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探し出せ!!

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ものすごい剣幕で喚き散らす神をウルメくんに一時的に任せて、ほまれちゃんは内通電話で何処かに電話中。

「局長、お忙しいところ申し訳ありません!実は…」

かくかくしかじか…現在の状況説明。

「お、落ち着いてください。今上司と…」

『何を悠長にしておる!!この間にもあの魂は別の形になってしまうやも知れんのだぞ!早く探してこいといっているんだ!!ああん?!』

「ひぇ…うぅ…。」

ウルメくんのメンタルが削られてきいますね。

「はい…!わがままを聞いていただいてありがとうございます!」

お?なにやら交渉してたみたい…交渉ということは、ほまれちゃんが選んだのは恐らく…。

「お客様おまたせして申し訳ありませんでした!私達2人で、全力で探し出してきます!!」

やっぱりー…これは大変なことになりました。

「え…うそ。ほんとに探すの三日月さん…?」

『わかればよいのだ。寛大な私はここで待っていてやるからな。なるはやで。』

どこで覚えたんですかねそんな言葉…。

「行くわよウルメくん!」

「あ…う、うん。わかった。」

お手々繋いで走り出す。おかげでウルメくんのメンタルが回復してきた模様。っと、それより大変なのはここから。

ほまれちゃん達が向かっているのは先日も出向いた工場区画。

選別漏れの業務の時は星のようにキラキラとした形になってましたが…この状態までにするのが魂成形工場。

色々段階はありますが、入場直後はなかなかエグみのある状態で広い空間に並べられています。視覚の情報としては黒色の人形のようですが触感は…死後直後のそのままの状態。この後転生することが前提だとしても触りたくないもんです。

それから抽出、成形、選別、調整、検査、補完といった流れ。

どの段階であっても魂に直接触れるのでここで働ける人はなかなかのツワモノ揃いです、尊敬しますよ。

さて、ほまれちゃんが探している対象の魂はどの段階に…。

「メノウ先輩!」

「お、来たな?局長から聞いてる、日付通りならまだ成形直後なはず…だが、あの山の中から探すのは骨が折れるぞ?」

「でも、やらなきゃいけないんです!」

成形後でしたか…あの光景をほまれちゃんに見せることがなくて安心しましたがこれはこれで大変。

大きなコンテナに山のように積まれてる丸い形状の虹色に揺らめく魂の玉。割と粗雑に扱われてるのが痛々しく、複雑な気持ちになるでしょうが…ここを創った時点で仕方のないことなのでしょう。

特殊なルーペでひとつひとつ確認して…小一時間。
あ、メノウは別の仕事で手伝ってくれないみたいですよ?使えない男!

それにしても…いまだ見つからず、ですね。

「違う…違う…これでもない…。」

「やっぱりこの中から探すのは無理なんじゃ…」

ネガティブ発言はダメですよウルメくん。ほまれちゃんがどんな気持ちで探してるか察してあげないと…心に秘めた思いは一生届きませんよ?

「あっ…?!」

ガゴンっ!と大きな音を出してコンテナを固定していた器具が外れ、確認した玉と未確認の玉が混ざり床に散らばってしまった。

「やば…ふ、ふりだし…?三日月さん…ど、どうしよう。」

「…やるわ。」

半泣きなのにほまれちゃん強がって…。

「だって…例えあの神様が仕組んだことだとしても、この魂の人にとって思い入れのある世界で幸せに生きられるならそうしてあげたいもの…。何度も繰り返させられて、苦しい思いをさせられたとしても…その人に運命を変えれる力があるなら、それを神様が信じてるなら…私は…諦めないっ。」

はぁ…ほまれちゃんの意思は固いようですね。ウルメくんも触発されて、再び手を動かし始めました…。

仕方ない…私情でこんなことをしてはいけないのでしょうが…天の声たる私の仕事をしましょうか。
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