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第四章 転機
★奪われた貞操
しおりを挟む再び中の様子を伺ってみたが、特に変化はなく。
「うわー……ガッツリ入っちゃってるよ」
マリモは三人の男に犯されていた。
一人は蓮夜が見張りを頼んだであろう実行委員の男。
名前は武田 和也。
顔合わせの時にいたので間違いない。
もう二人は食堂で何度か見かけたことはあるのだが、名前までは知らない。
「中出しかよ。容赦ねぇな」
正常位でマリモの足を掴んで広げ、激しく腰を打ち付けた後に果てたのは、名前の知らない二人の内一人で。
上体を起こし、茶色く染めた髪をかき上げたかと思えば、腰を引いて自分の“モノ”を抜いた。
茶髪男は手を抑えていた実行委員の武田と交代し、今度は武田がハーフパンツと下着をずり下げたかと思えば、前戯などせずに容赦なく挿入する。
顔を歪ませ、涙を浮かべるマリモを見て、残りの二人は厭らしい笑みを浮かべているだけで、やめる様子は全くない。
寧ろ興奮しているように見えた。
少し離れた場所に転がる黒い物体とピン底メガネ。
襲われた際に剥ぎ取られたのか、俺の視界に映るマリモはマリモではなく、黒髪ストレートに青い瞳の可愛らしい青年だった。
あの容姿からは想像ができないほど整った顔に、恐らく三人は興奮しているのだろう。
その証拠に、射精したばかりの茶髪男も、どちらかよくわからないもう一人の黒髪男も、ハーフパンツを押し上げるほど自身の“モノ”を勃起させていた。
見るからに強姦なのだが、和姦の可能性を完全に潰す為、ダメ元で窓に手をかける。
ミリ単位でずらしていくと、不用心なことに鍵はかかっていなかった。
「いぃっ!ゔぁっ、あああっ、っ、い、たい…」
「朔が中出ししたから滑りよくなったけど…っ、きっつ」
「はははっ。さすが処女だよな。食いちぎられるかと思ったわマジで」
茶髪男……朔はマリモの手を抑えつつ、大きな口を開けて笑った。
笑うとクシャクシャになるタイプなのか、顔面にアイラインで線を引いただけのような目で、腰を振る武田を見つめていた。
「あっ!あっ!嫌だ!抜ぃ…っ、抜いてぇぇぇっ、ゔっ」
武田と朔に手足を拘束され、黒髪男には執拗に二つの突起を弄られ、顔を左右に動かして必死に“抜いてくれ”と懇願している。
このやり取りを聞いて和姦だと思う奴はいない。
中を覗くのやめ、音を立てないようにドアノブに手をかけた。
窓の時同様、ミリ単位レベルで回していく。
鍵がかかっていれば、途中で“カチッ”っと引っかかる音がするのだが、特に何もなく。
回し切ったところで手前に引くと、扉と壁に隙間が生まれた。
鍵をかけずに行為に及んでいるのは、グラウンドから距離があるからか、閉会式が行われている時間だからか。
どちらかではなく両者なのだろうが、危機感のなさに驚きを隠せない。
ドアノブを元の位置まで戻し、反対の手を隙間に差し込んでから離した。
「…っ、あ……や、だっ!…んっ」
「とか言って、少しは気持ちよくなってきたんじゃねーの?」
「…あぁ、あっ、そんなこっ、と…っ!」
隠密任務でも受けたのか?俺は。
そう思わずにいられないほど慎重に扉を引いていく。
運良く“ギィーッ”という音は鳴らず、自分の体が入れる幅まで開いたところで体を滑り込ませる。
無理矢理犯されているとはいえ、元の顔がいいからか艶かしく見えるマリモ。
目に焼き付けようと必死なのか、三人は俺が侵入したことに気付いていなかった。
窓からは死角になっていて見えなかったが、行為が行われている場所から少し離れたところで、スマホ片手に妖しい笑みを浮かべている小さな男……高橋 莉緒が立っていた。
こいつが主犯かもしれない。
可能性の一つを頭に浮かべ、高橋と同じようにスマホをマリモに向ける。
ーーー……カシャッ。カシャッ。
手始めに二枚。
無音カメラではなく、通常のカメラで撮影する。
証拠を残す為。
気を削ぐ為。
そして、
「なっ!?」
「はっ!?」
「え?」
「……っ!?」
こちらに意識を向ける為。
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