強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*

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歩き出す、恋心 18

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そんな俺を見て、みるみるうちに耳まで真っ赤になっていく彼女。

一歩踏み出して、彼女の体に触れる。

この段階でなら、ちょっと触れすぎかもしれない程度に。

「力みすぎ。あと、足はそろえるな。朝礼で並んでるみたいなやつな。肩幅程度は開いとけ」

肩に両手を置き、ポンポンと軽く叩く。

それと…といいつつ、ボールを一旦床に置き、ひじの高さや利き足を聞いて位置を調整したり。

ひじの高さの調整の時には、顔をかなり近いとこまで近づけたことで彼女が言葉を失っていた。

「ひざを柔らかく使う感じで、ボールを持たせて……。それから」

一緒になってボールを持ちながら、細かく教えていく。

「まずは、最初に言ったように、体の力抜いてー」

「…………」

真っ赤なまま、こくこくとうなずくだけの彼女。

「俺が隣で同じように打つから、頭の中にイメージもしっかり作って打ってみろ。イメージって、結構大事だからな」

「……う」

小さなうなり声みたいなのが耳に入る。

「…聞いてるのか?」

「あ、う、は…はい」

話を聞いているというよりも、俺の目や口元ばっかりを目で追いかけているように見えた。

「かぁんだぁあ?」

わざとらしく、間延びさせて名前を呼ぶ。

「き、聞いてますってば」

ほんのちょっとだけ圧をかけてみたけど、どこか上の空にも近くくて。

「ま、いいけど。とりあえず打ってみるか」

いいつつ、ちょっと待てと手で制して、近くに転がっているボールを拾ってくる。

「ここにあるだけ、いってみよう」

俺も約束したように、彼女の横に立ってボールをかまえる。

「じゃ、いくぞ」

そう俺が声をかけると、元気な返事が返ってきた。

「はいっ」

って。

「うん、いい返事だ……っと。ほい」

褒めながらボールを放ると、まるで吸い込まれたようにゴールへとまっすぐ飛んで行った。

「わっ」

嬉しそうに声を上げた彼女に、

「ほら、お前の順番」

と、急かす。

「は、はい」

「リラックス!」

「あ、はい!」

緊張のせいか…一本目は、届かずに落下。

「…ほい、二本目」

いいながら、また一本決める俺。

うんとうなずく俺を見て、

「むー」

彼女はちょっと口を尖らせた。

俺に続けて、二本目を打つ彼女。

「あ!」

リングに触れたのに、跳ねて外れる。

「惜しい! さ、次!」

三本目を打つ俺を見て、彼女は何度かうなずいてから息をふぅと吐いて、ゴールの方へと目を向けた。

自分なりに何か気づけたのか、3回目ってのがフラグだったのか。今までとは、すこし違って見えた。

(……あ)

体に余計な力が入っていなかった。

ひじの高さもよかった。

シュートを放った後の姿勢も良し。

「おねがいっ」

危うくまた跳ねて外れるかと思ったけど、彼女の声に応えるかのようにシュートが決まった。

「ちょ、え、やだ、ほんと? え?」

入ったっていうのに、本人が疑ってる。わかってた展開だけど、反応が面白い。

「出来たんだから、素直に喜べばいいだろ」

「だって、入れ! って念じたけど、こんなにすぐに入るだなんて」

「よかったな」

一歩分近づいて、彼女の頭を手のひらでポンとする。

そんな俺に目を合わせたまま、彼女が。

「神……田?」

ぽろぽろと、涙をこぼす。

「どうした? 嬉しくてか?」

知っている。この後の展開も、憶えているんだ。

「違う、の」

ぽろぽろと、涙を流しながら、どうしてか微笑む彼女。

「お前、なんで…そんな」

辛そうに微笑みながら泣く彼女をみて、自然と体が動く。

「……そんな顔して泣くなよ」

そういいながら自分の胸元へと、右腕を彼女の頭に回して引き寄せた。

眼下にある彼女の頭に唇を寄せ、口づけを落とす。

小さなリップ音がした瞬間、彼女がガバッと顔を上げる。

「せん……」

目にはまだ涙が浮かんでて。

一瞬、口が開き、何かを言いかけてから唇をきゅっと結ぶ。

「言いたいことあったらいえよ」←本当だったら、ここでこのセリフなんだ。

(だけど、悪い。作者サマ=神田。お前が入れたかったセリフは、奪わせてもらう)

可能性の問題。

やってみる価値はあるはず。

「……悪いな、神田」

俺を見上げる彼女へと囁くように、告げる。

「……え」

少し驚いたような表情の神田に、俺は言葉を続けた。

「お前は…俺の生徒なのに」

そういった瞬間、どこぞからあの声が聞こえた。


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