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普通の男の子
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「さっき脱衣所でこの目で見るまでは…ミナホの言う言葉が信じられなかったんだけどな。高校生にしていい話ではないとは思うが聞いてくれ。」
大学での授業、水泳。
今まではハーフパンツタイプの水着で受けていた義兄だったが、少し前から全身を覆う競技タイプの水着で受けるようになったんだそうだ。
着替えの時も他の人が出ていったあとか、早めに来て着替えるか。ミナホさんは義兄な友人で、更に同じ授業を取ってるからその突然の変化に気付いたんだって。
「なつめ~?水着変えたの?うっわ、これすげーたけぇ奴じゃん?!どったの?」
「ん、あぁ。叔父さんから貰ったやつ…しつこくちゃんと使ってるのかって聞いてくるから…。」
「ふぅん…?」
その時の受け答えがなんかいつもと違う感じでなんか隠すみたいな、でも気付いてほしいみたいな。
「それでな、こっそりシャワー覗いたんだと。」
「のぞ…え?」
「覗きは良くないのはわかってるんだが、あいつは気になったら追求しまくるタイプ。顔に似合わず猪突猛進型、だな。でも、話したがらないってことはデリケートな問題だってのは察したらしく直接は聞いちゃいない。」
優しいのか何なのかわからないけど…その時見たんだって。
水着の下に隠された赤い傷。
「傷…?」
「傷というか…その、あれなんだ。」
「あれじゃわかりません…!」
「き、キスマーク…。」
ケンゴさんが顔を赤らめて言うもんだから、この時思春期だった俺も顔を真っ赤にしてしまった。
前も後ろも…ほとんど全身と言っていいくらいに散りばめられたんだと。
「俺もミナホに付けることはあるが…さっき自分の目で見て感じたことは異常だってこと、だな。」
「え?待ってくださ…少し混乱してます…。」
ミナホさんとそういう仲なのかってのも驚いたし、義兄がなんでそんなモノを付けられているのかとか…。
「すまん、でも聞いてくれ。ミナホいわく、その叔父ってのが怪しいそうだ。だから最近は、大学終わったあと何処かに急ぎで行こうとしてる棗を止めて、ここに来たり、外で遊んでそいつのところになるべく、行かせないようにはしてたんだが流石に俺たちだけじゃ限界がな…。」
義兄に直接聞いたわけではないけど察しのいいミナホさんたちが『そこ』へ行くのを止めてくれていた。でも、2人共これから大会に向けて練習が多くなって引き止めることができない…。
「俺は…どうすれば…」
「俺としては上書きでもしてやればいいとは思うんだが流石になぁ…」
「う、わがき?!それってもしかし…て?」
「そのもしかしてだ、な。」
だってそれは…それは恋人同士とかがすることで、それを俺がするのは…そんな風に思った事なんて1回も…なかった…はず?
「まぁそれは冗談だ、気にするな。今まで通り、いつものように棗と一緒にいてくれればいい。多少強引に、ってのが付くけどな。頼む。」
「…何とか頑張ってみます。」
「どうしても困ったら連絡をくれ。俺とミナホの連絡先が書いてあるから。」
なにやら可愛らしい花と小動物のイラストの書いてあるメモ用紙をバシッと渡して、ケンゴさんは義兄の部屋に戻っていった。
「(どういうことだろう…葬式のあとから?あの時すでに?)」
叔父…彰考さんの後ろ姿を思い出して悶々とする。
身内にそんな事をする人間がいる、心の弱ってる義兄に付け込んで…でも、それに抵抗できないような人じゃないはず。
それを受け入れてるのはなぜ?
「はっ…マジ…?」
言い様のない気持ちで心臓がドクンと音を立てる。
ドロドロとした熱い気持ちが込み上げてきて、したくもない妄想が頭の中を駆け巡る。その結果があからさまに反応して体に現れた。
「サイテーじゃん…。」
ケンゴさんの言うように「上書き」してしまえば…と一瞬よぎるが、それが義兄にとって救いとなる訳が無いし、第一俺がするのは違うだろうと必死に押さえる。
これは義兄にとって苦しくて恥ずかしくて悔しいことなんだって。相談されなかったのは寂しいし悲しいけど、それだけデリケートなことだし。
なのに…なんで俺は今…股間を押さえてどうにか静まるのを待ってるんだ。
「ッ…あー!!もう!なんなんだよ…なんでだよ…。にいに…にいに…。」
話を聞いているときは冷静だったはずなのに。
俺は義兄をどうしたいんだ…どうするつもりなのかと。自問自答を繰り返し…小一時間ほど唸って1つだけ確かな答えにたどり着く。
彰考さんの手から義兄を取り戻すこと。
まずこれを成さねばならない。
「ん…?まずって…その先に俺は…?」
深呼吸…。
うん、難しく考えすぎることはない。
ケンゴさんもいつも通り普通にしていればいいんだと…まずは義兄の『いつも通り』を取り戻さないと始まらないんだ。
大学での授業、水泳。
今まではハーフパンツタイプの水着で受けていた義兄だったが、少し前から全身を覆う競技タイプの水着で受けるようになったんだそうだ。
着替えの時も他の人が出ていったあとか、早めに来て着替えるか。ミナホさんは義兄な友人で、更に同じ授業を取ってるからその突然の変化に気付いたんだって。
「なつめ~?水着変えたの?うっわ、これすげーたけぇ奴じゃん?!どったの?」
「ん、あぁ。叔父さんから貰ったやつ…しつこくちゃんと使ってるのかって聞いてくるから…。」
「ふぅん…?」
その時の受け答えがなんかいつもと違う感じでなんか隠すみたいな、でも気付いてほしいみたいな。
「それでな、こっそりシャワー覗いたんだと。」
「のぞ…え?」
「覗きは良くないのはわかってるんだが、あいつは気になったら追求しまくるタイプ。顔に似合わず猪突猛進型、だな。でも、話したがらないってことはデリケートな問題だってのは察したらしく直接は聞いちゃいない。」
優しいのか何なのかわからないけど…その時見たんだって。
水着の下に隠された赤い傷。
「傷…?」
「傷というか…その、あれなんだ。」
「あれじゃわかりません…!」
「き、キスマーク…。」
ケンゴさんが顔を赤らめて言うもんだから、この時思春期だった俺も顔を真っ赤にしてしまった。
前も後ろも…ほとんど全身と言っていいくらいに散りばめられたんだと。
「俺もミナホに付けることはあるが…さっき自分の目で見て感じたことは異常だってこと、だな。」
「え?待ってくださ…少し混乱してます…。」
ミナホさんとそういう仲なのかってのも驚いたし、義兄がなんでそんなモノを付けられているのかとか…。
「すまん、でも聞いてくれ。ミナホいわく、その叔父ってのが怪しいそうだ。だから最近は、大学終わったあと何処かに急ぎで行こうとしてる棗を止めて、ここに来たり、外で遊んでそいつのところになるべく、行かせないようにはしてたんだが流石に俺たちだけじゃ限界がな…。」
義兄に直接聞いたわけではないけど察しのいいミナホさんたちが『そこ』へ行くのを止めてくれていた。でも、2人共これから大会に向けて練習が多くなって引き止めることができない…。
「俺は…どうすれば…」
「俺としては上書きでもしてやればいいとは思うんだが流石になぁ…」
「う、わがき?!それってもしかし…て?」
「そのもしかしてだ、な。」
だってそれは…それは恋人同士とかがすることで、それを俺がするのは…そんな風に思った事なんて1回も…なかった…はず?
「まぁそれは冗談だ、気にするな。今まで通り、いつものように棗と一緒にいてくれればいい。多少強引に、ってのが付くけどな。頼む。」
「…何とか頑張ってみます。」
「どうしても困ったら連絡をくれ。俺とミナホの連絡先が書いてあるから。」
なにやら可愛らしい花と小動物のイラストの書いてあるメモ用紙をバシッと渡して、ケンゴさんは義兄の部屋に戻っていった。
「(どういうことだろう…葬式のあとから?あの時すでに?)」
叔父…彰考さんの後ろ姿を思い出して悶々とする。
身内にそんな事をする人間がいる、心の弱ってる義兄に付け込んで…でも、それに抵抗できないような人じゃないはず。
それを受け入れてるのはなぜ?
「はっ…マジ…?」
言い様のない気持ちで心臓がドクンと音を立てる。
ドロドロとした熱い気持ちが込み上げてきて、したくもない妄想が頭の中を駆け巡る。その結果があからさまに反応して体に現れた。
「サイテーじゃん…。」
ケンゴさんの言うように「上書き」してしまえば…と一瞬よぎるが、それが義兄にとって救いとなる訳が無いし、第一俺がするのは違うだろうと必死に押さえる。
これは義兄にとって苦しくて恥ずかしくて悔しいことなんだって。相談されなかったのは寂しいし悲しいけど、それだけデリケートなことだし。
なのに…なんで俺は今…股間を押さえてどうにか静まるのを待ってるんだ。
「ッ…あー!!もう!なんなんだよ…なんでだよ…。にいに…にいに…。」
話を聞いているときは冷静だったはずなのに。
俺は義兄をどうしたいんだ…どうするつもりなのかと。自問自答を繰り返し…小一時間ほど唸って1つだけ確かな答えにたどり着く。
彰考さんの手から義兄を取り戻すこと。
まずこれを成さねばならない。
「ん…?まずって…その先に俺は…?」
深呼吸…。
うん、難しく考えすぎることはない。
ケンゴさんもいつも通り普通にしていればいいんだと…まずは義兄の『いつも通り』を取り戻さないと始まらないんだ。
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