強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~

ハル*

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いつ、誰がこの恋をはじめた? 5

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 校内の駐車場だと目立つかもしれないしと、ちょっと行った先の道を曲がった場所で待っててと告げて、部室を後にする俺。

(さっきのあの表情ってどういう)

頭ん中にこびりついて離れない彼女の表情。

笑って、愛想よく送っていくと告げただけだったのに。俺的には。

きゅっと唇を噛んで、なんでか苦し気にみえた。

「……いや、気のせいだろ。それか、何か悩みがあるとかなにか…」

廊下を急ぎ足で歩き、カバンの中から車のカギを手にして、カバンを掴み駐車場へと急ぐ。

悩みがあるんだったら、教師として話を聞いてやれればいいんだけど。

「でもなぁ、女子高生の悩みだろ? 俺の人生経験が生かせるものだったらいいけどな」

苦笑いしながら、職員玄関へと急ぐ。

薄暗くなってきた廊下に、俺の足音だけが響く。

テスト準備期間は、放課後は普段よりも静かで。

(なんか、別世界みたいな感覚だな)

なんて思いながら、靴を下駄箱に入れ替えて勢いよく扉を閉めた。

 送るよと言ったものの、彼女は本当にいるんだろうか。

とかなんとか、変に弱気な俺。

(考えたら、俺ってそんなに人気ある方じゃないしな。さっきのあの顔だって、この先生に送るって言われちゃった? とか、何とも言えない気持ちになったのが顔に出たのかもしれないしな)

曲がり角。ウインカーをカチリと入れて、曲がるギリギリまで「ははは…」と力なく笑ってた。

「……あ」

 彼女がいた。

通学カバンを肩に掛け、きょろきょろしながら。

チカチカッと、ヘッドライトでパッシングをする。

すぐに気づいて、周りを見ながら彼女はなぜかこんなしぐさをしながらドアを開けた。

「しーーーーっ」

人差し指を自分の唇にあてて、静かに! と俺に示しながら。

しかも、どれだけ静かにしたいんだか、抜き足差し足って感じで歩いてきて、ドアを静かに開けたんだ。

「ぷぷっ」

普段見たことがない彼女が、また見れた。

「え、な、なんで笑って」

とかいいながら、髪や制服が乱れているとでも思っているのか、ちっとも乱れていないそれらを手で撫でつけている。

「あはは」

「えぇえええ。な、なんで? どこかおかしいですか?」

さらに困った顔つきで、後はどこだろうときょろきょろする。

(可愛いな)

そんなことを思いつつ、彼女に教えてあげる。

「どこもおかしくないよ」

クスッと笑って、助手席の可愛い子を見ながら。

「……っっ!!!」

すると、さっきよりも明らかに真っ赤になって、何か言いかけた言葉を飲み込む。

薄暗くなってきてても、わかるくらいに赤いって。

「さて、と。家はどこだったっけ? ナビしてもらってもいいか?」

そう話しかけ、カーナビに住所を打ち込む。

ゆるやかに走り出す車。

彼女が一生懸命にいろんな話を振ってくる。

それは他愛ない話なんだけど、楽しくて。

胸の奥がほんわりあたたかさを帯びていく。

(やっぱ、さっきからなんかおかしいよな)

この娘に今まで感じたことがないモノへの違和感と、あの声と。

それでも、それが不快に感じられなくて。

(むしろ、心地いいというか懐かしいというか)

なんともいえないこの感情に、頬をゆるめた。


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