強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*

文字の大きさ
上 下
5 / 37

いつ、誰がこの恋をはじめた? 5

しおりを挟む

 校内の駐車場だと目立つかもしれないしと、ちょっと行った先の道を曲がった場所で待っててと告げて、部室を後にする俺。

(さっきのあの表情ってどういう)

頭ん中にこびりついて離れない彼女の表情。

笑って、愛想よく送っていくと告げただけだったのに。俺的には。

きゅっと唇を噛んで、なんでか苦し気にみえた。

「……いや、気のせいだろ。それか、何か悩みがあるとかなにか…」

廊下を急ぎ足で歩き、カバンの中から車のカギを手にして、カバンを掴み駐車場へと急ぐ。

悩みがあるんだったら、教師として話を聞いてやれればいいんだけど。

「でもなぁ、女子高生の悩みだろ? 俺の人生経験が生かせるものだったらいいけどな」

苦笑いしながら、職員玄関へと急ぐ。

薄暗くなってきた廊下に、俺の足音だけが響く。

テスト準備期間は、放課後は普段よりも静かで。

(なんか、別世界みたいな感覚だな)

なんて思いながら、靴を下駄箱に入れ替えて勢いよく扉を閉めた。

 送るよと言ったものの、彼女は本当にいるんだろうか。

とかなんとか、変に弱気な俺。

(考えたら、俺ってそんなに人気ある方じゃないしな。さっきのあの顔だって、この先生に送るって言われちゃった? とか、何とも言えない気持ちになったのが顔に出たのかもしれないしな)

曲がり角。ウインカーをカチリと入れて、曲がるギリギリまで「ははは…」と力なく笑ってた。

「……あ」

 彼女がいた。

通学カバンを肩に掛け、きょろきょろしながら。

チカチカッと、ヘッドライトでパッシングをする。

すぐに気づいて、周りを見ながら彼女はなぜかこんなしぐさをしながらドアを開けた。

「しーーーーっ」

人差し指を自分の唇にあてて、静かに! と俺に示しながら。

しかも、どれだけ静かにしたいんだか、抜き足差し足って感じで歩いてきて、ドアを静かに開けたんだ。

「ぷぷっ」

普段見たことがない彼女が、また見れた。

「え、な、なんで笑って」

とかいいながら、髪や制服が乱れているとでも思っているのか、ちっとも乱れていないそれらを手で撫でつけている。

「あはは」

「えぇえええ。な、なんで? どこかおかしいですか?」

さらに困った顔つきで、後はどこだろうときょろきょろする。

(可愛いな)

そんなことを思いつつ、彼女に教えてあげる。

「どこもおかしくないよ」

クスッと笑って、助手席の可愛い子を見ながら。

「……っっ!!!」

すると、さっきよりも明らかに真っ赤になって、何か言いかけた言葉を飲み込む。

薄暗くなってきてても、わかるくらいに赤いって。

「さて、と。家はどこだったっけ? ナビしてもらってもいいか?」

そう話しかけ、カーナビに住所を打ち込む。

ゆるやかに走り出す車。

彼女が一生懸命にいろんな話を振ってくる。

それは他愛ない話なんだけど、楽しくて。

胸の奥がほんわりあたたかさを帯びていく。

(やっぱ、さっきからなんかおかしいよな)

この娘に今まで感じたことがないモノへの違和感と、あの声と。

それでも、それが不快に感じられなくて。

(むしろ、心地いいというか懐かしいというか)

なんともいえないこの感情に、頬をゆるめた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~

エール
ファンタジー
 古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。  彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。  経営者は若い美人姉妹。  妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。  そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。  最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。

【書籍化進行中、完結】私だけが知らない

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...