強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*

文字の大きさ
上 下
6 / 37

いつ、誰がこの恋をはじめた? 6

しおりを挟む


 彼女の家の近くまで送っていき、帰宅した。

バスタブにお湯を張って、のんびり入浴。

「……んっ、はーーーっ」

おっさんっぽく、長い息を吐いた。

濡れた前髪をかき上げて、天井を仰ぐ。

「なんか変な一日だったな」

今日の、特に放課後の感想。

「変だったけど、嫌なことばっかじゃなかったしな」

とも、思った。

わけのわからない声に、自分がコントロールしきれない何か。

行動だったり、感情……も、か?

「神田…かん、だ……」

可愛いと思わなかったわけじゃないけど、ハッキリ言葉になったのは初めてだ。

ただの部のマネージャーってだけだったはずなんだけど。

こげ茶の、肩甲骨あたりまで伸びたストレートヘア。

片目だけ二重で、ちょっと体調が悪かったり疲れてきたら両目が二重になる。

(そういや、夏の合宿の時にそれに気づいたんだっけな)

夜遅くまで翌朝の仕込みをやって、朝早くからは朝食の準備をやって。

日中は洗濯機を回しながら、昼食の仕込みだのなんだのって忙しそうで。

食材は、俺と一緒にスーパーで買い出しして、二人で段ボール箱を抱えて帰ってきたな。

さすがに三日目あたりで、疲れが取れないからか、目がヤバかった。

神田に好意的な部員が集まって、ぎゃあぎゃあいいながら家事をサポートして。

最終日には、俺からってことで、焼き肉が出来るようにしたんだ。

大体のものが切ってあったから、あとは炭をおこして焼くだけって状態にしてさ。

おにぎりを山ほど握って、ひたすら肉を焼いて、最後には花火をした。

「……あれは、正直まっすぐみられなかったな」

あの時の光景が鮮明に浮かぶ。

サプライズですっていって、浴衣に着替えて出てきたんだもんな。

大盛り上がりで、花火よりも彼女にばっかり人が集まって、記念撮影ばっかりしていた。

「そういや俺も一枚撮らされた」

思い出すと、顔がゆるんでしまう。

レギュラーと俺と神田と。

俺は後列で、髪をアップにしていた神田の襟足が女っぽくて視線を外した瞬間に撮られたような。

「違う、よな? 多分。さっきのは、きっと無関係だ」

今日感じた、一番の違和感。

誰かの声。

強制フラグ。

俺がやらないだろう態度や発言。

神田を、可愛いと意識した自分の中のドコカにある感情。

特に最後なんか、それまでを思い出したら、フラグなんか立ててなくたって。

IFもしかしたらがあったかもしれない。相手が生徒だってのが、大問題だとしても」

昔、いつか感じたことがあるモノ。

特別愛に飢えていたわけじゃないはずなのに、なんでこのタイミングなんだろうな。

「でも、嫌な気持ちにならないから困るんだよな」

なんていいつつ、これは俺だけの感情で、神田の気持ちは? と思った途端に大きなため息が出た。

「あいつらからみたら、十分オッサンなんだろうし」

一回り差。

話題も興味も体力も違う。

「この気持ちに気づかなかったことにしたらいいだけの話だ」

ぼんやりとした形へと降格させて、意識しなきゃいい。

「神田の悩みのこともあるしな」

車内で聞いた、恋愛相談というか俺の苦手分野。

『男の人は、どんなしぐさをするとドキドキしますか』

性癖とか趣味嗜好とかあるわけで。

オッサンのそれと、神田の同年代のそれと。

きっと欲しい答えは違うはず。

また今度なと逃げたものの、きっと答えを待っている。

「どんな……って」

アレコレ頭に浮かぶのは、全部神田がモデルになってしまう。

「あぁっ、もう。なんでこんな急にあいつでいっぱいになりすぎるんだよ」

のぼせそうな体を勢いよく立ち上がらせ、バスルームを後にした。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...