「聖女に丸投げ、いい加減やめません?」というと、それが発動条件でした。※シファルルート

ハル*

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久遠 9 ♯ルート:Sf

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~シファル視点~


『そんなとこに立ってたら、本格的に執事かメイドか、とにかく従者っぽくしかみえないんだけど。…いいの? シファル』

自分のナナメ後ろに俺が立っているもんだから、そんなツッコミが入る。

『だって、しょうがないだろ。この状況で、この俺にどこに座れと?』

脳内で言葉を交わしあいながら、小さくため息をつく。

「シファル…、そっちに腰かけてくれないか」

その状況を変えたのは、アレク。

「ためらうんだけど、めちゃくちゃ」

「わかってるんだけどさ、そこにずっと立っていられると話が進めにくいよ。出来れば進行役を買って出てくれると助かるんだよねぇ」

苦笑いを浮かべながらそう言ってきたのは、ジークだ。

『シューヤ。どうなの? 二人がいう所に腰かけちゃっても、後で問題にならない?』

脳内でそんな感じで話しかけると『いーんじゃない?』と他人事のような返事が聞こえた。

『自分だって当事者なんだけど? 他人事にしないでよね』

『あっはっは。ごめん、ごめん。じゃあ、二人の言うとおりにしてくれる? シファル』

『……わかった』

「それじゃ、ここに座るから」

二人を目の前にして、向かいの席に腰かけた。

入り口から遠い場所に、シューヤ。その隣に、なぜか俺。で、向かいのソファー席に、ジークとアレク。

『シューヤ。そのままの状態で話す? 俺が間に入ればいい?どうやってコンタクトを取る?』

目の前の二人がシューヤがいるだろう場所へ視線を向けながらも、どこか戸惑ってみえる。

『二人にどんな感じで見えてるか、俺にはわかんないんだけど』

『それは俺にもわからないけど、二人に確認をした上で、二人が視認できる状態にまで持っていけるようにしてみるよ』

『じゃあ、最初にするのはそこの確認か』

『…だね。よろしくね、シファル』

俺抜きで話が出来ればいいんだろうけど、その前の準備段階の手間が普段よりも多そうだ。

「あー…えっと、さ。二人とも」

「うん? なんだ、シファル」

「二人が挨拶をしたいって言ってる相手のこと、どういう感じで見えてる? もしくは、察知してるの?」

俺がそう質問すると、何か不思議なものでも見ているような顔つきで俺を見てから。

「そこに」

と二人同時にシューヤがいる場所を指さして。

「まばゆい魔力の塊がある。って程度で、ちゃんとした姿かたちは認識出来ていない。わざと見えないようにしているのかと思っていたんだけど、違うの?」

「あぁ、そうだ。その程度にしか認識出来ないように、阻害の魔法でも使われているのかと思ったほどだ」

そう言いながら二人がほぼ同時に、これくらい……という感じで両手を使って魔力の塊の大きさを表現して見せた。

二人の魔力の量は俺よりは少なめといえば少なめだけど、そこまで認識出来ない状態じゃないと思うんだけどな。

ボンヤリとそんなことを考えていると、脳内でシューヤの笑い声が響き渡る。

『…うるさすぎだよ。俺の頭の中が、シューヤの笑い声でいっぱいなんだけど』

文句を言うようにボヤけば、クックックッと若干控えた笑い声へと変わった。

『シファルはずいぶんと俺へのあたりがきつくなったね? …うん。いい傾向だよ』

何か上から目線な気がするけど、気のせいか?

『言われている意味が分からないんだけど』

『気にしなくていいよ。シファルはそのままでいてねって話だよ、うん』

『バカにされている気しかしないんだけど』

『してるようでしてないから安心してよ。って、とりあえず二人が認識出来る形状になるよ。……どれくらいにしようかな』

『あとで困らない程度にしたらいいんじゃないか?』

元の世界に戻らずに、この状態でしばらくはこっちで過ごすことにしたシューヤ。ひなの様子を見つつ、だけどね。

『一旦、二人に目を閉じてもらってくれる? すこし眩しいかもしれないから』

『了解』

どの程度の形に変化するつもりか予想しきらないけど、とりあえずで二人に目を閉じてもらう。

俺も一緒になって目を閉じて、脳内でシューヤへと『いいよ』と合図した。

きっとわずかな時間だろう。

すぐさま『いいよ』と同じ言葉で返されて、俺はそっと目を開けてギョッとした。

「……二人とも、目を開けてもいいって」

なんて口にしたものの、すでに後悔している。

「…え」

「は……?」

二人の声には、俺同様で戸惑いがにじんでいる。

『なんでその格好なんだよ』

目の前の二人には聞こえないように、まだ脳内で話す。

『可愛くしてみた。なんだか二人が必要以上に緊張しているみたいだからね』

『可愛くって……。顔はジークにそっくりなのに、格好がうさぎとか。混乱を招くぞ。あと、光の粒子の状態なのは、変更なしなのか?』

どうなったらそうなった? と言いたくなるような格好なのと、普通の色合いの人型に変化するのは無理なのかを尋ねる。

『そうかな? 可愛いジークっぽくて、シファルが見間違わないかとも思ったんだけど。この状態だと、光の粒子状で、光の屈折も使って形を認識させた方が負担少ない上に、他のものよりも見やすいんだよね』

シューヤが、なんだかよくわからないことを言い出した。うさぎの格好のジークなのも、姿の現し方についても。

『見間違うとか、そんなことしないから』

と言ってからシューヤにそう話しかけた後に、目の前の二人に説明をする。

「えー…っと、彼はジークとよく似てて。というか、生まれた順番で言えば、ジークがシューヤに似た状態で産まれたというか。見た目だけなら、かなりジークに近いからって、見分けのためにこの格好にしたらしいよ」

自分で説明をしながら、滑稽だなとか思っていた。ふざけていることへの説明みたいなものだから。

「たしかに…似ているというレベルじゃあないな」

ふぅ…む、と言いつつ、あごに手をあてて、アレクがシューヤの形をした光の塊を見つめる。

「形がありそうでないのに、不思議と人の形に見える。……どんな原理なんだ」

かなりな距離まで前かがみになって、真剣に上から下まで舐めるように見つめている。

「照れちゃうから、やめてよ」

という声が真横からして、内心(うわぁ…)と呟いた。

「どうも、シューヤだよ。ひなのことを大事にしてくれてて、本当にありがとうね」

すこしふざけた言葉の後に、意外とちゃんとしたことを呟き。

「初めまして、でいいかな? ……9代後の代の王族たる子どもたち」

それっぽく、二人へと挨拶を送る。すると二人が同時にソファーから下りて跪き、右足を立て左足の膝を床につけてから頭を垂れる。

「ジークムント・ル・エメラが拝謁を賜ります。お初にお目にかかります。此度はお力をお貸しいただき、感謝の念にたえません」

「アレックス・ル・エメラが拝謁を賜ります。お初にお目にかかります。此度はお力をお貸しいただき、感謝の念にたえません」

この二人がこうして真名を名乗り、頭を垂れる姿など…そうそう目にする機会はない。

(俺、こんな場面にいてもよかったんだろうか)

居心地の悪さに、なんとなく目をそらす。

「あー…、そういうのいいよ。ただ、先に産まれて生きてただけだし。この国のために活かせる力があったのに、身を隠した卑怯な王族だしね。そこまでの挨拶なんかされても、むしろ申し訳ない気持ちでいっぱいだよ」

そういう気持ちが根底にあったからか。あえて、崩し気味の言葉で二人へのあいさつに代えたのは。

「――が、そういうわけには」

真面目なアレクが、戸惑いを隠せずに聞き返す。

シューヤがアレクのその言葉に、小さく息を吐く。

それに反応するかのようにアレクの肩がビクンと動いたのを見て、真横のシューヤの表情を盗み見た。

眉間にシワを寄せて、無言でアレクの言葉の続きを制しているように見えた。

(やってることは無茶苦茶で口調は軽い男っぽい時もあるけど、それでもやっぱり王族の一員だったことは紛う事なき事実なんだな)

「では、シューヤさま…と」

ジークがそう話しかけると、「呼び捨てでいいよ。あと、敬語じゃない方がいいや。お互い疲れちゃうよ、そのうち」と笑顔で圧をかけている。

ポーカーフェイスのジークですら、その態度に顔をこわばらせている。

「で、では…シューヤ、と」

「うん。それでいいよ。こっちもジークとアレクって呼んでもいい? シファルも呼び捨てだったから、出来ればその方が話しやすいな」

「かしこ…。いや、わかった。それじゃ、俺もシューヤで」

呼び方ひとつだけで、ここまで話を引っ張ることになるとは思わなかったな。

「うん。よろしくね、アレク」

なんだかホッとして、薬草茶に手を伸ばす。

「シファル、お代わり淹れてよ」

シューヤの分で淹れていたはずの薬草茶の中身が、なんでか無い。思念体が飲めるはずがないのに、媒体として使ったら質量にも影響するのか?

天才がやることの仕組みは凡人には理解不能とは、よく言ったもんだ。

「ちょっとだけ待ってて」

そう言ってから、シューヤの真横で魔力を使って薬草茶を淹れていく。

「あー…違う。流す魔力はもっと細く、血管に血を流すように流し込んだ方がいい」

「ん……っと、こう…?」

「………そう。もっとゆっくりでいいよ。そこまで太めに流すと、余計な魔力を消費してもったいないよ。ナーヴみたいに、少ない魔力で最大限って使い方は効率がいい」

ここに来てナーヴの名前が挙がる。

「あの努力をし過ぎる天才と一緒にしないでほしいんだけど」

細かくなった薬草たちがふわりと舞って、小さく小さくまとまっていく。

「あの子は、結果が出ない努力はしないってだけだよ。それと、負けず嫌い。シファルは遠い昔に一旦諦めることを知ってしまったから、まずは負けず嫌いになるところから始めたらいい。あの子の親友やってるくらいなんだから、きっと素養はあるはずだよ。それこそ、弟に見せられる兄としての背中だって」

その言葉に、心臓が強く脈打つ。

兄としての背中なんか、しばらく見せられずにきた。矜持だって持つことをやめた。

カルの方が、出来る弟になってしまったから。どうあがいても、なくなった魔力は返ってこなかったんだから。

「今からだって、十分やれるよ」

まとまった薬草をポットに入れて、仕上げにかかる。

(あぁ、そうか。以前の淹れ方じゃなく、魔力を使って下準備をする薬草茶だから媒体にも使用可能なのか)

単純なことを見落としていたことに気づき、視野が狭くて発想力がないなと呆れて苦笑い。

「……はい。おまたせ、シューヤ」

薬草茶をシューヤの前に置くと、カップの上の方で光の粒がまるでクリームでも乗せたかのように盛り上がって増えていく。

さっきまでには見られなかった現象だ。

「…うん。さっきのよりもいい出来だね。やれば出来るじゃん、シファル」

この歳になってでも、褒められるのは嬉しいもんだな。

「そ、っか」

照れくさくて、やっと言えたのがそれくらいなのが、カッコつけないけど。

俺とシューヤのそんなやりとりを、ジークとアレクが意外な目で見ていて俺は顔を赤くする。

二人の視線はまるで、親のそれみたいな何とも形容しがたい、生温かい視線で。

「ちょ……二人とも、そういう目で見ないでくれる?」

親に自分の頑張りを見られたようなカッコ悪さで、恥ずかしくて真っ赤になった。

「シファル、可愛い」

「そうだな、愛らしいな」

19の男に向ける褒め言葉としてはいかがなものかと思える言葉のチョイスをしないでほしい。

「アレク! 愛らしいって、何!?」

さすがの俺も、ツッコミを入れてしまうのは、仕方がないって!

「感じたことをそのまま言葉にしただけだ。……なにかおかしなことでも口走ったか? 俺は」

と、隣のジークに心底不思議そうに問いかけるアレク。

「別に? シファルは褒められ慣れてないから、しょうがないんだよ。これからもっと言葉にして褒めるようにしていこう。アレク」

アレクの質問にジークが答えたかと思えば、今後の展開が俺にとっては嬉しいようで喜べない方向で。

「いやいやいや…。やめてくれって、そういうの。いい感想を思っててくれるのはいいけど、毎度毎度言葉にされたらさすがの俺だって反応に困るようになるから」

釘を刺すようにそう言えば、二人が見合ってからどこか楽しげに笑いあう。

「三年の間に、シファルが面白くなって帰ってきたなぁ」

「あぁ」

褒められているように聞こえない。

からかわれつつも和やかな雰囲気の中で、他愛ない話が続いていく。

――――そうして、一時間ほど経った頃。シューヤが何の前触れもなく、二人へ向かって頭を下げた。

「は?」

「…え」

当然のことで、二人の戸惑いは大きくどうしたらいいと言わんばかりに、俺の方へと視線が集まる。

「多分、あのことでしょ?」

こっちに戻る直前に決めた話のことだと思う、きっと。

「ああ。こういった機会を得られたのも何かの縁だ。直接、二人に頼んでおこうと思って」

この状況は、二人が判断をするには材料が足りなすぎるはずだ。ジークとアレクの動揺の色が濃くなる。

「変な話じゃないから、まずはシューヤの話を聞いて? これは手紙の方に詳しく書かれていなかったことにあたるからさ」

話の前に補足説明をすると、戸惑ったままでもぞりと腰を動かしてほぼ同時に背筋をピンとして身を正した。

「緊張しないで聞いてほしいんだってば。…もう、困った子たちだね」

二人の様子を見て、まったくしょうがないなぁって感じで呆れつつも言葉を続けるシューヤ。

「ひなが、今後…この場所で命が尽きた後の話なんだよね」

「えー…と。陽向が、病気、寿命、原因なんであれその命が尽きた後の……ということか」

シューヤの話を確かめるように、アレクがすこし細かく言いかえて問いかける。

「……ん」

ふわりと微笑み頷いてから、シューヤがまるでナーヴみたいに人差し指を立てて、その指先から光の線を伸ばしていく。

その線が文字となり、まんまナーヴと同じく魔方陣を描きあげていく。

「じゃ、この魔方陣の上に“あるもの”を投影するから見ていてね。それを見せつつ、説明した方がわかりやすそうだから」

魔方陣の上にぶわりと細かい光の粒子が集まりだして、それが山のように中心を膨らませ大きな山に似た形へと変わっていく。

魔方陣の大きさは、直径で俺の肩腕の長さ程度か。思ったよりも大きい。

その山状のものが、すこしずつ範囲を広げてい長方形へと形を変えていく。

低いノイズのような音がしはじめて、その長方形の光の粒子たちの光量が淡く…薄くなっていったと同時に長方形の枠だけへと形を更に変えた。

「……あ」

声をあげたのは、ジーク。

「これは……陽向、か?」

そういいながら枠の中に浮かび上がった映像を、どこか眩しいものでも見ているみたいに目を細めるアレク。

「これは一体?」

戸惑ったままなのは、ジーク。アレクはこの状況をジークよりも先に受け入れて、どこか楽しげに見ている。

「なあ、ジーク。……可愛いな、陽向が」

二人の目の前に現れたのは、ひなの世界でいうところのテレビとかパソコンとかいうもののモニターという物に似ている。

そこに映し出されているのは、俺たちと出会う前のひなの姿だった。



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