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第75話 鬼も魅了する男
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~菜松の回想~
マニア「いい加減に直しなさい!!!例え一瞬でもそんな訛り方言が出てしまったらおしまいなんですよ!!!少しは自覚なさい!」
菜松は目に溜まる涙をこぼさないように必死に堪えながらうつ向いている。
マニア「いったいどこの田舎者なんでしょう!こんな世話のやける人は見たことがない」
マニアは黙っている菜松に追い打ちをかけるように続けた。
菜松「わだすは……あっ……私は……」
マニア「言った側からまた!!!直す気が無いのならもう出ていきなさい!!!あなたには田舎暮らしの方が向いてるのでしょう!!!」
菜松は自分の人権そのものを全否定されたような気がして、悔しさと悲しみの限界で泣きながらこの鏡張りの部屋を飛び出して行った。
涙で視界が遮られ、廊下がT字に交差した場所に差し掛かったとき、不意に出会い頭に現れた翼を思いっきり突き飛ばしてしまった。
ドッドドォ……
菜松「あああああああ……だんじょんぶだらかぁ⤴?けんがすってねぇだら⤴?」
あっ……やっちゃった……
菜松「あの……えっと……ごめん……なさい……大丈夫……ですか?」
翼はゆっくりと立ち上がってニコッと笑いながら
翼「ハッハッハッ、僕は大丈夫だよ!君の方こそ大丈夫だったかい?てか君……見たこと無いけど名前は?」
菜松「あっ……えっと……なまつてるよです……」
翼「ハッハッハッハッハッハッ!そのまんまじゃないか!君面白いね!あれ?どうしたの?泣いてるの?」
菜松は慌てて涙を手で拭い
菜松「あっ……あの……えっと……すみません……失礼しますだぁ⤴……あああ……じゃなくて……えっと……失礼します……」
翼は慌てて振り返り立ち去ろうとする菜松の手をスッと掴み、引っ張って美品室に入った。
“ピシャッ”
ドアを閉めて菜松の頭をそっと撫でる。
翼「菜松さん、いったい何があったの?」
翼は菜松の顔を覗き込んで優しく問いかける。
菜松は高身長の超絶イケメンの翼の視線が眩し過ぎて目をそむけている。
菜松「あの……ごめんなさい……ほんとに行かなくては……」
翼「どこに?」
菜松「ど……どこにって……あの……お仕事に戻らないと……」
翼「菜松さんはどんな仕事をしてるの?」
菜松「……………」
翼は両手を通路の棚について菜松の退路を塞ぎ
翼「ちゃんと話すまで行かせない!」
と意地悪く言った。
菜松「あの……ほんとにそれは……困ります……」
翼「どうして?」
菜松「どうしてって……えっと……私怒られてしまいますから……」
翼「怒られたから泣いてるんでしょ?だから話してごらんよ!」
菜松「いや……ほんとに……ごめんなさい……」
そう言って強引に翼の腕をくぐり抜けようとするが、翼はそれを阻止して
翼「菜松さん、マニアさんでしょ?」
その言葉を聞いた瞬間菜松は驚き目を見開いて翼を凝視した。
翼「そっかぁ、当たりかぁ!」
翼は笑いながら菜松の頬を軽く手のひらでポンッと触れて
翼「ついておいで!」
そう言って美品室を出た。
菜松は翼に強引に手を引かれてついて行く。
菜松「あっ……あの……私……し……仕事が……」
翼は振り返り笑いながら
翼「大丈夫大丈夫!」
と明るく言うが、菜松はこれから起こりそうな修羅場を想像し
、顔は強張り手は震えて足取りもフラフラしている。
と、そこへ向こう側から目を吊り上がらせ、いかにも不機嫌な表情を微塵も隠すことなくカツカツと足早にマニアが向かってくる。
菜松の不安な気持ちがピークに達し、無意識に翼に掴まれた手に力が入る。
翼はそれを感じ取り、菜松に微笑みかけて
翼「心配要らないよ!俺に任せて」
と、優しい笑みを向けて
翼「マニアさ~ん!」
と手を振りながら明るく大きな声で言った。
その姿と声を認識したマニアの目尻は下がり、口角が上がり、一瞬にして全く別人の様な穏やかな表情に変わっていった。
マニア「あら、翼お坊っちゃん……いらしてたんですね」
翼「マニアさんお久しぶり!相変わらず若々しくて綺麗だね!」
マニア「まぁ……翼お坊っちゃんたら……」
マニアは頬を赤くして両手で顔をおおいモジモジして、あきらかにお世辞だとわかっていても、マニアは翼の言葉にメロメロになっている。
それを見た菜松は、180度変わったマニアの姿に驚き目を丸くした。
あんれまぁ⤴……こんだら人あんだにもいからっしゃあのに……こんだらわけえっ子さぁおせず言わしゃったぁのんにデラデラすんじまってぇ⤴いんがいに人間さぽえぇどごあんだべらかぁ⤴
通訳「あら……この人あんなに怒ってたのに……こんな若い子にお世辞言われてデレデレしちゃって。意外に人間ぽい所があるのね」
翼「マニアさん、何か怒ってたみたいだけどどうしたの?」
そ……それは言っちゃ駄目です!まるで私が告げ口したみたくなっちゃうから……
マニアは手を引いて後ろにかくまっている菜松の姿を見て再び眉間にシワを寄せた。
菜松はその表情を見て慌てて視線をそらす。
翼「マニアさん、俺もお邪魔しても良いかな?久しぶりにマニアさんのレクチャーをまた見たくなっちゃった!」
マニア「そ……そうですか?はい、ではご一緒にどうぞ!」
マニアはこれ以上ないという程の満面の笑みで喜んでいる。
マニア「いい加減に直しなさい!!!例え一瞬でもそんな訛り方言が出てしまったらおしまいなんですよ!!!少しは自覚なさい!」
菜松は目に溜まる涙をこぼさないように必死に堪えながらうつ向いている。
マニア「いったいどこの田舎者なんでしょう!こんな世話のやける人は見たことがない」
マニアは黙っている菜松に追い打ちをかけるように続けた。
菜松「わだすは……あっ……私は……」
マニア「言った側からまた!!!直す気が無いのならもう出ていきなさい!!!あなたには田舎暮らしの方が向いてるのでしょう!!!」
菜松は自分の人権そのものを全否定されたような気がして、悔しさと悲しみの限界で泣きながらこの鏡張りの部屋を飛び出して行った。
涙で視界が遮られ、廊下がT字に交差した場所に差し掛かったとき、不意に出会い頭に現れた翼を思いっきり突き飛ばしてしまった。
ドッドドォ……
菜松「あああああああ……だんじょんぶだらかぁ⤴?けんがすってねぇだら⤴?」
あっ……やっちゃった……
菜松「あの……えっと……ごめん……なさい……大丈夫……ですか?」
翼はゆっくりと立ち上がってニコッと笑いながら
翼「ハッハッハッ、僕は大丈夫だよ!君の方こそ大丈夫だったかい?てか君……見たこと無いけど名前は?」
菜松「あっ……えっと……なまつてるよです……」
翼「ハッハッハッハッハッハッ!そのまんまじゃないか!君面白いね!あれ?どうしたの?泣いてるの?」
菜松は慌てて涙を手で拭い
菜松「あっ……あの……えっと……すみません……失礼しますだぁ⤴……あああ……じゃなくて……えっと……失礼します……」
翼は慌てて振り返り立ち去ろうとする菜松の手をスッと掴み、引っ張って美品室に入った。
“ピシャッ”
ドアを閉めて菜松の頭をそっと撫でる。
翼「菜松さん、いったい何があったの?」
翼は菜松の顔を覗き込んで優しく問いかける。
菜松は高身長の超絶イケメンの翼の視線が眩し過ぎて目をそむけている。
菜松「あの……ごめんなさい……ほんとに行かなくては……」
翼「どこに?」
菜松「ど……どこにって……あの……お仕事に戻らないと……」
翼「菜松さんはどんな仕事をしてるの?」
菜松「……………」
翼は両手を通路の棚について菜松の退路を塞ぎ
翼「ちゃんと話すまで行かせない!」
と意地悪く言った。
菜松「あの……ほんとにそれは……困ります……」
翼「どうして?」
菜松「どうしてって……えっと……私怒られてしまいますから……」
翼「怒られたから泣いてるんでしょ?だから話してごらんよ!」
菜松「いや……ほんとに……ごめんなさい……」
そう言って強引に翼の腕をくぐり抜けようとするが、翼はそれを阻止して
翼「菜松さん、マニアさんでしょ?」
その言葉を聞いた瞬間菜松は驚き目を見開いて翼を凝視した。
翼「そっかぁ、当たりかぁ!」
翼は笑いながら菜松の頬を軽く手のひらでポンッと触れて
翼「ついておいで!」
そう言って美品室を出た。
菜松は翼に強引に手を引かれてついて行く。
菜松「あっ……あの……私……し……仕事が……」
翼は振り返り笑いながら
翼「大丈夫大丈夫!」
と明るく言うが、菜松はこれから起こりそうな修羅場を想像し
、顔は強張り手は震えて足取りもフラフラしている。
と、そこへ向こう側から目を吊り上がらせ、いかにも不機嫌な表情を微塵も隠すことなくカツカツと足早にマニアが向かってくる。
菜松の不安な気持ちがピークに達し、無意識に翼に掴まれた手に力が入る。
翼はそれを感じ取り、菜松に微笑みかけて
翼「心配要らないよ!俺に任せて」
と、優しい笑みを向けて
翼「マニアさ~ん!」
と手を振りながら明るく大きな声で言った。
その姿と声を認識したマニアの目尻は下がり、口角が上がり、一瞬にして全く別人の様な穏やかな表情に変わっていった。
マニア「あら、翼お坊っちゃん……いらしてたんですね」
翼「マニアさんお久しぶり!相変わらず若々しくて綺麗だね!」
マニア「まぁ……翼お坊っちゃんたら……」
マニアは頬を赤くして両手で顔をおおいモジモジして、あきらかにお世辞だとわかっていても、マニアは翼の言葉にメロメロになっている。
それを見た菜松は、180度変わったマニアの姿に驚き目を丸くした。
あんれまぁ⤴……こんだら人あんだにもいからっしゃあのに……こんだらわけえっ子さぁおせず言わしゃったぁのんにデラデラすんじまってぇ⤴いんがいに人間さぽえぇどごあんだべらかぁ⤴
通訳「あら……この人あんなに怒ってたのに……こんな若い子にお世辞言われてデレデレしちゃって。意外に人間ぽい所があるのね」
翼「マニアさん、何か怒ってたみたいだけどどうしたの?」
そ……それは言っちゃ駄目です!まるで私が告げ口したみたくなっちゃうから……
マニアは手を引いて後ろにかくまっている菜松の姿を見て再び眉間にシワを寄せた。
菜松はその表情を見て慌てて視線をそらす。
翼「マニアさん、俺もお邪魔しても良いかな?久しぶりにマニアさんのレクチャーをまた見たくなっちゃった!」
マニア「そ……そうですか?はい、ではご一緒にどうぞ!」
マニアはこれ以上ないという程の満面の笑みで喜んでいる。
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