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ノるの? ノらないの? 5 ※R
しおりを挟む※無理矢理な性行為の内容を含みますので、R指定で。
無理な方は、回れ右推奨です。
~小林side~
一緒に見ていたはずの動画はとっくに終わってて、どこか遠くで聞き覚えがあるようでないような誰かの歌が聴こえてきた。
オート再生でもかかっているのか、勝手にBGMになっていく何かの曲。
昔、見たことがあるドラマの主題歌の、誰かのカバーかもしれないと思う。
そっちへと意識を向けてでもいないと、自分の意思に反した反応をしそうなモノへと意識が向かいそうで…。
(怖い…って思ったらダメなのか? この状況って)
俺の方が年上で、本当ならこの手のことだって余裕を見せたいところなのに、そもそもで兄弟でのこの状況に冷静にだなんてなれるはずがない。
どうにかしてお膳立てされ始めているこの場の空気を変えたいっていうのに、俺の気持ちに反して反応を見せたソコを、すりすりと撫でていく手をゆるめない弟。
「や…めろっ」
拒む言葉を発しても、楽しそうな声でやめようとする気がないのをこれでもかと伝えてくる。
「…あは。こんなにイイ反応しておいて、何言ってるの? 時には素直に従った方がいい時もあるんだよ? おにーちゃん」
と、これまで呼んだことがない呼び方で呼ばれ、当たり前のことが脳裏に浮かぶ。
『俺たちは、義理でも兄弟なんだ』
という、その事実が。
「…あ。また反応した。……ふふ。そっか……悠有にいって呼び方よりも、お兄ちゃんって呼び方の方が…燃える? ドキドキしちゃう? それとも違う意味でドキドキしちゃってる? 俺たちは、きょーだ」
「言うな!」
頭の中を覗かれた気がして何とも言えない羞恥心に、あわててその言葉を被せた。
…のに、一葉は…弟は……、ソレをやめない。むしろ、その手を強く速めていく。
「あ……ぁっ! やめろ…って、言って……ぅあ…っ」
ぎゅっとしっかり握りこまれて、揺さぶるように激しき扱かれて、頭の中がソレだけでいっぱいになりそうになる。
「ふふ。…腰、動いてるよ?」
そう言われて、ふ…といきなり静かになった部屋の中でおかしな感覚になる。
頭がボーッとしながら視線だけを彷徨わせると、違和感に気づく。
真っ暗になったテレビ。少し低めの場所に置かれたテレビには、俺たち二人の姿が映り込んでいる。
弟の上に覆いかぶさっている俺の姿が。
その姿を見てしまった刹那、自分の一部分が恥ずかしくも反応したことに気づいてしまう。
「へぇーーーー……え。そういうの、好き…なんだぁ。お兄ちゃん、って」
思わず反射的に顔を背けて、弟からも目をそらした。
「羞恥プレイ、かな? ある意味。……俺も好きだよ? おにーちゃーん」
そういいながら、手を動かし続けたままで顔をそむけた俺の頬にキスを繰り返す。
「一回、出しちゃおっか。…ね? もうそろそろ…限界、でしょ?」
なんて、俺よりも俺のソレをわかっているような言葉を囁き、手の動きをさらに速めていく。
「あ…っ、ヤダ……っ! こ、んなの…ッ、ンンッ……あ……っ」
「ホラ…イッちゃいな……って! ほらっ! おにーちゃーん」
「あっ…アァッ!! イヤだ! こんな…アッ! あぁああああっ!!!!」
叫びに近い声が、自分の耳からも入ってきて堪らなくなる。
初めて吐き出した欲の余韻が腰から抜けない。痺れたような感覚に、頭が困惑してしまう。
結局…服の中で欲を吐き出してしまい、頭がボーッとしたままクタリと上半身を弟に預けるように倒れこんだ。
その格好はまるで、腰を突き出して後ろから見ればきっとあられもない格好だろう姿。
ぐったりした俺の下敷きになった弟は、俺をソファーの背もたれ側に転がしてから、よいしょなんて言いながら俺の下から抜け出した。
ソファーのそばに立ち、力が抜けている俺を見下ろしながら、服をゆっくりと脱いでいく。
「な…んで、脱いで…」
乱れたままの呼吸。上手く言葉が出てこない、混乱する頭。なんとか声をかけてみても、弟は今まで見たことがない表情で俺を見下ろしたままだ。
「一人だけ脱いでるなんてマヌケすぎるでしょ? …さ。気持ち悪いだろうし、脱いじゃおうね。お兄ちゃん」
とか言いながら、脱力した俺の衣類をくつろげていく。
近づくたびに距離を置こうと腕を伸ばして突き出すのに、無力だといわんばかりにその手を弾かれてしまう。
俺って、こんなに体力も腕力もなかったか? と疑問に思うほどに。
混乱していると、体が思うように動かないとはいうものの、ここまでなわけがないだろう。
「薬使ってないって…さっき」
言ってたよな? とさっきまでの会話を思い出してみる。
言葉通りに受け取った俺をあざ笑うかのように、クスクスと笑いつつ服を脱がせながらこう言った。
「そう? …言ったかな。…あぁ。眠くなる薬は使ってない、の間違いだ。…ははっ」
って。
「おま…えな」
息が上がる。俺を好きなようにしはじめた弟を睨みながら呼べば、名前を呼んでと笑う。
こっちはそれどころじゃないっていうのに、呼び方に何があるっていうんだ。
「さて…と、準備をしようか。お兄ちゃん。……うーん。なんかソッチの元気がなくなったことだし、元々俺が抱きたかったからねぇ。…お兄ちゃんの男としての初体験はまた今度にして、今日は女の子になってもらおうかな」
体の力が完全に入らなくなった俺の体を起こして、ソファーの背もたれに普通に背を預けている格好へと変えていく。
スタスタとキッチンの方へ歩いていったかと思えば、どうして今日それを手にしている? と眉間にシワが寄るものを手にしている。
「それは…」
ケーキを持ち帰る時に飾りで括りつけられていた、真っ赤なリボンだ。
それを目の前で半分の長さに折り畳み、そこからハサミで切ってしまう。二本になったリボンを俺に見せつけてから、ニッコリ微笑んでこう告げた。
「視覚的効果が好きみたいだから、そのままそれを生かしてあげるね」
ソファーに背を預けたまま腰かけていた俺の、その右手と右足首そして左手と左足首。それぞれをセットにして、リボンで結んだ。
脚は折りたたまれて、体育すわりの時のようになっているので、何も着ていない俺はソコを見て下さいといわんばかりに晒した格好が出来上がっていた。
真っ暗なテレビの画面に映った、恥ずかしさしかない俺の姿。
まるでソコを隠すような位置に、笑顔の弟が床にぺたりと座って、手を伸ばしてきた。
「キレイなピンクだよね。結構開発したつもりなんだけど、こうしてお兄ちゃんの意識がある状態では初めてだよね。……自分の体がどうなってるのか、知るといいよ?」
弟が手にしている物がどういうものかなんて、BL仲間からの前知識で知っている。
「俺に何をされているのかを見下ろしながら、自分が女の子になるまでを体感していってね?」
どこか楽しげに、指先にジェルをトロリとこぼしていく。
言われた通りにその光景を見ていたいわけじゃないのに、顔を背けても弟の指が俺の体に触れた瞬間、確かめてしまうんだ。
クプ…つぷり……と濁った水音がいつまでも続く。まるで今流行りのASMRだとかみたいに、やけに耳につく音。
体に力が入らないのに、腰が勝手にぴくんと反応して弟がほぐしているだろうその場所を締めつけてしまう。
「は……っ、んぁっ……、やめ……ろっ」
自分の声なのに、違う声みたいな違和感。抵抗したいのに、体は抵抗すら出来ずに弟の指先を受け入れているのがわかる。
初めてのはずのその行為に、あっという間に指の本数を増やされてしまう。
グプッとジェルなのか自分の体液なのかわからない音へと変わっていく、恥ずかしさを呷る音。
「あぁ…ン。や…ぁ……、もうヤメ…ろ…って、ああぁっ……っっ」
ソコを指でほぐしながらも、萎んでいたはずの俺自身をも口で刺激してきて何も考えさせてくれない。
「…ふ。たっぷり時間かけて開発した甲斐があったみたいだね、お兄ちゃん。ココも…コッチも…お兄ちゃんの顔も……エッチになってるね。すっかり」
そういいながら微笑んで、自分のモノへゴムをつける弟の姿も見たくもないのに結局見ている俺。
「ちゃんと…見て、て……クッ………最初だから、やっぱりキツい…か…っ」
俺が朦朧としかかっているところに、弟を受け入れさせられるだろうその場所へ、熱を持った杭が中へと割り入ろうとしていく。
異物感しかないソレが、腸ごと押し戻そうとしているような圧力で侵入していった。
「まだ…半……ぶ、ん…っか。は…っ、すげぇ……俺、今…悠有にいん中に…」
俺の体内に飲み込まれていく熱量が、自分の脳にも伝わっていく不思議な感覚。
気づけば二人の間に距離はなくなってて、ぴったりとくっついている。
「……つっっ」
ピリピリと体が裂けそうな痛みが、腰にくる。
「馴染むまで挿れっぱにしておきたいとこだけど……動くよ?」
そう言ったと同時に、ゼロだった距離を空けては埋めて…を楽しむように何度となく穿ってくる。
勢いをつけすぎて、奥の奥まで挿し込まれて、ゼロ以下の距離になるほどに。
「ああぁぁっっ!!! ん、アァッ!! や、やぁ…っ」
揺さぶられ、突き上げられて、ソコでしか何も考えられないくらいに体がアツくなっていく。
「ふ…ふふふっ。素質十分じゃん、悠有にい」
気づけば戻されていた呼び方に気づくことも出来ず、弟が吐き出したいだけ俺は受け入れ続けた。
声が出なくなるほどに延々抽挿を繰り返され、体中にキスマークをつけられて、強制的に弟の想いを見せつけられた。
「そのうち、コッチの初めても俺がもらってあげるね?」
という囁きと同時に最奥まで突き上げられて、俺はそのままソファーで意識を飛ばした。
意識を飛ばすほどに素直すぎる自分の体に、恋愛対象がどっちなのかを悩むきっかけになった夜だった。
――――朝になり、目がさめて、夢だったのかと思えるほどに普通にソファーで眠っていただけのような姿の自分がいて。
おもむろに立ち上がろうとした瞬間、腰に残る痛みとあの一か所に引きつったような痛みが襲う。
「あ…」
喉がおかしい。声がガラガラだ。
ふと視界に入ったのは、いくつかボタンが外れたその隙間からのぞく、自分の胸元。
ほんのり淡く色づいた箇所が、肌の上に点在している。
(夢じゃ、ない?)
クラッとして、そのまままたソファーに落ちるように腰かけて。
「俺……弟と…」
罪悪感に、頭を抱えてうつむいた。
そんな俺をあざ笑うかのように、二階からいつも通りに明るい声で「おはよ」といいながら起きてきた弟に。
「…あ、あぁ」
それしか返せなくなり、それ以降……弟と一緒に飲み食いが出来なくなっていく。
なにに薬が仕込まれているのかと警戒するようになり、そんな俺に両親は不思議そうに俺を見るだけ。
時折、兄弟仲良くしてくれと義父に頼まれることはあれど、曖昧に返事をするしかない俺。
数年後には弟に内緒で一人暮らしをすることにし、一時的にBLが読めなくなった。
弟を避けて暮らす日々の中で、時々あの夜が思い出されて困惑する。
弟への恐怖感と同居する、体の疼き。
迷走していく自分に翻弄されながら、またBLを読み始めた。
その体の感覚と小説の中に在る感覚が重なり、あの夜が体に戻ってくる。
弟と同じことをしたいわけじゃないけど、今更もう女の子を相手に出来る気がしない。
それが例え、自分がどっち側でありたいかわからないままなんだとしても。
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