それが恋だっていうなら…××××

ハル*

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ノるの? ノらないの? 8 ※R18指定で

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~小林side~


男のそれだとわかっているのに、不思議なほど何のためらいもなくソコへと顔を近づけられた。

舐めてくれるよね? と誘われるがままに、まるで魔法をかけられたようにふらりとバスルームへ。

服を着たままなんだということすら忘れるくらいに、彼の願いを早く叶えたくて湯気がこもるそこへと入っていく。

舌先を使って、ねだられた通りに彼の手によってやわらかく解されつつあった孔へ舌先をすべり込ませて。

指も使ってと言われれば、最初は指一本からそこに飲み込ませるように挿し込んでいく。

女との経験があるわけじゃないけど、女のそこのように何かがあふれているような音がする。

くちゅりくちゅりと湿った音をさせながら、指で彼の中の温度を上げていく。

すこししてから指の本数を増やしていくと、彼の短くもイヤラしい声も増えていった。

「あ…っ、ソコ……ダメっ」

ダメという場所は、こういう時は逆だ。その手の知識だけは無駄にあるから、彼の言葉を信じずにむしろ激しく奥へと指を沈めていくと腰がひときわ大きく跳ねた。

「先にイキたく…ない、のにぃ」

甘えたような声に変わり、足がガクガクしだす。

第二関節くらいまで挿し込んでから、腹の方へと軽く指を折る。ソコに”それ”があるはずだ。

自分の中にもあるその部分を、繰り返し繰り返し刺激する。

「は……ン、あっ! もっと…っ」

目の前の人がこんなにも乱れるなんて思えるはずがない。普段の姿とのギャップが激しすぎる。

(そのギャップが、たまらない)

左手を前へと動かして、今にも爆ぜてしまいそうなほどの熱を持つ彼自身を扱く。

「一緒…ダメ……ぁ……アァッ」

後ろを刺激しながら、それに合わせて前を強めに扱けば、一瞬プク…っとふくらんだ杭が熱を吐き出す。

吐き出した後もゆるく数回扱けば、タラタラ…と白く濁った体液がバスルームの床にこぼれて流れていく。

――と、ここまでやったもんだから、さっきの恨みごとみたいなセリフにつながるんだけど。

そのセリフを聞きながら、俺は内心こう思っていた。

(服着たままだからバレてないけど、俺だって水無瀬さんの喘ぎ声とイく瞬間に挿れていた指を締めつけたアソコの感触とで、ほぼ同時に吐精したんだよな)

『アナタが先じゃありませんので、お許しください』

そう言いたい気持ちを隠して、今更ながら服を脱ぎ始めた。

濡れた服は脱ぎづらく、肌にいつまでも貼りついている。

「お利口にして待っていたら、こんな格好にならずにすんだのに。…バカですね、小林くんは」

そう言いながら脱ぐ手伝いをしはじめる水無瀬さんに、大したしないうちに一緒に吐き出したモノのことがバレるのはすぐ。

「ふ……っ」

短く笑うその声の後、笑うのを堪えているのか肩が小さく震えているのがわかる。

「笑うなら笑ってもいいですよ」

ため息をつきつつ服を脱ぎ終えると、「貸して?」と手を差し出される。

「なにを?」

と聞き返せば、乾かすところまで洗濯をすませてくれるという。

「乾燥機付きですか。…こういう時に便利ですね」

何の気なしにそう呟けば、ふはっとまた笑う声があがる。

「こういう時って…くくくっ」

笑いの沸点が意外と低そうだなと思える。うん。

「ついでにシャワー浴びておいでよ。まぁ、あとでまた浴びることになるかもしれないけどね」

そういってシャワーの使い方を簡単に説明だけして、バスルームから出ていく水無瀬さん。

裸のままスタスタと出て行ってしまった。

(いや…まぁ…バスルームから出たんだから裸で出たのはいいんだけど、出る直前にチラッと見えた時にはまた勃ってた気がする)

結構飲んでいたはずなのに、今日はその気満々モードなのか?

性欲強め…かもしれないしな。

なんて思いながらシャワーを浴びていると、俺自身にじわりと熱が集まりはじめる。

さっきの光景が頭から消えない。消せない。

男の尻なんだってわかってるのに、誘われるがままに初めてその場所を舐めた。

一葉としたあの夜のことは、正直なところ忘れてしまいたいほどだ。

力が入らない体を好き勝手にされて、一葉のモノを俺の体が受け入れて。

受け入れたとはいえ、気持ちの中ではちっとも受け入れたつもりはなかった。

前立腺の部分を圧迫されて、擦られて、勝手に腰がひくついて。内臓を押し上げられるような感覚が、気持ちいいということと結びつけられなかった。

真っ黒なテレビに映りこんでいた、俺と一葉の重なっている姿に興奮なんか出来ずに終わった初体験。

一葉が俺にしたことと同じことを、俺はこれから水無瀬さんにするんだろう?

さっきもだし、今もこうして勃っている時点で、一葉とのことで勃起不全にたたなくなってはいないみたいだ。

てっきり男でも女でも相手が出来なくなると思っていただけに、逆に驚く。

それだけショッキングなできごとだったはずなのに、俺は今、こうして水無瀬さんのあの姿に興奮している。

指に残っている感触。熱。前立腺のあたりを擦りあげた時の反応に、もっと声が聞きたくなる欲求が頭をもたげた。

「俺にもこんな感情があるなんてな」

泡を流して、シャワーをひねる。シャワーヘッドからポタポタと落ちていく水の動きに、さっき水無瀬さんから滴り落ちた精液を思い出す。

「…あ」

半勃ちだったソコが、じわりと固さを増しておきあがる。

「俺にもちゃんとあったんだな、性欲」

それを呼び起こしたのが、同じ職場の人間というのがちょっとやりにくいけど。

取っ手を引き、バスルームを出る。

簡単に体を拭き、そばにあったカゴへ濡れたタオルを放り込んだ。

リビングへと向かえば、裸のままでタバコを燻らしている水無瀬さんの姿が、さっきまでとは違って薄暗くされた部屋の中に浮かび上がって見える。

「裸のまんまリビングを歩いていくのは、小林くんが羞恥で耐えられないだろうと思ってね」

なんていいながら、タバコの火を灰皿に押しつけて消す。

濡れたタオルを巻いて出てくるのもないなと思ったし、着替えを貸してもらえる話があったわけじゃなかった。なら、裸で出てくるか、余分なタオルでも使うか…の二択だった。

他人様の家で、何枚もバスタオルを使うのは気が引けた。裸で出てくるのも躊躇ったけどね。

「まだ大丈夫そうだね、その感じだと」

俺の横を通りながら、ちらりと俺の下半身へと視線を向けて奥の部屋へと向かってしまう。

「水無瀬さん…待って」

これだから経験が少ない奴は…とか言われたっていい。最終確認をしておきたい。

「いいんですか? 本当に……俺と…」

いろんな意味でそう問いかける。俺の質問の意味も理由も、彼が理解しているのかはわからないところだけど。

問いかけた俺に、水無瀬さんは押し殺すように笑ってからこう告げた。

「そんなことどうでもいいよ。…ね。ノるの? ノらないの? 君がこのままノらないなら、誰かほかの相手を探すだけだよ。それか…やっぱりこっちがヤる方になるか」

ヤる方になるかと言われた瞬間、そこを水無瀬さんに暴かれたわけじゃないのにヒクンと反応してしまう。

「さぁ、最終確認だ。……どっちがいいの」

喰われそうな感覚に襲われながら、俺は唾を飲みこんでから告げた。

「……ノります。だから教えてください。俺の初めての相手になってください」

ヤる側になると公言しておきながら、彼に頭からつま先まで喰われて、彼の体液に染まってしまう気がする。

それは単なる予感か、なにかへの恐怖感か。

今まで味わうことがなかった感情に溺れていいのか、迷ってしまう。

けど、ここまで来てしまった。

もしかしたら誘い込まれたのかもしれない、彼のテリトリーに。

「ふ……。それじゃ、ベッドに腰かけて? 最初の快楽を教えてあげる。でも約束をひとつだけ…イイ?」

言われるがままにベッドに腰かけて、彼の言葉の続きを待つ。

「気持ちイイと思ったことは、素直にいうこと。気持ちイイ場所だった時も、教えてよ。どうせなら、どこまでも気持ちよくなっちゃった方がいいでしょ?」

その言葉はまるで、尻込みしそうになる俺を解放する呪文かもしれない。

(――呪文、か。呪いにならなきゃいいな。一葉とシたあの夜を引きずることになった、あの言葉のように)

『そのうち、コッチの初めても俺がもらってあげるね?』

いつかその日が来るのかと、一葉の視線と足音にびくついた日々。眠っている間に知らぬ間に開発されていた体を、呪いたくなった。

水無瀬さんとの夜は、あの夜を塗り替えてくれるんだろうか。なんて淡い期待をしたのかもしれない。

「わかりました」

そう答えた俺の前に水無瀬さんは跪き、固さを保ったまま先走った体液をにじませる熱に手を添える。

「…言質とったからね?」

呟いたと同時に、彼が「…あむ」と小さく声をあげて俺の股間に顔を埋める。

口の中の熱の感覚、舌先と口内の感覚。唾液の音とネバつく感触。

そして、俺が知っている水無瀬さんは、こんな風に俺のモノを咥えるイメージはない。

真面目で、どちらかといえば清楚な感じですらあるのに。そんな人を汚しているような高揚感。

「う……ぁっ」

舌先が裏筋を転がすように動き続ける。ぬるりとしながらも、ザラつくような感覚に腰が痺れてくる。

「んぁ…っ」

ジュブジュブと濁った水音を立て、時には舌先でなぞるようにして敏感なそこを刺激し続ける。

喉の奥の方にまでガツンと咥えこんで、激しく頭を上下しながら俺を見上げるさまに、ゾクゾクして堪らない気持ちが高まっていった。

「く……あ、ハッ…ん……イ、イク…っ」

水無瀬さんとかわした視線をそらすことを許されないような、射貫くような瞳。

吐き出す熱を水無瀬さんは吸い上げるように、口を動かすと。

「ん…、ごく…っ。ん…。濃いね、思った通り。味も匂いも」

口角に白いものを垂れ流しながら、薄く笑った。

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