそ猫の猫たるゆえん〉
「ははぁ、なるほど。だというのに、もうお猫さまがおもちゃでは遊ばないと決めつけた人間が、戸棚に猫じゃらしをしまいこんでしまったと」
〈猫じゃらしとは言ってませんが、まあそういうことです〉
妙にしおらしい態度になった三毛猫の話しぶりは気にならないでもなかったが、龍子は(よほどそのおもちゃに愛着が)と勝手に了解した。
「このサイドボードの、どのへんです? 私、この家の人間ではないので、極力家探しのような真似はしたくなくてですね」
下段部分は優美な彫りの刻まれた木製扉がついていたが、上段部分はガラス扉になっていて、中の様子が見える。一番近くのソファに飛び乗り、背の細い部分を危なげなく歩きながら、三毛猫はサイドボードの一番上を見て興奮したように声を上げる。
〈あれよ、あの木の棒〉
「あー、あのどこにでもありそうな棒ですか? たしかに、なんであんなところに隠すみたいに……」
高級そうなグラスの並びに、なぜか木の棒が投げ込まれている。明らかに浮いているそれは、ちょうど遊んでいた猫から取り上げて放り込んだようにも見えた。
にゃあにゃあ、と猫に急かされて、龍子は恐る恐るガラス戸に手をかけた。
(ここを開けたらセキュリティに引っかかる……なんてことはないかな。怖いな~)
ドキドキしながらも、そっとガラス戸を開けて、木の棒を取り出す。
シュッ。
次の瞬間には、豪速で飛んできた猫に、棒を奪われていた。
「はわっ!? 猫さんなんですかいまの……!」
叫んだが、すでに猫は棒をくわえて遠くのソファに降り立っていた。そのまま、棒を四つ足で抱え込み、興奮のままに足で蹴りながらカッと目を見開いてふがふがと噛みついている。
その合間に、もごもごと独り言だけが聞こえてきた。
「にゃあああああああ」〈こ、これよ! 禁断のマ・タ・タ・ビ……! はぁ~たまらないわ〉
「猫さんまさか。それはいけない」
〈▲×◎♯Å◆⊿ll∟+¥\※∵¢-$×⌘……〉
「もう酔っ払ってる……!? 即効過ぎない……?」
止める間もなかった。
三毛猫はにゃう、にゃう、ごろごろごろごろ……と鳴いたり喉を鳴らしたりとご機嫌な様子で転げ回った後、木の棒を放り出してふらふらとどこかへと歩き出した。
「これは、取り上げられるはずだわ。悪いことしちゃった……。猫さん大丈夫かな」
またたびの常習性はわからなかったが、麻薬のような反応を見ていると怖い。せめて二度と触らないように元の位置に戻しておこう、と龍子はその場まで歩み寄り、投げ出された棒を手にした。
魔が差した。
それはあまりにも「何の変哲もない」棒そのもので、いったい何がそこまで猫に効くのかと気になってしまったのである。
匂いを嗅いでも、顔に乗せてみても何も感じない。
龍子は、猫を真似してそーっと口に運んで小さくひと噛みしてみた。
昔のひとは言った――
“Curiosity killed the cat”(好奇心は猫をも殺す)
足から力が抜けて、ふらりとソファに倒れ込んだ。
全身が重怠く、思考が鈍っていく。
まるで深酒をしたときのように、龍子はそのまま眠りについてしまった。
「古河さん?」
夢現で名を呼ばれた。
その声に、龍子はついに返事をすることができなかった。
アンティークのコンソールテーブルに古めかしい手記を並べ、そばに寄せた一人がけソファに座って革表紙の日記に目を通していた犬島は、風の動きを感じて顔を上げた。
「おかえりなさい、颯司さん。やっぱり引き止められたみたいですね。食事もお済みですか」
ゴルフ帰り。家について着替えを済ませた猫宮が、微苦笑を浮かべて「ただいま」と答える。
犬島の手元に視線を投げかけながら、軽い口ぶりで答えた。
「茜お嬢さんも来ていて、帰れなかった。榛原さん、俺とお嬢さんの婚約の件まだ諦めてないらしくて。もう、あからさまにお嬢さんゴリ押し。ゴルフの最中もコースに置き去りにされかけた。冬山でスキーだったら遭難して死んでる」
「秋のゴルフ場なので生還できたんですね。おめでとうございます。お嬢さんゴリ押しに関してはまあ、そうなるでしょう。榛原家も由緒正しきあやかしの力を持つ一族。お二人の結婚で家同士のつながりが今より強くなるのは、悲願でしょうから」
淡々と応じて、犬島はソファの背にもたれかかる。足を組んで、手にしていた日記をテーブルに置いた。
猫宮としては、それ以上ゴルフの話題を続けるつもりはなかったか、すぐに話を切り替える。
「調べ物の件、休日まで悪かったな。何か進展は」
「普段は会社があるので、進まなかったですからね。猫宮家の若様に猫化の力があること自体は異常でもなんでもないので、後回しになってしまっていましたが。今日はちょうど良かったです。やはり、一族で最後の猫化が確認された女性、紗和子さんが鍵だと思います。いま、紗和子さんの日記を追っていました。なかなかおもしろいですよ」
「若い頃は猫化できたらしいが、あるときを境にできなくなって、それきりだったらしいというのは聞いたことがある。それを話してくれた祖父も故人で、紗和子さん本人が詳しいことをどこかに書き記していないことには……」
犬島が立ち上がり、猫宮と連れ立って歩き出す。
まるで切り出すタイミングをうかがっていたように、そわそわとした調子で猫宮が尋ねた。
「古河さんは?」
退室がてら、リモコンで書庫の明かりを落とし、犬島はのんびりと答える。
「どうでしょう。引っ越しに時間がかかりそうなので、遅くなるようなら食事は済ませてから帰ると昼過ぎに連絡がありました。もう帰っているんじゃないでしょうかね」
「セキュリティを確認したが、出入りのログは残っていた。直接部屋に帰ったかな。今日のところは俺も猫にならなかったから、べつに用事は無いんだが。休日に上司の顔も見たくないだろうし、休んでいるならそれで」
二人で並んで廊下を進み、分かれ道で犬島は「それじゃ、帰ります」と玄関の方角へと歩き出す。その背を見送ってから、猫宮は反対方向に歩き出した。
ふと、廊下の先にドアが軽く開いたままの部屋があることに気づく。
隙間から、細く光が漏れていた。
出入りのログに、他の家族の帰宅の形跡がなかった以上、いま屋敷の中にいるのは他に古河龍子のみ。
「古河さん?」
ノックをしようにもドアが開いていたので、猫宮はひとまず声をかけながら部屋の中へと足を踏み入れた。
* * *
猫に唆されてしまった。
龍子が三毛猫に連れていかれたのは、前日の朝出会った応接間らしき部屋。
窓際にダイニングテーブルが置かれていて、食事に利用したことから、ここは食堂以外の気分のときに家族で寛ぐ用途の部屋なのかもしれない。
内装は華美ではないが、贅が凝らされている。
大理石のマントルピースに本物の暖炉、その上にはのびのびとした筆致で描かれた風景画。
いくつものテーブルや椅子はすべて由来のありそうなアンティーク調で、壁際には年代物の豪奢なサイドボード。
三毛猫の狙いはまさにそこで、正面まで走り込んでから龍子を振り返って言った。
〈あの戸棚に、私のおもちゃをしまわれてしまったのよ。そのまま忘れてしまったみたいなの、この家の住人ってば、抜けているものだから〉
「おもちゃ?」
にゃあにゃあと説明されて、龍子は思わず聞き返す。
(このお猫さま、おもちゃで遊ぶんですか。この貫禄で)
途端、三毛猫はその心の声が聞こえたとばかりにギロリと龍子を睨みつけた。
〈いくつになっても猫は猫です。遊び心こそ猫の猫たるゆえん〉
「ははぁ、なるほど。だというのに、もうお猫さまがおもちゃでは遊ばないと決めつけた人間が、戸棚に猫じゃらしをしまいこんでしまったと」
〈猫じゃらしとは言ってませんが、まあそういうことです〉
妙にしおらしい態度になった三毛猫の話しぶりは気にならないでもなかったが、龍子は(よほどそのおもちゃに愛着が)と勝手に了解した。
「このサイドボードの、どのへんです? 私、この家の人間ではないので、極力家探しのような真似はしたくなくてですね」
下段部分は優美な彫りの刻まれた木製扉がついていたが、上段部分はガラス扉になっていて、中の様子が見える。一番近くのソファに飛び乗り、背の細い部分を危なげなく歩きながら、三毛猫はサイドボードの一番上を見て興奮したように声を上げる。
〈あれよ、あの木の棒〉
「あー、あのどこにでもありそうな棒ですか? たしかに、なんであんなところに隠すみたいに……」
高級そうなグラスの並びに、なぜか木の棒が投げ込まれている。明らかに浮いているそれは、ちょうど遊んでいた猫から取り上げて放り込んだようにも見えた。
にゃあにゃあ、と猫に急かされて、龍子は恐る恐るガラス戸に手をかけた。
(ここを開けたらセキュリティに引っかかる……なんてことはないかな。怖いな~)
ドキドキしながらも、そっとガラス戸を開けて、木の棒を取り出す。
シュッ。
次の瞬間には、豪速で飛んできた猫に、棒を奪われていた。
「はわっ!? 猫さんなんですかいまの……!」
叫んだが、すでに猫は棒をくわえて遠くのソファに降り立っていた。そのまま、棒を四つ足で抱え込み、興奮のままに足で蹴りながらカッと目を見開いてふがふがと噛みついている。
その合間に、もごもごと独り言だけが聞こえてきた。
「にゃあああああああ」〈こ、これよ! 禁断のマ・タ・タ・ビ……! はぁ~たまらないわ〉
「猫さんまさか。それはいけない」
〈▲×◎♯Å◆⊿ll∟+¥\※∵¢-$×⌘……〉
「もう酔っ払ってる……!? 即効過ぎない……?」
止める間もなかった。
三毛猫はにゃう、にゃう、ごろごろごろごろ……と鳴いたり喉を鳴らしたりとご機嫌な様子で転げ回った後、木の棒を放り出してふらふらとどこかへと歩き出した。
「これは、取り上げられるはずだわ。悪いことしちゃった……。猫さん大丈夫かな」
またたびの常習性はわからなかったが、麻薬のような反応を見ていると怖い。せめて二度と触らないように元の位置に戻しておこう、と龍子はその場まで歩み寄り、投げ出された棒を手にした。
魔が差した。
それはあまりにも「何の変哲もない」棒そのもので、いったい何がそこまで猫に効くのかと気になってしまったのである。
匂いを嗅いでも、顔に乗せてみても何も感じない。
龍子は、猫を真似してそーっと口に運んで小さくひと噛みしてみた。
昔のひとは言った――
“Curiosity killed the cat”(好奇心は猫をも殺す)
足から力が抜けて、ふらりとソファに倒れ込んだ。
全身が重怠く、思考が鈍っていく。
まるで深酒をしたときのように、龍子はそのまま眠りについてしまった。
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