強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*

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歩き出す、恋心 1

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あの後、どうなったんだっけ。俺。

それと、神田。

どういう意味でかわからないけど、真っ白になった。

嬉しくてなのか、混乱なのか、別の感情か。

気がつけば、自分の車の中って。

「どゆこと?」

しかも今いる場所は、神田の家のそばだ。

「ってことは、多分送った後」

何を話したのか、逆に何も話さなかったのか。

神田の告白から、関係が変わったのか違うのか。

「なんもわかんねえ」

大きく息を吐き、タバコを取り出した。

口に咥え、火を点け。

大きな通りへと車を走らせる。

帰りしな、量販店でちょっと多めにビールとつまみを買って帰る。

「普通にしてて、寝れる気がしねえ」

それだけの理由だ。

っても、酒には強い方だから、いくら飲めばいいんだかわからない。

ベッドのそばで飲んで、眠くなったら寝ようと思った。

一缶目を飲み、チータラを咀嚼して。

――――そのあたりで、作者が何かしたんだろう。

たった一缶しか飲んでないのに、俺は寝落ちしていた。

ベッドにもたれかかる格好で、朝まで。

「……さむっ」

目が覚めたのは、何も掛けずに寝ていたせいか。それとも、夢の中でのアレか。

「作者の野郎。好き勝手しやがって……、あんなセリフ、俺がいうわけないっての」

不確かを、確か…にされた。

というか、勝手に夢の中で、作者のひとり言が聞こえてきただけなんだけど。

昨日の俺は、二人でボールを片付け、彼女を送るからと誘い。

「なーにやってんだよ、俺は!」

テンプレみたいに、夜景がきれいに見える場所へとドライブをして。

「さっきは、ごめんなさい。あんなこと、先生に言ったところで迷惑でしかないのに」

と、告白を詫びてくる彼女に対してこう返していた。

うつむく彼女の横顔に顔を寄せ、頬に軽く口づけてから。

「俺も同じだ。不謹慎な教師なんだと思う。そして、俺の気持ちを伝えたって、神田に負担しか与えない。……きっと」

頬にとはいえキスをしておいて、それを言うのか。俺。

「先生……」

「それとも、俺の気持ちも伝えていいか?」

見つめ合う二人。

神田は両手を胸元で指を恋人繋ぎのようにし、俺へ何かを祈るような格好で頷く。

「わかってるだろうけど、俺は教師で、お前より大人で。いろんな立場があって、同じ部の顧問とマネージャーで」

「…はい」

「どの生徒もみんな大事で、可愛くて」

「…はい」

「俺は俺で、大した目立つ教師でもないし。特別なスキルがあるわけでもない。だから、どうして好意を持ってもらえたのか…わからない」

「そんなっ」

「だって、そうだろ? もっとかっこいい教師はたくさんいるし、神田と同年代にはもっと魅力的なやつらが多いだろ。センスがいいやつもいたし、神田のことを大事に想っている奴のことも、俺は知っている」

「違うよ? 先生」

「え」

「あたしは、別に…かっこいいとか悪いとか、センスがいいとか悪いとか。そういうとこで、先生のことを」

と、生徒に慰められはじめる、それこそかっこつかない俺。

なのに、神田はそうじゃないって言うんだ。

「先生だから、好きなんです。教師だからとか、大人だからとかでもないんです」

「…神田」

「気になっちゃうんです、どうしても。目で追っちゃうんです、いつも」

誠実って感じがする。

嘘っぽさが見当たらない。

「ね、先生。それって」

そこまで言ってから、俺をじっと見つめて。

「恋、ですよね」

恋の定義。

素直なこの娘だから、俺へとくれたんだろう。

だったら、俺もその想いに応えたい。

「……じゃあ、俺も」

そういってから、彼女が祈るように組んでいる手の上にそっと手のひらを重ねて。

「恋、してんだろうな。お前に」

耳元に顔を寄せ、囁いた。




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