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久遠 5 ♯ルート:Sf
しおりを挟む~シファル視点~
まぁ、俺とひなが想いあってるんだろうことは、いなくなる前になんとなくで伝わっていたところはあったようで。
だからってんじゃないけど、ひなとも話をした上で、俺が絶対に戻ってこない確証が得られないうちは結婚云々は決められないってジークは思っていたという。
「そもそもでさ、シファル」
「…うん」
あの頃の俺とひなの関係性の話になって、ジークが紅茶を一気に飲み干して前傾姿勢を取り、そのままうつむく。
なんだか深刻な話か? とジークの言葉を待っていると、聞き取れないほどの小さな声で何かを呟いた。
「……たの? ひなと」
最後だけは聞き取れたけど、最初がイマイチよく聞こえなかった。
「悪いけど、もう一回」
ジークの方へを体ごと近づくようにして声を拾おうとすれば、短いため息の後にかろうじて聞こえるだろう声がした。
「寝たの? ひなと」
と。
寝た。寝た……? なんで急にそんな話に?
眉間にしわを寄せて、「意味がイマイチ分かんないんだけど」と返せば、「だってさー」と子どものような反応をするジーク。
「シファルがいなくなってから、何回か俺とアレクでひなが寝るまでとか寝てからの様子見とかしてた時のことなんだけど」
そうやって、見守ってくれていたってことか。
うんうんと俺は相槌を打ちながら、その話の続きを聞く。
「いなくなって確か…一か月くらいの時かな。“そういう”つもりはないんだけど、寝るまで横にいてってお願いしたら、叶えてもらえるのかな? それともやっぱりこういうことをいう女の子は、はしたない? シファルに嫌われる? って今にも泣きそうな顔で話されてさ。俺もアレクもひなへの恋愛感情がなかったわけじゃなかったから、ちょっとどうしようかなってなって。結果的に、ひなのベッドは広いからって俺とジークの間にひなを寝かせる格好にして、俺たちが互いを牽制する感じで寝たことがあるんだよ」
「……そ」
反応しにくい。すごく反応しにくい。彼氏として怒るに怒れない状況だろ、それ。わざとじゃないけど、俺がそばにいなくてそうなったってことだもんな。
「まぁ、ひなが眠くなるまで、三人でベッドで行儀悪くちょっとお菓子を食べたりしながらゴロゴロしてさ。そのうちひなが眠ったから、二人でひなを挟むようにして横になったまま見守っていたんだけど。……その、さ。ひなが…寝ている時に」
そこまで言ってから、俺へ向けていた視線をふっ…とそむける。
「ひなが、抱きついて……きて…その、さ…、足を絡めてギュッと抱きついて、顔をスリスリしてくるし、小さく吐息みたいなのあげるし、シファルの名前呼んで…密着しまくってきてさ」
俺自身、ひなとそういう感じで寝たことはない。ただ、手をつないで横になったことはある。
話をしながら当時のことをハッキリと思い出したんだろうジークが、そういうことに免疫がないわけないのに、まるで初心な少年のように真っ赤になって黙り込んでしまった。
そんな状態のジークに俺が言えることといえば、あの当時の俺たちの過ごし方ってだけで。
「さっきジークが聞いてきた寝た寝てないっていうのが、アッチの方向での話なんだとすれば、残念ながらそういう関係まで進んでいなかったんだよね。……浄化前のひなの体調も体調だったし、ひなの中にあった瘴気を取り出さなきゃいけない状況だっただろう? それが終わった後は、浄化の後にやることでナーヴと俺は比較的忙しい方だったし。あれ以上ひなが心を痛めて疲弊して、また瘴気のようなものを体に溜めないようにとも思っていた。…さすがに俺でも察せるよ。あの状況下で、ひなと男と女の関係になりたいとか動き出していたら、ただのバカだろ。あの頃の状況的に、誰かが命を落とすかもしれないって可能性があった。教会の連中のことを思えば、俺だって該当するかもしれないってのがなかったわけじゃなかったし。二度とひなに触れられないかもしれないって頭によぎらなかったわけじゃないけど、だからってひなを自分のモノにしてしまうような男だったら、無責任で自分勝手な男として最後の記憶に残ることになる。それは、ひなを大事に出来てないってことにもなる。……俺なりに大事にしていたつもりだったから、ひなのこと」
俺があの頃のことを思い出しながら、ゆっくりと説明していくと、ジークが短く息を吐いた。
ホッ…とした。そんな感じで、短く。
「いや、ね?」
と、切り出して、俺と同じようにゆっくりと話していく。
「シファルには言ってなかったけど、俺とアレク、浄化の前の段階でひなに王族だけがやるプロポーズをしてあったんだよ。本人は受け入れたつもりはなかったんだけど、結果的に好意的な気持ちは送ってもらえたっていうかさ。……それによって、ひなが使える力っていうかさ。そういうもの増やしてあげたかったし、俺たち二人だけがひなにあげられる最大級の盾で剣だと思ってさ。シファルが戻ってこなかったら、王族に名を連ねなくってもずっとそばで護るつもりだったんだ。どっちともそういう関係になってもならなくても、すべてをひなの心に任せようってね。――ったら、ああいうことをひながしてくるもんだから、もしかして浄化の前の段階で、そこまで関係を進めていたんじゃないかって。…あまりにも普通に抱きついてきてさ。腕にグイグイひなの…こう…胸、が……その…」
ゆっくりと話していたはずなのに、最後の方はどんどん声が小さくなってしまっていった。
「……へぇーーー」
最後の話が話だっただけに、俺は棒読みで相槌だけを打った。
俺がいなくなった後で、一体どんな夢を見ていたんだ? ひなは。
手をつないで寝た記憶があっても、それ以上は本当にない。
(想像だけなら、何度もしたけど)
「ね、シファル」
悶々としながら紅茶を手に取って、ズズッとすすり飲む。
冷めてきてちょうど飲みやすいけど、どこかほろ苦い。
こうして生きて戻ってきているから、こんな平和な悩みを思い浮かべられるんだとしても、それでも……俺自身が決めつけて答えを出すわけにはいかないと決めただけに…決まるまでの時間が焦れったい。
俺があっちに帰れる話をした時に、何度も首を振って泣いていたひな。
あのイヤイヤの意味も、ちゃんとひなの言葉で聞かなきゃダメだ。自分勝手に悪い方に考えてもっと悲しませるかもしれないし、いい方向に考えて先走りたくもない。
「…ね、シファルってば」
俺だって年頃のオトコノコなんだから、ひなを抱きしめて、頭の先からつま先までめちゃくちゃ可愛がって、ベッドから出られないくらいに抱き潰したかった。…そこまでの体力が俺にあるかは別としても、薬草使ってどうにかすればなんとかなるかもしれないし。
実際、王城の薬剤師の中に王族の子作りの補助として、媚薬のレシピってもんが存在してるのを俺は知っている。
ジークとアレクはなんだかんだいっても、ひなに紳士な対応をしつづけてくれているから、ひなと二人の間にその手の間違いは起きていなかったっぽい。
特にジークなんかひなが現れる前は、どっちかっていうと軽い感じだったのに、ここまで誠実な人間だったとはな。
結果的に二人がひなを護ってきたようなもんだろ?
まるで横取りみたいで、罪悪感が襲ってくる。二人がひなにプロポーズをしたってんなら、本来ならば王族から婚約者は奪えないんだから。
しかも、ひなからのお願いって形とはいえ、それがキッカケで同衾したんだろ? 腕にひなの胸が当たったんだよな? ひなは誰かにそこを責められたら、二人と結婚しなきゃいけないレベルだろ? ひなの世界じゃ、そういうので結婚相手を決めることがないかもしれなくても。
「シファル!!!」
ジークが三回も俺のことを呼んでいたことに気づけず、考えごとに集中しすぎた俺はボソッとひとり言をこぼしてしまった。
そばにジークがいたことを、すっかり忘れて。
「…俺なんか、まだキスしか出来てないってのに…」
ため息まじりに吐き出したそれに、ジークが盛大にふき出す。
「ぶっふ」
息なのか声なのか悩むようなそれに、ビクッと反応してジークへ顔を向ける。
「ぶ…っ、クックックックッ…ふはははははっっ」
最初は堪えながら笑っていたのが、堪えきれなくなって勢いつけて腹を抱えて笑い出した。
「は…。え、な、なに? ジーク?」
何に反応したのかわからず、ジークのすぐそばで結構なボリュームの笑い声を聞かされている俺。
「えぇー…。なんなんだよ、もう」
眉間にしわを寄せて、怪訝な顔つきでジークから距離を置こうとする俺を見て、ジークが俺の真横に腰かけて肩を組む。
「シファル…忍耐強いんだな? 俺とアレクも相当なもんだけど」
「は?」
いきなり忍耐がどうとか言われて、首をかしげる。
「まあ、あれだよ。シファル」
肩をポンポンと叩くジークの顔には、同情にも近い表情が浮かんでいた。
「ひなに…シファルなりに伝えるべきこと伝えてて、ひなが戻りたいって思っていた願いを叶えられそうなことも隠さずに伝えて。あとは…ひなの決定待ちってなっててさ。……もしも、これからを望まれたなら、俺たち主導でキッチリ場を整えるから、その後だったら好きにしなよ。…あ。ひながシファルとの関係をこれまで以上に進めたいって願った場合だけね」
ジークが言っていることがわかって、また頭が痛くなった。
(頭の中でボヤいてたつもりだったのに、口に出てたんだな。さっきの)
恥ずかしくてこの場を去りたいのに、まだ話が最後まで終わっていないだけに出ていけない。
「…わかってるよ。じゃなきゃ、俺だってそういうことに興味があるそれ相応の歳なんで。既成事実作ってしまえば! とか浮かばなかったわけじゃないけど、ひなの方から俺に抱かれたいって、そういう関係になりたいって望まれてからの方がいいって気持ちの方が上回ったから。…優先順位は、いつだってひなの気持ちのつもりだよ。俺は」
なんてポツリポツリと話せば、肩にあったジークの手がまたポンポンと慰めるように触れてくる。
「ひなは自分以外に気を使いすぎるから、決めるまでに時間がかかるだろうって思ってる。……わかってて、待つって決めたから」
「……そうだね」
そんな話をしてから、俺の肩にあるジークの手をそっと避けて、体をジークへと向ける。
「もしも。……ひなが元の場所に戻るって決めた場合、ジークとアレクに協力をしてほしいことがある。国が所有権を持ってるんだよね? ひなの体から抜いて属性変換したヤツ。それと、集めていた瘴気も同じように魔石みたいにしていたよな? ……三年経過したのは知ってるけど、同じものがあればそれを、なきゃ同等の物を用意したいんだ。……ひなを向こうに送り届ける時に必要な魔力の足しにしたいんだ。その場にいる魔術師の魔力切れとかを起こす事態になるよりも、かなり負担は軽くなるはず。……というか、多分あるんだろうって知ってるんだけどさ。…その魔石っぽいやつ。管理者は、どっち?」
しなきゃいけない話の最後だ。
アレクにしなかったのは、ジークの方が王位継承権第一位だから。そこは、それが筋だろうと思っていた。
「……知ってるって、どうやって情報を手に入れてるんだか。シファルが会った人間、味方にしたら心強いけど、敵には絶対にしたくない相手にしか思えないんだけど」
「あー……、それ、めちゃくちゃ思った。でも…ものすごくひなを大事に想ってる人だったよ。本当の妹のように」
俺がそう呟けば、ジークはさっきよりすこし顔をゆるめて、でも困ったように呟いた。
「ひなには、父親とか兄とか…いっぱいいそう」
「そう…だな」
ひなが元いた世界で悲しい思いをした時期があったのは知っている。けど、今、ひなを大事に想っている人はみんな…たとえ兄っぽく思われていたとしても、その立場を利用してひなを困らせたりなんかしない。
いつだってひなの気持ちに寄り添おうとする人ばかりだ。
「ひなは愛されすぎなんだよ」
こんなんで、ひながここに残らないってなったら、みんなの心の中にポカンと穴が開きそうだ。
「…だな」
二人で笑いあってから、その魔石についての話をし、ジークの部屋を出る。
「やっぱ、ナーヴは明日一日かけて話をするか。……ってことを言いに行かなきゃな」
ナーヴの都合もあるだろうから、そこを確認して。
「あ。その前にカルの部屋が近いから、もうすこし後で行くって言っておくか」
一旦右へと行こうとした足を止め、踵を返す。
タタタタッと小走りで向かったカルの部屋。
ノックをすると、ガタガタッと大きな物音がした後に勢いよくドアが開けられた。
「あっ、にき!」
開いたドアからのぞいた弟の顔は、昔よく見た幼い顔にも見えて。
「…ごめんな。もうちょっとだけかかる」
そういって、子どもにするように頭を撫でてしまった。
「……っっ」
カルが息を飲んだ瞬間、「あ…」と手を引っ込める。
「ナ…ナーヴのとこに、明日一日時間をくれって言いに行こうと思っていて」
子ども扱いしてしまった自分に思いのほか動揺して声が詰まった俺の耳に、ある声が入る。
「…ここにいるぞ」
その声にカルの肩越しに、部屋の中をのぞく俺。
「ナーヴ?」
いないだろうと思っていた本人登場に、俺はポカンとして口を開けたままでナーヴを見ていた。
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