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第四章 転機
★痛みと共に
しおりを挟む昨日と同じ位置関係だというのに、こうも落ち着かないのは手が縛られているからで。
何度「解け」と言っても反応してくれないからで。
ーーー……カチャカチャ。
太一は無言でベルトに手をかける。
自分のだけでなく、俺のにもだ。
下着ごと太ももまでずり下げた所で、太一は腰を浮かせた。
そしてベッドに押し付けるようにしながら足先へと移動していき、ジーンズと下着を脱す。
露わになった自身は、昨日のように興奮しているはずもなく。
力なく項垂れていた。
そりゃそうだよな、と冷静に考えられたのはそこまでで。
「……おい太一。おいってば!」
膝裏に手を入れられ、足を左右に大きく開かされた所で嫌な予感がした。
きっとこれは外れていない。
「太一、待てって。待っ、いっ!!!」
「……っ」
激しい痛みに襲われた。
「痛い!いた、い…って!…っ!ヴァッ、あっ、いっ!」
叫ぶ俺。
冗談抜きで本当に痛くて。
聞こえるように言っているのに、動きを止めてくれない。
ーーー……パン!パン!パン!
「んぐっ、っ、い、…ゔぁっ、抜けっ、……太一!」
名前を呼んだところでようやく顔を上げ、鋭い瞳で俺を睨みながら激しく腰を打ち付けてくる。
ローション未使用。
慣らしてもない。
痛い痛い痛い。
とにかくそれしか考えられなくて。
涙が滝のように溢れてきた。
「……ってた」
自分の叫びとは別に声が聞こえて、視界が滲む中、必死に太一の居場所を探した。
「……っ……ずっと抱きたいと思ってた。その強面を快感に溺れた表情にさせて、ドロドロになるまで攻めまくりたいと、そう思ってた」
「…ゔっ、あっ、……いっ!あっ!くっ…うぐっ…」
「でもあなたがタチだと知って、自分の思い描いたことが実現できないと悟った。自分もタチだから仕方がない。潔く諦めようとした時期もあった。でも無理だった。あなたとセックスできるならネコでもいいと、そう思ってしまったから。
あの日あなたに抱かれて、抱きたいという気持ちが強くなった。あなたがしてくれたように私もあなたを愛でたい。いつかあなたの初めてを……と、そんなことを夢見てた。それなのに……それなのに!」
腰の動きが激しさを増す。
秘部が裂け、出血しているのにも関わらず、無我夢中で。
「あなたは既に初めてを他の男に捧げていた!私の方が先にあなたを好きに……好きに、っ…なったのに。ずっと、好きだったのに……」
太一がこんなにも自分の事を口にしたのは初めてで、どんな顔をして言っているのか気になるのに、涙が邪魔して見ることは叶わない。
「ゔぁぅ、あっ、…んぐぅ!…ぅ」
「……好き。…っ、好き……だ。……っ、ぅ……す、き」
「い、あ…っ、ぐっ……ゔ、ぁ」
“泣くなよ”と言って頭を撫でてやりたいのに、それもまた叶わない。
痛みだけでなく、何もできないというもどかしさも感じていた。
「……っ」
堪えるような声と、中でビクつく太一の“モノ”から限界が近いのだと悟る。
そしてその瞬間はやってきた。
「ぐっ、あっ……っ、あっ!っ!!!」
「っ!」
ドロリとした液体が吐き出される。
泣き疲れたのか、現実逃避をしたかったからなのか、中出しされたすぐ後に俺は意識を手放した。
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