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第78話 ライヴハウス
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~翼の実家~
美麗は実家に戻り翼と母と3人で話している。
美麗「というわけで渡してきたわよ!」
翼「ありがとう。で、キラリには会って無いんだよね?」
美麗「それが………」
翼「え?会ったの?」
美麗「いえ、違うの……正確には泣いて飛び出して行く姿を見かけたの……」
翼の母「それは……どういうことかしら?」
美麗「実は私、ちょっと用事があってフューチャーの方へ出向いてたのよ。そしたら……私の目の前を鏡の部屋からキラリちゃんがいきなり飛び出して走って行っちゃったの……それで私ピンと来たわ!」
翼「なるほど!親父はキラリをマニアさんに!」
翼の母「へぇ!いよいよキラリさんは本格的に花嫁修業に掛かり始めたのね?」
美麗「多分……でも……そのあとどうなったのか……」
翼「もしかしたら途中で挫折してしまうかもってこと?」
美麗「えぇ……その可能性は……でも今回のサプライズでキラリちゃん息吹き返すかもね!」
翼「キラリ………」
~それから数日~
キラリは毎日マニアの厳しいレクチャーを受け、日に日に疲れが顔に出始め限界を迎えようとしていた。
キラリは家の玄関ドアを開けて
キラリ「母ちゃん……ただいまぁ~」
元気なく言った。
薫「キラリお疲れ様!早くお風呂入ってきなさい!もう晩御飯出来てるよ」
キラリ「はぁい………」
キラリは風呂から上がり夕飯を食べていると
薫「キラリ、明日あんたの誕生日だね!」
キラリ「え?あっ……そっか……」
薫「ねぇキラリ、明日ちょっと夜にドライブしよっか!」
キラリ「うーん……なんかさぁ……最近凄く疲れちゃって……」
薫「だからこそたまに息抜きしようって言ってるじゃん」
キラリ「はぁい、わかった……」
~翌日の夜~
薫はキラリを車に乗せて発進させた。
いつもならドライブというと少し遠出をし海や丘の上からの夜景などを見に向かうのだが、この日はあきらかに方向が違うことに気付き
キラリ「ねぇ母ちゃん、今日はどこにドライブ行くの?」
薫「今日はねぇ、久々に私の旧友のところに顔出そうかと思って……」
キラリ「え?ドライブじゃないの?」
薫「まぁ、たまには私に付き合いなさいよ!」
そう言って着いた先はなんとライヴハウス会場だった。
キラリ「母ちゃん……ここって……」
薫「ん?ここのマスターとは古い付き合いなのよ!まだ私が子供の頃からのね」
キラリ「そうなの!?」
薫「えぇ、私と幼なじみだけは特別無料VIP待遇なのよ!」
キラリ「へぇ!!!それを早く言ってよ!前に翼見かけたのもここだったんだ……」
二人は大盛況のライヴハウス会場に入っていく。
中は少し薄暗い照明だが、若者達が大はしゃぎしながら騒いで、人の会話などほとんど成立しない。
薫はどんどん先に進んで行き、階段を上がって勝手にVIP席に座った。
そこには既に凜花が座っていて、更にはレディースメンバー達もが顔を並べていた。
キラリがVIP席に入った瞬間
“パァン!パパァン!”と何発ものクラッカーの音がけたたましく鳴り響き、火薬の臭いと煙がしばらく充満する。
凜花「キラリ!誕生日おめでとう!!!」
メンバー達も口々に祝福する。
キラリ「あ……ありがとう……」
なぜかみんなキラリの顔を見てニヤニヤしている。
キラリ「な……何さ……何かみんな変だよ?」
凜花「だって……ねぇ……」
凜花は薫の顔を見て笑っている。
薫「今日はキラリにとってきっと思い出深い日になると思うよ!」
キラリ「え?どういうこと?」
そう言った瞬間、会場中に大きな悲鳴が沸き起こり、辺りは騒然となった。
凜花「キャア、始まったかも!」
キラリはいったい何が始まったのかと思い上から会場の様子を眺めていると、照明がいきなり全部消えて、そしてステージにパッと眩しいライトが照らされた。
ステージには先ずドラマーが先にドラムセットに着いて軽快な演奏を始める。
次にその演奏に合わせながらベースを奏でるメンバーが登場した。そして更に遅れて見たことのある人物がギターを弾きながら現れる。
キラリ「え!?あの人って……」
凜花は目を輝かせながらギタリストを見つめている。
凜花「カッコいいよねぇ~!」
凜花は既に目がハートになっていた。
キラリ「え!?これってどういうこと!?もしかして………」
キラリの心臓が徐々に速まり、そして胸が苦しくなっていく。
もしかして……そんな……まさか……ウソでしょ!?
会場はこの3人が登場したことで悲鳴の嵐が吹き荒れる。
そして……
バンドの演奏に合わせ聴き慣れた声が甘い歌声を乗せる。
キラリ「え!?マジで!?」
キラリは感極まり、目には大粒の涙が溜まる。
会場もその歌声に悲鳴はもはや絶叫に似た叫び声に変わっていった。
しかし、声の主は姿を表さず語りだす。
“どうもみんな……今日は俺達最後のライヴに足を運んでくれてありがとう……”
キャアーーーーーーーーー!!!
“みんな聞いてくれ……これは俺にとって特別なライヴなんだ………”
観客は皆シーンと静まり返り、感極まって泣き出す者が続出する。
美麗は実家に戻り翼と母と3人で話している。
美麗「というわけで渡してきたわよ!」
翼「ありがとう。で、キラリには会って無いんだよね?」
美麗「それが………」
翼「え?会ったの?」
美麗「いえ、違うの……正確には泣いて飛び出して行く姿を見かけたの……」
翼の母「それは……どういうことかしら?」
美麗「実は私、ちょっと用事があってフューチャーの方へ出向いてたのよ。そしたら……私の目の前を鏡の部屋からキラリちゃんがいきなり飛び出して走って行っちゃったの……それで私ピンと来たわ!」
翼「なるほど!親父はキラリをマニアさんに!」
翼の母「へぇ!いよいよキラリさんは本格的に花嫁修業に掛かり始めたのね?」
美麗「多分……でも……そのあとどうなったのか……」
翼「もしかしたら途中で挫折してしまうかもってこと?」
美麗「えぇ……その可能性は……でも今回のサプライズでキラリちゃん息吹き返すかもね!」
翼「キラリ………」
~それから数日~
キラリは毎日マニアの厳しいレクチャーを受け、日に日に疲れが顔に出始め限界を迎えようとしていた。
キラリは家の玄関ドアを開けて
キラリ「母ちゃん……ただいまぁ~」
元気なく言った。
薫「キラリお疲れ様!早くお風呂入ってきなさい!もう晩御飯出来てるよ」
キラリ「はぁい………」
キラリは風呂から上がり夕飯を食べていると
薫「キラリ、明日あんたの誕生日だね!」
キラリ「え?あっ……そっか……」
薫「ねぇキラリ、明日ちょっと夜にドライブしよっか!」
キラリ「うーん……なんかさぁ……最近凄く疲れちゃって……」
薫「だからこそたまに息抜きしようって言ってるじゃん」
キラリ「はぁい、わかった……」
~翌日の夜~
薫はキラリを車に乗せて発進させた。
いつもならドライブというと少し遠出をし海や丘の上からの夜景などを見に向かうのだが、この日はあきらかに方向が違うことに気付き
キラリ「ねぇ母ちゃん、今日はどこにドライブ行くの?」
薫「今日はねぇ、久々に私の旧友のところに顔出そうかと思って……」
キラリ「え?ドライブじゃないの?」
薫「まぁ、たまには私に付き合いなさいよ!」
そう言って着いた先はなんとライヴハウス会場だった。
キラリ「母ちゃん……ここって……」
薫「ん?ここのマスターとは古い付き合いなのよ!まだ私が子供の頃からのね」
キラリ「そうなの!?」
薫「えぇ、私と幼なじみだけは特別無料VIP待遇なのよ!」
キラリ「へぇ!!!それを早く言ってよ!前に翼見かけたのもここだったんだ……」
二人は大盛況のライヴハウス会場に入っていく。
中は少し薄暗い照明だが、若者達が大はしゃぎしながら騒いで、人の会話などほとんど成立しない。
薫はどんどん先に進んで行き、階段を上がって勝手にVIP席に座った。
そこには既に凜花が座っていて、更にはレディースメンバー達もが顔を並べていた。
キラリがVIP席に入った瞬間
“パァン!パパァン!”と何発ものクラッカーの音がけたたましく鳴り響き、火薬の臭いと煙がしばらく充満する。
凜花「キラリ!誕生日おめでとう!!!」
メンバー達も口々に祝福する。
キラリ「あ……ありがとう……」
なぜかみんなキラリの顔を見てニヤニヤしている。
キラリ「な……何さ……何かみんな変だよ?」
凜花「だって……ねぇ……」
凜花は薫の顔を見て笑っている。
薫「今日はキラリにとってきっと思い出深い日になると思うよ!」
キラリ「え?どういうこと?」
そう言った瞬間、会場中に大きな悲鳴が沸き起こり、辺りは騒然となった。
凜花「キャア、始まったかも!」
キラリはいったい何が始まったのかと思い上から会場の様子を眺めていると、照明がいきなり全部消えて、そしてステージにパッと眩しいライトが照らされた。
ステージには先ずドラマーが先にドラムセットに着いて軽快な演奏を始める。
次にその演奏に合わせながらベースを奏でるメンバーが登場した。そして更に遅れて見たことのある人物がギターを弾きながら現れる。
キラリ「え!?あの人って……」
凜花は目を輝かせながらギタリストを見つめている。
凜花「カッコいいよねぇ~!」
凜花は既に目がハートになっていた。
キラリ「え!?これってどういうこと!?もしかして………」
キラリの心臓が徐々に速まり、そして胸が苦しくなっていく。
もしかして……そんな……まさか……ウソでしょ!?
会場はこの3人が登場したことで悲鳴の嵐が吹き荒れる。
そして……
バンドの演奏に合わせ聴き慣れた声が甘い歌声を乗せる。
キラリ「え!?マジで!?」
キラリは感極まり、目には大粒の涙が溜まる。
会場もその歌声に悲鳴はもはや絶叫に似た叫び声に変わっていった。
しかし、声の主は姿を表さず語りだす。
“どうもみんな……今日は俺達最後のライヴに足を運んでくれてありがとう……”
キャアーーーーーーーーー!!!
“みんな聞いてくれ……これは俺にとって特別なライヴなんだ………”
観客は皆シーンと静まり返り、感極まって泣き出す者が続出する。
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