強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*

文字の大きさ
上 下
32 / 37

歩き出す、恋心 18

しおりを挟む


そんな俺を見て、みるみるうちに耳まで真っ赤になっていく彼女。

一歩踏み出して、彼女の体に触れる。

この段階でなら、ちょっと触れすぎかもしれない程度に。

「力みすぎ。あと、足はそろえるな。朝礼で並んでるみたいなやつな。肩幅程度は開いとけ」

肩に両手を置き、ポンポンと軽く叩く。

それと…といいつつ、ボールを一旦床に置き、ひじの高さや利き足を聞いて位置を調整したり。

ひじの高さの調整の時には、顔をかなり近いとこまで近づけたことで彼女が言葉を失っていた。

「ひざを柔らかく使う感じで、ボールを持たせて……。それから」

一緒になってボールを持ちながら、細かく教えていく。

「まずは、最初に言ったように、体の力抜いてー」

「…………」

真っ赤なまま、こくこくとうなずくだけの彼女。

「俺が隣で同じように打つから、頭の中にイメージもしっかり作って打ってみろ。イメージって、結構大事だからな」

「……う」

小さなうなり声みたいなのが耳に入る。

「…聞いてるのか?」

「あ、う、は…はい」

話を聞いているというよりも、俺の目や口元ばっかりを目で追いかけているように見えた。

「かぁんだぁあ?」

わざとらしく、間延びさせて名前を呼ぶ。

「き、聞いてますってば」

ほんのちょっとだけ圧をかけてみたけど、どこか上の空にも近くくて。

「ま、いいけど。とりあえず打ってみるか」

いいつつ、ちょっと待てと手で制して、近くに転がっているボールを拾ってくる。

「ここにあるだけ、いってみよう」

俺も約束したように、彼女の横に立ってボールをかまえる。

「じゃ、いくぞ」

そう俺が声をかけると、元気な返事が返ってきた。

「はいっ」

って。

「うん、いい返事だ……っと。ほい」

褒めながらボールを放ると、まるで吸い込まれたようにゴールへとまっすぐ飛んで行った。

「わっ」

嬉しそうに声を上げた彼女に、

「ほら、お前の順番」

と、急かす。

「は、はい」

「リラックス!」

「あ、はい!」

緊張のせいか…一本目は、届かずに落下。

「…ほい、二本目」

いいながら、また一本決める俺。

うんとうなずく俺を見て、

「むー」

彼女はちょっと口を尖らせた。

俺に続けて、二本目を打つ彼女。

「あ!」

リングに触れたのに、跳ねて外れる。

「惜しい! さ、次!」

三本目を打つ俺を見て、彼女は何度かうなずいてから息をふぅと吐いて、ゴールの方へと目を向けた。

自分なりに何か気づけたのか、3回目ってのがフラグだったのか。今までとは、すこし違って見えた。

(……あ)

体に余計な力が入っていなかった。

ひじの高さもよかった。

シュートを放った後の姿勢も良し。

「おねがいっ」

危うくまた跳ねて外れるかと思ったけど、彼女の声に応えるかのようにシュートが決まった。

「ちょ、え、やだ、ほんと? え?」

入ったっていうのに、本人が疑ってる。わかってた展開だけど、反応が面白い。

「出来たんだから、素直に喜べばいいだろ」

「だって、入れ! って念じたけど、こんなにすぐに入るだなんて」

「よかったな」

一歩分近づいて、彼女の頭を手のひらでポンとする。

そんな俺に目を合わせたまま、彼女が。

「神……田?」

ぽろぽろと、涙をこぼす。

「どうした? 嬉しくてか?」

知っている。この後の展開も、憶えているんだ。

「違う、の」

ぽろぽろと、涙を流しながら、どうしてか微笑む彼女。

「お前、なんで…そんな」

辛そうに微笑みながら泣く彼女をみて、自然と体が動く。

「……そんな顔して泣くなよ」

そういいながら自分の胸元へと、右腕を彼女の頭に回して引き寄せた。

眼下にある彼女の頭に唇を寄せ、口づけを落とす。

小さなリップ音がした瞬間、彼女がガバッと顔を上げる。

「せん……」

目にはまだ涙が浮かんでて。

一瞬、口が開き、何かを言いかけてから唇をきゅっと結ぶ。

「言いたいことあったらいえよ」←本当だったら、ここでこのセリフなんだ。

(だけど、悪い。作者サマ=神田。お前が入れたかったセリフは、奪わせてもらう)

可能性の問題。

やってみる価値はあるはず。

「……悪いな、神田」

俺を見上げる彼女へと囁くように、告げる。

「……え」

少し驚いたような表情の神田に、俺は言葉を続けた。

「お前は…俺の生徒なのに」

そういった瞬間、どこぞからあの声が聞こえた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...