46 / 103
第三章 狂い始め
★私の中に
しおりを挟むーーー……パチュン。パチュン。
体と体が打つかる際に浴槽の湯が間に入ることで、普段とは違う音色が奏でられている。
聞くだけで、ある一つの行為を想像してしまう音。
それはあまりに瑞々しく、艶かしい。
「んンっ、ぁ…あっ……っ」
「……っ、…、……はっ」
俺に背を向け、若干前のめりの態勢で跨る太一。
お湯の中で、蕾から出たり入ったりする自分の“モノ”を眺めつつ、手で汗を拭う。
ベッドとは違って動きに制限がかかる分、普段よりかなりスローペースで腰を動かしていた。
反響する声と音には興奮するが、そろそろ暑くなってきたというのが本音。
「春、都様…っ、のぼ、っ!…せそぅ、です」
どうやら太一も、俺と同じ気持ちだったようだ。
「太一。膝立ちになって、縁に手ついて」
「は、はい……っ、あぁっ!」
膝立ちになるために、先程よりも前屈みになってから腰を上げる。
その拍子に俺の先端が内部を擦り、たまたま気持ち良い場所に当たったのか、甲高い声で喘ぎ、締め付けてきた。
「っ、…ば、っか。締めんな」
「…はっ。すみっ、ません」
息を整えてから再び腰を上げ、完全に俺の“モノ”が抜けた。
壁に面した浴槽の縁に手をつき、尻を突き出す。
後背位(バック)と呼ばれるやつで、俺が正常位の次に好きな体位。
突き出した尻を両手で掴んで広げる。
丸見えの蕾に自分の“モノ”を当てがえば、「……っ」と息を飲む太一。
腰を振ってる時も、もちろん気持ちが良い。
でも俺は、
「んっ、……っ、あ」
挿れる瞬間が好きだったりする。
異物の侵入に抵抗するためか、最初は押し返そうと抵抗してきて。
先端が少しでも内部に入ると一緒に皮膚がくっ付いてきて、俺の“モノ”に寄り添うように吸い付いてくる。
威嚇していた獣が警戒を解いたかのような感覚に陥り、堪らなく興奮する。
これが共感を得るものなのか、そうでないのか。
他人に話したことがないからわからないけれど、挿入する瞬間が俺の楽しみ。
前戯が終わって一発目の挿入も、体位を変えた後の挿入も、好きだ。
「…あっ、…っ、はぁっ……っん」
「……っ、はは。…えろ」
自分の“モノ”が出たり入ったりしている所が全て見える。
イイ所に当たった時にヒクつく蕾も、背筋の僅かな動きも、全部。
ーーー……パンッ、パンッ、パンッ。
湯の中で動いていた時よりも大きく、水気を含まないはっきりとした音。
それでも足は湯に浸かっていて、動くたびに“チャポン、チャポン”と音を奏でる。
「あっ!…っ、はぁっ…ん、ぁ!」
カリの部分まで引き抜き、入り口付近で前後に動かしてみたり、先端から根元まで激しく抜き差ししてみたり。
「あぁっ!あっ、…っ、ふっ、ぁっ」
時折指で胸の突起を摘んでやると、中が素早く収縮する。
ゴムをつけていないからか、内部の熱を直に感じてしまい、いつも以上に我慢がきかない。
きかないけれど、
「…っ、……はっ、っ…や、ば」
「んぁっ!やっ、あっ、……っ、いぃ…ぁっ」
最高に気持ちが良い。
中の熱が俺の“モノ”を全方向から包み込んできて、口内で犯されつつ締め付けられているような、不思議な感覚。
「……あっ、つ……っ、すげ」
「あっ、んっ、ぁ……そ、こっ」
「…っ、ここか?」
「ひぁっ!…っ、あっ!あっ!」
声が一段と大きくなり、手を伸ばした状態では支えられなくなったのか、浴槽の縁に両手の肘から下を重ねるようにして置く。
そしてその上にうな垂れるように頭を乗せた。
「んんっ、ぁ……はっ、あっ!」
「…っ、大丈夫か?」
上体の位置が低くなり、心配になって問う。
この体位は好きだが、相手の表情が見えないのが難点。
表情から読み取れない以上、言葉で聞くしかないのだ。
俺の不安を感じたのか、右肩を縁に近付け、左に体重移動する。
左の肩甲骨が浮き上がり、右よりも高くなった左肩越しにこちらを伺う。
思わず腰を止め、顔の左半分をジッと見つめる。
「はっ…、はっ」と短く呼吸した後、息を飲み、「……っ、ふふ」と小さく笑った。
たったそれだけなのに、俺の不安を打ち消すには十分で。
つられて笑えば、恥ずかしそうに「……もっと」と呟いた。
「……っ、わかった、よっ」
「んぁっ!あっ、…っ、ふふっ、はっ」
「……善がるか、笑うか…っ、どっちかにしろよ」
「んんっ、っ…あっ!中に…中、にっ、ほし」
目を細め、途切れ途切れに“中に欲しい”と繰り返す太一。
ゴムをつけている時ではありえないお強請り。
火照った顔でのそれは破壊力抜群で。
生で、しかも中出し。
気持ち良いに決まっている。
ーーー……中出しされるのは気持ち良くて好きです。でもお腹が痛くなるんですよね。
だけど、後々辛いのは太一だと知っているから。
「……っ、バーカ。お前がっ、後で辛いだろ」
「あっ!あっ、ぁんっ、…っ、あ!」
だからやらない。
「……っ、イ、く」
「ひぁっ、あっ!あっ!……っ、」
腰を激しく動かし、太一の尻に打ち付けながら太一の“モノ”を扱くと、粘り気のある白い液体が手に絡みつく。
惜しむように締め付けてくる中に別れを告げ、抜け出した自分の“モノ”を、汚れていない方の手で扱く。
太一の背に豪快に飛んだ白い液体。
「っ、はぁ……っ、ふー……ふー……」
乱れた呼吸を整えながら、同じく絶頂を迎えた太一を見下ろす。
上下する肩。
ヒクつく蕾。
崩れ落ちる体。
エロい、の一言である。
「また洗わないとですね」
「だな」
互いに湯船に浸かり、抱き合いながら笑う。
執事と主のはずなのに、それだけでは言い表せないこの関係。
蟻地獄のように静かに落ちていく。
砂の下に広がる、真っ暗な世界に。
20
お気に入りに追加
1,401
あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる