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第一章 転校生

過激派と穏健派

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「とりあえずは説明終わりー。質問あったらどーぞ」



 俺がそう問いかければ、勢いよくこちらに顔を向け、「はいはいはい!」と大きな声で言いながら挙手をした。


 小学生かよとツッコミつつ、

「はい野山くんどーぞー」

と返してやる俺は、中々ノリがいいと思われる。
 自分で言うのもおかしいがな。


「さっき生徒会が黒犬ブラックドッグを探してると言っていましたが、鵤先輩とそのもう一人の政宗先輩は特に探してはいないということですか?」
「そゆことー。手伝ったりはするけど、会いたいと熱望してるのは残りの三人だねー。俺は黒犬ブラックドッグとかいう人に興味ないし」
「そうなんですか…」


“興味ない”


 その言葉に、野山は反応した。
 唯一見えている唇が震え、長い前髪のせいで表情を完全に読み取る事はできないが、心なしか顔色も悪い。
 その事を本人に言うつもりは更々無いが、こいつも訳ありか。と、心の中で密かに思った。


「もうわからないことはない?」
「あと一つだけ!親衛隊の意味はなんとなくわかるんですけど、鵤先輩以外の親衛隊には気をつけた方がいいってどういう意味ですか?」


 補足のような軽い気持ちで口にした言葉を聞き逃さなかった野山。
 顔色も良くなり、唇も震えていない。


「俺の親衛隊は基本穏やかで穏健派って呼ばれてるんだけど、他の人たちの親衛隊は過激派って呼ばれてて、制裁や陰湿なイジメなんかをすることがあるんだー。政宗のとこは微妙だけど、会長や副会長のとこには特に気をつけて。目をつけられた生徒の中で、耐えられなくなって自主退学した者もいるし」
「わかりました!」


 返事をしながら大きく頷く野山。

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