銀獣-王道BLを傍観するつもりが巻き込まれました-【本編完結。SS公開予定】

レイエンダ

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第三章 狂い始め

うるさい。見すぎ。早くして

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「よーし。じゃあ種目決めるぞー」


 種目ごとの出場者を書く用紙と、競技順が書かれた用紙の二枚を持って、教卓にもたれ掛かる。
 しかし、俺の言葉に反応するものはいなかった。


「もー!お前ら何ー?四時間経ったんだし、いい加減慣れてくんねー?話進まないんだけどー」


 クラスメイトの視線は俺の頭部に向けられていて、体育祭の話どころではなかった。


「いや、だってよ。変わりすぎだろ。なぁ?」
「そーそー。チャラ男感すげーよ」
「寧ろヤンキーだよ」


 クラスの中で最も仲がいい奴らが、一番後の席にいるというのに、遠慮なく大声で文句を言ってくる。
 そんなに騒ぐようなことかよ。
 心の中で悪態をつきながらも、「似合ってるからいいだろー」と笑う。


「なんで銀髪?」
「なんでっていうか、黒にしてただけで元はこれなんだよー。地毛、銀髪」
「嘘だろ」
「いつもふざけてっけどー、これはマジ」
「マジか」
「うん。マジー」


 ヘラヘラと笑いながらも、白いチョークで黒板に種目と定員を書いていく。
 全てを書き終えたところで、体育祭実行委員の二人を呼ぶ。
 実行委員には、さっき俺に文句を言っていた奴もいる。


「隼人は散々俺の文句言ったらから進行なー。相澤は板書してー」
「はぁ!?俺、板書やりたかったのに」
「え、お前字汚いから無理ー」


 本当は文句を言われた嫌がらせなのだが、字が汚いのも事実なので、反論してくることなく押し黙った。
 二枚のうち一枚を隼人に投げつけ、もう一枚は最前列にいた童顔で可愛らしい顔をした男に渡す。


きんちゃん、書記よろしくねー」
「ぼ、僕!?」
「そー。字、綺麗だし任せたー」


 金ちゃんは地味で目立たないけれど、書道五段というのを俺は知っている。
 選んだ理由は最前列だからってのもあるけど、字が綺麗なのが大きな理由だ。
 最終的に読むは俺だし、名前が読めないという事態は避けたい。
 ただでさえクソ野郎共が仕事をしないのだ。
 解読に当てる時間など、俺にはないしな。


 体育祭実行委員の二人と、無理矢理書記に任命した金ちゃんが、せっせと口と手を動かしている。
 そんな三人を、後ろの席から笑顔を貼り付けて見守る。
 一人二種目は参加しなければならず、俺は借り物競走と100m走に出る事にした。
 特に揉めることもなく、順調に決まっていく。
 一時間ある内のたった二十分で、最後の一種目を残すのみとなった。


「よーし!最後はメインイベントの“コスプレ早着替え競走”だな!誰が行く!?」


 今までで1番の盛り上がりを見せたのは、蓮夜がマリモの素顔を見るためだけに入れた競技である。
 男子校であるここでは、飢えた男達が多い。
 もちろん、性的な処理は各自している。
 しかし、女と接触する機会がないからか、スカートとハイソックスを履かせて絶対領域がどうのこうのや、生足をみたいなどと叫んでいる。
 誰が出るかよりも、何を着せたいかの方が盛り上がっていた。
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