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いつ、誰がこの恋をはじめた? 12
しおりを挟む(ちょ…まて! それはさすがにマズいから!)
どうすりゃその映像が消えてくれるのかわからないのに、頭をぶんぶん振ってみる。
「……消えてくれって!」
まるで覗きでもしている気分になっちまうし、それになんか変な気分にも。
『あー…いやいやいやいや、違う、違う。ダメだ、こんなに早く体の関係になったら』
「そうそう!」
思わず、合いの手を入れてしまう俺。
まわりに誰もいなくてよかった。
パッと見、ただひとりごと言ってるだけのヤバイ教師だ。
『よし! 二択だ、二択にしよう。保健室は、もうちょっと関係が進んでから!』
関係が、進んでから…と言った。今。確かに。
『部室か、体育館か。話の展開的には、もうそろそろ彼女にあのセリフを。……うふふふ』
二択に落ち着いたらしいな、なんとか。
(って、あのセリフ?)
なんか、気になる言葉が飛び出した。
『…………さて、と。この恋を、はじめてもらいましょう…か』
間の隙に、何があったのか気になるところだが、問題はその後だ。
「恋を、はじめる…だと?」
俺の意思は無関係なのか。
どうすることも出来ないのか?
はあ…っと長く息を吐き出した俺。
作者は一時間後だと言った。
「だったら…」
この後の展開は、今はまだわからない。
「とりあえず、どうにかしてタバコ吸えねえかな」
冷静に考える時間が欲しくて、行きかけた職員室へ行かず、駐車場へと向かう。
そうして近くのコンビニの駐車場へ。
店内でなんの気なしに、小さな箱に入ったチョコを買う。
車内でタバコを吸って、煙と一緒にため息を吐き出して。
「……甘っ」
ビターじゃない、イチゴのチョコ。
口に放って、後悔した。
ちらっと時計をみて、ため息ついて…の繰り返し。
「このまま時間までここにいたら、話の展開はどうなっちまうんだろ」
とかなんとか、無駄なあがきをしようかとボヤく。
まもなく、あの声の通りだったら一時間後になるはずだ。
どうにかなればなと、心のどっかで軽く考えていた。
どこかに抜け道みたいな穴があったらとか思ってた。
――――けど。
「え…」
目の前の風景が、いきなり歪む。
こぶしで目を強めにこすってみて、目を開けた。
「マジ、かよ」
手品みたいだって思った。
茶色の床。
人気のない第二体育館。
さっきまでいた、コンビニの駐車場でも車の中でもない場所だ。
そこであの娘は、
「…えいっ」
一人、なぜかシュートを打っていたんだ。
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