銀獣-王道BLを傍観するつもりが巻き込まれました-【本編完結。SS公開予定】

レイエンダ

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終章 輝きを増す銀獣

腐女子にとって地雷意外はご馳走である

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「お前、暇だな」
『暇じゃないですー!毎回宿題しながら電話してるんだからね!』
「宿題に集中しろ」
『BLトークを糧にしないとやってらんないのよ!腐女子なめんな!』



 ダンッ!と机を叩くような鈍い音が聞こえる。物に当たるのはやめなさい。

 暫く二人で言い合いをしていると、耳元で話されてくすぐったかったのか太一の顔が反対側に傾く。
 付き合う前だったら何とも思わないだろうし、どちらかというと向こうからくっ付いてくることが多かったから気にもしなかっただろう。今は距離を取られたことが少し寂しいと感じてしまう。
 倒していた体を起こし、太一の手からスマホを抜き取りサイドテーブルに置く。
 不思議そうに俺の顔を仰ぎ見る太一の腕を引き、横向きでソファに座りなおす。中腰のまま、どうしたらいいかわからないという顔をしている。
 掴んでいない方の手で足の間を叩けば、目を輝かせて滑り込んできた。
 太一を後ろから抱きかかえるような形で座り直し、腕を伸ばして再びスマホを手に取る。



『で?総受け転校生はどうしてんの?』
「この間連結セックスしてたぞ」



 後ろから太一の腹に腕を回し、鍛えられた腹筋の上でメールを返しながら答える。



『連結ぅぅぅぅ!?組み合わせは!?』
「書記、マリモ、会長」
『あおちゃんは!?』
「マリモと麗にイかされた後だったから床に倒れてたぞ」
『精液まみれで!?何それ美味しい……。生徒会室の壁になりたぁぁぁぁい!』



 萌えが限界突破したのか騒がしい。「通常運転ですね」と笑う太一に頷いて同意する。



「生徒会の三人、今日除名されたらしいよ」



 親父から来た急ぎのメールに返信していると、俺の代わりに今日あったことを話し始めた。打つのに集中したいのでそのまま任せる事にした。
 『除名!?今までにない展開だ!詳しく!』と大興奮のさくら。適当に流す俺とは違い、相槌をしながら細かく説明している。



『三人と転校生はどうなるの?セックスできるのかな?』
「心配する所そこなんだ」
『大事でしょ。高校生の性事情は気になる』
「生徒会を除名されて部屋のグレードは下がるけど、部屋自体は用意されるからできるでしょ」
『授業免除が無くなるから、日中にムラムラして転校生を貪るっていうシチュは望めないか。残念……』
「休憩時間とかに抜くだけならできるんじゃない?あとは昼休憩とかなら本番もできるし」
『確かに!トイレとか階段裏とかでね!』
「そうそう」



 傍から見れば可笑しな会話だが、俺達三人にとっては日常。
 頼むから学び舎でヤる事を前提に話すのは止めてほしい。せめて寮部屋にしてくれ。
 そんな風に思っていると除名の話から、終業式の次の日三人で遊ぼうという話になった。作成したメールを親父に送ったところで腕を叩かれる。



「どこ行きたいんだよ」
『お、やっと参戦してきた!美容グッズ買い漁りたい!』
「パックとか化粧品か?新大久保とかに多いんだっけか?」
「原宿にもありますけど、韓国の化粧品なら新大久保の方が多いかと」
『新大久保がいい!』
「最初に言っとくが、俺と太一が持てる範囲で買えよ?」
『荷物持ち宣言助かるー!大丈夫。二人に限界はないよ』
「限界はあるかな。ほどほどにね」



 BLトークから一転して平和な会話。
 さくらと会うのは春休み以来だろうか。その時もBL本漁りにつき合わされ、俺たち二人は荷物持ちだった。いいように使われている気がしなくもないが、気兼ねなく話せるのが幼馴染というもの。



『あ、ご飯呼ばれた!それじゃあ三日後ね!』



―――……ピロリン♪



 俺達の返事を待つことなく切られる電話。突然かけてきた癖に自由というかなんというか。



「毎度のことながら嵐のようでしたね」
「本当にな」



 画面が真っ暗になったスマホを雑に放り投げ、太一の後頭部に顔を埋めた。




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