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第三章 狂い始め
殺っちゃっていい?
しおりを挟む体育祭の出場種目を決める五限が終わり、残りの授業も特に問題なく進んだ。
そして今は放課後。
生徒会室で黙々と仕事をしている。
「グズッ。マジでなんなの?俺が何したってんだよ。どうしたらいいわけ?」
「正人はわるくありませんよ。悪いのは親衛隊です。どうにかしないといけませんね」
「そうだな。親衛隊の奴らと話してみるか」
なんていう会話をBGMに。
マリモは気を許してきたのか、サボりの時もそうだが、かなり前から三人とタメ口で話している。
そして変に繕うのをやめ、理事長の時と同じように口が悪くなった。
順調に3人との仲を深めて言っているように思える。
様々な困難を乗り越え、この中の誰かと付き合うのが王道らしい。
そういえば、生徒会長である蓮夜と付き合うのが、“王道中の王道”なのだと、腐女子であるアイツが鼻息を荒くして言ってたっけ。
「正人。親衛隊呼び出して話してくるから、ここで大人しくしてろ」
「大丈夫です。ここに彼らは入れませんから」
「安心して待っててねー!」
スマホを取り出して誰かに電話をしたかと思えば、徐に立ち上がり、三人は生徒会室を出ていく。
「ねぇ、春都先輩」
話し相手が欲しいのか、ソファーに体育座りをしながら声をかけてきた。
久々にマリモと話た気がする。
それもそのはずだ。
今まで三人の内一人は必ず一緒にいて、話し相手になっていたのだから。
あとは、大好きな政宗に自ら声をかけて、無理矢理会話を成立させようとしていたぐらいか。
「んー?どしたー?」
パソコンと睨めっこをしながらも、誰かと話していないと嫌なマリモの相手をする。
「春都先輩って、仕事大好きだよな。いつもパソコンいじってるし」
Enterキーを押す音が、数秒前よりも遥かに大きくなる。
何故ならば、俺は今、マリモに殺意を抱いているからである。
“仕事大好きですよね”
“いつもパソコンいじってるし”
……殺っちゃっていいか?
仕事に追われてる元凶はお前だし、そもそも、タメ口で話すほどお前と仲良くなった覚えはない。
今すぐにでも中指を立て、“fuck”という言葉を口にしたい衝動に駆られる。
「んー?そんなことないよー」
動き始めようとする中指を何とか押さえ込み、俺は一言そう口にした。
誰か。
今の俺を褒めてくれ。
“てめぇのせいだよ。死ねカス”
と口にしなかった俺を、全力で抱きしめてくれ。
「そんなことある。今だってパソコンから目を離さないし」
「体育祭も近いからねー。やることがあるのよー」
「嫌がらせされて傷心中の俺を放っておく?普通」
「……」
驚き過ぎて何も言えなかった。
こいつは、自分中心に世界が回っているとでも思っているのだろうか。
……いや、あの不機嫌そうな顔は完全に思っている。
そして目で語ってくる。
“俺を慰めろよ”と。
殺。殺。殺。
脳内を占めるのは恐ろしい漢字一文字。
ははは。
どうしよう。
殺意が芽生えて、光の速さで花畑ができそうだ。
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※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
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