銀獣-王道BLを傍観するつもりが巻き込まれました-【本編完結。SS公開予定】

レイエンダ

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終章 輝きを増す銀獣

★溶け合う心

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※リバ表現あります。
 苦手な方は飛ばすことをお勧めします。
 読まなくても支障はございません。

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「……本当にいいの?」



 ベッドの上で向き合い、何度目かのキスでわざわざ質問してくる。
 いいも悪いも、俺から口にしたことなのだから気にせず食いついてくればいいのに、不安そうな顔で覗き込んでくる。



ーーー……リベンジ、する気ある?



 喋れば触れてしまうような距離感で俺が発した言葉。
 太一からすれば願ったり叶ったりなはずなのに、キスをするだけで触れてこない。
 不思議に思って尻の横に置かれた両手に触れると、僅かだが震えていた。



「太一?」



 名前を呼べば、目を伏せて自分の手に視線を向ける。震えているのに気づいたのか、小さく息を吐いた。
 幼馴染だから中学・高校と彼女がいたことも知っている。童貞でもないのに何を躊躇う必要があるのか。
 今更思い出したくはないが、俺も処女ではない。中学生ながら部活がない日は家に転がり込んでいたし、欲に身を任せて色々なことをした。
 きっと太一もそれはわかっているはず。それでも触れてこないのは、前回のことがあったからだろうか。



「太一」



 もう一度名前を呼ぶ。
 そして太一の片手を、自らの口元へと運んだ。チュッと触れるだけのキスをして、掌を舌で舐めていく。
 驚いたように短く息を吸い、声の代わりに空気が鼻を通っていく音だけが聞こえた。数秒経ってから忘れていたようにゆっくりと吐き出していく。
 指の間に舌を這わせ、一本ずつ舐めあげる。音を立てたらはしたないだろうか。そんなことを考えながら堪能する。
 不安そうな顔から欲が抑えきれない雄の表情へと移りゆく様は、季節の変わり目のように未来を期待させるものだった。

 踏みとどまる理由があの日にあるのなら、襲われた俺が大丈夫だと態度で示せばいいだけのこと。
 ご無沙汰だったことと、慣らさずに挿れたことで痛みはあったけど、嫌だと思わなかったのは太一だったからだ。
 それをどうか、わかってほしい。



「触れ、太一。大丈夫だから」
「……ハル」
「触って」



 唾液がついた手を服の中へと誘う。腹に触れる太一の体温に筋肉が震えた。
 一度触れて仕舞えば簡単なもので、腹筋を撫でるように触り、筋肉のくぼみに指の腹を這わせて行ったり来たりしている。
 触りやすいようにTシャツを捲り上げると、吸い込まれるように顔を近づけた。



「……んっ、あ」



 そこからは早かった。
 胸の突起を舌で転がしては間にキスを挟み、お互いの服を脱がせ合ってベッドに倒れ込んだ。
 本当なら己の欲棒同士を擦り合わせて高め合いたいところだが、本当の意味で吹っ切れた今、早く太一と繋がりたくて仕方がなかった。その意味を込めて、枕元に準備していたローションを渡す。
 受け取った太一は指にローションを垂らしてから俺の秘部に触れる。
 前回無理矢理挿れて切れたこともあって、恐る恐る押し進めていく。
 慣らすためかまずはゆっくりと前後に。滑りが良くなったのを確認して前立腺に指先を当てる。



「んんっ!…っ、はっ」



 背筋に電流が走り、自然と尻の筋肉が収縮する。久々の感覚だった。



「ハル。もしかして、お風呂で慣らした?」



 俺が反応を示した場所を軽く叩くように指を動かしながら聞いてくる。
 順番にお風呂へ入るとなった時、俺はこうなる気がして……こうなることを期待して、後に入ることを選んだ。
 洗浄を済ませ、自分の指である程度解した。だから、ローションで滑りが良くなった今なら問題なく受け入れられるだろう。



「慣ら……した。慣らした、から……早く」



 内腿に添えられた手を掴む。ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。
 自分の雄を通して見えた太一の欲棒は、抱かれている時よりもそそり立っていて興奮しているのがわかる。
 先端が秘部の少し上に触れたかと思えば、下へ押さえつけるようにねじ込まれた。



「あっ!……っ、ん」
「ぐっ…き、つ」



 解された入り口は太一の欲棒を難なく招き入れたが、奥はまだ狭いらしく、顔を歪めてゆっくりと腰を近づけてくる。



「はっ……っ、…は」
「っ、ハル。ゆっくり呼吸して」



 圧迫感で体が強張っていた俺を見かねて、俺の雄を扱きながら頭を撫で始めた。



「そうそう。いい子」



 それは俺が抱いている時、上手に奉仕できたり、素直に気持ちいいと言えた時に口にする言葉だった。
 自分に返ってくるとは思わずぼーっとしてると、両手で俺の膝を持って体重をかけてくる。尻と腰骨がぶつかった。



「あっ!…っ、お…く」
「うん。奥まで、っ入った」



 すぐに動くかと思えば、覆い被さって何度も口付けてくる。
 舌を絡ませ、時には吸って。甘くて溶けてしまいそうな優しい愛撫。
 でも、俺はその先にある快楽を知っている。だから欲しくなる。



「っ……腰、動いてる」
「た、いち。早っ……く」
「うん。今度は気持ちよくするから」



 その言葉を引き金に、太一は腰を前後に動かしていく。



「あっ!っ!……はっ…ぐっ……ぁ」



 太一のような甘く艶やかな声ではなく、噛み締めるようなくぐもった声。可愛いなんてとても言えるようなものではない。
 それでも、太一は嬉しそうに笑う。
 俺の声を聞き逃すまいと、倒れ込むように体を密着させてくる。



「た、いちっ…ぐ、るし……あっ!ぐっ……んっ!」
「中締まったね。ここがいいんだ」



 膝裏に滑り込んだ手が足を押し広げ、角度がついたことで抜き差しする時に先端が前立腺に当たる。
 ゴリゴリゴリと削られるように当たるたび、声が出てしまう。



「可愛い。可愛いね、ハル」



 久々だからか、気持ちいいのにうまく声が喉を通っていかない。
 いい場所に当たるたび、甲高い悲鳴じみた声が出ればもっと興奮してもらえるのか?と思った。
 どうやら太一はそんなことないみたいで、俺が堪えるような低い声を出すと喜んだ。



「……っ、いいねその声。凄く、いい……興奮する」
「あぐっ!あっ…っ、…まっ……はげ、し」
「ごめん、ちょっと止まれない」
「あっあっ!……ぐっ、んっ…ぁ…あっ」



 腰を打ちつける音と、律動の際に生じるローションの音。そこに太一の粗い息遣いも相まってもう限界だった。



「も……、無理。む…ぅっ…り……あっ!あっ!」
「俺も、イキ……そ」
「んんんっ!!!」



 絶頂を迎える直前に塞がれた唇。最後の声は残さず自分の中に取り込もうとしているのか、これでもかと押し付けてきた。
 中でビクつく太一の欲棒。俺の精液は腹にぶちまけられているだろう。

 唇を離すことなく、粗い鼻息を漏らしながら見つめ合う。
 口を開ければ舌が侵入してきて、上顎を撫であげてから唇を吸われた。



「ありがとう。リベンジさせてくれて」
「……別に。俺がしたかっただけだ」
「うん。たまにでいいから、また抱かせてくれたら嬉しい」
「……好きにすればいいだろ。付き合ってんだから」



 そう言えば、顔をぐしゃぐしゃにして笑う。強面の原型はなく、人懐っこい犬でしない。



「やった」



 噛み締めるように呟くもんだから、抱きたいと言われたら絆されてすぐ受け入れてしまいそうだ、と苦笑いする。
 でも俺はよがる太一が好きだから、簡単には引き下がってやらない。
 これからはどっちが抱くかという攻防戦が繰り広げられる日がありそうだな、と心の中で呟くのだった。


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