96 / 103
終章 輝きを増す銀獣
緊急集会の立役者
しおりを挟む
生徒会役員の俺は授業を免除されている為、マリモのせいで遅れても注意されることはない。寧ろ、“今から参加するの?いいんだよ?”と気遣うような視線を向けられる。
心配してた先生には感謝の意味も込めて頭を下げたのだが、赤面したかと思えば教科書で顔を隠してしまった。どうやら無意識に微笑んでいたらしい。
「授業進まないから微笑むの禁止ー!」と類に言われ、小さく返事をしてから席に着いた。
あっという間に放課後になり生徒会室へと向かう。憂鬱なことに変わりはないが、三人が除名処分になったことで幾分かマシだった。
二学期から潤達が生徒会役員として活動するわけだが、今日を含めて終業式まであと三日。それまで彼らは出入りできるという事だろうか?
「しまった。詳しい話を聞いておくんだった」
緊急集会、三人の除名、新しい役員の発表、マリモの呼び出し。色々ありすぎてすっかり忘れていた。
生徒会室がある階へ向かう前なので教員室までそう時間はかからない。だが、政宗に連絡して教員室に寄ってきてもらうのも一つの手だ。
どちらにするか考えていたところで「春都様!」と声をかけられた。
「いっちゃんとまーくんと……圭?」
前半の二人は以前食堂で“マリモに水をかけた”という冤罪をかけられそうになった俺の親衛隊。圭も一緒なんて珍しい。
身長差を考えて少し屈むと、まーくんたちは嬉しそうに駆け寄ってきた。
なんて可愛い子たちなんでしょうか。やはりうちの親衛隊はキュートで愛らしくていい子たちばかりだ。
「生徒会室に行く前に会えてよかった。少しだけ時間貰える?」
甘えてくる二人を順番に抱きしめてから圭の言葉に頷く。
政宗に職員室で聞いてきてほしい内容を箇条書きで連絡し、三人がおさえているという会議室へと向かった。
「―――ていう感じで協力して、三人を無事除名処分にしたわけ」
隣に座る圭から今日の緊急集会に至るまでの話を聞いていた。
親衛隊から風紀委員に打診があり、協力する形で秘密裏に署名活動や情報収集が行われていたらしい。
署名活動に関しては、俺の親衛隊が各学年・クラスに散らばっているのを有効活用。三人の親衛隊を除いた全生徒に配布し、速やかに回収。
「俺のクラスもか?気付かなかった」
「類達に協力してもらったんだよ。ここ最近、三人にくっつかれてなかった?休み時間中とか」
「んー……確かにそうだったかも?」
首を傾げながら曖昧に肯定する。元から三人は俺にべったりだから実感はなかったが、ここ数日はトイレにも誰かしらついてきた。それのことだろうか?と思い至って返事をした。
前例がない生徒会役員の除名。三人が機能しなくなってから何度か頭をよぎったことはある。
しかし、仕事に追われている状態で行動に起こす気力はなかった。
限界に達して動き出すとしたら、秋に突入するちょっと前ぐらいだろうか。夏休み中に計画を練り、忙しくなる文化祭前に決着。そんなところか。
「危険分子は早めに取り除いたほうがいいと思ってさ。春くんに迷惑かけるとか万死に値する」
「と、ノリノリで手伝ってくれました!」
「心強かったです!」
三人が満面の笑みでこちらを見ている。褒められるのを待っているのか、それぞれが頭を差し出していた。
「えらいえらい。ありがとな」
順番に頭を撫でてから、生徒から集められた証言が書かれた書類に目を通す。写真付きのものもあればボイスメッセージまであるようで、わざわざ文字に起こしてくれたようだ。
最後のページには俺が送った連結写真もあった。
「それなくても問題なかったんだけど、理事長にダメージでかそうだから最後にぶち込んどいた」
「理事長、顔面蒼白だったんじゃねーの?」
「いや?顔真っ赤ではあったけど」
「怒りで頭に血が上ったのか」
その怒りが授業をさぼっていることや、生徒会室で致していること。仕事をせずに私物化していることに対してならいいけどな。
溺愛していることを考えると、体を重ねていることや快楽に溺れさせた事が引き金な気がする。結果的に除名してくれたなら、理由はどちらでも構わないけど。
「そろそろ戻る」
書類を圭に返し、椅子から立ち上がる。
「生徒会の仕事、俺らでできるやつ回して。後で取りに行くから」
「わかった」
出口に向かうと見せかけて、体面に座っていた三人に歩み寄る。不思議そうな顔をしているのを無視して頭や額、頬にこれでもかとキスを落とす。
「ありがとう」
頬と耳を赤く染めて惚けているのを横目に呟き、返事を待たずに会議室をあとにした。
「「「……好き」」」
口を揃えて言った二文字は、生徒会室に向かう俺の耳には届いてなかった。
心配してた先生には感謝の意味も込めて頭を下げたのだが、赤面したかと思えば教科書で顔を隠してしまった。どうやら無意識に微笑んでいたらしい。
「授業進まないから微笑むの禁止ー!」と類に言われ、小さく返事をしてから席に着いた。
あっという間に放課後になり生徒会室へと向かう。憂鬱なことに変わりはないが、三人が除名処分になったことで幾分かマシだった。
二学期から潤達が生徒会役員として活動するわけだが、今日を含めて終業式まであと三日。それまで彼らは出入りできるという事だろうか?
「しまった。詳しい話を聞いておくんだった」
緊急集会、三人の除名、新しい役員の発表、マリモの呼び出し。色々ありすぎてすっかり忘れていた。
生徒会室がある階へ向かう前なので教員室までそう時間はかからない。だが、政宗に連絡して教員室に寄ってきてもらうのも一つの手だ。
どちらにするか考えていたところで「春都様!」と声をかけられた。
「いっちゃんとまーくんと……圭?」
前半の二人は以前食堂で“マリモに水をかけた”という冤罪をかけられそうになった俺の親衛隊。圭も一緒なんて珍しい。
身長差を考えて少し屈むと、まーくんたちは嬉しそうに駆け寄ってきた。
なんて可愛い子たちなんでしょうか。やはりうちの親衛隊はキュートで愛らしくていい子たちばかりだ。
「生徒会室に行く前に会えてよかった。少しだけ時間貰える?」
甘えてくる二人を順番に抱きしめてから圭の言葉に頷く。
政宗に職員室で聞いてきてほしい内容を箇条書きで連絡し、三人がおさえているという会議室へと向かった。
「―――ていう感じで協力して、三人を無事除名処分にしたわけ」
隣に座る圭から今日の緊急集会に至るまでの話を聞いていた。
親衛隊から風紀委員に打診があり、協力する形で秘密裏に署名活動や情報収集が行われていたらしい。
署名活動に関しては、俺の親衛隊が各学年・クラスに散らばっているのを有効活用。三人の親衛隊を除いた全生徒に配布し、速やかに回収。
「俺のクラスもか?気付かなかった」
「類達に協力してもらったんだよ。ここ最近、三人にくっつかれてなかった?休み時間中とか」
「んー……確かにそうだったかも?」
首を傾げながら曖昧に肯定する。元から三人は俺にべったりだから実感はなかったが、ここ数日はトイレにも誰かしらついてきた。それのことだろうか?と思い至って返事をした。
前例がない生徒会役員の除名。三人が機能しなくなってから何度か頭をよぎったことはある。
しかし、仕事に追われている状態で行動に起こす気力はなかった。
限界に達して動き出すとしたら、秋に突入するちょっと前ぐらいだろうか。夏休み中に計画を練り、忙しくなる文化祭前に決着。そんなところか。
「危険分子は早めに取り除いたほうがいいと思ってさ。春くんに迷惑かけるとか万死に値する」
「と、ノリノリで手伝ってくれました!」
「心強かったです!」
三人が満面の笑みでこちらを見ている。褒められるのを待っているのか、それぞれが頭を差し出していた。
「えらいえらい。ありがとな」
順番に頭を撫でてから、生徒から集められた証言が書かれた書類に目を通す。写真付きのものもあればボイスメッセージまであるようで、わざわざ文字に起こしてくれたようだ。
最後のページには俺が送った連結写真もあった。
「それなくても問題なかったんだけど、理事長にダメージでかそうだから最後にぶち込んどいた」
「理事長、顔面蒼白だったんじゃねーの?」
「いや?顔真っ赤ではあったけど」
「怒りで頭に血が上ったのか」
その怒りが授業をさぼっていることや、生徒会室で致していること。仕事をせずに私物化していることに対してならいいけどな。
溺愛していることを考えると、体を重ねていることや快楽に溺れさせた事が引き金な気がする。結果的に除名してくれたなら、理由はどちらでも構わないけど。
「そろそろ戻る」
書類を圭に返し、椅子から立ち上がる。
「生徒会の仕事、俺らでできるやつ回して。後で取りに行くから」
「わかった」
出口に向かうと見せかけて、体面に座っていた三人に歩み寄る。不思議そうな顔をしているのを無視して頭や額、頬にこれでもかとキスを落とす。
「ありがとう」
頬と耳を赤く染めて惚けているのを横目に呟き、返事を待たずに会議室をあとにした。
「「「……好き」」」
口を揃えて言った二文字は、生徒会室に向かう俺の耳には届いてなかった。
20
お気に入りに追加
1,401
あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる