おさがしの方は、誰でしょう?~心と髪色は、うつろいやすいのです~

ハル*

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ここはどこ、俺は誰?

信頼関係の先の話

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「ダメ…かな」

ためらいがちにそう呟くと、真っ先に耳に入ってきたのはカムイさんの「はぁああ??」という怒ってるようにしか聞こえない声。

「え? まさかの、カムイからダメ出し?」

最悪…カムイさんだけはいいよって言ってくれると思っていたのに、なんで? と胸の奥がツキンと痛む。胸の前でこぶしを握って、浴槽にいるカムイさんを見下ろした。

「わっけわっかんねえなぁ、アペル」

そう言ったかと思うと、おもむろに立ち上がりザバザバと水音をたてて浴槽から出てきた。

目の前までやってきて、鼻に触れそうな距離で俺を指さす。

「俺は、とっくにお前のモンだろ? 従魔契約してんだし、それがなくってもそういう言葉なしに一緒にやってきたんじゃないのかよ」

そして、切れ長の目を更に細めて、不機嫌そうに一息で吐き出した。

「あ……う…うん」

「ううん、か? うん、か。ハッキリしろ、ハッキリ」

「あ、うん」

まくしたてられはしたものの、カムイさんが言っていることは俺を喜ばせてくれるものだ。とっくにそばにいていい仲で、これからだって望んでいいっていうことでいいんだよね?

「…ごめん、カムイ」

カムイさんは別にして、イチさんとナナさんだけに向けて話せばよかったってことか。

でも…と、浴槽にいる二人を見下ろす。

「言いたいこと言ったから、もういい! 許してやる」

「…ふふ、ごめんね。あと、ありがと」

カムイさんが大きな手で、まだ濡れたままの髪の毛ごと頭をぐしゃぐしゃに撫でまくる。

「ああ、もう。ひっどいなぁ」

そう言いつつも、こういう距離感が嬉しい。

俺とカムイさんのそのやりとりを、二人は黙って見ている。

カムイさんはというと残っている日本酒を手にし、クイッと一気にあおった。

「…ふう。あのな、イチもナナも、言いたいことありゃ言っとけ。どうせこの場で話したことなんか、どこにも漏れるはずねえんだから」

と言って、二人の飲み物のお代わりを出してやれとジェスチャーで示してきた。

イチさんにはボトルからスパークリングワインを注ぎ、ナナさんにはアプリコットクーラーってカクテル。

杏子あんずを使ったブランデーが入ってるんじゃなかったかな、たしか。

こういう時に花ことばみたいに、カクテル言葉に気持ちをのせて~…とかカッコつけたいとこだけど、何も知らないからな。それにそれを知ってて狙って出したとしても、世界が違うからなるほどって感じにもならないだけだ。

透明な黄色とも淡いオレンジともとれるキレイな色のカクテル。甘めがいいから、レモンジュースは少なめのイメージで!

(って、意外と憶えてるもんだな。カクテル)

カクテルを飲んだのは、叔母さんの深夜食堂に来ていたお客さんの店に引っ張って行かれた時だ。

二軒隣の、昔からあるカクテルバー。

『酒でも食いもんでも、美味いものは知ってて損なし。美味いもんは、それだけで癒しだ』

そのじーさんが口癖のように言ってたのがそれだ。ちなみに食いもんの方は、叔母さんの店で出る食べ物のことだ。

クッタクタになって叔母さんの店に寄って、そのじーさんに後から酔いが回る酒ばっかり飲まされた記憶しかない。

ただし、めちゃくちゃ美味いやつ。

女を口説く時はコレがいいとか、余計な情報もちょいちょい入れてきていたのを憶えている。

叔母さんの店に寄ってる時は、あまり寂しいとか感じたことがなかったかもしれない。なんだかんだいいつつも、にぎやかに過ごさせてもらってた気がするんだ。

2人とも受け取った酒を手に、一気にゴクゴクッと飲み干してからトレイにグラスを置き。

「じゃあ、言わせてもらいます」

まず、イチさんが切り出した。

「あ、うん」

「俺ね? アペルさん」

「あ、はい」

なんだか妙な圧があって、思わず”はい”と返事をしてしまった。

「辞めたいんだよね、ナンバーズ」

意外な話が出てきた。

「え、っと?」

聞いていい話なんだろうかと、首をかしげた俺。

そんな俺を気にすることもなく、イチさんは話をはじめた。

「俺って、名前の通りでそこの一番上の人間でね? 下をまとめなきゃいけないわ、俺の上にいた上司はあんなんだったわ…ってなるし。アペルさんがこの状態だから、やること少ないのに部署が名前だけある状態でみんな暇そうで。何度も何度も同じ書類をちょっとだけデータいじって上書きして、更新したら特にやることなんかなくて。アペルさんがいなくなったら、余計にやることなくなって…。いたら警護とか、アペルさんからの情報をデータ化するとか、新しい魔法があったらそれを魔法課の方に代理で申請をして、登録する前に漂流者に魔法を魔法課に見せてもらって…とかいろいろやるはずだったんですけど。結果だけ言えば、それのどれもをまともに出来ないままで宙ぶらりんだったんですよ。うちの部署」

とか聞かされて、思わず「申し訳ない」と頭を下げる俺。

「あ。…いや、アペルさんを責めるために言ってることじゃないんで、頭なんか下げないでいいですって。ホント。……俺ら、その状況下でまわりからただの給料泥棒とか言われたりもしてたとこに、バカどもがやらかしたせいというかおかげでアペルさんが戻ってきてくれて。魔法とか錬成とかめちゃくちゃなことばっかりやるもんで、それを文章化したり魔法課に見せたり…ってやらなきゃならないんですよ。本当はね? …やんないけど」

これ、本当に俺のこと責めてない話なのかな。とか思いながら聞いていたんだけど、最後の呟きに思わずツッこむ。

「やらなくっていいんですか」

疑問に思って聞き返せば「いやいやいやいや、無理でしょ」とバッサリ。

「アペルさんが作った魔法とか、文章化するのはかなり困難ですよ。どう表現したら伝わるのかわからない。さらにそれをどんな魔法かって魔法課の連中に見せなきゃいけなかったわけで。アペルさんじゃ不可能な魔法を再現って、いちいち来てもらわなきゃいけない。記録に残すのは、漂流者が持っている能力を記録しておくだけじゃなく、その中で誰でも使える魔法や能力があれば参考資料にするためでもあって。…でも、アペルさんだけに関していえば、参考に出来るとか無理でしょ。構築していくの何回も見させてもらいましたけどね? 無理無理無理無理…マジで無理。なんだったら、あとでアペルさんに協力してもらって資料作ってもらった方が早そう。魔法課の連中への実演は、免除してもいいんじゃない? と俺個人は思ってます」

「えー…っと、ご所望とあらば、参考資料になれるだけの文章力があるかは謎ですが、後ほど作って送ります」

「助かります」

と、ここまで話した段階で、ナナさんが咳払いをした。

「あのー……本題に入りません? イチさん。愚痴はそろそろ終わりにして」

苦笑いを浮かべながら、イチさんの肩をトントンと軽く叩いていた。

「あ…っ、あー……まあ、うん。前置き長くてすみません」

吐き出したら、止まらなくなっちゃったパターンかな。

「大丈夫です。じゃあ、本題を聞かせてください。イチさん」

そう言い、俺は浴槽の縁に腰かけて、脚だけをお湯につけながら話を聞く姿勢を取った。

「まあ、そんな感じで仕事してたんですけど。ぶっちゃけ、漂流者に関連する仕事をしろっていうなら、アペルさんのそばに随行してけば話が早いんじゃないかって思ってたんですよ。……でも、俺、アペルさんとは…」

と、そこまで言ってすこし間を置いてから、イチさんはゆっくりと言葉を吐き出した。

「親友にまではなれなくても、友人になりたい…と。元の世界での年齢も近かったと聞きましたし、住んでいた世界は違えども話せることは多少なりともあるんじゃないかと思ってて。…それに何より、俺はあの時…嬉しかったんですよ。アペルさん」

「あの時」

そこだけを繰り返す俺に、イチさんがうなずいて話の続きをする。

「魔法課の連中がやってきた時、俺とナナに結界張ってからいなくなったでしょ? 守るから! って言って」

イチさんが言う、あの時を思い出す。

急にやってきた魔法課の連中。繰り返される攻撃の中、どうにかして誰も攻撃しないでその場を収めたい気持ちでいながら、偶然その場に居合わせた2人は守らなきゃと思った俺。

「ああいう時って、自分のことだけでいっぱいになるはずなのに、まるで自分のせいで巻き込んだって責任感じたように必死になって、たった一日にも満たない時間を一緒に過ごしただけの俺とナナと守る対象にしてくれた。……アレは、惚れるでしょ」

イチさんが噛みしめるように、そう話すと「わかる!」とナナさんが相槌を打った。

その相槌を見て、頬をゆるめながらイチさんが続けた。

「だからね? アペルさん。……俺からも、お願いさせてくれませんか? そばにいたいです。旅に出るというのなら、同行させてください。随行じゃなく、同行。近しい仲…友人として。今度は俺が守ります。…っても、守る必要ないくらいに強いのわかってますけど。魔法で解決できないとこのフォローや、この世界の仕組みなんかで旅を止めざるを得ない時には、俺がどうにかします。自分でいうのもなんですが、意外と使える男なんで。だから…そばに置いてくれませんか? この俺……ジャン=ヘクターを」

と、イチさんが最初に一緒にいた時に鑑定で見ていた名前を告げた。

彼らがいた部署では特に、本名は明かさないようになっていたって思ってたから、正直驚きを隠せない。

「イチ…さん」

いいの? と思いながら、彼が告げた名前を呼べない俺。ナナさんが、イチさんの”それ”に驚きの声をあげた。

「へ? ジャン=ヘクター…って、近隣国の愚弟って言われてるこう…」

とか言いかけてからイチさんの微笑みに気づき、苦笑いを浮かべて言葉の続きは飲み込んだらしい。

「んなもん、アペルさんは、もう…知ってると思う。ブレスレットに自分の名前があるんだろうって時点で、すべてを知られていると思っていたから。俺がそれについて話すのを待ってくれているのかもしれないと思ってはいたけど、ナンバーズを抜けて、ジャンになってから…出来れば二人きりの時に話したい。……いつか、聞いてくれますか? アペルさん」

出来れば、のあたりで浴槽の中を膝立ちで移動してきて、俺の膝に手を置きまっすぐ見上げてきた。

彼の問いかけに、俺は「もちろん」とだけ返して、膝に乗っているイチさんの手に自分の手を重ねた。

「……ズルくないすか、イチさん」

ボソッと聞こえてきたのは、ナナさんの呟きだ。

顔をそっちへと向ければ、のぼせてきているのかナナさんの顔が普段よりも赤みを帯びていた。

「ナナさん、お酒以外で水分とりましょうか。ね?」

と言い、俺は麦茶をジョッキいっぱいに注いだものを出して手渡す。

グビグビと一気に3分の2ほどまで飲んだナナさんが、麦茶入りジョッキを手に俺の横へと腰かけた。

「あのね? アペルさん。俺だってね? アペルさんがどっか行くなら一緒に行きたいし、イチさんが一緒なら尚のことだし、カムイさんが一緒なら面白そうだし」

そう切り出した時、カムイさんが「おいおい…ナーナ? 面白そうってなんだ、おい」とツッこむ。

「……だって、安定のツッコミ役でしょ? それに、脱線してる時に戻してくれるし」

「俺の役割って、なんだよ。お前から見て」

「えーと……保護者のようで、兄のようで、先生でもあって、ツッコミ役でもあって」

「多すぎんだろ!」

とかいう安定の脱線の後、話は戻されて改めてナナさんの話になった。

「ま、そういうことで、俺も一緒に行くっす。ナンバーズは、実力で勝ち取りはした場所だけど、入ってみりゃこんなもんか…って落胆した部分の方が多く見えちゃってて。次のナンバーズを決めるタイミングで試験は受けず、他の部署への異動を申請しようと思ってたとこだったんで」

「じゃ、渡りに船だ」

「ワタリニフネ」

カムイさんが言葉を繰り返してから、俺の方を見てきた。説明しろって顔だ。

「何かしようかなぁって時に、必要なものが揃うとか条件が整うとかそういうの。あっちに渡りたいなって時に、船があったらついてるな! って思うでしょ? そういうことね」

カムイさん向けに説明をしていると、ナナさんが首をブンブンと激しく振った。

「だけじゃないっす! 言葉足りなくて、すんませんっした」

なんだか今にも泣き出しそうになってて、俺は黙ってその背中をさすった。

「俺を、アペルさんが求めるように…アペルさんのモノにしてください!」

麦茶の残りを一気に飲み干してから告げたのが、それだ。

「んん?」

「アペルさんの好きにしていーんで!」

「んんん?」

「サリー=ウィルホーネットは、アペルさんにすべてを捧げるんで!」

イチさんに続いて、ナナさんまでもが本名を明かしてきた。

「え、いや」

「大事にします! これから、ずっと。カムイさんとイチさんの次でいいんで、アペルさんの中に俺の場所を作ってください! こう見えても結構尽くす方なんで」

「いや、そこまでってつもりじゃ」

「たまに甘いものくれたら、不眠不休で働きます! くれなくても、働きますけど」

「それはダメって言ったじゃん」

「でも、アペルさんのためになら…やれます! 命じてください! 命を捧げろって」

ナナさんが若干暴走しはじめた時、イチさんが浴槽の中からナナさんの顔に向かってお湯をかけた。

まるで水鉄砲みたいに、手を重ねたその隙間からピュウー…っと。

と同時に、カムイさんが桶で頭の上から少しだけど冷水をかけていた。

「え? なっ…! カムイさん、冷たっ! イチさん、ひどっ」

慌てるナナさんに、2人が同時に「落ち着け」と声をかける。

「…すんません」

そう言いながら、肩を落としたナナさんに。

「ごめんね? ナナさん」

って、声をかけて肩に手を置いた。

「え? 俺…ダメなの?」

俺が急に謝ったもんだから、誤解させちゃったみたいだ。

「違う違う、そうじゃないよ。…ん、と。俺が…その、俺のモノになってって言ったのは…そこまでのじゃなくていいんだよ。ナナさん」

「ん?」

「ナンバーズじゃないけど、俺を中心に集まりたいっていうか…その、似たような感じで俺って人間のそばにいてってことなんだ。俺……大月水兎おおつきみとから離れないで、旅だけじゃなくいろんなこと一緒にして、一緒に時間を重ねたい。ナナさんの言葉を引用するんじゃないけど、みんなの心の中に俺の場所…ほしい。お願い。俺をみんなの中に置いて?」

2人が明かしてくれたように、俺も明かそうと思った。

「俺のこの名前は、この3人にだけ明かすね? …何かあった時、俺をどうにかして止めなきゃいけない未来があったなら、本名を知っていれば名前で縛ることが出来るんでしょ? …その時に使って? みんなを信頼して、名前を託すよ。…………でも、ここではアペルでいさせてほしい。水兎の名前は、あの時に置いて逃げたから。アペルって、カムイさんがつけてくれた名前でこの世界を歩きたいんだ。…ってことなんだけど、どうでしょうか。…2人とも」

シン…とした中で、かすかに水の音だけが響く。

沈黙がツライ。

ゴクッと唾を飲み、もう一つの話をする。

「あの、さ。……今後、ある姿で固定したいんだ。俺」

全く違う話題になったのに、みんなは特に何も言わずに言葉を待ってくれているように見える。

それをよしと感じ、俺は続きを話す。

「俺ね? みんな…俺の髪色みて様子うかがってたでしょ? それが気になって」

と切り出したら、バツが悪そうな顔をしたのが2人。

「なんで? とか聞こうかとも思ったんだけど、きっと機密なんだろうと思ったから無理に聞き出すのはやめた。…その代わりってわけじゃないけど、さっきカムイから今の髪色を聞いた時に気持ちが決まったからさ。…やっぱりそうしようって。結構前からそうしようか悩んではいたんだけど、気持ちが決まったから…そうするのを3人には言っておきたくて」

俺がそう話すと、カムイさんが聞き返してきた。

「イメージはとっくに出来てたってことか、なりたい姿の」

って。

それに俺はまばたき二回分ほどの間を開けてから、ゆっくりとうなずいた。

「なんでかその姿を思い出せなかったのも、決めかねていた理由でもあったんだ。…俺の元の姿になりたくて」

そう告げれば、ナナさんが不思議そうに俺の顔を見つめてきた。

「見た目、だいぶ変わるの?」

そう呟くナナさんの表情は、気のせいか寂しげで。

「んー…髪色は、今の髪色と大差ないかな。黒髪だったんだ、俺。黒髪で、目はいつも開いてるの? それ…って言われるような糸目って言われる目でね。瞳はこげ茶に近いかも。髪は切りに行く暇なさすぎて、肩くらいまであって後ろで縛ってた」

「糸目、ねぇ」

カムイさんが、今の俺の顔を見比べて想像してるのかな。ふんふんいいながら、ものすごい至近距離で顔を見られている。

「近いってば、カムイ」

目でも悪いのかな? って思うほど、時々距離感がバグるカムイさん。ホーンラビットの時ならいいんだけど、イケメンの時は目が合わせられない。めっちゃ照れる。顔圧が強すぎるんだもん。

「さっきさ、お願いしたことがあったでしょ? 一緒にいたいってやつ。……それの時に、さ。髪色見ないで、俺と…俺自身と向き合って、他からの情報じゃなく俺からの情報で俺のその時々の感情を知って欲しいんだ。認識阻害をかけて、三日経てば…もう、元には戻せなくなる。何かに頼れなくなったら、俺のそばにいるのは…キツイかな」

カムイさんはさておき、この2人にとって俺の髪色は今まで重要視していただろう情報源だ。それを断ちたいと言っているんだから、すぐにはイエスと言えないはず。

「ここから三日間以内に、謁見の準備は整うように頼んであるんだよね? …その間、俺のその姿を見ていて、その姿の俺と一緒にいたいって思えたら…伝えてほしい。…どうかな」

本当はもう一つ、自分の中にある矛盾について話したかったけど、今日はここまでが限界かもしれない。

最悪、カムイさんにだけ話したっていい程度の話だ。俺が抱えている矛盾への疑問に、カムイさんは答えてくれるだろうか。

「…わかり、ました」

イチさんが表情を硬くして答えた後に、「じゃ、見せてください」とナナさんが続いた。

カムイさんに視線を向けると、何も言わずにうなずくだけ。

「……じゃあ、いきます。『イリュージョン』『ボイスチェンジャー』…っと」

そうしてかけた認識阻害魔法で変化した姿が、大きな鏡に映る。

「――――俺、だ」

ひげ剃り以外に鏡を見ることもなかった俺。長めの髪をハーフアップにしてその辺のゴムで縛っただけの、お洒落とは無関係の髪形。こんな感じだったか、俺。記憶あってるのかな。っていうか、地味だな。顔の造りが。

「地味だな」

カムイさんがボソッともらしたそれに「悪かったね!」と自分でも思っていたのを内緒にして、俺がツッコミを入れた。


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